取り敢えず前に進むために対比だけは載せていこうと思う。これは前回第13条のところから始めたが
今回は第14条である。一見、ほとんど改変が無いようだが、密かに消している条文がある。
自民党__新憲法草案(旧案) | 自民党_憲法改正草案(決定案) |
日本国憲法
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(平成十七年十月二十八日(発表)) 2005年 |
(平成二十四年四月二十七日(決定)) |
(昭和二十一年十一月三日憲法(発布)) 1946年 |
(法の下の平等) 第14条 ① すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 |
(法の下の平等) 第十四条 全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 |
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 |
② 華族その他の貴族の制度は、認めない。 | 2 華族その他の貴族の制度は、認めない。 | 2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。 |
③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。 | 3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。 条文の一部削除されている。 |
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。 |
上記の比較表では
・ 第1項は自民党の旧案にも決定案にも『障害の有無』が追加され、法の下の平等の範囲が拡大されたと喜ぶべきか、障害を区別する手段とあえて挙げたのかどちらに捉えたらよいか、悩ましい。
・ 第3項は現行憲法にあった『いかなる特権も伴はない』が皆生案決定版ではさりげなく省かれている。これは「栄誉、勲章その他の栄典を授与される。」ことで優遇もしくは特権を与える道を作ることになる。これは、これは一回限り出なく、継続的な特権を与える法律を作ることが可能となり、栄誉、勲章、栄典が、恣意的に政治的に使われる危険性を含む削除となっている可能性が高い。新憲法草案では残っていたのが・・・
新設の条項だけでなく、どさくさに紛れた密かなる加筆、削除も注意深く見ていく必要がある。このような少しずつ変えて方法を選んでいる知恵に長けた戦術参謀がいることを肝に銘じる必要があり、化かされないように注意する必要がある。このような新設だけでなく、密かな加筆削除を含んだ憲法案を①YES,Noの国民投票で決まるのは怖いことである。しかも②国民の判断をわずか二か月から半年で投票しなければならないのだろうか。憲法改正の国民投票法は①、②の問題を含んだ問題法案の可能性が高い。
これまでどおり英文比較を載せたかったが、現行憲法の英訳しか見つけられなかった。自民党は早く皆生法案の決定版の英訳を行うべきであろう。
article 14. All of the people are equal under the law and there shall be no discrimination in political, economic or social relations because of race, creed, sex, social status or family origin.
Peers and peerage shall not be recognized.
No privilege shall accompany any award of honor, decoration or any distinction, nor shall any such award be valid beyond the lifetime of the individual who now holds or hereafter may receive it.
その他)自民党の改憲案決定版は先日新聞広告に乗った三菱重工の意見広告を見るとわかるように旧財閥が復活すべく思惑が働いた憲法改正のように思われる。
憲法教育のおざなり、うわべだけの民主教育、核家族が招いた躾を教員に任せて家庭教育の崩壊、安保闘争が招いたノンポリ化、経済成長が招いた浮かれた拝金主義、などの積み重ねにより日本人の品性が下がったことを憂い始めたやじさん。
20160328 英訳を追加 語句訂正