昨日の夜は、神林長平の小説『小指の先の天使』を読んでおりました。
私、神林長平の小説は大好きです。
『太陽の汗』とか『天国にそっくりな星』とか『ライトジーンの遺産』とか。
火星3部作とか(あ、でも『膚の下』はまだ読んでいない)、『敵は海賊』シリーズとか、戦闘妖精・雪風シリーズとか(こちらは『アンブロークンアロー ― 戦闘妖精・雪風』がまだだ)。
『小指の先の天使』は、仮想現実世界をテーマにした短編集。SFです。
人の肉体と意識、或いは生と死、或いは神についての物語。
神林作品にはよく出てくるテーマですね。他の神林作品とクロスオーバーする描写もちらちらっと出てきたりもします。
脳だけで生きていけるかもしれないけどそれは人と呼べるのか、とか、意識だけの世界で神とは何ぞや、とか、記憶とは何? とか、考え込んでしまいました。
上遠野浩平の小説もよく似たテーマが描かれていますが、少しテイストが違いますね。
収録されていた六つの作品は、どの作品も面白かったですが、一番最初に収録されている『抱いて熱く』が私は一番よかったです。
神林作品は考察につぐ考察の繰り返しで物語が思わぬところに進んでいくってイメージがありますが、『抱いて熱く』はリリカルです。
甘く切なくそして厳しいラストでありました。
間違いなく面白かったです。