男性1人が安否不明になった埼玉県八潮市の大規模な道路陥没で、埼玉県は、現場の下流部にある下水道管の中を調査した結果、転落したトラックの運転席部分とみられるものが見つかったことを明らかにしました。県は、管の中から出すための方法を検討することにしています。
記事後半では、埼玉県が設けた電話相談の窓口も紹介しています。
1月28日に八潮市で発生した大規模な道路陥没では、深さが15メートルほどの穴ができていて、中には、大きくて重量があるコンクリート製のがれきなどが積み重なり、汚水とみられる水もあふれ出しています。
トラックに乗っていた74歳の男性の安否はわからないままで、県は消防による本格的な捜索の開始に向けて汚水とみられる水への対策を急いでいます。
県は5日夕方から対策会議を開いていて、この中で5日に現場からおよそ100メートルから200メートル下流部の下水道管の中で転落したトラックの運転席部分とみられるものが見つかったことを明らかにしました。
下水道管が何らかの原因で目詰まりして汚水の水位が上がり現場であふれ出しているとみられることからドローンを入れて調査した結果わかったということです。
男性についての情報は現時点では確認できていないとしています。
県はこの運転席部分とみられるものを自衛隊などにも支援を要請して管の中から出すための方法を検討するとともに男性の本格的な捜索も急ぎたいとしています。
埼玉県 大野知事「キャビンのようなものに人の姿 確認できず」
埼玉県の大野知事は5日午後6時から開かれた対策会議のあと取材に応じ、下水管の中で行った調査について「陥没現場から100メートルから200メートル下流の地点でキャビンのようなものを発見した。まだ転落した車か分からないし、形が変形している。今のところキャビンのようなものに人の姿は確認できていない。キャビンのようなものは一部が水につかっている状態だ。色は白に見えた」と述べました。
4日午後には12市町に節水を要請
消防は、本格的な捜索を始めるには安全確保が必要だとしていて、県は、穴の中にあふれ出ている水の水位を下げるため、4日午後、関係する12の市と町の家庭と企業に、可能なかぎり節水するよう要請しました。
その結果、水位は一定程度下がったものの、期待されたほどの効果は得られませんでした。
一方、がれきの撤去を早めるために取りかかった2本目のスロープも、工事の安全性に懸念が出るなどして思うように進みませんでした。
穴の中には、ほかにも崩落のおそれのあるコンクリート製の管が残るなど、消防による本格的な捜索を妨げる要因は解消されておらず、これまでの対応を見直さざるをえない状況です。
- 注目
【NHK】「空撮映像立体化」技術による陥没現場の様子
NHKでは、1月31日と2月4日、ヘリコプターから埼玉県八潮市の道路の陥没現場を撮影したそれぞれおよそ400枚の画像に立体的な処理を施しました。これは「空撮映像立体化」という撮影技術で、ヘリコプターから撮影した画像に立体的な処理を施し、さまざまな視点で見ることができます。
5日たって現場では2本目のスロープ造りを進めている様子とコンクリート製のがれきなどが積み重なっていることがわかります。
埼玉県 専用の電話窓口開設
埼玉県は事故に関する問い合わせや相談に応じる専用の電話窓口を5日開設し、補償に関する相談などが数多く寄せられました。
電話窓口は埼玉県が県庁に設置し、県が行っている12の市と町に対する下水道の使用抑制の呼びかけや今後の復旧工事など、事故に関する問い合わせや相談に応じています。
職員2人が対応にあたり、下水抑制の対象となっている住民からは▽「排水する量を抑えるのはいつまで続ければいいのか」という問い合わせや、▽現場近くで店を経営している人からは「利用の予約がすべてキャンセルとなってしまったが補償してもらえるのか」といった相談などあわせて96件が寄せられたということです。
埼玉県下水道局の西村憲一副参事は「どんなことでも相談してほしい。誠実に対応して県民の不安を解消していきたい」と話していました。
◇電話相談窓口
電話番号:048-830-5988
(受け付け:土日・祝日を除く午前9時~午後5時)
埼玉県 応急的な復旧工事に約40億円の補正予算案提出へ
埼玉県は、この道路陥没を受けて破損した下水道管や壊れた道路の復旧工事の費用、およそ40億円を盛り込んだ補正予算案を今月開会する定例の県議会に提出する方針を固めました。
応急的な復旧工事に充てるもので完全な復旧に向けては、さらに大規模な工事が必要なため改めて予算措置を検討したいとしています。
【道路陥没】運転手の救出活動に新たな課題 コンクリート管が崩落する危険性 節水への協力要請続く
一刻も早い祈りながら救出を見守ってきたが。八潮陥没事故。救出を阻んでいるもの。
2025/2/5
道路陥没事故:インフラ老朽化対策には「積極財政」による点検合理化が必要不可欠
※収録日:2月3日
1205回 埼玉陥没事故の責任は国交省と財務省の緊縮政策にあり!
2025/02/05