「ポップの女王」マドンナさん、「国王」誇称のトランプ氏を批判
【2月22日 AFP】「ポップの女王」として知られる米人気歌手マドンナさんが、ドナルド・トランプ大統領が自身を「国王」と誇称したことを「たとえ冗談でも笑えない」と非難した。
トランプ氏は19日、SNSでニューヨーク市の渋滞税導入計画を阻止したと発表。「渋滞税は死んだ。マンハッタンとニューヨーク全体が救われた。国王万歳!」と投稿した。
ホワイトハウスはこの投稿をリポストし、ダイヤモンドをちりばめた王冠をかぶったトランプ氏の肖像画を添えた。
これに対し、マドンナさんは20日夜、「この国は王の支配下から逃れた欧州人によって、国民が統治する新世界を築くために建てられたものだと思っていた」とX(旧ツイッター)に投稿。
「わが国には今、『国王』を誇称する大統領がいる。たとえ冗談でも笑えない」と付け加えた。
マドンナさんは第1次政権中もトランプ氏を批判しており、今年1月20日の就任式後の反トランプデモにも参加。トランプ政権が性的少数者(LGBTQ)を攻撃している点を強調している。
トランプ氏は就任演説で「米国を再び偉大にするために自分は神に救われた」と述べるなど、神から権力を授かった国王のように振る舞っていると反対派からしばしば批判を浴びている。(c)AFP
アメリカのドナルド・トランプ大統領は21日、ホワイトハウスを来週訪問するフランスのエマニュエル・マクロン大統領とイギリスのキア・スターマー首相について、ウクライナでの戦争終結のために「何もしていない」と批判した。
トランプ氏は米FOXニュースのインタビューで、ウクライナでの戦争終結について言及。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領には、和平交渉で使える「手持ちのカードがない」とし、ゼレンスキー氏の「会議出席はとても重要とは思えない」と付け加えた。
一方、アメリカのキース・ケロッグ・ウクライナ担当特使は先に、トランプ氏とは異なる見解を示していた。ケロッグ氏は20日のゼレンスキー氏との会談で、「広範かつ前向きな」議論ができたとした。
さらに、トランプ氏がゼレンスキー氏を「独裁者」と呼んでからわずか数日後ながら、ケロッグ特使はゼレンスキー氏を「勇敢な指導者」だと称賛した。
ゼレンスキー氏はここ数日、様々な国の指導者と電話で協議している。欧州諸諸国などの指導者たちは、ウクライナが和平交渉に参加できるよう取り組んでいくとしている。
16日にはスターマー英首相が、和平合意の一環としてウクライナの安全保障を保証するため、イギリス軍をウクライナに派遣する「用意と意思がある」と表明した。
BBCは英首相官邸にコメントを求めている。
欧州諸国は定期的に協議
欧州の指導者たちは、ロシアと交渉する可能性を排除している一方で、ウクライナでの戦争をめぐる協議を重ねてきた。17日にはフランス・パリで緊急会合を開いた。
2022年2月にロシアがウクライナ全面侵攻を開始して以降、アメリカやイギリス、欧州連合(EU)、オーストラリア、カナダ、日本などはロシアに対し、合わせて2万件以上の制裁を科している。
多くの欧州諸国は、ウクライナに支援と援助を提供するための協定に署名している。
1月にはスターマー英首相が、ウクライナの首都キーウを訪問。ウクライナとの「画期的な100年のパートナーシップ」を象徴する協定に署名した。スターマー氏はゼレンスキー氏に対し、「今日はもちろんのこと、今年も来年もその先の100年も、この恐ろしい戦争が終わり、ウクライナが再び自由になり、繁栄する時まで、我々は支え合う」と伝えた。
トランプ氏、自分抜きの和平交渉は望まず
トランプ氏は21日のFOXニュースのインタビューで、自分自身の関与なしにロシアとウクライナが和平交渉を始めることは望んでいないと述べた。
トランプ氏はさらに、ゼレンスキー氏を重ねて批判した。「私は(ゼレンスキー氏を)何年も見てきた。彼の街が破壊され、国民が殺され、兵士が大勢殺されるのを」として、「手持ちのカードがないまま交渉する彼を見てきた。何のカードも持っていない。うんざりする」と、トランプ氏は述べた。「うんざりだ。もう、たくさんだ」。
トランプ氏はマクロン仏大統領とスターマー英首相を批判する一方で、称賛もした。マクロン氏は「友人」で、スターマー氏は「とてもいいやつ」だと述べた。マクロン氏は24日に、スターマー氏は28日に、それぞれワシントンを訪問する予定。
トランプ氏はこのところ、ゼレンスキー氏は国民の4%にしか支持されていないと主張するなど、ゼレンスキー氏への批判を繰り返している。複数の専門家は、トランプ氏が引用している情報はロシア側からもたらされたものだと指摘している。BBCヴェリファイ(検証チーム)によると、今月実施された世論調査では、ウクライナ人の57%がゼレンスキー氏を信頼していると回答している。
しかしトランプ氏は、戦争を回避できなかった責任はゼレンスキー氏にあると、トランプ氏は何度も主張し、ウクライナに侵攻しないようゼレンスキー氏がロシアを「説得」できたはずだとしている。
サウジアラビア・リヤドで18日に開かれたアメリカとロシアの高官によるウクライナでの戦争終結をめぐる協議に、ウクライナが招かれなかったことについて問われると、トランプ氏は、「ゼレンスキーとの取引することは不可能だと(ロシアは)感じていたからだ」と答えた。
トランプ氏は、ロシアは戦争を終わらせるための取引を心から望んでいると信じているとしつつ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「取引する必要などない」のだとも述べた。
トランプ氏をめぐっては、ロシアに対して「宥和(ゆうわ)的」姿勢を取っているとの批判が上がった。J・D・ヴァンス米副大統領はその後、これに反論した。
「我々は紛争を終わらせるために交渉している。勝利への確かな道筋がウクライナにあると思う場合に限って、『宥和的』だと言えるが、ウクライナに(勝利の道)はない。だから(宥和的)ではない」と、ヴァンス氏はソーシャルメディアに投稿した。
ウクライナの鉱物資源めぐる取引は
アメリカは戦争を終わらせるための交渉の一環として、ウクライナの希少鉱物資源の所有権をアメリカに渡すという取引を結ぶよう、ウクライナに圧力をかけている。
トランプ氏はこれを、これまでの対ウクライナ軍事支援への対価だとしている。21日には記者団に対し、アメリカとウクライナは「もう間もなく」取引を結ぶ段階にあるとし、アメリカは「金を取り戻す」と付け加えた。
また、ゼレンスキー氏とプーチン氏は「共に」戦争を終わらせる必要があるとした。
ウクライナ側は、アメリカが提示した鉱物資源をめぐる合意案の内容変更を求めており、交渉は進展していると報じられている。
マイク・ウォルツ米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は21日、ゼレンスキー氏は「この取引を結ぶはずだ」と述べた。
ゼレンスキー氏は以前、アメリカとの協議は真剣なものとは言えず、「自国を売ることなどできない」として、アメリカの提案を拒否していた。
ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は21日、ウクライナは取引合意に前向きだと、BBCニュースに述べた。
ウクライナはアメリカとの協力を望んでおり、「世界の産業への投資と鉱物資源の開発を受け入れる用意ができている」と、ポドリャク氏は付け加えた。