とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

「ピーターラビットの絵本」シリーズ (11)

2007年02月24日 11時22分09秒 | 児童文学(絵本もふくむ)
(11)あひるのジマイマのおはなし(1908年刊)
ビアトリクス・ポター さく・え いしいももこ氏訳

         (要約)
  《あひるのひなが、めんどりを ははおやだとおもって、いっしょにいるところを見たことがありますか。とてもおもしろい、こうけいですね。
―まあ、ジマイマ・パドルダックのおはなしを おききください。ジマイマは、じぶんのいえの おんなしゅじんが、たまごを だかせてくれないのを たいへん ふまんにおもっていました。》

  《ジマイマのぎりのねえさんの レベッカは、じぶんのたまごを ほかのものにかえしてもらっても、へいきでした。「わたし、たまごのうえに28にちも すわあっているなんて しんぼうできないわ」》レベッカねえさんが、ジマイマもおなじで、きっと たまごをひやしてしまうと言うのを聞かず、いえ、じぶんのたまごは じぶんでかえしたい。きっと 1つのこらず かえしてみせるから、「くわぁ くわぁ!」と言うのでした。

 ジマイマは、じぶんのたまごを あちこちに かくしましたが いつも 見つけられ もっていかれてしまうのでした。ジマイマは とうとう がまんならず そこで いえから ずっとはなれたところで、たまごを うもうとけっしんしました。 

 はるの あるはれたごご、ジマイマはよそゆきのショールをかけ ボンネットをかぶり  おかの ばしゃみちをのぼっていきました。


  おかのちょうじょうについてみると とおくに 森が見えました。あそこならしずかでじゃまをするものもなさそうだと、思いました。

  《ジマイマ・パドルザダックは いままで あまり、そらを とんだことは ありません。けれども ショールをばたつかせながら、2,3メートル さかを、かけおり、それから くうちゅうに とびあがってみました。》

  ところが うまく ちょうしがついて みごとに とぶことができました。木のてっぺん すれすれに とんでいくと 森のまんなかに ひらけたばしょを見つけました。

  ジマイマは どすんというような音をたてて そこに おりました。《そして、すをつくるのによい かわいたばしょを よたよたと さがしまわりました。》せのたかい ジキタリスのあいだにある きりかぶは どうかしらと、おもいました。 
 でも、そのとき、はっとしました―《きりかぶには、しゃれたふくをきた しんしが こしかけて しんぶんを よんでいたのです。》
 《しんしのみみは くろくて、ぴんとつきたち、ひげは うすちゃいろでした。》
 「くわっ?」と、ジマイマは あたまとボンネットを かしげて いいました。

   《しんしは、しんぶんしのうえから、めずらしそうに じっと ジマイマを見ました。》しんしは ふといしっぽを きりかぶが しめっていたので こしのしたに しいていました。
  《このひと たいへんおぎょうぎのいい りっぱなかただわと、ジマイマはおもいました。》そこで たまごをうむのに よいばしょをさがしているのだと はなしました。

  《「ははあ、なるほど、そうでしたか!」》しんしは つくづくと ジマイマを見ました。それから しんぶんを たたんで うわぎのポケットにしまいました。
 ジマイマは、いえには よけいな おせっかいをする めんどりがいて、こまるのだというはなしをしました。
 「なるほど!そのめんどりに あいたいものだ。おせっかいは やめるように、おしえてやるのだ」

  《「しかし―たまごを だくばしょのことなら―なにも、しんぱいいりません」》「とりのはねが 大ぶくろに 一ぱいぶんもある わたしのたきぎごやが あります。おくさま、おすきなだけ、すわっておいでになってもよろしい。」
 ジマイマが しんしに ついていくと たいへん おくまったところに いんきないえが ありました。

  「これは わたしの なつのすまいです。ふゆのすまいの あなのほうは あなたに ごつごうがよくないように おもいます」
 いえのうしろには ふるい木ばこをよせあつめてつくった こわれかけのいえがありました。しんしは、そのいえの戸をあけて ジマイマをとおしました。

  《こやのなかは、とりのはねで ほとんど いっぱいで―もうすこしで、いきがつまりそうでした。でも、すわると たいへんやわらかくて、いいきもちでした。》ジマイマは あまり とりのはねが いっぱいあるので ちょっと おどろきましたが すわりごこちはよくて すぐに すをつくることが できました。

  すこしして、ジマイマが たきぎごやから出てくると、しんしは、まるたに、こしかけて しんぶんをよんで―いえ、ひろげて こやのほうを のぞいていました。しんしは、ほんとうに しんせつで ジマイマがいえに かえってしまうのをざんねんがりました。そして、たまごは、よく日まで ばんをしていてあげると いいました。しんしは、あひるのひなは、だいすきだから りっぱなたまごができたら たいへん うれしいといいました。

