【パリ=梁田真樹子】フランス国民議会(下院、定数577)は4日、最大勢力の野党・左派政党連合が提出したミシェル・バルニエ首相の内閣に対する不信任動議を賛成多数で可決した。仏国民議会で不信任動議が可決されたのは1962年以来。バルニエ氏は5日にもマクロン大統領に辞表を提出する。9月下旬に発足したバルニエ内閣は、3か月足らずで総辞職する。
不信任動議は、これまでバルニエ内閣に容認姿勢を取っていた、極右の流れをくむ第3勢力の国民連合(RN)が賛成に回ったことで、過半数を大きく上回る331票で可決された。
今年6~7月に行われた国民議会選挙の結果、マクロン氏が率いる中道の与党連合は第2勢力に転落。マクロン氏は第4勢力の中道右派・共和党出身のバルニエ氏を首相に起用したが、与党連合と共和党の合計議席数は過半数に及ばず、バルニエ氏は難しいかじ取りを求められていた。
国民議会で行われていた2025年の社会保障関連予算案審議をめぐり、バルニエ氏はRNの支持を取り付けるため交渉を重ねたが、財政赤字縮小を目指すバルニエ氏に対し、RNは物価上昇に応じた退職年金の支給を主張。バルニエ氏は2日、採決を省略できる憲法規定を適用して強行採択に踏み切った。これに反発した左派政党連合が不信任動議を提出。RNも「内閣はRNを支持する有権者の声に耳を傾けなかった」(マリーヌ・ルペン前党首)などと同調した。
マクロン氏は早急に後任の首相の人選を進めるとみられる。仏大統領府は4日、マクロン氏が5日にテレビ演説を行うと発表した
仏下院 内閣不信任決議案を可決 総辞職へ 打開策迫られるマクロン氏
【12月5日 AFP】フランスの国民議会(下院、定数577)で4日、ミシェル・バルニエ首相の内閣に対する不信任決議案が賛成多数で可決された。内閣がわずか3か月で総辞職に追い込まれた事態を受け、エマニュエル・マクロン大統領は難局打開を迫られている。
バルニエ氏は2日、国民議会が来年度の社会保障予算案を支持しないことが確実になったため、議会採決抜きで法案を強行採決。緊縮予算案をめぐって対立が続く中、強硬左派が内閣不信任決議案を提出し、極右政党の支持を得て、577人中331人が賛成票を投じた。
フランスで不信任が成立したのは、シャルル・ド・ゴール大統領(当時)の下でのジョルジュ・ポンピドー内閣総辞職(1962年)以来62年ぶり。
バルニエ氏は5日午前にもマクロン氏に辞表を提出する。
大統領府(エリゼ宮)は、マクロン氏がグリニッジ標準時(GMT)5日午後7時(日本時間6日午前4時)に国民に向けて演説を行うとしている。
複数の情報筋はAFPに対し、マクロン氏は速やかに新首相を任命する意向だと明らかにした。
マクロン氏の任期は2027年まで。辞任を求める声には応じない姿勢を見せている。(c)AFP