羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

5→9~坊さん~ 6

2015-12-02 21:09:46 | 日記
互いに唇を寄せようとした、その時「高嶺君」父が部屋に来て、弾かれたように体を離し、二人とも寝たフリをした。「冷えちゃったから、熱燗でもどう? 寝ちゃったの?」父がのそのそと出てゆくと「潤子さん、続きを」「実家だからダメですっ」やはり拒否された高嶺。二人は大人しく、ラブラブペア布団で眠りに就いた。
翌朝、桜庭家ではまだ怒っていた母が実家に帰る騒動等もあったが、一橋寺では天音が不動産業者? 等を寺に招き入れ、不穏な動きを始めていた。寺田は潤子の洗濯物を畳みながら『潤子』と呼ぶ練習する高嶺の元を訪ね、事態を知らせた。「あの子のことを、兄の私が信じなくて、誰が信じてやれるんです」高嶺はあくまで天音の善心に信じているようだった。
「なぁ、桜庭」「うん?」「いや、ごめん。何でもない」英会話教室を辞め、ニューヨークに転勤するという三嶋は笑って済ませ、最後まで想いを伝えなかった。
高嶺は一橋寺に来ていた。天音と再び対峙する。「何を企んでいるのです?」「何のことでしょうか?」「嘘は決して許しませんよ」「女の家で惚けている人のは関係無いでしょう? 今すぐ潤子さんを捨てて、寺に戻ってくる覚悟はあるんですか?」天音に歩み寄る高嶺。「私は、一橋寺も潤子さんも諦めません」天音を見詰める高嶺。笑みを作る天音。「ニューヨークかぁ」職場で潤子が考え込んでいると、ひばりが多数の僧を引き連れ乗り込んできた。「ご、ご無沙汰しております」「一言ぐらい、ご挨拶頂いても、よかったんじゃないの?」「すいませんでした、先日から」「素晴らしい所で働いてらっしゃるのねぇ、とってもお似合いだわ。あなたの大好きな、ニューヨークみたいねぇ。フッ」振り向くひばり。「あなたはこちら側の人間。あたくしと高嶺は、生きてる世界が違うの。あなたがどれだけ努力しても、
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5→9~坊さん~ 7

2015-12-02 21:09:36 | 日記
私はあなたを認めません。高嶺と別れなさい」笑みを浮かべ、ひばりは僧達を引き連れ、去って行った。
「大丈夫か?」別室で潤子が落ち込んでいると清宮が様子を見に来た。「ありがとうございます」礼を言っていると、潤子のスマホに着信が入り、潤子は病院に急行した!「もうヤダ、お父さん」病室で文句を言う寧々。父が痔の緊急手術を受けていた。母は元々痔持ちの父のことなので見舞いに来ず「冷たいなぁ」と父は落胆していた。
一橋寺では堂の中を一人でぼんやり見ていた天音の傍を香織が通り掛かっていた。足早に去ろうとする香織。「そんな嫌わんといてぇや、傷付くやん。そんなに兄さんのことが好きなんか?」「はい」笑う天音。「それでいい、兄さんのモノは俺が全て奪って、ぐっちゃぐちゃにして捨ててやるッ!」香織に迫る天音。香織の肩を掴むと、強引にキスをした。突き飛ばして引き離し、天音の頬を打って香織は小走りに去った。殴られたまま動かない天音。香織は天音から離れると、廊下の壁に寄り掛かるように座り込み、手の甲で唇を拭って、泣き続けた。
二人で家に帰り、高嶺と潤子は夕飯にカップ麺を用意していた。カップ麺が始めてだという高嶺はカップ麺に興味津々で蓋を開けたり閉めたりしていた。ひばりの『住む世界が違う』という話を思い出す潤子。「どうされました?」「何でもない」「嘘は嫌いです。私にできることなら、何でもして差し上げます」潤子は高嶺の胸にそっと額を当てた。「潤子さん」目が合う二人、唇を寄せようとするとカップ麺のクッキングタイマーが鳴り出し、顔を離す二人。アラームを止め、再びキスしようとすると、今度は高嶺がコロッケを暖めていたレンジがチンっと鳴り、苦笑する潤子。「何か、いつも私達こうなるね。神様がダメって言ってるのかな?」「神様も仏様も、そのようなことは仰いません」
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5→9~坊さん~ 8

