退院する和枝を迎えにきた為頼は白神の秘書横井に連れられ白神の元へ行った。院内を案内するという。為頼は高価な最新機器に感心し、さらに人気のあまり無い院内に「今は診察時間じゃないんですか?」と何気なく聞いた。「うちの病院では患者さんを待たせないんです」白神は別料金でオプションを付け、利益を得てその利益で医師を多数雇い回転を早め通常料金の一般患者も待たせないシステムで院を経営していた。「どう思われますか?」「あ、素晴らしいと思います」手に負えない患者は白神の病院に紹介するとも為頼は続けた。
「和さん、お待たせしました」白神達を同伴したまま、ロビーで待っていた和枝と合流する為頼。和枝は菜見子と話していた。「お待たせしてすみません」「いえいえ」白神に恐縮する和枝。菜見子は「おはようございます」と為頼に挨拶し、白神に医大時代に為頼を知ったことを軽く話していたが、スマホにサトミからメッセージが入った。『だれ、その人たち?』上階からフードを被ったサトミが見ていた。「あの子、前にもそれでやり取りしてましたね?」為頼達も気付いた。「失礼します」患者の個人情報は話せない為、和やかな会話から一転、菜見子はそそくさとその場を去って行った。
その夜、とあるアパートで高齢の男の胸に刺さった包丁の柄から中年の男が震えながら手を離した。中年の男はちゃぶ台の上の封筒を手に取ると外へ飛び出した。男は転がるように階段を駆け降り、通り掛かった女に激突した。「何?!」男は女に構わず、落とした封筒を拾い、走り去って行った。翌日、ネットで『診断学』を検索し権威として久留米にヒットしていた早瀬は例によって仁川に小言を言われていたが「アパートで殺しですっ!」と電話を受けた太田から聞くと、現場に急行した。
被害者は山田輝久63歳。貧しい暮らしぶりの部屋。
2に続く
「和さん、お待たせしました」白神達を同伴したまま、ロビーで待っていた和枝と合流する為頼。和枝は菜見子と話していた。「お待たせしてすみません」「いえいえ」白神に恐縮する和枝。菜見子は「おはようございます」と為頼に挨拶し、白神に医大時代に為頼を知ったことを軽く話していたが、スマホにサトミからメッセージが入った。『だれ、その人たち?』上階からフードを被ったサトミが見ていた。「あの子、前にもそれでやり取りしてましたね?」為頼達も気付いた。「失礼します」患者の個人情報は話せない為、和やかな会話から一転、菜見子はそそくさとその場を去って行った。
その夜、とあるアパートで高齢の男の胸に刺さった包丁の柄から中年の男が震えながら手を離した。中年の男はちゃぶ台の上の封筒を手に取ると外へ飛び出した。男は転がるように階段を駆け降り、通り掛かった女に激突した。「何?!」男は女に構わず、落とした封筒を拾い、走り去って行った。翌日、ネットで『診断学』を検索し権威として久留米にヒットしていた早瀬は例によって仁川に小言を言われていたが「アパートで殺しですっ!」と電話を受けた太田から聞くと、現場に急行した。
被害者は山田輝久63歳。貧しい暮らしぶりの部屋。
2に続く