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為替介入でドル160円に「天井感」=伊藤・米コロンビア大教授 Takaya Yamaguchi Tetsushi Kajimoto によるストーリー • 7 時間(2024/5/2)

2024年05月02日 20時06分45秒 | 経済
Takaya Yamaguchi Tetsushi Kajimoto によるストーリー
 • 7 時間

Takaya Yamaguchi Tetsushi Kajimoto

[東京 2日 ロイター] - 伊藤隆敏・米コロンビア大教授は日本時間2日、市場で観測が広がる政府・日銀による為替介入について、「投機をたたくことで160円という水準で天井感を根付かせ、期待をコントロールしようとしている」と述べた。30、1両日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後、オンラインでロイターの取材に応じた。

外国為替市場で円安が進む中、日本が祭日だった4月29日にドル/円が急落。1日のニューヨーク市場終盤でも短時間で4円超下落し、いずれも円買い介入観測が広がった。29日の介入額は過去最大規模の5兆円以上との市場推計が出ている。

伊藤教授は円安に歯止めがかからないことについて「主な要因は日米金利差」と指摘。先月末に1ドル=160円まで進行する過程で「投機的な動きもあった。156円から160円まで1日で動いたのを見て、財政当局は為替介入に踏み切ったのではないか」と述べた。

2022年当時の為替介入は「成功した」と振り返り、「タイミングよくやれば、為替介入には効果がある」と語った。

介入原資については「潤沢にある」とした。「(200兆円ある外貨準備が)100兆円になっても日本が通貨危機に陥るわけではない」とし、「介入に資金を使ってもそれ自体が問題なわけではない」と述べた。

伊藤教授はインタビューで「コストプッシュ型のインフレは2022年から起きている」との認識も示した。

その上で「いまの円安の動きでこれ以上の急激なインフレを招く懸念は持っていない」と言及。「円安が進行しても企業は輸出メリットを享受できる。円安が進行することで景気を腰折れさせることは考えにくい」とした。

円安が進んで消費者心理が冷え込み、「消費全体が落ち込む懸念が生じた場合には、消費喚起につながる政策を含む補正予算を組むなどして対応すればよい」と述べた。

<日銀出口の道筋>

一方、伊藤教授は「金利差に反応して徐々に円安が進行していく場合には為替介入が流れを変えるのは難しい」とも語った。

「円安が継続して、インフレ率もパススルーするのであれば、年内に2回程度の利上げが選択肢になるのではないか」とし、日銀が「早ければ今秋にも追加利上げに踏み切り、年末には政策金利が0.5%となっている可能性もある」との見方を示した。

中立金利に関しては「3年から5年という中期的な中立金利は2%か、それを少し超える水準と考えられる」とした。「物価安定2%目標が成功し、実体経済も堅調な推移を続けていくなら、中期的に政策金利が2%に向かってもおかしくはない」と述べた。

追加利上げと同時に「先行き、いつ量的緩和を量的引き締めに転換するかの判断も重要になる」と説明。「(日銀は)満期償還を迎えた国債の買い替えを今はほぼ100%実施しているが、これを引き下げれば残高が減少していく。これが量的引き締めの第一歩となる」と指摘した。

量的引き締めを開始すれば「イールドカーブ(利回り曲線)が傾斜化し、長期金利は2%に向かって推移し、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)と同様の副次的効果が得られる」との考えも述べた。

(山口貴也、梶本哲史 編集:久保信博)


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