ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は24日、マクロン仏大統領とホワイトハウスで会談する。欧米など6カ国とイランが2015年に結んだ核合意の修正が最大の焦点。核合意に強い不満を持つトランプ氏と、現状維持を望むマクロン氏の間で応酬が繰り広げられそうだ。通商分野ではトランプ政権の鉄鋼などに課す制裁関税がテーマになる見通しだ。
トランプ政権で国賓としての訪米はマクロン氏が初めて。マクロン氏は23日、「多くの不確実性や困難、脅威があるなかで今回の訪米はとても重要だ」と強調した。安全保障や通商問題を協議する考えを示した。
核合意はイランの核開発を制限する代わりにイランへの経済制裁を解除する内容。トランプ氏は核合意は「ひどい取引だ」と批判し、一定期間後にイランの原子力活動を認める「サンセット条項」の廃止や弾道ミサイル開発の制限を求めている。サンダース大統領報道官は23日の記者会見で「より良い取引がある」と指摘。欧州諸国と修正協議を続ける。
マクロン氏は22日の米テレビ番組で「代替案はない」と述べて現状維持が望ましいとの考えを示した。サンセット条項の廃止は核合意の当事者であるロシアや中国の了解が必要で現実的に難しい。ジョンソン英外相も23日、既存の核合意の修正を否定し「(合意の枠外で)補完する」と強調した。
トランプ政権は来月12日までに対イラン制裁の解除を継続するか判断する方針で独仏との協議はヤマ場を迎える。米国が合意を破棄することになれば、イランが核開発を推進し、他の中東諸国にも波及する恐れがある。
欧米はシリア情勢ではアサド政権の化学兵器の使用疑惑に対して緊密に連携し攻撃を主導してきた。焦点は過激派組織「イスラム国」(IS)の壊滅後にシリアの安定をどう維持するかだ。トランプ氏はアラブ諸国に軍事・資金面での支援を増やす案を模索。米軍の早期撤退を目指している。マクロン氏は当面の米軍駐留を説得したと主張したが、その後にホワイトハウスはマクロン氏の主張を否定した。
トランプ政権は鉄鋼とアルミニウムを対象とした報復関税で欧州連合(EU)を来月1日まで適用除外としている。マクロン氏は恒久的な適用除外と自由貿易の推進を求めるとみられる。欧州では中国の知的財産権の侵害などに警戒感が強く、協調関係を模索する見通しだ。