2015-12-02 21:09:22 | 日記
潤子は高嶺の目を見てから肩口に抱き付いて「このままでいい。もう少しいさせて」高嶺に身を預けていた。
「おっ、ペアのマフラー! 熱々だね」朝、ペアマフラーを巻いて父の見舞いにゆくと商店街の人々も来ていた。母からは父に『おだい痔に。痔エンド』とメールが来ており、二人の間では仲直りの合図らしく、こちらも片付きそうだった。病室で高嶺に「行ってらっしゃいませ」と手に手を添えられて弁当を渡され潤子は出勤した。すると、今度は寺田が訪ねて来た。病院では帰ろうとした高嶺は父の見舞いに来たらしい清宮と顔を合わせていた。「わたくしが潤子さんを幸せにします」「それがあいつにとってニューヨークへゆく夢を捨てることになるってわかってるんですよね? もし、桜庭を泣かすようなことがあれば、その時は俺があいつを奪います」清宮は宣言した。
カフェで寺田の話を聞いていた潤子は「寺を追い出された?」思わぬ事情に驚いていた。「高嶺がどれ程精進してきたことか。あいつは両親が亡くなってから毎日仏壇に語り掛けていました」花を替え日々努力の成果を報告していた高嶺。「高嶺にとって、一橋寺は両親との唯一の思い出の場所なんです。このままではっ」その寺では香織が代わりに仏壇の花を替えていた。
そこへ天音が来た。「知らねぇよっ、こんな奴ら。俺に取っては赤の他人だからな。赤の他人なは親父やおふくろだけじゃない、あのクソババアもッ! 兄さんばっかり可愛がって俺は京都の寺に捨てやがった! そのクセこういう時だけ利用しやがってっ!」仏壇の花を取って畳みに投げ付ける天音。捨てられた花を見る香織。「どいつもこいつも死ぬ程ムカつくわッ!!」苛立つ天音。「天音は、一橋寺を潰すつもりです。食い止められるのは、あなたしかいません。高嶺と、別れて下さい」寺田は泣いて頭を下げた。
潤子と高嶺はそれぞれ
     9に続く

5→9~坊さん~ 9

2015-12-02 21:09:12 | 日記
相手のことを一日想い、家に帰った。部屋で二人になる。「星川さん、大事な話があります」差し向かい、寺田から全て聞いたことを伝える潤子。「どうして黙ってたんですか?」「心配を掛けたくなかったので」「私達、付き合ってるんですよね? 心配掛けて下さい。心配したいんです。それが、『付き合う』ということです」「そうなんですね」「お婆様もお見えになりました。生きてる世界が違うって。星川さん、私」「潤子さん。言わないで下さい。私は、あなたと別れたくありません。絶対に嫌です」「でも、私がいるとお寺に戻れないんですよね? あなたから大切な場所奪いたくないし、思い出の場所失ってほしくないんです」「潤子さん」涙を溜めて、目を伏せる高嶺。
「でもごめんなさい。私、あなたが好きです。どうしようもなく、あなたが好きです。だから別れたくないっ。ごめんなさい、どうしよう?」泣き出しそうな潤子を抱き寄せる高嶺。「やっと好きだと言ってくれましたね。私も、決してあなたと別れない」改めてキスしようとした二人だが、チャイムの音に止められてしまった。繰り返し鳴らされるチャイムに「お母さんかも?」と見にゆく潤子。「えっ?」玄関を開けると天音が入ってきた。
「ちょっと二人に相談したいことがあって」天音は笑みを浮かべて居間のテーブルに資料を置いた。手に取る二人。一橋寺の解体工事計画書だった。「あそこブッ壊してビルにすることにしたから。名前何がいい? 俺的には星川ヒルズとかがいいと」天音に掴み掛かる高嶺。「天音お前一体何を考えている?」手を振りほどく天音。「決まってるでしょう? 兄さんに復讐すんだよっ。一橋寺の全てを破壊して、兄さんに復讐するんです」高嶺と天音は対峙し、潤子は戸惑いそれを見ていた。
・・・一気に畳みにきた。やっぱ1クールで捌ける人物は3組が限度のようでもあるね。