とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

日本文学の世界への紹介  まど・みちお篇

2008年01月24日 01時49分35秒 | 児童文学(絵本もふくむ)
 『いわずにおれない』まど・みちおのエッセーの第一章「ぼくがボクでいられる喜び」から引用
 →”まど・みちおという名前に聞き覚えがなくとも、その詩は日本人なら誰でも口ずさんだことがあるはずだ。

(ぞうさん/ぞうさん/おはながながいのね)
(しろやぎさんから おてがみ ついた)
(ふたぁつ、ふたぁつ、なんでしょうか)
(ポケットのなかには/ビスケットが ひとつ)”   


『まど・みちお詩集』より


   「どうして いつも」


              太陽
              月
              星


     
       そして
        雨
        風
        虹
        やまびこ



 ああ 一ばん ふるいものばかりが
  どうして いつも こんなに
  一ばん あたらしいのだろう


  
  「うみとそら」
  
   うみは おとうと
   そらは にいさん
   あおい あおい 
   あおい ゆめを みてる


  いつも いつも
   ふたりで  


まど・みちお(私注:『どうぶつたち』の裏表紙より引用)
 ”1909年山口県に生まれ、10才のときに家族とともに台湾に移り、そこで青春時代を過ごす。十代の頃から詩を書きはじめ、北原白秋に認められ、その影響を受けて子どものための詩と歌を作るようになる。”
 1968年詩集『てんぷらぴりぴり』が野間児童文学賞を受ける。童謡集『ぞうさん』『まど・みちお詩集全6巻』『まど・みちお童謡集』など、作品集、詩集、曲集など数多くある。川崎市在住。”
 
『どうぶつたち』のあとがきにあたる,《「ひとこと」まど・みちお(92.2.10》を全引用。
                    ↓
”この地球のうえには、無限といいたいほどのさまざまな生き物が生かされています。なんと素晴らしく有難いことでしょう。そのなかの一ぴきである人間も、おかげで夢つきない、命かがやく日日を、ここで送ることができています。
 またこのことから私たちは、間違いなくはっきりと天の声を聞くこともできています。この地球は人間だけのふるさとなのではなくて、その無限といいたいほどの生き物たちのみんなにとっての、かけがいないふるさとなのだという天の声をです。
 そしていま私は、過分の恩恵につつまれて世にでようとするこの貧しい声たちが、その天の声に響き合いますようにと、図に乗って、念じている次第です。”


 『どうぶつたち』の「あとがき」島 多代氏の要約

 日本国際児童図書評議会は、1990年国際アンデルセン賞の日本代表に、まど・みちおを推薦した。当時、まど・みちおの詩は翻訳されたものはほとんどなく、国際的に無名であった。まどさんを作家賞候補擁立は、地道な翻訳作業を通して、今後何年もかけて国際舞台で日本の子どもの文学を紹介していこうという、息の長い仕事の土台作りを意味していた。
 翻訳を皇后様にお願いすることになったのは、ご自身も歌を詠まれ、かつまた、ほとんど未開拓な詩の英訳という、地味で困難な仕事の分野で、既にいくつかの優れた作品を発表しておられたからだ。お願いした1989年の夏は、昭和から平成に時代移行があったもっともご多忙な時期だった。けれど皇后様は公務の合間の限られた時間内で、根気良くとりくんでくださった。
 やがて夏の終わり、まどさんの作品のなかから皇后様が選択、翻訳された20編の英詩が「どうぶつたち」という手つくりの小冊子にまとめられる。そしてアンデルセン国際審査委員の数だけ複製され、海外に送られた。日本の子どものための詩が、世界の児童文学者の脳裏にしっかりと刻まれたのは、これが初めてのことであった。
 日本の子どもの文学を、世界の子どもたちに紹介したいという願いは、皇后様をはじめ、多くの協力者の励ましのもとに、このような詩集として実を結んだのだ。
(私注:結果として、1994年の国際アンデルセン賞の作家賞を獲得した)


『どうぶつたち』より

  「どうぶつたち」


  いつのころから
  こういうことに なったのか
  きがついて みると
  みんなが
  あちらのほうを むいている
  ひとのいないほうを


  にじのように はなれて.........
    

 (PS:私は、まだ『イラクとアメリカ』酒井啓子著を中心に格闘中です。アフガン戦争のときと似ているような気がしています。アメリカのやりくちは、ワンパターンであるような気がしてきました。ラテンーアメリカおよび他国や「どこかの国」へのやりくちも、さては同じだったのでしょうか?)


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