ホラーのように打ち出してるけど、ホラーじゃなかった。
「母の残像」のヨアキム・トリアー監督の長編第3作目。
ノルウェー、フランス、デンマーク、スウェーデンの合作。
「母の残像」もまあまあ良かったしノルウェー産で、しかもホラーっていうので期待してたんだけど、、、、。
あ、この監督あのラース・フォントリアーの甥。
主演は一躍ノルウェー期待の若手女優となったアイリ・ハーボー。シーンによって顔ががらりと変わる。
恋に落ちるアンニャに、カヤ・ウィルキンズ(見るからにノルウェー人じゃないからアンニャという名前に違和感)
他に、ヘンリク・ラファエルソン、エレン・ドリト・ピーターセン。
ノルウェーの田舎町で、信仰心が強く抑圧的な両親の下で育ったテルマには、なぜか幼い頃の記憶がなかった。そんな彼女がオスロの大学に通うため一人暮らしを始め、同級生の女性アンニャと初めての恋に落ちる。欲望や罪の意識に悩みながらも、奔放なアンニャに惹かれていくテルマ。しかし、やがてテルマは突然の発作に襲われるようになり、周囲で不可解な出来事が続発。そしてある日、アンニャがこつ然と姿を消してしまい……。
願望と、切望と、妄想と欲望のその先に。
主人公家族がキリスト教信者という設定のため、蛇がまとわりつく映像や、水などメタファーとしての存在が出てくる。
そのため、現実なのか定かにならない映像で不思議な雰囲気を出す。
日本のポスターは目から血を出したりして、ホラー感アピールが強いけど
この作品の意味するところ海外版オリジナルポスターのイメージの方が断然あってる。
同性に恋してしまい、自由と欲望を望むようになったテルマ。
生まれつきの遺伝で「ある力」を持ったことで自らの人生を抑えられたテルマの姿を描く。
5/10(55点)
可愛い我が子を狩りに連れ出し、鹿を狙っていると思いきやその銃の向けられた先は、、、、!!
という衝撃のオープニングは良かったものの
そこから1時間くらいほとんど展開のないようなダラダラした感じで、
日常とアンニャというクラスメイトと親しくなっていく様、テルマの持病、不可解な父親との関係性が垣間見えるというだけで
ホラーだと期待しちゃっていた分、なんにも起こらず退屈に。
だんだんと祖母の病気がわかり、テルマ自身が癲癇のような病状がなんなのかを突き詰めていく中で、
「強く願うと叶えてしまう力」があるとわかってくる。
途中で、レズビアン映画?とも思えたのだけどある種、道ならぬ恋というのを描くことで
自分を制御する葛藤として表現されているのかな。
スティーヴン・キングの「キャリー」と似ていて、主人公は自分で制御できない超能力によって苦しむことになる。
他に似たタイプの作品では今年公開した「RAW 少女のめざめ」もあった。
遺伝系の不思議な力を持つ娘に、両親がある時期までそれを隠していて、自らが覚醒してしまうという。
ストーリー的によりホラーな「RAW」の方が断然面白かったんだけど。
(比べるものでもないけど)
というか、
っていうの遅すぎだし
解放されたテルマのその先の行動は、観るものの想像通りになっていくけれど
それが一種のカタルシスに捉えられるか、ふーん、あぁそういう話ね。となるかは、観る人次第。
彼女が本当に手に入れたかったものとは。
気になる方は劇場で。
THELMA 2017年 ノルウェー/フランス/デンマーク/スウェーデン 116min
10月20日より、公開中〜