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韓国大統領、「非常戒厳」宣布 数時間後に解除
【12月4日 AFP】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は4日、「反国家勢力を一挙に撲滅」するためと称して3日に宣布した「非常戒厳」について、数時間後に解除すると発表した。国会で非常戒厳の解除を要求する決議案が可決されたのを受けての措置。
尹氏は4日午前4時30分(日本時間同)ごろのテレビ演説で、「つい先ほど、国会から非常戒厳の解除要求があったのを受け、戒厳令に従って展開していた軍を撤収させた」「国会の要求を受け入れ、閣議で非常戒厳を解除する」と述べた。
聯合ニュースによると、尹政権は非常戒厳の解除を閣議決定した。
非常戒厳の宣布を受けて国会は封鎖され、国会には一時軍が入った。国会議事堂前には抗議するため大勢が集まり、治安部隊と対峙(たいじ)していたが、非常戒厳の解除が発表されると、集まった人々は歓声を上げ、横断幕や国旗を振り、「尹錫悦を逮捕せよ」とシュプレヒコールを上げた。
4日未明、国会議員300人中約190人が国会議事堂に入り、非常戒厳の解除を要求する決議案を全会一致で可決した。
憲法によれば、国会議員の過半数が要求した場合、非常戒厳は解除されなければならない。
尹氏は3日夜、韓国で40年以上ぶりとなる非常戒厳について、さまざまな理由を挙げて正当化していた。
生中継されたテレビ演説で「北朝鮮の共産勢力の脅威から自由な大韓民国を守り、韓国国民の自由と幸福を略奪する従北反国家勢力を一挙に撲滅するため、ここに非常戒厳を宣布する」と述べた。北朝鮮共産勢力の脅威について詳細は語らなかったが、韓国と北朝鮮は依然として戦争状態にあり、休戦しているにすぎない。
尹氏は「国会は犯罪者の巣窟になり、立法独裁で司法・行政システムをまひさせ、自由民主主義体制の転覆を謀っている」と指摘。国会の過半数を握る最大野党「共に民主党」を、「体制転覆を狙う反国家勢力」だと批判した。
韓国の現状についても、「国会が自由民主主義を崩壊させようとする怪物となり、亡国の淵に落ちている」と評していた。(c)AFP
韓国:戒厳令を発令しようとした尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が壁に背を向ける
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、火曜日に戒厳令を発令しようとした後、水曜日に野党と自身の党によって壁に押し付けられたが、圧力を受けて撤廃を余儀なくされた。
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支持率がすでに極端に低かった尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、火曜日遅くのサプライズ演説で戒厳令の発動を発表し、予算をめぐる議会での激しい議論の中で野党が「反国家勢力」を形成していると非難した。しかし、野党の動員に直面して、大統領は12月4日水曜日の早朝に後退することを決定した。
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の首席補佐官と上級補佐官は、指導者が一晩で戒厳令を宣言した後、水曜日に「一斉に辞表を提出した」と国営聯合ニュースが報じた。聯合ニュースは、鄭錫錫(チョン・ジンソク)首席補佐官を含む「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の重要な補佐官」が「一斉に辞表を提出した」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。大統領府はAFPの要請にすぐには応じなかった。
野党は弾劾手続きに適している
韓国最大の労働組合連合は水曜日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が辞任するまで「無制限のゼネスト」を呼びかけた。約120万人の組合員を擁する韓国労働組合総連合会は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏の試みを「不合理で非民主的な措置」と呼び、「彼自身の権力の終焉に署名した」と述べた。
これに先立ち、韓国の与党のハン・ドンフン党首は、同じ党の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、数時間後に戒厳令解除を発表する前に、一晩で戒厳令を宣言したことを説明しなければならないと述べた。
