URUK NEWS イラク情勢ニュース (転送・紹介歓迎)
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2008/04/01 (火)
[飛耳長目録 today's news list]
☆米国大使館が他所に一時避難か? カタール紙が報道
☆攻撃は減ったがグリーンゾーンは砲撃される
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☆★米国大使館が他所に一時避難か? 2008/04/01
US Embassy moving elsewhere.
イラク情勢ニュース 速報&コメント 4月1日
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昨日(2008年3月31日)のアラブリンクに、たいへん興味深い記事が紹
介されていた。カタールの新聞が報じたもので、警備関係者の発言として、米国
大使館は攻撃を避けるために一時的に別の場所に移転することに決めた、という
。さらにアラブリンクは、最近のグリーンゾーンへのとケット弾攻撃は、一般に
はすべてマフディ軍によるものと報道されているが、特に29日以後のロケット
弾攻撃はイスラム軍によるものだという声明に言及している。以下にその内容を
紹介する。
※アラブリンク 2008年3月31日
US Embassy moving elsewhere. Sunni group claims GreenZone attacks
http://arablinks.blogspot.com/2008/03/report-us-embassy-moving-elsewhere.html
カタールの新聞アル・アラブは今朝の1面に次の記事を載せた。
「ある軍関係者が秘密情報を明かした--ここ数日、米国大使館は連続してロ
ケット弾攻撃を受け、アメリカ人職員多数の死傷者が出たために、駐イラク米国
大使リャン・クロッカーは(現在は)バグダッドのグリーンゾーンにある米国大
使館の場所を変えることに決めた、というものだ。」
「グリーンゾーンの入口を警備するファイサル・アル・アサフィ司令官は、ア
ル・アラブ紙に、クロッカー米国大使が29日夜、バグダッド大使館の場所を変
え、一時的にグリーンゾーン内から別の場所に移動するとという指示を出した、
と語った。移設先については同司令官は特定しなかった。」
「彼の話では、さらにロケット弾攻撃が続くことを恐れて、高官と外交スタッ
フ数十人が大使館の荷物を西バグダッドの新たな場所に移した。移動は一時的な
もので、(米およびイラク)合同軍がグリーンゾーンへのロケット弾攻撃を止め
させる狙いがあるとし、さらにイギリスとオーストラリアの大使館も数時間内に
同じ決定をおこなうだろうと指摘した。」
「アサフィ司令官はまた、外国大使館とイラク政府の事務所、そして多くの大
臣と国会議員の住居を正確に狙った攻撃が続いたので、多くの議員と大臣はグリ
ーンゾーン内の宿舎を空っぽにした、と話した。」
アル・アラブ紙の記者は、攻撃が始まってからは、アメリカ高官はアル・アラ
ブ紙などにビデオ機材のグリーンゾーン持ち込みを禁止し、また損害場面の写真
をとることも一切禁止していると書いている。
アル・アラブの記者は、それでも、すべてのロケット弾攻撃をマフディ軍によ
るものと想定している。しかし<Road to Iraq>は、スンニ派のレジスタンス組織
イスラム軍が、今朝(31日)の攻撃も含めて、3月29日(土曜日)以降のグ
リーンゾーンへの攻撃はすべて自分たちが実行したという声明を公表している、
と指摘する。
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☆★攻撃は減ったがグリーンゾーンは砲撃される
イラク情勢ニュース 速報&コメント 4月1日
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イラク政府軍(および米・英軍)のマフディ軍攻撃については、これからもさ
まざまに評価が出てくると思われる。<イラク情勢ニュース>でも評価・分析を
まじえて事態の推移を伝えてきた。今回は客観性も確保しておくために、3月3
1日付のロイター通信の「イラクの鎮圧作戦は裏目に、サドル派を強める」と題
する論評(要旨)を紹介する。
Iraqi crackdown backfires, strengthens Sadrists
Reuters North American News Service
南部の石油輸出港バスラにおけるマリキ首相の民兵鎮圧作戦は、選挙を前にし
て、彼の軍隊の弱さと政敵の強さを露呈することになり、裏目に出たようにみえ
る。
ブッシュ米大統領はこの鎮圧作戦をイラクにとっての「決定的瞬間」と称賛し
たが、イラク南部とバグダッドにおける一触即発の連鎖反応を広げ、この1年間
の治安改善を無駄にしかねないリスクを生じさせた。
それはまた、多数派であるイラクのシーア派内に、マリキ政府の政治勢力とム
クタダ・サドルの支持者の間で、深い亀裂があることを露呈させた。
サドルは3月30日に、マフディ軍民兵に戦闘を中止するよう指示して、
イラク政府の治安部隊と米軍に対する対決姿勢を引っ込めた。バスラでは31日
は平穏だったと報じられたが、迫撃弾攻撃がバグダッドを揺るがした。
