2021年7月の道志村長選を巡り、県警は21日にも、村に虚偽の転入届を出し投票するなどしたとして、長田富也村長の親族4人と支援者2人を公職選挙法違反(詐偽投票など)と電磁的公正証書原本不実記録・同供用の容疑で書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、親族と支援者の4人は21年3月、都内や都留市、富士吉田市に居住していたにもかかわらず、長田村長に投票するため、虚偽の転入届を提出。選挙権を得て、投票した疑いが持たれている。別の2人は村に居住していたが、親族2人に虚偽の転入届の提出と投票を依頼した疑い。
いずれも容疑を認めており、「(長田村長を)個人的に応援しようと思った」などと説明しているという。
長田村長は13年に初当選し、現在3期目。21年の村長選では668票を獲得し、元村総務課長の新人を11票差で破り当選した。投票率は94・64%だった。
公選法では、選挙権を持つのは、18歳以上の日本国民で、引き続き3か月以上、その区域内に住所があることと規定している。選挙人名簿に登録させる目的で虚偽の届け出をし、不正に選挙権を得た場合は詐偽登録罪に問われ、そのまま投票すれば、詐偽投票罪に問われる。
村を二分わずか11票差「住民として恥ずかしい」
2021年の道志村長選は村を二分し、現職と元村総務課長の新人が激しく争った。長田富也村長を応援した村議の一人は「接戦になるのは分かっていたが、それでも厳しかった」と振り返る。
新人が立候補を明らかにしたのは、長田村長が立候補を表明した17日後。長田村長に対抗する「反村長派」は新人を支援した。
村議らによると、村長陣営は勝利を予想していたが、反村長派が結束したことで、新人も大きく支持を伸ばしていた。両陣営は「濃い、間違いない」とされる親戚の票や、地区ごとにほぼ決まっている派閥の票を数え、激しく票を奪い合った。
長田村長は親戚も多く、新人は「村中に親戚がいると、かなり票が集まる」と振り返る。投票の結果、わずか11票差で長田村長が当選したが、不正な投票が含まれていた可能性が出てきた。
新人は「よそから来て、選挙だけ(名前を)書いてまた転出するなんて、村のことをバカにしているのかと思う。大変悲しいし、そういう考えを持っている人がいることが、住民としてすごく恥ずかしい」と話した。