一方、韓国の主要野党は水曜日、大統領を「反乱」と非難し、大統領の辞任を求めた。「戒厳令が解除されたとしても、彼に対する暴動の告発を避けることは不可能だ」と、民主党幹部の朴槿士台(パク・チャンデ)氏は声明で述べた。大統領が「直ちに辞任しない場合、民主党は国民の意思に従って直ちに弾劾手続きを開始する」と同党は声明で述べた。民主党は声明で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏、彼の国防大臣、内務大臣、そして「戒厳令の司令官や警察署長など、軍と警察の主要人物」に対して「反乱を起こします」と述べた。
参照韓国:尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領、戒厳令を放棄、野党は辞任を求める
ワシントンは戒厳令解除を歓迎、日本は状況を注視
米国は火曜日、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が数時間前に宣言した戒厳令を解除したことに「安堵した」と述べた。ホワイトハウス国家安全保障会議の報道官は声明で、「尹大統領が戒厳令の不穏な宣言を撤回し、(韓国の)国会の投票を尊重したことに安堵している」と述べた。アントニー・ブリンケン米国務長官もこの決定を歓迎し、「政治的な意見の不一致は平和的に、法の支配に従って解決される」よう呼びかけた。
日本政府はソウルの政治状況を「例外的かつ深刻な懸念」を持って監視していると、石破茂首相は記者団に語った。彼はまた、韓国で「日本人が負傷したという報告」を知らないと述べた。
【解説】 なぜ尹大統領はいきなり非常戒厳を宣布したのか……翌朝には解除
2024/12/4 BBC
フランセス・マオ、ジェイク・クォン
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜、「非常戒厳」の宣布を発表した。これを受けて大勢が国会議事堂の周りに集まり、戒厳令に抗議。国会は素早く、解除の要求を議決した。
このため大統領は4日朝、戒厳令を解除すると表明した。あまりに突然の出来事に、国民はあっけにとられた。尹氏はなぜこのような行動に出たのか。
大統領はどんな立場にいたのか
尹大統領は3日夜に「非常戒厳を宣布する」と発表した際、北朝鮮の脅威や「反国家勢力」から韓国を守り、自由な憲法秩序を守るためだと説明した。しかし、尹氏が韓国で40余年ぶりに戒厳令を発動する本当の理由は、外部からの脅威ではなく、本人が政治的に追い詰められているからだというのは、間もなくはっきりした。
尹氏は2022年の大統領選挙で保守強硬派の候補として勝利し、同年5月に大統領に就任した。だが、今年4月の総選挙で野党が圧勝。以来、レームダック(死に体)状態となっている。
政府として国会で法案を通すことができず、リベラルな野党が通過させた法案に拒否権を発動する程度のことしかできない状況だ。
加えて尹氏は今年、いくつかの汚職スキャンダルに見舞われてきた。妻をめぐっては、高級ブランドのディオールのバッグを受け取ったとされる疑惑や、株価操作に関わったとされる疑惑が浮上した。
このため支持率も低下し、17%前後という低水準で推移している。
尹氏は先月、テレビの全国放送で謝罪。ファーストレディー(大統領夫人)の職務を監督する事務所を設置すると述べた。だが、野党が求めていた本格的な捜査については拒否した。
そして今週、野党は政府予算案の大幅減額を提案した。大統領は予算案には拒否権を行使できない。
野党は同時に、複数の閣僚と、政府監査機関のトップを含む検察幹部らについて、大統領夫人に対する捜査を怠ったとして弾劾に動いた。
これからどうなるのか
尹氏による非常戒厳の宣布に、多くの人はあっけにとられた。国民は6時間にわたり、非常戒厳が何を意味するのかをめぐって混乱した。
しかし野党は素早く集結し、与党議員と共に必要な票数を集め、国会として非常戒厳の解除要求を議決した。軍と警察が多数出動していたものの、軍が首都を掌握する事態には至らなかった。
韓国憲法は、国会が戒厳令の解除要求を決議した場合、政府はそれに応じなくてはならないと定めている。戒厳司令部が議員を拘束することも禁じている。
これからどんな展開があり、尹氏がどうなるのかは、はっきりしない。3日夜に国会前に集まった抗議者らからは、「尹錫悦を逮捕しろ」という声も上がっていた。
いずれにしても、尹氏の性急な行動が韓国をあぜんとさせたことは確かだ。国民は自分たちの国を、独裁政権の時代から大きく進歩した、繁栄した近代民主主義国家だとみなしている。
その民主主義社会にとって、今回の出来事は、ここ数十年で最大の挑戦だと見られている。
専門家らは、民主主義国家としての評判を落とすという意味では、2021年1月6日に起きた米議会議事堂襲撃事件よりも大きなダメージを、韓国にもたらすかもしれないとしている。
ソウルにある梨花大学のレイフ=エリック・イーズリー教授は、尹氏の非常戒厳の宣布について、「法的に無理し過ぎで、政治的にも判断ミスだったと思われる。韓国の経済と安全保障を不必要に危険にさらすものだった」と分析。
「彼の発言は、四面楚歌の政治家のようだった。増え続けるスキャンダルや、組織的な妨害行為、弾劾の要求などに対して懸命に対処しようとしているが、それらはすべて、今後ますます強まっていくだろう」と述べた。