URUK NEWS イラク情勢ニュース (転送・紹介歓迎)
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2008/03/07 (金)
[飛耳長目録 today's news list]
☆私たちの帰るべき祖国ではない
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☆★私たちの帰るべき祖国ではない
'Not Our Country To Return To'
ダール・ジャマイルの中東速報 2008年3月3日
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** Dahr Jamail's MidEast Dispatches **
** Visit the Dahr Jamail website http://dahrjamailiraq.com **
Inter Press Service
By Maki al-Nazzal and Dahr Jamail*
ダマスカス発、3月3日(IPS) -- 公式発表とは逆に、帰国するイラ
ク人よりも多くのイラク人が祖国から逃れ続けている。
治安情勢はこれまでと同じように悪く、帰国することは死を受け入れることだ
、と何千人もの避難民が指摘する。
「イラクに帰るかって? 帰るべきイラクはなくなったよ。イラクは僕たちの
夢と記憶のなかに存在するだけだ」--今はダマスカス(隣国シリア)のレスト
ランで働いているアハメド・アルワン(35歳)はこう語った。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は昨年9月、シリアだけでも120
万ないし140万人のイラク人避難民がいると発表した。
ほとんどの者は、アルワンと同じように帰国しようとする意志はない。
アルワンは、「最後のアメリカ兵とイラン人宗教家がいなくなるまで、私はイ
ラクに帰らない。今では私たちの国ではなく、彼らの国になってしまった」と話
す。
シリアにいるイラク人避難民は、安全の保障はなく、公共サービスもないこと
、さらに将来への不安、イラクの政治家への不信感、そして家屋も失ったことを
語る。ほとんどの者は怖くて帰れないだけなのだ。
先月発表されたUNHCRの報告はアメリカの主流メディアでは相矛盾する報
道がなされているが、ブッシュ政府によると、祖国から出る者より多くの者が帰
国しているという。
その報告は、200年2月から2007年10月にかけて、シリアは毎月3万
人ないし6万人の避難民を受け入れた、と発表した。国境に派遣された移民局高
官は、さる1月にイラクからシリアに入国した者の毎日の平均は1200人を上
まわると話す。逆に帰国する者は毎日平均700人以下だという。
バグダッドの携帯電話会社で働く警備顧問のナイル・ムフィードは、IPSの
取材に、「バグダッドを含むイラク全土で多くの暗殺が発生しており、軍事作戦
も2004年、2005年と同じように展開されている」と語った。「われわれ
は顧客には、バグダッドからアンマンへの移動には安全がおぼつかないとアドバ
イスしてきた」。
モスル出身の退職校長で今はシリアに避難しているファルーク・ムヒムは、「
たとえ一部で治安情勢が改善していると思われても、他の地域では悪化している
ことは周知のことだ」とIPSに語った。
「私の郷里モスルは、米軍あるいは政府の諜報機関に関係してない者にとって
は安全な場所だったが、包囲攻撃の口実を作るために、クルド人民兵ペシュメル
ガと米軍によってジンジャリ地区で爆発事件が引き起こされたあと、今では誰に
とっても安全ではなくなった」。
バグダッドの北方300キロに位置するモスル市は、イラク南部から来たイラ
ク軍とクルド民兵に支援される米軍によって、大がかりな包囲下に置かれている
。スンニ派住民が多いモスル市は、そこはクルド人の街だと主張するために、多
数派のアラブ人を浄化(クレンジング、抹殺・排除すること/訳注)しようとす
るクルド人民兵の攻撃目標とされてきた。
シリアにいる多くのイラク人は、拘束されるのが怖いので帰国しない、と話す
。
「彼ら米軍に言わせると、ファルージャは800人以上が最悪の状況で拘禁さ
れているのに安全だという」とオマール(25歳)がIPSに語った。彼の名前
は現地警察の手配者名簿に載せられてる。「2004年、アメリカ軍の犯罪を取
材しに来た外国人記者に協力し、郷里である街を破壊するアメリカ兵を手助けし
たイラク人がいたと証言する目撃者を紹介したことから、私はファルージャ警察
のお尋ね者になった。拘束されている800人のうち750人以上がレジスタン
ス戦士ではないが、占領軍とその尻尾(しっぽ)への協力を拒否した人々だ。」
イラク人は通常、占領軍の手先となって協力するイラク人のことを「アメリカ
軍の尻尾」と呼ぶ。
帰国するイラク人の場合、その理由は何らかの事態改善の兆しがあるというで
はない。
「私と会社の名前を漏らさないなら、帰国するイラク人についてすべてを話す