地方選挙が10月までに行われることになっており、2005年の選挙をボイ
コットしたサドル派と、そのライバルであるイラク・イスラム最高評議会が、産
油地域である南部およびシーア派への支配をめぐって競いあっている。
マリキ首相は25日(火曜日)に軍事作戦の視察にバスラへ跳び、さまざまな
シーア派政党と結びついた民兵と犯罪者集団に支配された無法都市(バスラ/訳
註)を「掃討する」のが目的だと述べた。
この作戦はアメリカとイギリスの高官からイラク軍が強くなった証(あかし)
だと称賛されたが、イラク軍は武装民兵を拠点から排除することができず、週末
には作戦は失速した。
イラクの国防大臣は、よく準備したにもかかわらず、部隊はこれほどの激しい
抵抗には備えていなかったことを認めた。米軍とイギリス軍が介入し、イラク軍
を支援するために空襲と砲撃を展開した。
戦闘はイラク南部の他の都市や町でもマフディ軍の激しい反撃を引き起こした
。イラクの治安部隊が米軍の助けなしでやろうとした武力衝突で、数百人が死亡
した。
イラクの国民名簿(政党の名前)に所属する穏健なシーア派の政治家イザト・
アッ・シャバンデアルは、「事態は政府を弱体化させ、国の弱さを見せつけた。
今では、イラクを統治するという国の能力は明白な疑問となった」と指摘した。
イギリスの大学で中東の政治を研究するガリス・スタンスフィールド教授は、
マリキはバスラでの軍事作戦に自分の政治的威信を賭けて、それを失った、と語
った。「マリキの威信は地に墜ちた。彼はほんとうに政府の治安部隊にそれがで
きると考えていた。しかし彼は失敗した」。
政府内のシーア派最大の政党でマリキのダーワ党と同盟を結んでいるイスラム
最高評議会は、バスラの支配をめぐって、南部の石油産業を支配しているサドル
派およびファディル党と戦っている。サドル派はマリキと最高評議会を非難し、
10月の地方選挙にむけて南部の議会で多くの議席を得るために鎮圧を目論んだ
ものだという。
皮肉なことに、サドルはこの事件によって前より強くなったかもしれない。
イラク人は次に何が起こるかと注目しているが、スンニ派ゲリラが激しく攻撃
されたあと、今度はシーア派とスンニ派の宗派主義暴力の波に襲われて、彼らは
最悪の事態を予想することに慣らされてしまった。
バスラの公務員であるジャバル・サバーンは、「今は武力衝突も武装集団も爆
発もないのは確かだが、まだ危険な情勢だ。私は政治家の言葉を信用しない」と
話した。
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http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/index.html
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※イラク・レジスタンス・レポート
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2008/04/01 (火)
[飛耳長目録 today's news list]
☆米国大使館が他所に一時避難か? カタール紙が報道
☆攻撃は減ったがグリーンゾーンは砲撃される
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☆★米国大使館が他所に一時避難か? 2008/04/01
US Embassy moving elsewhere.
イラク情勢ニュース 速報&コメント 4月1日
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昨日(2008年3月31日)のアラブリンクに、たいへん興味深い記事が紹
介されていた。カタールの新聞が報じたもので、警備関係者の発言として、米国
大使館は攻撃を避けるために一時的に別の場所に移転することに決めた、という
。さらにアラブリンクは、最近のグリーンゾーンへのとケット弾攻撃は、一般に
はすべてマフディ軍によるものと報道されているが、特に29日以後のロケット
弾攻撃はイスラム軍によるものだという声明に言及している。以下にその内容を
紹介する。
※アラブリンク 2008年3月31日
US Embassy moving elsewhere. Sunni group claims GreenZone attacks
http://arablinks.blogspot.com/2008/03/report-us-embassy-moving-elsewhere.html
カタールの新聞アル・アラブは今朝の1面に次の記事を載せた。
「ある軍関係者が秘密情報を明かした--ここ数日、米国大使館は連続してロ
ケット弾攻撃を受け、アメリカ人職員多数の死傷者が出たために、駐イラク米国
大使リャン・クロッカーは(現在は)バグダッドのグリーンゾーンにある米国大
使館の場所を変えることに決めた、というものだ。」
「グリーンゾーンの入口を警備するファイサル・アル・アサフィ司令官は、ア
ル・アラブ紙に、クロッカー米国大使が29日夜、バグダッド大使館の場所を変
え、一時的にグリーンゾーン内から別の場所に移動するとという指示を出した、
と語った。移設先については同司令官は特定しなかった。」
「彼の話では、さらにロケット弾攻撃が続くことを恐れて、高官と外交スタッ
