伊藤純夫、藤岡徹
2020年7月6日 18:55 JST
更新日時 2020年7月7日 14:20 JST
地公体向け証貸債権の活用は1割程度、担保化の前向き検討を-文書
金融機関から担保拡充の要望も、日銀は現時点で慎重-関係者
金融機関が保有する地方公共団体向けの証書貸付債権(証書形式の銀行等引き受け地方債)を日本銀行担保として積極的に活用するよう、総務省が金融機関や地公体に対して働き掛けを始めたことが分かった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、資金繰りに苦しむ地域の中小企業への金融機関の支援強化や、地方債の日銀担保としての活用ニーズに対応することが狙い。
地公体向けの証貸債権は、2019年6月の金融政策決定会合で担保要件が大幅に緩和されて以降、担保残高は着実に伸びているものの、日銀に担保として差し入れる際に地公体の承諾が必要になるなど手続きの煩雑さもあり、十分に理解の浸透や活用が進んでいなかった。
総務省が今月1日に地方銀行協会と第二地方銀行協会に通知した文書をブルームバーグが入手した。それによると、日銀の適格担保の対象になり得る地公体向けの証貸債権の残高は「15兆ー20兆円程度存在する」ものの、日銀の発表では、今年6月末現在の受け入れ残高は額面ベースで1兆7302億円と1割程度にとどまっている。
こうした実態を踏まえて文書では、金融機関に対して「地方公共団体と密なコミュニケーションを図り、地方債の適格担保としての活用を前向きにご検討いただきたい」としている。日銀とも連携して取り組んでおり、今後、都銀や信用金庫など他業態に加え、全国の都道府県や政令指定都市を中心とした地公体にも幅広く働き掛けを行う方針だ。
日銀は、新型コロナの感染拡大への影響に対応するため、企業の資金繰り支援策を相次いで打ち出しており、5月の臨時の金融政策決定会合では政府の緊急経済対策における無利子・無担保融資に連動した新たな貸付制度の導入を決定した。
日銀は、新型コロナの感染拡大への影響に対応するため、企業の資金繰り支援策を相次いで打ち出しており、5月の臨時の金融政策決定会合では政府の緊急経済対策における無利子・無担保融資に連動した新たな貸付制度の導入を決定した。
同制度は地方債を含む「共通担保」で利用可能。地方債を担保として一段と活用することで、地域の中小企業などに対する金融機関の支援余力が増すことになる。日銀は3月に導入を決めた民間債務を担保とした貸付制度と合わせて「新型コロナ対応特別オペ」として約90兆円の資金枠を用意しているが、担保の問題などで利用が進まなければ制度の有効性が問われかねない。
総務省自治財政局地方債課の高木健司調査員は、「地方債を担保として積極的に活用し、日銀から資金供給を受けることで、資金の流れが一層円滑化される。金融機関の引き受け余力が向上し、今年度増発が予定されている地方債の安定消化や地域経済の活性化にもつながることが期待できる」と意義を強調している。
担保拡充要望
複数の関係者によると、日銀はコロナ対応特別オペなどを利用しやすい制度とするため、金融機関からのヒアリングを進めている。日銀が大規模な国債買い入れを続けてきたことで担保不足を指摘する声も多く、具体的には、既存の担保の掛け目や格付け要件の緩和のほか、金融機関が発行する金融債の適格化まで幅広い要請がある。
もっとも、関係者によると、日銀はこれまでに要件の緩和や住宅ローン債権信託受益権の適格担保化など対象拡大や要件緩和を積極的に進めており、他の主要中銀に比べても対象範囲は広く、リスクをとっている状態にあると判断している。現時点ではさらなる担保の拡充には慎重とみられ、金融機関に対して地公体向け証貸債権のように利用可能な担保の精査や理解の浸透を促していく考えだという。
もっとも、関係者によると、日銀はこれまでに要件の緩和や住宅ローン債権信託受益権の適格担保化など対象拡大や要件緩和を積極的に進めており、他の主要中銀に比べても対象範囲は広く、リスクをとっている状態にあると判断している。現時点ではさらなる担保の拡充には慎重とみられ、金融機関に対して地公体向け証貸債権のように利用可能な担保の精査や理解の浸透を促していく考えだという。
日銀と地銀協、第二地銀協にコメントを求めたが、現時点で得られていない。
(8段落目以降に日銀に関する関係者の情報などを追加して更新しました)
cargo
@cargojp·14時間
山本太郎大勝利。音喜多氏や金子勝氏などバカにしてた者達はごめんなさいしないとね
>金融機関が保有する地方公共団体向けの証書貸付債権(証書形式の銀行等引き受け地方債)を日本銀行担保として積極的に活用するよう、総務省が金融機関や地公体に対して働き掛けを始めた