我想一個人映画美的blog

新作映画レビュー&温泉&ゴシップ+コスメ+旅行記&日記。
blog開設から18年!ありがとうございます✨

何者

2016-10-18 23:50:25 | 劇場&試写★6以上

 

人気作家・朝井リョウ(「桐島、部活やめるってよ」)の第148回直木賞受賞作を映画化。

 

 

 

かつて演劇サークルで脚本を書いていた、人を分析するのが得意な拓人に佐藤健。

拓人の同居人で、天真爛漫系。何も考えていないようで着実に内定に近づいていく光太郎に菅田将暉。

光太郎の元カノで、拓人が思いを寄せ続ける、地道で現実派の瑞月に有村架純。

「意識高い系」ながら、結果が出ず不安を募らせていく理香に、二階堂ふみ。

社会の決めたルールには乗らないと宣言しながらも、焦りを隠せない隆良に岡田将生。

そして、拓人の演劇の先輩で大学院生のサワ先輩に山田孝之。

 

 

監督・脚本は、「愛の渦」の三浦大輔。

 

 

 

8/10(85点)

 

 

 

ネタバレ込み、レビュー

この作品。就活映画とか、誰が真っ先に就職できるか、裏切りと勝ち抜きゲーム!ってものじゃなく。

 

「就活」を通して集まった22歳の男女のそれぞれの心のうちが見えてくる。

人の心理、心の裏側というものをよく描いてて、そのリアルさが面白い。

人を選ぶかもしれないけど、普通の青春ものやラブコメなどよりもよほど好みでした〜

 

これだけ入り込めたのは、演出の良さとか監督の力量も大きいけど

キャストも全員、ハマっていてリアルだったことが大きい。

わたしとしては、裏表を作ることや上っ面よくして心の中で実は腹黒いとか大嫌いなので

人にはストレートに接するし、白黒はっきりタイプ。よく言えば分かりやすい。

だから取り繕うのも嫌いだし、裏垢作るなんて絶対ありえない 笑。

 

 

でも、人と人の付き合いってそう単純ではなくて。わたしみたいな人もいれば、表面取り繕ってるけど

実はそんなこと何も言わないのに心ではすごいこと思ってたりする人もいたり。

 

この作品では、SNS特にツイッターがキーとして出てくるのがポイントで、

ツイッターが出てくる近年作で「白ゆき姫殺人事件」という映画もあったけど(観てない)

就活(面接)の際にもその会社の人がその子のツイッターやSNS日頃のものをチェックすると

本人の私生活や考えがすぐ分かるから見られるのは当たり前なんてよく聞くけど

 わたしの時代とは違い、今は就職にもそういうことは当たり前だったり

友達の間でもlineやツイッターで同じ部屋にいるのにそっちで話してたりとか当たり前だったり。

随分と時代は変わった。

 

そんな中、一つの部屋に集まったそれぞれは あちこち掛け持ち就活に勤しんでいたり、

フリーでやってく方が流されなくて好きという人もいたり、(でも本音は、、、)母親が離婚するからちゃんとした

会社に勤めたい、とか英語は得意だけどなかなか内定決まらないとか、会えるかどうかもわからない、一度留学した

忘れられない好きな人に会いたくて出版社に入りたいとか、そんなみんなを冷静に見て黙って分析してるのがいたりと様々。

 

人には二面性があるのは驚くことではないけど、

普段、黙ってる人が裏の顔を持ってることが分かった時の怖さ。

 

好きな子が、友人に片思いして振られるのを見ながら、

なんで告白しないんだろう、って思って見てた。

そんな近い距離にいるのに、なんでも話してくれてる仲でもあるはずなのに

思いを伝えたらいいのに、言えないんだなぁ。

 

ある場面では、就活のグループディスカッションで自分の話を遮られて

あの子に話すチャンス奪われたっていうのに黙ってるんだー。むしろそこ 褒める?って

思ってたら、、、、

 

 

後半、ガツンと一気にきた! 怖いよ、人間裏の顔

不穏な音楽とともに。

裏アカウントの内容の暴露

あの場面では実はあんなこと言ってた、あんなことツイートしてた。っていう怒涛の大公開

応援してるふりして、妬みだったり、嫉妬だったり。最低。

彼はやっぱりただのおとなしいキャラではなかったんだ。

 

ここでは、自分のこと人よりも上に思ってるのか

心の中では見下してる人物が3人ほど出てくる。

 

自我の強さ。自意識の強さ。自己顕示欲。

 

自分の焦りをごまかそうと、よく見せようとしたり見栄を張ったり取り繕ったり。

何者でもないのに、何様だと思ってるんだ。

 

 

その裏の顔が明らかになる前に、

拓人が一緒にずっと芝居をやってきた同志である演劇仲間の今の舞台の批評をこっそりチェックしてみたり、

ラインでは一方的に意見を押し付けてメッセージ連打したりする怖さが垣間見えていた。

こいつ、怖い〜って思ったけどそれは伏線で。

 

「頭の中にあるうちは何だって傑作なんだよ!」

「やってる途中のことをツイッターで書くのはみっともない」

「頑張ってる感、アピールするのはイタい」って思ってる。


 

それぞれの考え方や、SNSの使われ方、表面でいいことばかりを書くツイッターと

裏アカウントで本音だけを書くツイッター(それも、友人たちの観察悪口オンパレード)

 

ある子は、自分のいい面ばかりをupしてイメージを作り上げている一方、

本当は我慢してたりいっぱいいっぱい。

 

本心が言えるはずのツイッターでも、実は本心ほど書けなかったり。

 

まさにいろいろ。

「就活」という、長い人生の中で何度あるかわからない分岐点。

そこで見えてくる人と人との関わり方。

 

現代ならではで、やっぱり昔はSNSもインターネットもこんなに普及していないからこそ

今とはぜんぜん違う怖さがあるなーと感じたのでした。

 

個人的にはそんな怖いところを描いてるのも魅力で、この映画、オススメ

 

ラストでは面接時、自分を正直に出す拓人。

少しづつ変わっていけるのかな。

 

そういえば、ツイッターのアカウントのアイコンが男、3人とも自分の横顔だったけど

映画上、わかりやすくするためかなぁ?

普通、そんなに高い割合で自分のリアルの顔の横顔アイコンにする人見ないんだけど 笑

正面ならまだいいけど横顔ってのがよほどナルシスト風。

 

 

 

大学の演劇サークルに情熱を注ぎ、周囲を冷静に観察・分析する拓人。拓人のルームメイトで、バンド活動をしている天真爛漫な光太郎。その元カノで拓人が秘かに思いを寄せ続ける真面目女子の瑞月。瑞月の友人で、偶然にも拓人たちの部屋の上に住んでいた意識高い系女子の理香とその同棲相手で画一的な就活に否定的な隆良。彼らは、ひょんなことから理香の部屋を“就活対策本部”と名付け、情報交換のために定期的に集まるようになる。大学院生のサワ先輩に見守られ、それぞれに内定を勝ち取ろうと悪戦苦闘する5人だったが…。

 

 

 公式サイト

何者        2016年    日本    97min

10月15日より、公開中〜

 

 

 初日、舞台挨拶。