互いに唇を寄せようとした、その時「高嶺君」父が部屋に来て、弾かれたように体を離し、二人とも寝たフリをした。「冷えちゃったから、熱燗でもどう? 寝ちゃったの?」父がのそのそと出てゆくと「潤子さん、続きを」「実家だからダメですっ」やはり拒否された高嶺。二人は大人しく、ラブラブペア布団で眠りに就いた。
翌朝、桜庭家ではまだ怒っていた母が実家に帰る騒動等もあったが、一橋寺では天音が不動産業者? 等を寺に招き入れ、不穏な動きを始めていた。寺田は潤子の洗濯物を畳みながら『潤子』と呼ぶ練習する高嶺の元を訪ね、事態を知らせた。「あの子のことを、兄の私が信じなくて、誰が信じてやれるんです」高嶺はあくまで天音の善心に信じているようだった。
「なぁ、桜庭」「うん?」「いや、ごめん。何でもない」英会話教室を辞め、ニューヨークに転勤するという三嶋は笑って済ませ、最後まで想いを伝えなかった。
高嶺は一橋寺に来ていた。天音と再び対峙する。「何を企んでいるのです?」「何のことでしょうか?」「嘘は決して許しませんよ」「女の家で惚けている人のは関係無いでしょう? 今すぐ潤子さんを捨てて、寺に戻ってくる覚悟はあるんですか?」天音に歩み寄る高嶺。「私は、一橋寺も潤子さんも諦めません」天音を見詰める高嶺。笑みを作る天音。「ニューヨークかぁ」職場で潤子が考え込んでいると、ひばりが多数の僧を引き連れ乗り込んできた。「ご、ご無沙汰しております」「一言ぐらい、ご挨拶頂いても、よかったんじゃないの?」「すいませんでした、先日から」「素晴らしい所で働いてらっしゃるのねぇ、とってもお似合いだわ。あなたの大好きな、ニューヨークみたいねぇ。フッ」振り向くひばり。「あなたはこちら側の人間。あたくしと高嶺は、生きてる世界が違うの。あなたがどれだけ努力しても、
7に続く
翌朝、桜庭家ではまだ怒っていた母が実家に帰る騒動等もあったが、一橋寺では天音が不動産業者? 等を寺に招き入れ、不穏な動きを始めていた。寺田は潤子の洗濯物を畳みながら『潤子』と呼ぶ練習する高嶺の元を訪ね、事態を知らせた。「あの子のことを、兄の私が信じなくて、誰が信じてやれるんです」高嶺はあくまで天音の善心に信じているようだった。
「なぁ、桜庭」「うん?」「いや、ごめん。何でもない」英会話教室を辞め、ニューヨークに転勤するという三嶋は笑って済ませ、最後まで想いを伝えなかった。
高嶺は一橋寺に来ていた。天音と再び対峙する。「何を企んでいるのです?」「何のことでしょうか?」「嘘は決して許しませんよ」「女の家で惚けている人のは関係無いでしょう? 今すぐ潤子さんを捨てて、寺に戻ってくる覚悟はあるんですか?」天音に歩み寄る高嶺。「私は、一橋寺も潤子さんも諦めません」天音を見詰める高嶺。笑みを作る天音。「ニューヨークかぁ」職場で潤子が考え込んでいると、ひばりが多数の僧を引き連れ乗り込んできた。「ご、ご無沙汰しております」「一言ぐらい、ご挨拶頂いても、よかったんじゃないの?」「すいませんでした、先日から」「素晴らしい所で働いてらっしゃるのねぇ、とってもお似合いだわ。あなたの大好きな、ニューヨークみたいねぇ。フッ」振り向くひばり。「あなたはこちら側の人間。あたくしと高嶺は、生きてる世界が違うの。あなたがどれだけ努力しても、
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