フ数十人が大使館の荷物を西バグダッドの新たな場所に移した。移動は一時的な
もので、(米およびイラク)合同軍がグリーンゾーンへのロケット弾攻撃を止め
させる狙いがあるとし、さらにイギリスとオーストラリアの大使館も数時間内に
同じ決定をおこなうだろうと指摘した。」
「アサフィ司令官はまた、外国大使館とイラク政府の事務所、そして多くの大
臣と国会議員の住居を正確に狙った攻撃が続いたので、多くの議員と大臣はグリ
ーンゾーン内の宿舎を空っぽにした、と話した。」
アル・アラブ紙の記者は、攻撃が始まってからは、アメリカ高官はアル・アラ
ブ紙などにビデオ機材のグリーンゾーン持ち込みを禁止し、また損害場面の写真
をとることも一切禁止していると書いている。
アル・アラブの記者は、それでも、すべてのロケット弾攻撃をマフディ軍によ
るものと想定している。しかし<Road to Iraq>は、スンニ派のレジスタンス組織
イスラム軍が、今朝(31日)の攻撃も含めて、3月29日(土曜日)以降のグ
リーンゾーンへの攻撃はすべて自分たちが実行したという声明を公表している、
と指摘する。
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☆★攻撃は減ったがグリーンゾーンは砲撃される
イラク情勢ニュース 速報&コメント 4月1日
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イラク政府軍(および米・英軍)のマフディ軍攻撃については、これからもさ
まざまに評価が出てくると思われる。<イラク情勢ニュース>でも評価・分析を
まじえて事態の推移を伝えてきた。今回は客観性も確保しておくために、3月3
1日付のロイター通信の「イラクの鎮圧作戦は裏目に、サドル派を強める」と題
する論評(要旨)を紹介する。
Iraqi crackdown backfires, strengthens Sadrists
Reuters North American News Service
南部の石油輸出港バスラにおけるマリキ首相の民兵鎮圧作戦は、選挙を前にし
て、彼の軍隊の弱さと政敵の強さを露呈することになり、裏目に出たようにみえ
る。
ブッシュ米大統領はこの鎮圧作戦をイラクにとっての「決定的瞬間」と称賛し
たが、イラク南部とバグダッドにおける一触即発の連鎖反応を広げ、この1年間
の治安改善を無駄にしかねないリスクを生じさせた。
それはまた、多数派であるイラクのシーア派内に、マリキ政府の政治勢力とム
クタダ・サドルの支持者の間で、深い亀裂があることを露呈させた。
サドルは3月30日に、マフディ軍民兵に戦闘を中止するよう指示して、
イラク政府の治安部隊と米軍に対する対決姿勢を引っ込めた。バスラでは31日
は平穏だったと報じられたが、迫撃弾攻撃がバグダッドを揺るがした。
地方選挙が10月までに行われることになっており、2005年の選挙をボイ
コットしたサドル派と、そのライバルであるイラク・イスラム最高評議会が、産
油地域である南部およびシーア派への支配をめぐって競いあっている。
マリキ首相は25日(火曜日)に軍事作戦の視察にバスラへ跳び、さまざまな
シーア派政党と結びついた民兵と犯罪者集団に支配された無法都市(バスラ/訳
註)を「掃討する」のが目的だと述べた。
この作戦はアメリカとイギリスの高官からイラク軍が強くなった証(あかし)
だと称賛されたが、イラク軍は武装民兵を拠点から排除することができず、週末
には作戦は失速した。
イラクの国防大臣は、よく準備したにもかかわらず、部隊はこれほどの激しい
抵抗には備えていなかったことを認めた。米軍とイギリス軍が介入し、イラク軍
を支援するために空襲と砲撃を展開した。
戦闘はイラク南部の他の都市や町でもマフディ軍の激しい反撃を引き起こした
。イラクの治安部隊が米軍の助けなしでやろうとした武力衝突で、数百人が死亡
した。
イラクの国民名簿(政党の名前)に所属する穏健なシーア派の政治家イザト・
アッ・シャバンデアルは、「事態は政府を弱体化させ、国の弱さを見せつけた。
今では、イラクを統治するという国の能力は明白な疑問となった」と指摘した。
イギリスの大学で中東の政治を研究するガリス・スタンスフィールド教授は、
マリキはバスラでの軍事作戦に自分の政治的威信を賭けて、それを失った、と語
った。「マリキの威信は地に墜ちた。彼はほんとうに政府の治安部隊にそれがで
きると考えていた。しかし彼は失敗した」。
政府内のシーア派最大の政党でマリキのダーワ党と同盟を結んでいるイスラム
最高評議会は、バスラの支配をめぐって、南部の石油産業を支配しているサドル
派およびファディル党と戦っている。サドル派はマリキと最高評議会を非難し、
10月の地方選挙にむけて南部の議会で多くの議席を得るために鎮圧を目論んだ
ものだという。
皮肉なことに、サドルはこの事件によって前より強くなったかもしれない。
イラク人は次に何が起こるかと注目しているが、スンニ派ゲリラが激しく攻撃
されたあと、今度はシーア派とスンニ派の宗派主義暴力の波に襲われて、彼らは
最悪の事態を予想することに慣らされてしまった。
バスラの公務員であるジャバル・サバーンは、「今は武力衝突も武装集団も爆
発もないのは確かだが、まだ危険な情勢だ。私は政治家の言葉を信用しない」と
話した。
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