おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

バトル・ロワイアル 特別篇

2024-02-15 07:17:24 | 映画
「バトル・ロワイアル 特別篇」 2001年 日本


監督 深作欣二
出演 藤原竜也 前田亜季 山本太郎 栗山千明
   塚本高史 高岡蒼佑 石川絵里 神谷涼
   柴咲コウ 安藤政信 ビートたけし

ストーリー
中学生の七原秋也(藤原竜也)は、母親が家を出ていった後に父親(谷口高史)を自殺で亡くすという壮絶な過去を持っていた。
秋也のクラスの担任であったキタノ(ビートたけし)は生徒にナイフで刺されるという事件を起こしてしまったことで学校を退職していた。
その現場を目撃していた、秋也のクラスメイトである中川典子(前田亜季)は咄嗟に凶器のナイフを持ち帰ってしまった。
秋也たちは中学3年生になり、修学旅行に向かっていた。
生徒たちはいつの間にか眠らされてしまい、途中で目覚めた秋也はバスガイド(深浦加奈子)に殴られて気絶してしまった。
生徒たちが目を覚ますと、無人島の教室に集められていた。
全員に金属製の首輪がはめられており、生徒たちは混乱した。
そこへ軍のヘリコプターでやってきたキタノが到着した。
教壇に立ったキタノは転校生の川田章吾(山本太郎)と桐山和雄(安藤政信)を紹介し、生徒たちにBR法の説明を始めた。
秋也たちのクラスはBR法によって選出された、生き残りが一人になるまで殺し合うプログラムに参加させられるクラスなのであった。
キタノの話を信じられない生徒が反抗的な態度を示すと、キタノは躊躇なくナイフを投げ刺して彼を殺害した。
この無人島はいくつかのエリアに分かれており、時間が経つにつれて禁止エリアが発生し、そこに残っていたものは首輪が爆発して死んでしまうというものであった。
生徒たちはパニック状態のまま、3日間のプログラムが開始された。
生徒たちには水や食料、地図などが支給されランダムで武器も与えられた。
秋也は親友の国信(小谷幸弘)が典子を好きだったことから、彼女を守ることを決意した。
凶悪な不良で知られる桐山はマシンガンで生徒を殺害し、プログラムに参加したくない生徒が自殺をするなど現場は凄惨な状況であった。
キタノの放送で死んだ生徒の名前が知らされるのを聞いた秋也たちは、森の中を歩き始めた。
秋也たちは川田と合流し共に行動することにした。
しかし典子が怪我を負ってしまい発熱してしまったため、島の診療所に隠れていた。
一方、素行不良で知られる相馬光子(柴咲コウ)は卑劣な手を使ってクラスメイトを殺害していた。
さらに光子は陸上の短距離走者である千種貴子(栗山千明)も弓矢で殺害した。
貴子は思いを寄せていた杉村(高岡蒼佑)の隣で息を引き取った。
川田は自分が以前のプログラムの優勝者であることを秋也たちに打ち明けた。
川田は島の脱出方法を知っていることを秋也たちに伝え、銃を託した。
診療所に桐山に追われていた織田が現れ、織田(山口森広)がくわえさせられていた手榴弾が爆発したので、秋也は自分が囮になって典子と川田を逃がした。
その後、秋也も海に飛び込むことで桐山から逃れ、灯台に隠れていた女子生徒たちに助けられた。
しかし、生徒の一人が食事に毒を盛ったことで疑心暗鬼になった女子生徒たちは殺し合いを始めてしまった。
その頃、典子と川田は秋也とはぐれた場合の集合場所である神社に向かうが、典子は光子に遭遇してしまい殺害されそうになるが、突然現れたキタノによって命を助けられた。
キタノが去ると、秋也が現れ典子と再び合流することができた。
光子の前に桐山が現れ、光子は鎌を持って立ち向かうが死んでしまった。
三村(塚本高史)は廃墟で本部のハッキングを試みて成功したが桐山に殺されてしまい、そこに現れた川田が桐山を殺害した。
学校に到着した秋也たちの前にキタノが立ち塞がった。
キタノは典子と無理心中しようと試みるが秋也の銃撃によって命を落とした。
秋也たちはボートで島から脱出しようとしたが、途中で怪我を負っていた川田は息絶えてしまった。
島から逃げた秋也と典子は、全国指名手配犯として逃走する身となった。


寸評
僕は2000年に公開された「バトル・ロワイアル」を大阪ミナミの千日前にあった「国際シネマ」で見たのだが、鑑賞券を貰わなければ行くことはなかった映画館であった。
2階席のある映画館で、僕はバルコニー風の2階席で見たのだが、そのような劇場はもう存在しないのかもしれない。
廃館近い時期で劇場の傷みも見受けられたが、劇場のすさんだ雰囲気はこの映画にピッタリだったように記憶している。
その時は、ただ殺し合いを続けているだけの映画と思っていたと思うが、再見して見ると意外に隠されていたものがあったのだなと思い直すところがある。
一つは10代の若者の秘めたる恋を描いたラブ・ロマンスでもあったことだ。
国信が中川典子に抱いていた思いを初め、内海幸枝が七原秋也に「これどういう意味か分かる」と片思いの心境を語ったりしているし、秋也と典子の間にも最後は恋心が生まれていたと思う。
暴力描写に隠れているが、彼らの青春があちこちにちりばめられている。
幸枝たち女子6人が隠れる灯台内の様子はもはや女子会状態で、女子中生が集まればこんなだろうと想像させる。
「ちょっと~、七原来ちゃったけどどうするの~」と、周りが幸枝をからかい恋バナで盛り上がるかとおもうと、料理担当の松井知里が作ったパスタを食べて「美味しい~!もう結婚して~」と中川有香がはしゃぎ始めるなど殺人ゲーム中を忘れさせる描写だ。
ところが料理を食べた一人が血を吐いて絶命すると仲間に疑心暗鬼が持ち上がる。
「誰が毒を仕込んだの!」と叫ぶ者がいれば、「知里、料理したのはあんたよね?」と言い出す。
「あたしやってない、料理だったらはるかだって」と責任転嫁すれば、「大体、ムキになる聡美が一番怪しいんだよ」と責めだすし、「幸枝、リーダーぶるんじゃねーよ」と本音が出だす始末である。
仲良く見えた関係だが、実は彼女たちの友情は上辺だけのもので、人を疑いだせばキリがなくなる人間の醜さを見せつけられる。
キタノは授業をボイコットした生徒たちや、無視されていた娘への復讐心からの行動でもあったのだろうが、彼は若者を理解できない大人の代表者として映る。
「こんな時、大人は子供になんて言えばいいんだよ」とつぶやくのは、子供を理解できない大人の気持ちの表れでもある。
バトルゲームを先取りしていた映画のような気もするが、彼らの殺人行為はバブルがはじけた後の閉塞感への若者の反逆にも見える。
この島から抜け出す方法を知っていると言っていた川田の行動から、秋也と典子が走り出すラストまでの流れは決まっている。
世の中を変えるのは若者の力が必要だ。
私にはその力はもう残っていない。


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