中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第6回 紬塾「日本の取り合せ」― 帯や小物の取り合せのコツ

2024年11月11日 | 紬塾’21~’24
紬塾、前半は素材のことや着物文化の普遍性などについて学び、後半3回で実際に「着る」ということについて学びます。
何もわからずにいきなり着方だけ学ぶのではなく、糸や色、織、布をとことん使う事などの上に成り立つ「着る」なのです。

さあ、何をどう合わせればよいのでしょう?
私のルールはこれだけは避けたい、という1点だけです。
基本自由な取り合わせが紬(洒落着)というものです。
自由というのは楽しいけれど、決まりごとがなさ過ぎて困ってしまうと思う方もあるかもしれません。
T.P.O.を守り、異なる色や素材を合わせればいいのです。
季節や時間帯、着ていく場所、場面(場合)を考慮するということです。

みなさんに紬と帯と小物の取り合わせを2パターン考えてもらうワークショップをしましたが、今期のみなさん素晴らしかったです!ブログで予習してきたのかな?というぐらい。
昨今よく見かける”お揃い”の合わせ方のような野暮な人はいませんでした。

日本の取り合わせは、着物はもちろん、庭園にしても、和食文化にしても素材や形、色、味覚、の違うものを合わせて一つの世界を作るセンスなのです。
Oneトーンにするなら、それぞれが吟味された特別な何かでなければ単調なだけです。
着物から一色とった帯締めとか野暮の極みです。

さて、話は変わりますが、今年の夏に、以前お世話になった板橋の瑞玉ギャラリー、オーナーが90歳で亡くなられ、お仏壇にお参りさせてもらいました。

いつも伺うと温かく迎えてくださり、手仕事を愛する方でした。
車椅子になっても店に出ていらしたそうで、息子さんが後を継いでらっしゃいますが、「とても寂しい」とおっしゃられていました。

そして、20数年前、私の紬の縞帯を結城紬に合わせたいとお求めいただいたりもしました。沢山の作り手、使い手を支えてきた方だと思います。 
ご冥福を心よりお祈りいたします。 合掌

トップ画像は、弔意を表したく、紬にシックな陶画更紗の帯、紫の帯揚げ、灰白に滅紫ぼかしの帯締めで伺いました。襦袢もグレージュにしました。

帯締め一つで悲しみも表せる着物の取り合わせ、奥が深いです。
着姿詳細はこちら


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