羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

うしおととら 6

2015-10-17 21:04:34 | 日記
潮は驚いた。「人間のガキ! お前変な奴だったよっ。だけどな、すっごく格好いいぜ!!」「イズナ!」追おうとする潮の腕をとらが取った。「あいつはもうダメだ、行くぞ!」「離せ!! 俺はもう嫌なんだよ! 俺と関わって死ぬ奴を見るのわぁッ!!」潮はとらの手を振りほどいた。「潮!」「獣の槍ぃっ! 残りの魂、くれてやるぅううッ!!」槍は激しく発光した。「イズナぁあああっ!!」「ば、馬鹿、来るんじゃねぇ!!」「ぁああああッ!!!」槍を構え、血袴に突っ込んでゆく潮。純は悟の頭を持ち顔を近付け、念を送った! 獣の槍が血袴の胴に命中する。「うおおう、ああッ?! 獣の槍ぃいいッ!!!」血袴は砕け、射し込んできた純の念で滅せられた。イズナの尾を掴んだ潮。念の光が迫る。「逃げ切れねぇ!」「俺を助けるからっ」危ういところで、飛んできたとらが潮を掴まえ、連れて二人とも引き下げた。「ワシも付き合いいいよなぁ」とらはうんざりと呟いた。
程無く、悟は目覚めた。「お兄ちゃん」「純」純はライダースーツは着ていたが、胸元は緩かった。悟に抱き付いて泣く純。「ずっと、声が届いていたよ」「蒼月君が、潮君がとらとお兄ちゃんの中にいてくれたから」「彼らはどこだ?!」「まだ戻ってない」流の応えに、拳を握る悟。「私は嫉妬していたに違いないっ。突け込まれてしまったんだ! こんな私の為に、命まで懸けてくれたのにっ」涙を溢す悟。その涙が地に落ちると、そこから潮達が元の大きさで飛び出してきた!
「あー、疲れた」とらはボヤいた。「潮!」「ただいま、流兄ちゃん」笑って潮を抱え起こす流。「こいつぅ」乱暴に潮の頭を撫でる流。「お兄ちゃん、八つの時、助けて貰ったこと、覚えてる? あの時、叫ぶつもりじゃなかった。ずっと言いたかったの、ありがとうって」悟は純の頭に手を置いた。「ずっと昔から、聞こえてたさ」
     7に続く

うしおととら 7

2015-10-17 21:04:24 | 日記
純はまた泣いた。「潮、お前言ったよな? 男って一生の内に何人の女の子の涙を止められるんだろうって。おめぇならきっと、望んだ数だけなぁっ!」流は潮の頭を抱え込んで笑い掛けた。潮も笑っていた。「獣の槍の伝承候補者だが、俺は降りるわ。俺がその槍を操るより、お前らを見てた方が気持ちいいからなぁ」流が清々しく言ったその時、激しく、流にも聴こえる程獣の槍は鳴り出した。驚く流。「ウウウッ、ウガアアアアっ!!」四つん這いになる潮。全身から獣の毛が生え出し、うねる。髪の質も何かの『尾』のように見えた。妖気が溢れる。「まさか」純に手当てを受けるイズナに気を取られていたとら。「これは?!」手が出せない流。「ウエアアアッ!!」潮の目が獣の目に変わった。「でぇええええッ!!!」牙を剥き出し、潮は『獣』に変わり果てようとしていた。
・・・ラストカット凄い顔だな。NHKのヤツ見た後だと、これも描く時、大変だったんだろな、と。あとは、イズナの前足と尻尾の仕様が独特なのを見て思い出したわ。特にあの前足。そうだったそうだった。あいつの前足伸びたり縮んだりするんだよね。

孤独のグルメ 1

2015-10-17 21:04:14 | 日記
西荻窪にやってきた五郎。小柄だが筋肉質の大学の先輩に頼まれ絨毯を選びに来たのだが、店内でも編んでいるペルシャ絨毯屋に着くと先に来ていた随分年下の先輩の再婚相手が『なぜ、新居の絨毯を他人に選らばせるのか?』と怒り出し、先輩に長々と説教し出した為、五郎は慌てて退散した。
(あ~、気まずかった)取り敢えず腹が減ったのでメシ屋を探す五郎。駅近くに引き返すが南口は呑み屋だらけ、下戸はお呼びでない。一本奥の通りに入ってみる五郎。しばらく歩き、空振りかと思っているとかなり小さなモロッコ料理屋『タムタム』を見付けた。美人が一人で切り盛りしている。オーダーを済ませると、最初に来たのは砂糖入りジャスミン茶がポットできた。容器はガラス。おそらく緑茶も使っている。(モロッカンっ感じ。ああ、胸に草原、広がるはコレ)気に入った五郎。
飲んでる内に客が入り始め、一人で対応する店主を五郎が心配しているとバイトの中東っぽい娘がふらっと現れ、手伝い出した。五郎が安心したところでハリラスープのハーフがきた。豆やジャガイモのペーストや香菜の入ったオフクロの味らしい。「いただきます」匙で口に運ぶ。(このスープ、いいぞっ)お爺ちゃんみたいな顔になる五郎。次にきたのはブリック。半熟卵の入ったモロッコ揚げ春巻き。ジャガイモ、香菜、柑橘果汁、等も仕込まれている。「手で食べた方が美味しいですよ」バイトの子に言われるまま手掴みでバリッとかじる五郎。(ウヒャー、たまらんっ)これも気に入った五郎。
あっという間に平らげていると、タジンでラム肉のハンバーグがきた。モロッコパン、スパイス入り。と、フムス、ひよこ豆のペースト料理。も添えられた。ラムハンバーグを口にする五郎。(ほんのり甘い。俺の中のハンバーグ観が解体、再構築されてゆく)パンにフムスを塗って食べてみる。
     2に続く

孤独のグルメ 2

2015-10-17 21:04:03 | 日記
(んんっ、コイツもいい)悪くないらしい。
ここで、さらに客が増えるとバイトの子がさっさとエプロンを外し、奥に引っ込み、上着を着ながら出てきた。(え? ここで帰っちゃう?)五郎は食べながら驚いたが本当に帰ってしまった。と、よく似た娘が入ってきた。(あっ、戻ってきた。ん? 顔が違う)「ママ、マリアは?」似た娘が店主に聞くと「帰っちゃったのよ、お姉ちゃんに任せるって」と答えた。母子で営んでいるようだ。(なるほどねぇ)何やら感心しながら、モロッコパンを頬ぼる五郎。
最後は野菜のクスクス。クスクスは小麦のそぼろパスタ。蒸し野菜? に何かのソースが掛かっている。ハリッサ、蒸し唐辛子を油ニンニク香草等と混ぜたスパイス。も「お好みで」と店主が勧めた。締めらしいと食べ出した五郎はハリッサを使ってみた。(胃袋に程好い刺激。白い御飯を神とする俺だけど、有りだなぁ)モリモリ食べる五郎。綺麗にクスクスを食べ終え(最後はハリラで)とスープを飲み干し、タムタムでの食事を終えた。「ごちそうさまでした」「お気をつけて」「おやすみなさーい」母子に見送られ、五郎はやや遠い、駅へと去って行った。