とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

「ピーターラビットの絵本」シリーズ (14)

2007年02月28日 04時19分41秒 | 児童文学(絵本もふくむ)
 (14)ひげのサムエルのおはなし(1,908年刊)
ビアトリクス・ポター さく・え  いしいももこ氏訳
         (要約)
《あるところに、タビタ・トウィチットさんという名の おかあさんねこがいました。タビタさんには しんぱいごとがたえませんでした。目をはなせば 子どもたちがいなくなり、いなくなれば、かならず いたずらをしているのです!》
ある日、パンをやくあいだ、子どもたちを おしいれに入れておくことにしたのですが、モペットとミトンは 見つかりましたが、トムが いません。
 にゃあにゃあ ないて トムをよび、いえじゅうさがしましたが、トムはいません。いえは、ふるくて、おしいれやろうかが たくさんあります。いたかべなどには へんな小さいあながあいていて そこから チーズやベーコンが きえていきます。
 しんぱいになり タビタおくさんは にゃあにゃあ なきたてました。
おくさんが トムをさがしているまに、モペットとミトンが おしいれから 出てきて いたずらを はじめました。
 モペットたちは 炉の火のまえの パンをやく ねり粉を 小さな手で たたきました。「小さなマフィンをつくらない?」
《そのとき 、だれかが げんかんの戸を たたきました。》 おどろいて、モペットは 粉のたるのなかに、ミトンは、ぎゅうにゅうおきばにはしっていって からのたるのなかに かくれました。
《おきゃくさんは、タビタおくさんのいとこのリビーおばさんでした。パンにいれるイーストをかりにきたのです。》
タビタおくさんは にゃあにゃあ なきたて うえから おりてきました。
「どうぞ、リビー。また しんぱいごとが おきたのですよ」と、なみだながらに いいました。
「むすこのトムが いないんですよ。きっと ねずみに つかまったんです。」エプロンで なみだを ふきました。
「タビタ、あの子は わるい子です。このまえ わたしのぼうしを ベッドにして あそんでいました。どこをさがしたの?」
「いえじゅうを!ねずみが おおくて 手におえないわ。いうこときかずの子って たいへんなものだわね」
「わたしは ねずみなんて こわくないから さがすのをてつだいます。あの子は ムチでぶつのもね!この炉のなかの すすは なに?」
「もう えんとつそうじをしなくちゃね。ああ、リビー、モペットもミトンも どこかへ いってしまった!」
《ふたりは、もう1ど、いえじゅうを てっていてきに さがしました。》 でも なにも 見つかりません。
《ただ 1ど 戸が ぱたんとしまり だれか したへ かけおりていくおとがしました。「あのとおり、ねずみだらけなんですよ」おくさんは なみだを ながして いいました。》 「おかってで 小さなあなから 子ネズミを7ひきもとったことが あるんですよ。ばんごはんに しましたけれど。それにね とても とても 大きな じいさんねずみを見たんです。とびかかろうとしたら、黄色い歯をむいて ひゅっと あなに とびこんじゃった。ねずみのことを考えると 気がめいる」
 ふたりは やねうらべやの ゆかしたで、なにかを べたべた ころがしているきみょうな音をききました。
でも、なにも見えません。ふたりは おかってに もどって ともかく 粉のたるから モペットをさがしだしました。
「ああ、おかあちゃん!」モペットは、とても おびえていて 年とった おんなねずみが ねり粉を ぬすんでいったのを見たというのです。どっちへ いったかは こわくて 見ていなかったというのです。
 どこかへいくと わるいので、ふたりは モペットをつれて そうさくを つづけました。ぎゅうにゅうおきばで、ミトンは、すぐ みつかりました。ミトンは、「ああ、おかあちゃん!」ぎゅうにゅうおきばに 大きな おとこねずみがきて、バターとめん棒をもっていったというのです。「ああ、トムは、どうなったのかしら」と、タビタおくさんは 手をかたく にぎりしめました。
《「めん棒だって!」と、リビーおばさんは いいました。》やねうらで、なにか ぺたぺたする音がしていた。
ふたりは、また やねうらへ かけあがりました。《たしかに、ゆかしたで ぺたぺたという音がしています。》
「これは じゅうだいじけんです。すぐに だいくのジョンさんにきてもらわなくちゃあ」と、リビーおばさんは、いいました。
《さて、いっぽう トムには こんなことが おこっていたのです。》 これをみれば、ふるいいえの えんとつをのぼるのはまちがいだということが わかりますね。《ふるい いえでは すぐまいごになりますし、大きなねずみも いるからです。》
