【10月7日 AFP】南仏マルセイユ(Marseille)で先週、15歳の少年が50回刺された後、生きたまま焼き殺される事件があり、衝撃が広がっている。同市ではサッカー選手が殺害される事件も起きており、検察官は6日の記者会見で、いずれも麻薬絡みとみられると語った。

  フランス第2の都市マルセイユでは貧困率が高く、麻薬関連の暴力事件が多発している。昨年の関連死者数は過去最多の49人に上った。

 市内の麻薬密売人は、SNSで犯罪の実行犯役を募り、若者たちに「外注」して路上での薬物取引を行わせている。

 ニコラ・ベソーヌ(Nicolas Bessone)検事は、若者たちは今や「良心の呵責(かしゃく)を感じることなく」殺人にも手を染めるようになっていると指摘。暴力事件の被害者と加害者の若年化が進んでいると警鐘を鳴らした。

 15歳の少年は、ギャング「DZマフィア(DZ Mafia)」の構成員を自称している受刑者(23)にSNSを通じて2000ユーロ(約33万円)で雇われ、対立するギャング構成員の自宅ドアに火をつけて脅すよう指示されていた。

 少年は実行を試みた今月2日、対立するギャングに発見され、ベソーヌ氏によれば50回刺された。また「検視の結果、生きたまま焼かれたことが分かった」という。

 少年に指示した受刑者は報復として、SNSで新たに14歳の少年に、対立するギャングのメンバーを殺害するよう持ち掛け、5万ユーロ(約820万円)の報酬を約束。

 ベソーヌ氏によると、この少年は友人と共にタクシーに乗り、「ここで降ろして、自分たちが戻るまで待っていてほしい」と頼んだところ、運転手は拒否。その後、少年が「運転手の後頭部を銃で撃った」とみられている。

 殺害されたネシム・ラムダン(Nessim Ramdan)さん(36)はサッカー選手で、家族を養うために個人タクシーの運転手としても働いていた。

 少年を雇った受刑者が警察に通報し、少年は身柄を拘束された。ラムダンさんへの発砲を認めたものの、誤射だと主張しているという。(c)AFP/Sandra LAFFONT