郷が杜備忘録

旅行や読書と日々の行動の記録。
日常のできごとや思い出の写真が中心。 たまに旅行の記事も投稿します!

「力と交換様式」を読む(柄谷行人ほか著)

2024-04-30 | 読書

昨年から新聞の記事で何度か見ていた柄谷行人さんの著作に関する本が文春新書から

でていた。(発行は2023年5月20日)

気づいたのが1年遅かったが、早速購入し、読み始めた。

柄谷氏の本は「力と交換様式」という本だが、読んだ新書は、いかにして着想され

書かれたか、を作者が語っていることと、それを識者がどう読んだかについて書か

れている。

最初から原書を読むより、概要がわかればよいと手を出したが、なんだか難しい。

でも、私も今までいろんな本を読んできた経験もあるので、なんとかあちこちわか

るところもあった。


柄谷氏の思索は、4つの交換様式によって世界史の構造を説明する理論であった。

4つの交換様式は、A、B、C、Dに分かれており、

Aは互酬(贈与と返礼)

Bは服従と保護(略取と再分配)

Cは商品交換(貨幣と商品)

DはAの高次元での回復

となり、A→Dへ進んで行く。

Cは現代、資本主義社会であり、これからDへ向かって行く。しかし、それは何かをすることによって成るものではなく、向こうからやってくるのだと言う。


柄谷氏の思索は、マルクス・エンゲルスの資本論を中心にして、ホッブズのリヴァイアサンやヘーゲルの哲学など、他にもいろんな歴史学、社会学、文学などに基づいて考察されており難しいが、これから成っていくだろう世界を考えるための導きの糸に成りそうな感じがした。

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なぎさホテル(伊集院静著)

2024-04-25 | 読書

昨年なくなられた伊集院静さんのお別れ会が行われたことが、3月に報じられていた。

伊集院さんの本は今まで読んだことがなかったので、読んでみたいと思って古本屋を探したとき

あったのが、この本であった。

この本は小説ではなく、伊集院さんの原点を綴った自伝的随想であった。

 

若かりし頃、といっても20代後半から30代前半のことのようだ。

その7年余りの、逗子の海岸の「逗子なぎさホテル」での滞在が、その後の作家への始まりになったという。

山口生まれの伊集院さんが、東京での生活に敗れ故郷に帰る前にたまたま立ち寄って、居続けてしまった若者を、

家族のように暖かく迎え入れてくれたのである。

伊集院さんの若いころのことがわかった本であった。

 

この本を読んで、いつかは鎌倉や逗子にも訪れてみたいと思った。

 

 

 

 
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県民性の日本地図(武光 誠著)

2024-03-24 | 読書

日本各地を旅行したが、土地土地によりその土地の人々に異なる特性があると思い、この本を手にとってみた。

また、就職してからも、何度か転勤して自分の生まれ故郷と違う土地で仕事をしてみて、県民性やもっと細かく言うと

同じ県でも地域によっても異なっているように感じていた。

この本では、第1章、第2章で、「県民性を生み出したもの」や「東の文化と西の文化」で、地方の特性や気質を探っている。

その後、地域ごとに県民性を分析し、最後の第14章で「藩と県民性、そして地方の将来像」でまとめている。

そこでは、

地域別の気質


気候、風土から作られた気質は、図のように6つに分けられるようだ。

①から⑥のなかで、⑥の南日本型というのが、意外な気がした。

四国の高知県は気候・風土からみると、鹿児島県、宮崎県に近いのだ。

東北は、北東北と南東北は気候的にも違うのはわかるし、山形県の日本海側や

新潟県の北部は、また東北と似てるようで少し違うのもわかる気がする。

南東北は北関東とも似てるのもあるのかなあとは、意外な気がした。

東北人としては、どうしても白河の関で区切りたい気持ちがあった。

中央部の近畿、東海、南関東は、南か北かの特性はなく、内陸部の山梨、長野、岐

阜は独自の気質が作られてきた。

江戸時代以降、江戸と上方の二極対立が確立する。

しかし、江戸時代には各地に一国単位の支配を行い独自の主張をする藩がみられ、

江戸風、上方風だけではなかった。

江戸時代の藩と県民性



上の図で、藩の影響の強い加賀藩、長州藩、薩摩藩、佐賀藩はわかる気がするが、

岡山藩、徳島藩は今まで知らなかった。

藩の影響がみられるという、水戸藩、紀伊藩は徳川御三家だが、鳥取藩、熊本藩も

そのエリアの方が藩の影響を受けていたとは、よく知らなかった。

東北の藩については記述がなかったが、そのあたりも知りたかった。

明治時代以降の近代化のなかでの変化

明治以降、鉄道などの交通手段の発達のなかで、都会の文化、風俗とともに

都市型の気風が広まり、それが東京人気質や大阪人気質に、それから北海道(札幌)

