「とうちゃん?」
仕事中、突然の電話だった。
今までに見たこともない電話番号。
戸惑いながら私は電話に出た。
私:
「は?
どちら様でしょうか?」
相手:
「僕だってば、大悟だよ。」
私:
「大悟?
オマエ、大悟か?
コレって、オマエの携帯か?」
大悟:
「うん、僕自分の携帯持ってるよ。
僕の誕生日の時にとうちゃんの電話番号書いたメモをもらってあったでしょ。
だからかけてみたんだよ。」
今年12歳になった息子からの突然の電話だった。
そういえば、息子が誕生日を迎えた今年の4月、プレゼントと共にメモを渡してあったことをすっかり忘れていた。
私:
「そうだったんか。すまん。元気にしてんのか?
なんかあったのか?」
息子:
「………僕ね、今ね、学校が夏休みなんだよ。
うーんと……
だからさ、とうちゃん何処かへ連れていってくれないかなぁ……と思って電話してみたんだよ。」
私:
「なんだ、そうだったのか。
いいよ。
そりゃいいけど、ママには言ってあるのか?」
息子:
「まだママには言ってない。」
私:
「そうか…
わかった。
とうちゃん、今まだ仕事中だからさ、あとでかけ直すよ。
仕事終わったら。」
息子:
「うん。
わかった。」
息子からの突然の電話だった。
話すのも4月以来、嬉しいサプライズだった。
そして……
仕事が終わってから息子の携帯にかけ直し、元嫁がちょうど帰宅してきたようだったので事情を説明した。
普段息子の面倒をみている元嫁からの了解も得たので、息子を二日間ほど預かる事にした。
息子と二人で出掛けるのは約4年ぶり。
どこへ連れていこうか少し悩んだけれど、今の私が息子のために出来ること、楽しませてやれる事と言ったら多分コレしかないだろう。
釣り。

今までに釣りなど経験したことのない息子。
釣り友からの勧めもあり、今回はBBQセット、クーラーBOXを持参し、息子と釣り友と私、3人でエリアフィッシングへ行くことにした。
幸いこの日は天候にも恵まれた。
息子にとっては初体験の渓流ロッドとスピニングリール。
中指と薬指の間にリールを挟み、ロッドを持つ。
ドラグを出して垂らしの長さを調整する。
人差し指でラインをつまみ、ベールを返す。
後ろに振りかぶって、ロッドの反発でルアーをビュンと飛ばす。
一連の動作を私が教えると、すぐに息子はコツを掴んだようだった。
子供の適応能力には驚かされる。
激渋なポンドだったので、思ったほど数は釣れなかった。
けれど、
初めての釣り、BBQを息子は楽しく満喫してくれたようだった。
よかった。
今回のエリアフィッシング&BBQの企画を提案してくれた釣り友、
そして、日頃から息子の世話をしてくれている元嫁に感謝しつつ、帰りのロングドライブ。
無事に息子を元嫁の家に送り届けた。
一日中、夢中になって釣りをしていた息子。
きっと疲れたのだろう。助手席の息子はいつの間にかぐっすりと眠っていた。
久しぶりに会った息子との釣行。
少しずつだけど、日々成長している我が子を感じた釣行でした。
息子:
「…………とうちゃん。
今度はもっとでっかいのが釣れるところへ連れて行ってくれるんだよね。
おっしゃー!」





★タックル
■ロッド:テンリュウ レイズ53UL
■リール:シマノ 18ステラC2000SHG
■ライン:スーパートラウトアドバンス5lb
■ルアー:いろいろ
★息子タックル
■ロッド:シマノ トラウトワンスペシャル60UL
■リール:シマノ 10アルテグラアドバンスC2000HGS
■ライン:スーパートラウトアドバンス5lb
■ルアー:いろいろ