羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

うしおととら 6

2015-10-03 21:58:43 | 日記
「そうだ。お前を私を操るには不適当。よって私はお前の元を去ろう。私をここに捨てて去るがよい」槍を見上げる潮。「何しろお前は馬鹿だし、短絡的だし、おせっかいだし、諦めが悪いし、頭も悪いし」後ろでとらが囁いていた。「とにかくダメだから、あははっ」潮はとらの下唇を摘まんで引っ張り、離してバチンっ! と喰らわしてやった。「だっはぁ!」仰け反るとらはすぐに潮の頭を小突きだした。潮もとらのボディを拳で連打する。「おめぇはさっさと喰われればいいんだよ!」「うるっせぇ! 紛らわしいことしやがってぇ、だぁっ!!」ドロップキックでとらを吹っ飛ばす潮。
反動で後ろに軽く飛ばされた潮はバイクに激突した。「痛ぁっ」「いい天気だなぁ」「ええ?」フェリーターミナルで潮を見ていた男だった。「よぉ」「ああ! ホントにねぇ、アハハハ」取り繕う潮。「気を付けないと、石ころだって足元すくうぞ?」「うん、ああ?! 格好いいバイクだなぁ! エンジンでっけぇ! ホイルもかっけぇ!」「バイク好きなのか?」「うんっ、俺も今に乗ってやるんだぁ。体に風をいっぱい受けてさぁ、魂まで風になれぇ!」槍をハンドルに見立てて乗った真似をしだす潮。男は笑った。「乗ってみるか?」「え? 乗りたいけど、今はいいや! 兄ちゃんも気を付けなよぉっ! こんな天気の日に怪我なんてヤだもんなっ」「ああ」潮は駆けてその場を去り、男は見送った。
バスターミナルへの坂道を下りながら、恥をかいたと頭の上のとらに文句を言う潮。「ざまぁみろっ」とらは笑ったが、『視線』に気付いた。振り返ると、牧場からさっきの男が錫杖を担いでとらを見ていた。(ワシに用か? じゃあ行ってやらぁ!)とらは男の方へ飛んで行った。「おいっ、どこへゆくんだよぉ?!」とらは応えなかった。一方、ターミナルの旭川行きのバスの車下に先回りした
     7に続く

うしおととら 7

2015-10-03 21:58:32 | 日記
婢妖達はバスに取り憑いていた。「とら! ついてきたかったら、ついて来ーいっ!!」婢妖に気付かない潮はバスに乗り込む前に牧場の方へ叫んだ。
とらはバイクの男と対峙していた。「御主人がああ言ってるぜ?」「あいつは、よく自分が餌だってこと忘れるんだ。馬鹿だからなぁ。ひょっとして、おめぇ、あれじゃねぇのか?」「ああ、俺も伝承候補者の一人さ」錫杖を構える男。「俺は秋葉流。どっちかってぇと、槍よりお前に興味がある!」笑うとら。「試してみろよぉッ!」とらは飛び掛かった。錫杖を振るい、とらに格闘戦で引かない流。とらが電撃を放つと「金克木! 金気を持って雷を克する!!」流は錫杖で雷を払った。「金属の斧が木を倒すように、金気のモノは木気に優る! 雷は木気、金気の術を知る俺には通じん!!」「そうかい、じゃあこれならどうだよぉ!!」とらは炎を吐いた。
流は跳び上がってこれを避け、落下の勢いでとらを錫杖で打ち据えた。錫杖柄が分割する構造になっており、分割された柄は杭になっていた。流はその杭でとらの左手をサイロに縫い付けた。杭に込められた念が電撃のように弾け、とらは叫んだ。「足掻くのは止せ、その鉄杭は力を奪う結界の力を持っているからな。俺達はお前についても調べ尽くしている。答えろ、なぜ蒼月潮を殺さん? お前は少なくとも2000年以上前の中国で発生した。封じられるまで、人間を恐怖の淵に陥れていたと、数々の古文書に出ている」「うるせぇッ!」とらが無理に襲い掛かると流は素早く避け、杭を錫杖で弾いてとらの両足と右手に打ち込んだ。
右手の杭を踏む流。結界が発動し、とらは叫んだ。「お前は仲間を持たず、ただ一種、一匹のみの妖怪だ。名前は字伏、長飛び丸と変わってるらしいがなぁ。それも不思議だが、お前が解放されてから、数々の戦いにおいて、
     8に続く

