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シティ・オブ・メン/City of Men

2008-08-14 11:30:34 | 劇場&試写★6以上


1960~1980年代にかけてのリオデジャネイロ、貧困にあえぐスラム地域を舞台に、
強盗、麻薬ディーラーなどをして金を稼ぐモレーキ(ストリートチルドレン)たちの抗争が
実話を基にして描かれたフェルナンド・メイレレス監督の2002年作品『シティ・オブ・ゴッド』
ずっと気になっていながらも観たのは最近。映画として傑作!と呼ぶに相応しい作品だと思った。


舞台が同じだし、これはてっきり同監督で続編なのかと思ってたけど違った。
フェレナンド監督は今回製作にまわり、メガホンをとったのは、「シティ・オブ・ゴッドTVシリーズ」のパウロ・モレッリ。


貧困、麻薬、暴力、犯罪の温床と言われブラジル人ですら恐怖を抱くスラム街ファヴェーラ。
その丘の1つ、デッド・エンド・ヒルでは丘の領域をめぐりギャングの抗争が起こっていた。
そこで幼い頃から本物の兄弟のように育った2人。
父親として2歳の息子を育てるアセロラと、父親を知らずに育ったラランジーニャ。
2人が18歳になる年、長い間行方不明だったラランジーニャの父親がファヴェーラに戻ってくる。
父との生活を優先したくなったラランジーニャはアセロラと少し距離を置くようになった頃、
自分の父とアセロラの亡き父との関係を知らされる。そして銃撃戦が始まった...。



観る前に読んだ監督のインタビュー記事で、前回の救いようのないラストと違って、
今回は希望のあるラストだ。と語っていた。

二人の若者を物語の軸に据えることで、友情、兄弟愛、親子愛といったテーマに焦点をあてている。


100%ハンディカメラによる映像で、『シティ・オブ・ゴッド』に続き、銃撃戦は凄まじく、そしてリアリティを持って描かれる。

試写室くらいの小さなスクリーンだったけど、爆音がもの凄いから
銃弾の音にいちいちビクついちゃいそうになるほど、銃の恐ろしさも実感する。

ずっと父親の存在も知らず、甘えた事もなかったのが
ちょっとだけ心を通わせるシーンがすごく良かった。


争いを望まない人たちもギャングの抗争に巻き込まれてしまう。

事実、ファベーラでの家庭問題の多くは“父親の不在”が大きな原因になっている。
多くの青年たちが、生活力のない段階で子供を作ってしまい、責任を取らずに逃げてしまう→父親のいない家庭が大量に生まれる。
→父親のいない子供たちの多くは父親代わりの存在として、ドラッグ・ディーラーに憧れを抱く
→12歳くらいで自らドラッグ・ディーラーの兵隊となってしまう
という図式が出来あがってしまうらしい。

これは恐ろしい現実。



地球の裏側で起こっている現実を、例えドキュメンタリーではなくても 見せつけられたような気持ち。




7/10


はじめに難点からいえば、主演2人以外の登場人物の名前と顔と関係性がごちゃごちゃしててちょっと分かりづらいこと。
最初の30分くらいは、なかなか話が進まずじれったく感じちゃったな。

『シティ・オブ・ゴッド』では凄いスピード、カメラワークで子供すら銃を持ってギャングになっていく様を圧倒的に描いて銃社会の恐ろしさを感じたけど、
こちらはまた違った目線でもうひとつの現実を描いてる。
比べるものじゃないかもだけど、映画としての好みは『シティ・オブ・ゴッド』の方が断然好き。
ほんと救いようのない話だったけど最後の最後まで脚本が面白くて。

こちらの作品、続きものじゃないからもちろん単体でも観られるけれどどちらも合わせて観ることで共通した何か、を感じられるんじゃないかな。
国によっての文化や風習、歴史、そして現状、、、
全く知ることのなかった世界のどこかの事が映画によってちょっとでも分かる事が出来て考える事が出来るのは
娯楽としての映画を観るのとはまた違った意味で必要だと思えたー。



 公式サイト
City of Men   2007年  ブラジル   106min
8月9日より、公開中~



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