気質や名古屋気質も加わっていくようだ。

最近は私の周りの方も、地元の方だけでなく他県、遠方の親戚なども多くなってき

た。付き合いを通じて、また他地域の方々の気風や気質を知っていきたい。

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土偶のリアル(譽田亜紀子著)

2024-03-07 | 読書

何年か前に北海道、北東北の縄文遺跡が世界遺産に登録されてから、縄文時代が気になっていた。

世界遺産は、北海道、北東北の遺跡だったが、最近図書館で土偶の本を見つけた。
 
中を見てみると、私の身近なところにも縄文時代の名残があったのだ。
 
それは福島市内で見つかった、屈折像土偶であった。
 
 
 
横から見ると、こんな感じである。正面脇からとはイメージが違う。

 
本の中に、土偶の造られた時期ごとに整理されていたが、福島市の土偶は
 
縄文後期ころのものらしい。(今から3500年以上前になるという)
 


 
見つかったのは福島市の北部、飯坂温泉に近い東湯野というところで、上岡遺跡という所からだという。
 




地図に載せると、下のように土偶の形はいろいろあるようだが、東北各県や関東、長野の方でも見つかっているようだ。




全国的にみると、この本に載っていたのは下のような感じ。
 
 
これで見ると、形が整った青森県亀ヶ岡遺跡の遮光器土偶が格好いいが、山形県で発見された
 
〈縄文の女神〉土偶も大きさといい、形といい、近くで見てみたいと思っている。
 
これからも、縄文時代を追いかけてみたいと思っている。
 
 
 
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経済優先社会-このままではいけない(てるおかいつこ著)

2024-02-29 | 読書

この本も古本屋で見つけた本である。1992年発行だから古い本である。

中身は、暉峻さんが1990年と1991年に講演した内容を本にしたということである。

暉峻淑子さんは、1928年生まれの日本の経済学者、評論家であり、埼玉大学の名誉教授でもある。

日本女子大学文学部を卒業後、法政大学大学院で学んだという。

1986年から87年にベルリン自由大学客員教授、1989年から1990年はウィーン大学客員教授をしている。

目次は、

まえがき

Ⅰ「福祉に冷淡な社会」日本

Ⅱ福祉にこめられたこころーヨーロッパ社会

Ⅲ子どもも若者も老人もードイツ社会

Ⅳ個人が尊重される”安心‘‘のある社会

かつて滞在したヨーロッパの社会の実情をもとに、日本社会の今後の行く末を見通したものだと思います。

出版当時は日本がバブル経済に浮かれていたころだと思います。先日株価が当時の最高株価38、915円を超えたと

騒がれていますが、バブル時代一大黒字国、金貸し国として、外国の土地を買いあさったり、映画会社を買ったり、

世界の大都市のビルやホテル、絵画や骨とう品を買い集めたりしていました。

そして日本人は「国民総中流」という意識でいて、実情は違っても「みんなと一緒でありたい」気持ちで「中」だと思っていました。

しかし、バブルが崩壊したからだけではないと思いますが、そんな金持ち日本も、多国籍軍にお金を出す一方で、労働者には長時間労働を強いて

過労死を出したり、子供の虐待や老人の孤独死などが起きてきました。

教育も経済的優位性にだけ特化して、企業に役に立つ人間の教育だけを考えてはいなかったでしょうか。塾に通い、習い事に時間を取られ、管理と競争を強いられ、就職すれば会社の中でも管理と競争、定年退職すれば「粗大ごみ」といわれ、医療費がかかると嫌われる。

孤独で、安心のない老後の暮らししかできないのでは、生きてきた意味がなくなってしまうのではないでしょうか。

お金がたくさんあることはいいことですが、先人が作り上げてきたインフラや仕組みを活かして、これから生きていく人も「人間一人ひとりが生きていることはいいことだ」「この世に生まれてきてよかった」という社会を築くために、その方向にお金を活かしていかなければいけないと思います。

ぜひ、今国政に参加している議員の皆様も、日本国民みんなの生活を支えるために、お金は「今を生きる人間とこれからの時代を支える人間のために」使っていただけるように、政策の転換をお願いしたいと思います。

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