眞子さまへの複雑性PTSD診断は“勇み足“? 精神科医・和田秀樹氏が語るこれだけの疑問〈dot.〉
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眞子さま(29)と小室圭さん(29)の結婚を宮内庁が発表した。それと同時に公表されたのが、眞子さまが「複雑性PTSD」と診断されていたということだ。しかし、この診断に対して、複雑性PTSDに詳しい精神科医の和田秀樹氏が「診断は“勇み足”ではないか」と疑問を投げかけた。 【写真】あっ、カモを落としちゃった!大慌ての眞子さまの「失敗」
――複雑性PTSDとは何でしょうか。 PTSD(心的外傷後ストレス障害)というのは、単発的な出来事によって、発症するものです。例えば、レイプなどの暴行を受けた、目の前で人が死ぬのを見たなど、いわゆるトラウマになるような出来事があって、発症します。 それに対して複雑性PTSDは反復的、長期的なトラウマによって引き起こされるものです。例えば、長期間苛烈ないじめや虐待を受けていたり、民族対立の中、常に怖い思いをしていたとかです。 ――PTSDとは症状が違うのでしょうか。 PTSDより複雑性PTSDのほうがより深刻な症状が出ます。 人とうまく付き合えなくなったり、感情が不安定になったりします。また、「解離症状」というのが出て、記憶が飛んで、おかしな行動が出るなどの症状があったりします。 人格が変わってしまったり、意識レベルにもかかわるもので、「パーソナリティ障害」や「多重人格」(解離性同一性障害)といったものです。 私も複雑性PTSDの患者を診ていますが、仕事に就けない人も多いです。 ――眞子さまも複雑性PTSDということだが、どう捉えたか。 実際に診ていないのでわからないですが、直前まで公務をされていたことを踏まえると、「適応障害」のほうが近いと思います。 先ほど述べましたが、複雑性PTSDは虐待を受けてきたような人が、仕事も就けず、性格も安定しないなどの症状が出るほど深刻なものです。 皇室にいることで一般人では言われないようなことを多く言われる、多数書かれるという状況です。その状況に適応できていないということのほうが、症状として近いのではないでしょうか。
――そうなると、宮内庁が「複雑性PTSD」を発表した意図はどこにあると思いますか。
複雑性PTSDは同じトラウマを何度も受けることで症状がどんどん悪くなりますので、これ以上小室さんのネガティブなことを書くと眞子さまの症状が重くなる、ということを警告しているのだと思います。
ただ、複雑性PTSDは虐待レベルのひどいときに起こるものです。診断基準を見てもらえればわかりますが、悪口を言われた程度でそう診断されるのには疑問です。診断した医師の“勇み足”のようにも見えます。
――宮内庁の発表では「誹謗中傷と感じられるできごとがなくなれば、複雑性PTSDの改善が進むと考えられます」とありました。
それで症状が良くなるのであれば、やはり適応障害というのがより適切な診断と思います。 複雑性PTSDは本当に気の毒なほど虐待を受けてきた人が多い。長期的なカウンセリングが大事なもので、そのように簡単に治るものではないです
。 ――アメリカに行っても大丈夫なのでしょうか。
本当に複雑性PTSDなら、アメリカに行ったほうがいいです。日本では治療ができる専門家が少ないのが現状です。アメリカの方が治療できる医師が多いです。
ただ、今回の発表を受けて思ったのは、「複雑性PTSDが軽いものなんだ」という誤解はしてほしくないということですね。
――複雑性PTSDで苦しんでいる方はどのくらいいるのでしょうか。
2020年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数は20万件を超えています。そう考えると、児童虐待を受けていた人は毎年累積していて、相当数(おそらく100万人以上)が複雑性PTSDで苦しんでいることが伺えます。
一度複雑性PTSDになると、治らないことも多いです。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)
眞子さま10・26結婚、宮内庁が発表 「複雑性PTSD」の状態も明かす
- 宮内庁内庁は1日、秋篠宮家の長女眞子さま(29)が、大学時代の同級生小室圭さん(29)と10月26日に結婚されると正式発表した。また、眞子さまが小室さんの家族をめぐる誹謗(ひぼう)中傷を感じ「複雑性心的外傷後ストレス障害(PTSD)」の状態にあると明らかにした。
この日は大安。眞子さまと小室さんの記者会見も同じ10月26日に行う。
眞子さまは結婚一時金について辞退される意向で、宮内庁は額を決める皇室経済会議は開催しないと衆院に連絡した。関係者が明らかにした。
眞子さまは婚姻届を提出後、皇籍離脱して民間人となり、小室さんが生活拠点を置く米国で共に暮らす予定。小室家の金銭トラブルに対する批判がある中で、2017年の婚約内定から約4年を費やす異例の経過をたどった。
小室さんは既に米ニューヨークの法律事務所に就職。7月に現地の弁護士試験を受けており、12月中旬までに結果が判明する。生活基盤が確立し、金銭トラブルに関する対応を一定程度説明したため、宮内庁が結婚に向けた準備を進めていた。
眞子さまは上皇ご夫妻の初孫で、国際基督教大在学中に小室さんと知り合った。17年9月に婚約が内定したが、金銭トラブルを指摘する週刊誌報道が相次ぎ、18年2月以降、結婚が延期となっていた。
眞子さまは20年11月に文書を公表し、結婚は「生きていくために必要な選択」と強い思いを明かした。秋篠宮さまは同月の誕生日記者会見で結婚を「認める」としつつ、国民の多くが納得する状況ではないとの認識を示していた。(共同)