」とダマスカスにある旅行会社の店長が言った。「人々は財産をチェックしたり
、年金と給料の現金化したり、その他必要なことをするために移動するだけなの
に、メディアはそれを家に帰る人々のように報道する」。
「なかには資金が尽きて戻る人もいる。特にイラク政府が帰国費用を肩代わり
すると約束したあとだからね」と店長は説明した。「そのうちの多くはそうした
約束がウソだと知ると、シリアに戻ってくる。その一方で、イラク中どこでも軍
事作戦が展開されているので、北部出身者も南部出身者もイラク人は今でも避難
中だ」。
帰国したイラク人について国連の別の調査によると、「シリアから離れる者の
46%は滞在費用がなくなったという理由で、25%はシリアのビザ発給方針が
厳しくなったためだという。そして治安情勢の改善について聞いたという理由で
帰国するのは14%である」。
資金上の理由では帰らないという者もいる。
5ヶ月前にシリアに逃げてきた主婦ハナン・ジャバル(38歳)は、「イラク
にいるより、ここの方が安上がり」とIPSに話した。灯油はここでは1リット
ル1セントなのに、家に帰ると1ドルもする。これはイラクでの生活がいかに厳
しいかというほんの1例。ほかの子どもと同じように、殺されないかと親を悩ま
せることもなく、子どもたちは安全に学校に通って遊んでいる。私たちを受け入
れるシリアとヨルダンに神の祝福を。そしてアメリカとその仲間の私たちに対す
る仕打ちに神の咎めを」。
ダマスカスのあちこちで、今ではシリア人よりイラク人の方を多く見かける。
ほとんどのイラク人が失業しているのに、シリア人は仕事中、というのも理由の
1つである。彼らは仕事をさがしながら、インターネット・カフェや喫茶店、路
上にたむろしている。
ダマスカスの避難民となったバグダッド出身の店主ラスール・ムッサは、「私
は1月に家族を連れて帰った」とIPSに語った。「家に戻った最初の夜、アメ
リカ兵が私の家にやってきて、狙撃兵が屋根から住民に銃口を向けているあいだ
、家族全員を1つの部屋に押し込めた。決して忘れることのできない恐ろしい夜
を過ごしたあと、翌朝、ここ(シリア)に戻る決心をした」。
(*Maki, our correspondent in Damascus, works in close collaboration with
Dahr Jamail, our U.S.-based specialist writer on Iraq who has reported
extensively from Iraq and the Middle East)
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http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/index.html
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※イラク・レジスタンス・レポート
http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/Iraqi_resistance.html
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ダール・ジャマイルの中東速報 2008年3月3日
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ダマスカス発、3月3日(IPS) -- 公式発表とは逆に、帰国するイラ
ク人よりも多くのイラク人が祖国から逃れ続けている。
治安情勢はこれまでと同じように悪く、帰国することは死を受け入れることだ
、と何千人もの避難民が指摘する。
「イラクに帰るかって? 帰るべきイラクはなくなったよ。イラクは僕たちの
夢と記憶のなかに存在するだけだ」--今はダマスカス(隣国シリア)のレスト
ランで働いているアハメド・アルワン(35歳)はこう語った。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は昨年9月、シリアだけでも120
万ないし140万人のイラク人避難民がいると発表した。
ほとんどの者は、アルワンと同じように帰国しようとする意志はない。
アルワンは、「最後のアメリカ兵とイラン人宗教家がいなくなるまで、私はイ
ラクに帰らない。今では私たちの国ではなく、彼らの国になってしまった」と話
す。
シリアにいるイラク人避難民は、安全の保障はなく、公共サービスもないこと
、さらに将来への不安、イラクの政治家への不信感、そして家屋も失ったことを
語る。ほとんどの者は怖くて帰れないだけなのだ。
先月発表されたUNHCRの報告はアメリカの主流メディアでは相矛盾する報
道がなされているが、ブッシュ政府によると、祖国から出る者より多くの者が帰
国しているという。
その報告は、200年2月から2007年10月にかけて、シリアは毎月3万
人ないし6万人の避難民を受け入れた、と発表した。国境に派遣された移民局高
