中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

自然光で観る

2014年01月25日 | お知らせ


昨日の午前11時半頃に薄いカーテン越しの光で撮影しました。
私が織っている機の上の、着尺です。
少しオレンジがかった薄茶といえばいいでしょうか?
桜染めを中心のものです。
画像で色を再現することはほぼ不可能ですが、表情は少しお分かりいただけるかもしれません。

1月下旬くらいになると、草木で染めた糸が光を受け本当に美しさを増します。発光しています。

経糸をご覧ください。節糸、真綿の紬糸、玉糸を混ぜています。
私の紬は一反、一反糸のブレンドが違います。
立体感を強くしたり、比較的滑らかにしたり、その出来上がりをイメージして決めていきます。
私にとって大事なことは生きた布を作ることです。
それが私のような一点ものをつくるもののやるべき仕事と思っています。

生きた布は身にまとった時に、その季節や時間、布と視線の角度で、自然光に反応して様々な表情を見せてくれます。
そのことは着た方にも生き生きとした喜びや安らぎを与えます。
私はそれを引き出す役割を担っています。

初めて観る方からも驚きの声が上がる程です。

3月1日~4日まで名古屋で個展があります。

先日打ち合わせに名古屋まで行き、会場も拝見させていただきました。
お庭が広くて自然光もたっぷり入る和洋折衷の会場です。

立体的な草木染の紬の、光の反射の妙を直にご覧いただきたいと思います。


「中野みどりの紬の会――作品集『樹の滴』出版を記念して」

主催/きものギャラリー睦月  会場/岳見町ぎゃらりぃ(名古屋市)





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「桶谷寧の茶碗を観る会」のご案内

2013年02月14日 | お知らせ
「桶谷寧の茶碗を観る会」のご案内です。

世界に三碗しか現存しないといわれる南宋時代に焼かれた曜変天目茶碗を再現された、
京都の桶谷寧さんの茶碗を観る会を新宿の玄海「桐の間」で行います。

2008年にかたち21の企画で桶谷さんの展覧会を町田市の可喜庵でさせていただきましたが、私もその時以来、彼の茶碗に魅了されている一人です。
2011年に櫻工房内で「観る会」をした時の様子はこちらから。

私は若い頃に、大阪の東洋陶磁美術館で油滴天目茶碗(国宝)を観たことがきっかけで、静嘉堂文庫美術館の曜変天目茶碗を知ることになったのですが、観た当時「すごい!」と思っていました。
先月久し振りに観てきましたが、桶谷さんの曜変を自然光の中で手にとって朝から晩まで時間帯による色の変化まで観てしまったせいか、少しトーンダウンしてしまいました。。。
というのは美術館の照明では曜変は真価を発揮するかたちで観ることができないということです。
曜変の深い深い青黒い地の部分に光が反射して虹彩を放つのですが、もう少し「光を!」と言いたいです。
モノは光によって見えるのですから、光による褪色などはないやきものは、自然光が少しでも入ったらもっと美しいのだろうにと思います。
静嘉堂に限らず美術館全般に言えると思いますが、展示に工夫があると良いと思います。
玄海「桐の間」は障子越しに自然光が入ります。

また今回静嘉堂でもう一つ確認できたことは桶谷さんの黒織部は長次郎(楽家初代)の黒織部を彷彿とさせるということです。

そのことで気づいたことは桶谷さんの制作は小手先の技術や陶土、釉薬の調合にこだわるのではなく桃山期の陶工のあり様に思いを馳せているような気がします。
アバウトだけれど大事な所は押さえてある。
何を目指すのかがきちっと見えていて、そしてその再現だけをしようとしているわけではなく今という時代の中で自分の世界も築こうとしているのかと推察いたします。
もちろんその努力は大変なものだと思います。

