おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

明治天皇と日露大戦争

2025-02-10 17:48:05 | 映画
「明治天皇と日露大戦争」 1957年 日本


監督 渡辺邦男
出演 嵐寛寿郎 阿部九州男 高田稔 武村新
   藤田進 岬洋二 江川宇礼雄 広瀬恒美
   原文雄 倉橋宏明 沼田曜一 田崎潤
   天城竜太郎 小笠原竜三郎 宇津井健
   高島忠夫 中山昭二 若山富三郎
   芝田新 丹波哲郎 天知茂

ストーリー
明治37年、ロシアの極東侵略政策に脅威を感じた日本は、日露交渉によって事態を収めようとしたが、ロシア側の誠意のない態度に国内は自衛のためロシアを討つべしとの声が高まり、それまで開戦の国民生活に与える影響を考え慎重だった明治天皇(嵐寛寿郎)もついに開戦のご英断を下された。
かくて連合艦隊に護送された日本陸軍は仁川に上陸を敢行し、一路満洲へと進撃を開始した。
一方海軍は、旅順港にある敵艦隊を封鎖し日本海の制海権を握らんとして決死隊を編成、第一次、第二次と相次ぐ閉塞決行し遂に成功したが広瀬少佐(宇津井健)、杉野兵曹長(有馬新二)はじめ多くの勇士が壮烈な戦死をとげた。
次いで黄海大海戦でも勝利を得た。
この海軍の目覚しい活躍と同様、陸軍数十万の将兵は大陸の奥深く敵を蹴散らしていたが、敵将ステッセル(サベル・ジャミール)の守る旅順要塞は、攻撃司令官乃木大将(林寛)以下必死の攻撃にもかかわらず噂通り難攻不落を誇っていて、乃木大将の長男もここで戦死した。
第一回の総攻撃は、新兵器機関銃の出現に15,000名の犠牲者を出して失敗に終った。
一方、大山元帥(信夫英一)が率いる他の軍団は遼陽総攻撃を行い、関谷連隊長(大谷友彦)、橘少佐(若山富三郎)を失うが、これを占領した。
この間、旅順要塞への攻撃は休みなく続けられ、ことに11月3日天長節を迎えて乃木第三軍は要衝203高地攻撃を決行、一時は奪取したが後続部隊が続かず、遂に乃木将軍の二男保典(高島忠夫)をはじめ全員戦死した。
だが激闘幾度、38年1月遂に203高地は陥落し、ステッセルは旅順を開け渡した。
続く奉天の大会戦に露軍も30万の兵を動員したが、日本軍必死の猛攻で3月10日遂に奉天入城を果たした。
一方、バルチック艦隊と、東郷司令長官(田崎潤)率いる連合艦隊は対馬海峡で接触、海戦史上初の180度転回作戦によって敵艦隊を全滅させた。
勝利を祝う提灯行列と万歳の声を陛下は何時までも飽かずに見守っておられた。


寸評
かつてアラカンと呼ばれた役者がいた。
嵐寛寿郎を親しみを込めてアラカンと呼んでいた。
名前を縮めて呼んだのは、アラカン以外では坂東妻三郎のバンツマ、勝新太郎のカツシンぐらいではなかったろうか。
僕にとってのアラカンは鞍馬天狗と本作における明治天皇である。
後年に任侠映画で渋い親分の役などをやっていたが、印象に残るのはやはり鞍馬天狗と明治天皇だ。
本作は嵐寛寿郎が堂々たる明治天皇を演じている超・愛国映画だ。
明治天皇の英明さ、慈悲深さ、思慮深さを徹底的に描き、天皇はカリスマとして存在している。
まるで戦前の国威高揚映画のようだ。
明治天皇の威光によって兵たちが一命を投げ打ちロシアに勝利し、ロシアの侵略から日本は守られたという内容なのだ。
反戦色は全くなく、映画は大ヒットしたと言う。
第二次世界大戦における敗戦国となった日本だが、かつては大国ロシアに勝利したことがあるのだと、民族のプライドを呼び起こすような内容が受けたのだろう。
時代劇のスターだった嵐寛寿郎はこの作品における明治天皇があまりにもハマっていたので、この後時代劇に出るとケシカランと言われたという笑い話がついている。
群衆シーンなど迫力もある作品で、新東宝が社運を賭けただけのことはある作品ではある。


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