官は、さる1月にイラクからシリアに入国した者の毎日の平均は1200人を上
まわると話す。逆に帰国する者は毎日平均700人以下だという。
バグダッドの携帯電話会社で働く警備顧問のナイル・ムフィードは、IPSの
取材に、「バグダッドを含むイラク全土で多くの暗殺が発生しており、軍事作戦
も2004年、2005年と同じように展開されている」と語った。「われわれ
は顧客には、バグダッドからアンマンへの移動には安全がおぼつかないとアドバ
イスしてきた」。
モスル出身の退職校長で今はシリアに避難しているファルーク・ムヒムは、「
たとえ一部で治安情勢が改善していると思われても、他の地域では悪化している
ことは周知のことだ」とIPSに語った。
「私の郷里モスルは、米軍あるいは政府の諜報機関に関係してない者にとって
は安全な場所だったが、包囲攻撃の口実を作るために、クルド人民兵ペシュメル
ガと米軍によってジンジャリ地区で爆発事件が引き起こされたあと、今では誰に
とっても安全ではなくなった」。
バグダッドの北方300キロに位置するモスル市は、イラク南部から来たイラ
ク軍とクルド民兵に支援される米軍によって、大がかりな包囲下に置かれている
。スンニ派住民が多いモスル市は、そこはクルド人の街だと主張するために、多
数派のアラブ人を浄化(クレンジング、抹殺・排除すること/訳注)しようとす
るクルド人民兵の攻撃目標とされてきた。
シリアにいる多くのイラク人は、拘束されるのが怖いので帰国しない、と話す
。
「彼ら米軍に言わせると、ファルージャは800人以上が最悪の状況で拘禁さ
れているのに安全だという」とオマール(25歳)がIPSに語った。彼の名前
は現地警察の手配者名簿に載せられてる。「2004年、アメリカ軍の犯罪を取
材しに来た外国人記者に協力し、郷里である街を破壊するアメリカ兵を手助けし
たイラク人がいたと証言する目撃者を紹介したことから、私はファルージャ警察
のお尋ね者になった。拘束されている800人のうち750人以上がレジスタン
ス戦士ではないが、占領軍とその尻尾(しっぽ)への協力を拒否した人々だ。」
イラク人は通常、占領軍の手先となって協力するイラク人のことを「アメリカ
軍の尻尾」と呼ぶ。
帰国するイラク人の場合、その理由は何らかの事態改善の兆しがあるというで
はない。
「私と会社の名前を漏らさないなら、帰国するイラク人についてすべてを話す
」とダマスカスにある旅行会社の店長が言った。「人々は財産をチェックしたり
、年金と給料の現金化したり、その他必要なことをするために移動するだけなの
に、メディアはそれを家に帰る人々のように報道する」。
「なかには資金が尽きて戻る人もいる。特にイラク政府が帰国費用を肩代わり
すると約束したあとだからね」と店長は説明した。「そのうちの多くはそうした
約束がウソだと知ると、シリアに戻ってくる。その一方で、イラク中どこでも軍
事作戦が展開されているので、北部出身者も南部出身者もイラク人は今でも避難
中だ」。
帰国したイラク人について国連の別の調査によると、「シリアから離れる者の
46%は滞在費用がなくなったという理由で、25%はシリアのビザ発給方針が
厳しくなったためだという。そして治安情勢の改善について聞いたという理由で
帰国するのは14%である」。
資金上の理由では帰らないという者もいる。
5ヶ月前にシリアに逃げてきた主婦ハナン・ジャバル(38歳)は、「イラク
にいるより、ここの方が安上がり」とIPSに話した。灯油はここでは1リット
ル1セントなのに、家に帰ると1ドルもする。これはイラクでの生活がいかに厳
しいかというほんの1例。ほかの子どもと同じように、殺されないかと親を悩ま
せることもなく、子どもたちは安全に学校に通って遊んでいる。私たちを受け入
れるシリアとヨルダンに神の祝福を。そしてアメリカとその仲間の私たちに対す
る仕打ちに神の咎めを」。
ダマスカスのあちこちで、今ではシリア人よりイラク人の方を多く見かける。
ほとんどのイラク人が失業しているのに、シリア人は仕事中、というのも理由の
1つである。彼らは仕事をさがしながら、インターネット・カフェや喫茶店、路
上にたむろしている。
ダマスカスの避難民となったバグダッド出身の店主ラスール・ムッサは、「私
は1月に家族を連れて帰った」とIPSに語った。「家に戻った最初の夜、アメ
リカ兵が私の家にやってきて、狙撃兵が屋根から住民に銃口を向けているあいだ
、家族全員を1つの部屋に押し込めた。決して忘れることのできない恐ろしい夜
を過ごしたあと、翌朝、ここ(シリア)に戻る決心をした」。
(*Maki, our correspondent in Damascus, works in close collaboration with
Dahr Jamail, our U.S.-based specialist writer on Iraq who has reported
extensively from Iraq and the Middle East)
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