  つぎの日から ジマイマは、まいにち 森にやってきました。そして すのなかの たまごは9つになりました。《うすみどりいろの 大きなたまごです。》
ふしぎな しんしは そのたまごが すきでたまらず ジマイマがいなくなると、ひっくりかえして、かずをかぞえるのでした。
 《とうとう ある日、ジマイマは あすから たまごをだきはじめますと、しんしにいいました。― 「たまごをだくあいだ、すから出ないでも すむように あすは むぎ1ふくろ もってきますわ。」》りちぎもののジマイマは いいました。

  「おくさま むぎのことなら ごしんぱいなく。わたしのところに からすむぎが あります。だが、たまごをだくという たいくつな おしごとのまえに ふたりで パーティーをひらきましょう!
 おいしい オムレツをつくるには おたくのはたけから セージとタイム、それに たまねぎを2つと パセリ、これだけ もってきていただけますか?ラードは わたしが だします。オムレツにつかうラードは」


 《あひるのジマイマは おばかさんでした。たまねぎだの、セージなどといわれても、まだ、おかしいなと おもわなかったのです。》
 ジマイマは はたけをぐるぐるまわり あひるのまるやきをつくるときにつかうざいりょうを あつめました。

  《それから おかってにはいりこみと、たまねぎを2つ、かごから とり出しました。そして、そとに出ようとしたとき、ばん犬のケップにであいました。》
 ケップは、ききました。
「その たまねぎ どうしょうというんだね?このごろ まいにち どこへ ゆくんだね?」
 ジマイマは ちょっと ケップをこわいと思っていたので、いままでのことを、すっかり話してしまいました。ケップは かしこそうな あたまをかしげて、はなしをきき、しんしのようすが わかると、にやりとしました。

  《ケップは、ジマイマのいった森のことや、しんしのいえのことや、たきぎごやのあるばしょについて いろいろ くわしく ききました。》そのあと、きつねがりに使う フォックス・ハウンドの子犬を さがしに いきました。けれど、この子いぬたちは、きょうは、にくやのくるまについて、さんぽに出ていたのでした。

  《いっぽう ジマイマは、この日も、また、日のあたるおかの ばしゃみちをのぼっていきました―じつは、このみちをいくのも、きょうがさいごでしたが。》ジマイマにとって やさいのにもつは おおにもつでしたが、森をとび、とにかくも もじゃもじゃの ながいしっぽの しんしのいえのまえに おりました。

  しんしは、おちつかないようすで くんくん あたりのにおいをかいで、目をくばっていましたが、ジマイマが とびおりると ぎょっとしました。
《「たまごをしらべたら、すぐ、いえのほうへ もどってきなさい。そのオムレツにつかうやさいを わたしによこして、さあ、さっさとするんだ!」》
 しんしが こんな らんぼうにものをいったのは はじめてです。《ジマイマはおどろいて こころぼそくなりました。》

  ジマイマが たきぎごやのなかにいますと、こやのうしろで ぱたぱたというあしおとがし、だれかが、くろいはなで 戸口のしたをくんくんかいで、それから戸のかぎがしめられました。《ジマイマは たいへん こわくなりました。》

  《とおもうまに、とてもとても おそろしいものおとが きこえてきました―ほえるこえ、えものをおいつめるこえ、うなるこえ、とおぼえ、かなきりごえ、うめくこえ。》
 そのときかぎり、しんしは、どこへいったのか 見たものは ありません。

 《さわぎが すむと すぐに ケップが こやの戸をあけて、ジマイマをそとにだしてくれました》
 ところが、うんわるく、ケップがとめるまもなく りょう犬たちが こやにふみこんで たまごを がつがつ たべてしまいました。
 ケップのみみには くいつかれたきずがあり、りょう犬たちは、びっこをひいていました。

  あひるのジマイマは たまごがなくなってしまったので なみだをながしながら、いぬたちに まもられて、いえにかえりました。

  《6月になると、また、ジマイマは、あたらしいたまごを うみました。そしてそれは、だかせてもらいましたが、4つしか、ひなが かえりませんでした。
 ジマイマは、ひなが ぜんぶ かえらなかったのは じぶんが しんけいしつになっていたからだといいました。でも、ほんとうのことをいうと、ジマイマは たまごをだくのが へたなのですよ。》

             おわり

読んであげるなら:4才から
自分で読むなら:小学低学年から
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