 トムは おかあさんが パンをやくのが わかると おしいれに入るのがいやで にげました。かくればしょを さがしているうちに 炉のえんとつが 目にとまりました。火はたきつけたばかりなので まだ あつく ありません。えんとつは大きなおとこのひとが たってあるけるほど ひろかったのです。トムは えんとつのまんなかにとびあがり、ついで、えんとつの高いところにある かべのでっぱりに とびあがりました。そのとき すすを おとしてしまいました。
 トムは けむりに むせながら えんとつの てっぺんをめざします。ずっと 下のほうで 火がぱちぱち燃えています。
 トムは こわくなってきました。あがっても あがても てっぺんまで つけません。すすを かきわけ すすむので えんとつそうじやさんのように まっくろになりました。まっくらなので どこが どこだか わかりません。もう けむりは あまり あがってきません。  
 がむしゃらに あがっていきましたが てっぺんにつかないうちに だれかが かべのいしをずらした すきまをみつけます。
そばには ひつじのほねが ちらばっています。ねずみの うんと きつい においがします。こなければ よかったとおもったのですが あなに もぐりこみました。じつは、そこは、おもてからみると やねうらの かべのしたのかべいたの ところでした。
 そのうち トムは あなから おちて とても きたない ぼろの上におちました。見たこともないばしょで、とても小さな かぜとおしのわるい かびくさいへやでした。トムのしょうめんには 《ものすごく大きなねずみが すわっていました。》
 ねずみは じぶんのベッドに すすだらけで おちてきたトムを いかります。大きな ねずみは おかみさんを かなきりごえでよびました。
 ばあさんねずみは あっというまに トムをしばりあげてしまいました。
しばるのが おわると じいさんと ばあさんは 口をあけて トムを ながめました。そして、じいさんが、ねこだんごをつくてくれや、といいました。「ねり粉と バターと めん棒がいるわねえ」と、おかみさんは いいました。ちゃんと
つくってくれ、と、サムエルはいいました。
 サムエルは バターをとってきました。そして、つぎに めん棒をころがしながらもっていきました。ちょうど リビーおばさんとタビタおくさんがいましたが、ふたりは いしょうばこをむちゅうで のぞいていたので気がつきませんでした。おかみさんのアナ・マライアは ねり粉を ちぎって もっていきました。モペットのいることに気がつきませんでした。
 ひとり のこったトムは 口にすすがたまって 声がでません。もがき、のたうちまわって、くたくたにつかれました。
ねずみたちが かえってきて まず トムに バターをぬりました。それから ねり粉でつつみました。
《トムは くいつこうとしたり、つばをひっかけたり、ないたり、もがいたりしました。その間に、めん棒は ぺたぺた ぺたぺたといったり きたりしました。》
と、そのとき、きゅうに 上のほうから、ごりごりという のこぎりのおとが しはじめました。いぬのなきごえや、足でひっかく音もきこえます。サムエルは、ばれてしまったので、とりいそぎ ひっこしのしたくをして にげました。
 と、いうわけで、だいくのジョンが、ゆかにあなをあけたころには、ねり粉にまかれたトムのほか、だれも いませんでした。
 ジョンが下におりていくと、ねこたちは おちつきを とりもどしていました。おひるにさそわれましたが、トムはまだ バターだらけでおふろにいれねばなりません。それにポターさんの手押しくるまをしあげたところで、とりごやも ふたつ つくらなければならないから、といって、ジョンはかえっていきました。
その日のゆうがた、わたしは、サムエルが おかみさんと走っているのを みました。おひゃくしょうのバレイショさんの なやへかけこむところでしたおくさんはわたしの手押しくるまに荷物をのせて使っていました。わたしは、使っていいとはいっていませんよ。そして、なやの ほしくさのうえに にもつをひもで つりあげました。
 それから、タビタおくさんのところでは ねずみは でませんでした。ところが、いっぽう、バレイショさんは、気がおかしくなるほどひどいめにあいました。こやに、ねずみがでること、でること。みんな、サムエルご夫妻の しそんでした。いつまでたってもきりが ありませんでした。
 モペットとミトンは、大きくなると ねずみとりがうまくなりました。けれども、トムは、いつまでたっても ねずみをこわがりました。
《 こまねずみでも なければ。》
             おわり
読んであげるなら:5・6才から
自分で読むなら:小学低学年から

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