その曜変天目茶碗も含め井戸、黒織部、志野茶碗、盃などをご覧いただきます。
工芸評論家の笹山央さんの進行で、桶谷さんにもお越しいただき、二人の話をまずは伺います。

やきものだけでなく、モノを作る上での臨む姿勢や発想の方法などはジャンルを超えて普遍性をもって参考になる点があります。

それにしても桶谷さんはいかにも陶芸家風でないところがいいです。
飾り気のない方ですが、淡々と自分にできる本当のことを、賢く頑張っておられるようにお見受けします。

会の後半はお食事をしながら歓談を楽しみたいと思います。
よかったら着物でご参加ください。

最新号の『かたち』No.11この度の会でも手にとってご覧いただける作品をご紹介しています。
2月1日が5期目の更新時期になっておりまして、更新をいただいたみなさまありがとうございました。

「かたちの会」新規の会員も募集しております。
暮らしや生き方、ものの見方、創作を深めてくれます。一度是非会誌のご購読を!


詳細は笹山さんのブログからご覧ください。
次号の発行は4月になります。



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やすらぎの紬のショール

2012年09月26日 | お知らせ
ショールのOneline Shopを開設しました。

お盆明けから秋冬用のショールの制作にかかっています。
注文分も含め少し多めにつくっています。

札幌でかたちの会の作家を中心にした取合せの展示会「かたち in SAPPORO」(10月3日から9日)があり私はショールを中心に出品します。着物と帯も数点予定しています。

ジュエリー作家の鴨下蓉子さん、皮革バッグの高瀬季里子さんとの取合せとなります。
洋服にも合うモダンなものを出品する予定です。

鴨下蓉子さんは会場となるギャラリーKamokamoのオーナーです。
私も昨年4月にお伺いしてきましたが、環境のよいところにあり、建物はモダンなデザインの半円形で光溢れる素敵なギャラリーです。

ぜひゆっくりとお時間をとられてお出かけいただきたいと思います。

作品画像を含め詳細は「モノ・語り」で。


私のショールはタテもヨコもすべて手紡ぎの糸でネップも多いものを使っています。
最初はゴワっとした感じもあるのですが、使ううちに、あるいは洗うほどに滑らかで柔らかくなります。
また不思議なくらい使っているうちにシワにならなくなるのです。
着物に限らず洋服でも重宝な一枚になります。

ショールについては3年前の「やすらぎの贈りもの'10」展のブログ記事を参照下さい。

エッセイストで「スペースたかもり」主宰の高森寛子さんの著書「日本の美しい道具たち」「心地いい日本の道具」2冊にわたってショールを紹介していただいていますが、高森さんには15年ほど前に黒っぽい地色のものをお求めいただきました。
今も何度も洗濯もして、お使いいただいてるそうです。 

私の個展には最初の頃から来てくださっていたのですが「着物は着ないから・・・」とキッパリとおっしゃられていました。そして何回目かの個展で洋服にも合うショールを気に入って下さり、ご愛用くださってはいたのですが、ある日突然着物が欲しいとご注文をいただきました。着物は着ないと言っていたのに・・・
人の気持ちを変えてしまう紬のショール・・・みたいです。

昨年の4月の初めに福島県いわき市にお住まいの方が、その本を読まれお電話をいただきました。
原発事故で外へも出られず、気持ちもふさがっているけれどこの本のショールが欲しいという問い合わせでした。
ちょうど少し前に織ったばかりのもので、お求めの黒系のものが1枚あり、それを送らせてもたいました。本の写真の印象とは違ったようですが気に入っていただけました。

原発事故のことはなんともお慰めする言葉もありませんでしたが、一枚の布が少しでもやすらぎにつながり身も心も温まって頂ければと思います。

着物や帯もそうですが、一生ものの使い込むほどに良くなって愛着が増していけるような、
堅牢で美しいやすらぎのあるものを作っていきたいと思います。

東京でも11月に展示会を予定しています。

詳細が決まりましたらブログでお知らせいたします。
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