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自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

「自民大乱」の予兆が見えた! 大手町の片隅から 乾正人   2024/10/4    産経新聞

2024年10月04日 10時50分52秒 | 政治
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自民党の石破茂首相=1日午後、衆院本会議場(相川直輝撮影)© 産経新聞

やはり、石破茂は正直者だった。

人事は、会社でも役所でも最も難しい仕事の一つで、人事が下手な会社や役所は、衰亡してしまい、やがて消えてなくなる。だから、大企業でも中央官庁でもエリートが人事部に配属される。それでも誰もが納得する人事なんてあり得ないのは、言わずもがな。まして人事部のない永田町では、時の権力者の一存で大臣や党幹部が決まるため、選から漏れ、冷や飯を食わされた政治家の恨みは凄(すさ)まじいものがある。

「悪党」でなかった石破茂

冷や飯を食わされ続けた政治家が、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)して権力を握ると、「恨みはらさでおくべきか」という心境になるのもよくわかる。

 

新首相は、暗殺された元首相・安倍晋三を「国賊」呼ばわりして処分を食らった村上誠一郎を重要閣僚に据え、最盛時には100人を数えた旧安倍派からは誰一人として大臣にも党四役にも登用しなかった。絵にかいたような「報復人事」で、ここまで徹底するとかえって清々(すがすが)しい。

もし、石破が「悪党政治家」だったなら、このような人事はしなかっただろう。「悪党政治家」とは、拙著「政治家は悪人くらいでちょうどいい!」(ワニブックス)で詳しく書いたが、「あらゆる手練手管を使って国家権力を握ろうとする強い政治家」のことである。吉田茂や岸信介、田中角栄といった政治家をイメージしていただきたい。

彼らが、いま新総裁に就任したなら人気のある高市早苗を幹事長に、小林鷹之を重要閣僚に起用して総選挙と来年夏の参院選を戦い、終わったところでお役御免にしていたはずだ。あるいは、40歳代の小林だけ抜擢(ばってき)し、ライバルの高市を孤立させる策を採ったかもしれない。

12年前の総裁選で石破に逆転勝利した安倍は、大嫌いだった石破を幹事長に抜擢して挙党態勢を演出して政権奪還に成功した。政権基盤が安定してから彼を幹事長ポストから追い出し、徐々に力を削いでいった。

そんな芸当は、彼にはできなかった。結果として「石破人事」は、自民党を完全に分断した。

旧安倍派はもちろん恨み骨髄だろうし、高市や小林の両陣営で積極的に働いた面々も政権にそっぽを向き、かつての石破のように「党内野党」として鋭い言葉の刃(やいば)を首相やその取り巻きに投げつけるだろう。

もし27日投開票の衆院選で、自民党が敗北すれば、党内抗争が激化するのは必至だ。だから、新総裁は党内融和に腐心すべきだ、という陳腐な能書きは言わない。

「高市現象」は世界的潮流

他社のある先輩記者は、高市を「キワモノ政治家」と表現したが、自民党員の3割が支持した彼女は、もはやキワモノではない。

トランプばかりではなく、オーストリアでは、極右政党が第1党となり、フランスではルペンが大統領にあと一歩まで迫っているように、「自国第一主義」を掲げる政党や政治家が大きな支持を集めている。

自民党総裁選での「高市現象」は、富める者はより富み、貧しき者はより貧しくなっているグローバリズムの行き過ぎを是正しようという世界的潮流を反映したものだ。

来年、結党70年を迎える自民党に大乱の予兆がみえる。=敬称略(コラムニスト)

(注;管理人:乾正人 wikipedeia)

1962年兵庫県神戸市生まれ。甲陽学院高等学校卒業[2]筑波大学比較文化学類卒業[3][4]、1986年4月、産経新聞社入社。新潟支局、整理部政治部などを経て政治部長。2011年4月付けにて、編集長[5]。論説委員兼務を経て2015年6月付にて編集局長[6]、2018年6月から2022年6月まで論説委員長[7]

人間には「経験を重ね、大人になってから成長する」タイプと「ぬくぬく育った小学生くらいがピーク」のタイプの2者に分かれるとし、自身を「後者の部類」に分類。


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