昨日の夜は京極夏彦のミステリー中編集『百器徒然袋―風』を読み返しておりました。
「百鬼夜行シリーズ」の脇役の榎木津礼二郎を主役とした3話からなる中編集です。
この榎木津礼二郎は探偵だけど、調査も推理もしません。
人の記憶が見えるという能力を持つ(らしい)ので、犯人を見たらいきなり「おまえが犯人!」と指摘してしまうのです。
でも、証拠も無く推理もしないでいきなり結論を出されたら、周囲の人(&読者)は頭の中が?でいっぱいになってしまいます。
なので、『百鬼夜行シリーズ』の主役の中禅寺秋彦が説明役とまとめ役で出てきます。
中禅寺秋彦は、真実は明らかに出来るけど明らかになっても皆が不幸になるだけ―って場合には(基本的には)動けないという性格の持ち主。
対して榎木津礼二郎は事件の解決には無関心で、首を突っ込んだら事件そのものを粉々に破壊してしまう天衣無縫な変人。
中禅寺秋彦が動けない(動かない)時は榎木津礼二郎が事態を動かし、榎木津礼二郎が滅茶苦茶にしてしまう事は中禅寺秋彦が収まるところに収めてしまう。
いいコンビ。
『百器徒然袋シリーズ』は榎木津礼二郎を主役にした事で、少しおどろおどろしい『百鬼夜行シリーズ』に比べてコミカルになっています。
榎木津礼二郎ってキャラクターの滅茶苦茶ぶりは面白くて大好きだ!