崖から落下した悟は潮の投げた槍に衣を縫い止められ、引き上げられたが意識は取り戻さない。「お兄ちゃん、どうして」純は泣いていた。「流の兄ちゃん、男って一生の内に何人の女の子の涙を止めてやれるんだろうな?」「蒼月、お前」「婢妖をぶっ倒てくるよ!」「てめぇっ! どうなるのかわかってんのか?!」潮は流を真っ直ぐ見据えた。「わかってるよ。そんなこと言ってもよっ、泣いてんじゃねぇか! あの涙見てると、ここんとこがギュウっと苦しいんだよ」自分の胸を押さえる潮。
「聞いちゃいらんねぇ、行かせねぇぞっ!」流は錫杖で打ち掛かった。振り下ろされる錫杖! それは潮の目の前で寸止めされた。潮は全く動じなかった。「待ってる奴もいるんだろうがっ」表情を変えない潮。「ケッ、やーめた。勝手に妖怪にでも何でもなっちまえ」錫杖を引き「俺がダメになったらこの槍」「やだねぇ! 俺はお古は使わねぇポリシーよ」流は背を向けた。
「ほっとけばいいのによぉ」バイクのミラーに雲外鏡が顔を出した。事態を見越した長から案内役を使わされていた。「送るぞ」雲外鏡はバイクのミラーから小さなイズナを送ってきた。「おめぇかぁ? 人間の癖に人間に憑きたいっていう馬鹿は? 俺はイズナでぇ」「俺の名前は」「うるせぇ! 人間の名前なんて誰が聞きてぇかっ」イズナは人に憑くことに特化しているという。「グズグズしてんじゃねぇ!」さっさと悟の体の中に入ろうとするイズナをとらが指で弾いた。「んがっ?!」「イズナかよ」「な、長飛び丸。やるかぁ?! は、話に聞いてた程じゃねぇなぁ!」ビビりつつ、構えるイズナ。
とらは相手にしなかった。「行くのかよ?」潮と向き合うとら。「悪ぃなとら、喰われてやれなくてよっ」潮はとらを通り過ぎ、イズナと共に駆けてゆこうとした。
2に続く
「聞いちゃいらんねぇ、行かせねぇぞっ!」流は錫杖で打ち掛かった。振り下ろされる錫杖! それは潮の目の前で寸止めされた。潮は全く動じなかった。「待ってる奴もいるんだろうがっ」表情を変えない潮。「ケッ、やーめた。勝手に妖怪にでも何でもなっちまえ」錫杖を引き「俺がダメになったらこの槍」「やだねぇ! 俺はお古は使わねぇポリシーよ」流は背を向けた。
「ほっとけばいいのによぉ」バイクのミラーに雲外鏡が顔を出した。事態を見越した長から案内役を使わされていた。「送るぞ」雲外鏡はバイクのミラーから小さなイズナを送ってきた。「おめぇかぁ? 人間の癖に人間に憑きたいっていう馬鹿は? 俺はイズナでぇ」「俺の名前は」「うるせぇ! 人間の名前なんて誰が聞きてぇかっ」イズナは人に憑くことに特化しているという。「グズグズしてんじゃねぇ!」さっさと悟の体の中に入ろうとするイズナをとらが指で弾いた。「んがっ?!」「イズナかよ」「な、長飛び丸。やるかぁ?! は、話に聞いてた程じゃねぇなぁ!」ビビりつつ、構えるイズナ。
とらは相手にしなかった。「行くのかよ?」潮と向き合うとら。「悪ぃなとら、喰われてやれなくてよっ」潮はとらを通り過ぎ、イズナと共に駆けてゆこうとした。
2に続く