うしおととら 8

2015-10-03 21:58:04 | 日記
お前はことごとく蒼月潮を助けている。それは次第に他の人間に及び、ついにはお前に喧嘩を売った奴等まで助けたりしている」少しとらから距離を置いた流。「わからん。お役目様はお前にも人間の心がわかるようになったとお考えのようだ。だが、冗談じゃねえ! お前がそんなタマかよ?! 封じられるまでは凶悪な妖気で見る者を殺したお前がっ。さあ言え! お前は何を企んでいるんだ?!」とらは笑い出した。「それだけ知ってるおめぇがぁっ! ワシを化け物と呼ぶのぁ?!」縫い付けられた手足を引っ張るとら。「馬鹿な、手足が千切れるぞ?」とらは己の手足を千切った!「化け物と呼ぶかぁああ!!」喰い付こうとしてきたとらを避ける流。
「化け物っていうのはなぁっ、こういうのをいうのよぉッ!」とらは硬質化させた髪を蜘蛛の脚のようにして駆け回り始めた。「そうかよっ? なら殺してやるぜぇッ!!」流はサイロを使って跳ね、とらに錫杖で打ち掛かった。とらは吠え、髪の一房で錫杖を砕き、交錯様に流本体に髪の槍を連打して流を打ち払った。
とら髪を使って穴の開けられた手足を体にくっ付けていた。気が付く流。「手加減したな?」「ケッ、ワシに情けが有るなんて思うなよ? 何度も同じことを聞かれるのがめんどくせぇから、お前が帰って伝えろ。ワシが潮を喰わねぇのはなぁ、ふんっ。ワシは理屈なんて知らねぇ。ただ、あいつといると、退屈はしねぇな!」とらは笑って飛び去った。「退屈はしねぇだと? へっ、言いやがる」流は呟いた。
その頃、潮の乗ったバスは蛇行していた。悲鳴を上げる乗客。ハンドルは利かない! 婢妖はまだ姿を現さず、潮は動揺していた。
・・・高速展開っ! 流まで行ったかぁ。日輪も程々に剥かれ、流はやはりバター醤油味な濃い風貌。『あの女』もOPで大暴れだった。

ドラマ 松永安左エ門

2015-10-03 21:57:54 | 日記
勢いと反骨心、老体でやり切ったことは相当なもんだったが、行ったことの正しさはちょっと微妙だ。私怨じゃないか? という見方や、戦中と戦後で電力に対する認識が変わらな過ぎじゃないか? とも思えた。GHQが日本政府が再び力を持つのを嫌ってただけという見方もできる。電力解体による安定管理能力の低下と水力発電爆進は現代まで様々な災いを残してる。官だから民より優れてるという理屈は無いが、逆もまた然りだ。作中では痛みを伴うことは松永自身にも呟かせていたが、結果全部よくなった風に纏められたのは違和感を感じた。そこまで持ち上げなくても賛否両論の怪人にして快人として描いても問題無かったような気もした。
時間飛びが他の二作に比べると程々でドラマとしては見易かった。芝居もいいけど、ナレーションと秘書の解離。奥さん老けメイク拒否、はあれ? っと思ったかな。松永にどやされた役人がビビりつつ引かないところなんかはよかったね。ああいうモブが食い下がる件、結構好きだ。時代モノや時代劇、あとは大作系作品で主要人物達だけで勝手に話を進めて背景モブが操り人形みたいになってるのは敢えてそうしてる手法じゃない限り、妙だもんね。
主演が怪老人を演じるのを楽しんでいるようなのも印象的だった。