昨日の夜は、ブラジルVSオランダの試合が始まるまで、宮沢賢治の短編集『新編 銀河鉄道の夜』をぱらぱらと読み返しておりました。
『猫の事務所』は『新編 銀河鉄道の夜』の中の小編であります。
主人公は、「竈(かま)猫」という名の猫。
猫のための歴史と地理の案内所―猫の第六事務所に勤める真面目で素直で健気な猫です。
同僚の苛めを受けながらも仕事に励み続けています。
でも、風邪で事務所を休んだ次の日、かま猫は仕事を取上げられてしまいます。
社会人になってからシカトや苛めを受けるのはキツイっすよね。
(勿論、学生の頃に受ける苛めもきついっす)
むかしむかしの職場を思い出してしまいましたよ。
語り手は「みなさん、ぼくはかま猫に同情します」と述べます。
でも、私はかま猫に同情しません。
もっとしたたかに生きなきゃ、と思うのです。
生真面目な者がしたたかに生きるのは難しい事っすよね。
でも、世界は美しいものばかりではないので、少々のことでは動じず切り抜けていかねばならぬ、と思ったりするのです。
苛めやシカトを行う者は最低です。
ましてや社会人になって行う者など最低の屑です。
でも、そんな人は、ど~やってもこの世に出てくる。
ならば、そんな人からの攻撃をかわす術を身に付けておかねばならぬ、と思ったりするのです。
でも、そんな考えは間違っている、気もする。
このお話のラストは、獅子が乱入してきて事務所を廃止してしまいます。
救いは提示されません。
語り手の「ぼくは半分獅子に同感です」の言葉で物語は終ります。
うん。獅子が怒って事務所を閉鎖する気持ちは分かる。
でも、いきなり事務所の閉鎖は乱暴な話です。
確かに、「半分同感」ですね。
でも、現実に世の中で起こっている事は、こんなものか、もっと酷いものなのかも……。