毎日新聞
局地的な雨、予想難しく (動画)
毎日新聞2017年7月6日 22時08分(最終更新 7月6日 22時53分)
九州北部を襲った大雨は地形的な要因などが重なり、福岡県朝倉市などで局地的に記録的な雨量となった。一方、大分県への特別警報発表が福岡県の2時間後になり、局地的豪雨を予測する難しさも浮き彫りとなった。
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今回の豪雨は「線状降水帯」と呼ばれる帯状の雨雲が形成されたために起きた。
5日昼前に九州北部まで南下した梅雨前線に向かって、太平洋高気圧の縁を通るように西南西から湿った風が流れ込んだが、福岡・佐賀県境にあり東西に延びる脊振(せふり)山地を越えられずに東進。脊振山地の東側の低地で北西の風とぶつかり、この収束点で積乱雲が次々と発生した。気象庁は当初、3時間程度でこの場所での雨はおさまると予測していたが、実際には半日以上も雲が発生し続けた。
気象庁は、5日午後4時ごろにはこの収束点が移動すると判断。土の中にたまった雨の量なども特別警報の発表基準に至っていなかった。しかし、一度は動いた収束点が元の場所付近に戻ったため、大雨が継続すると判断を変え、同午後5時51分に福岡県に特別警報を出した。
一方、隣接する大分県では雨の範囲が限定的で、気象庁は「大分まで線状降水帯が広がると予測できず、発表には踏み切れなかった」という。このあと、積乱雲は風に乗って徐々に東に流れ、大雨の範囲が拡大。結局、同7時55分に大分県に特別警報を出した。
局地的な雨をもたらす線状降水帯の予測の難しさについて、気象庁の梶原靖司予報課長は「台風などと違い線状降水帯は規模が小さく、発生場所や継続時間を正確に予測することは、今の技術では難しい」と話す。そして「特別警報になる前でも、気象庁の大雨警報や土砂災害警戒情報に従って市町村が避難勧告などを行い、それに従って早めに避難してほしい」と呼びかけている。【金森崇之】
【ことば】大雨特別警報
「数十年に1度」の大雨が降り、重大な災害発生の危険性が高まった時に気象庁が出す。48時間か3時間に降った雨量、加えて地中にたまった雨量が一つの県程度の範囲で50年に1度の値を超え、さらに雨が降り続くと予想される場合などに発表される。