羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

無痛 6

2015-12-17 19:59:34 | 日記
俺は、妻を失った苦しみを一生抱えて生きてゆく。痛みは私だ。あなたは可哀想な人だ。残念です。尊敬したかったのに!」言い切ると、イバラがよろめきながら院長室に入ってきた。「イバラ君?!」為頼が駆け寄るとイバラは振り払った。「イバラ、よく戻ってくれた」動じない白神。「この病院は、素晴らしい病院です。白神先生は、素晴らしい先生です」白神に寄り掛かるように掴み掛かると、イバラは白神を銃撃で穴の空いた窓まで押した。「イバラ、お前は私の憧れだったんだ」イバラを抱き寄せる白神。
白神はイバラを床に放った。寄って、イバラの犯因症に気付く為頼。「イバラ君」「為頼先生、ありがとうございました」手を拡げる白神。イバラは白神に飛び掛かり、二人は窓ガラスを突き破って落下した。「先生早く! 下に行って応急処置をっ!」早瀬に言われても、その場を動かない為頼。早瀬は院長室から走って出て行った。風の吹き込む院長室で、為頼は動けずにいた。
後日、休診させた診療所のダイニングで和枝と朝食を取る為頼。「ま、気ままな旅もいいわよね」「うん、ご馳走様でした」食べ終えた為頼は食器を下げ「忘れもん無い?」「うん」為頼はリビングに置いたコートを着て、棚の上の写真立ての妻を一瞥し、鞄を取った。「それじゃあ」「ごめんねぇ、見送れなくて」「いいよいいよ」「気を付けてね!」「うん」「和さんも元気で」「ありがとう!」玄関から出る前に、キッチンで洗い物をする和枝に一礼して、為頼は診療所から出て行った。和枝は手を止め、堪えていたが、すぐに水を流し、洗い物を続けた。白神とイバラが落ちた場所に摘んだ花を1輪手向けるサトミ。菜見子も花束を手向けた。手を合わせる二人。「行こっか」「はい」二人は去った。
為頼は早瀬と落ち合った。「犯因症は一生治ることはないんだろう。一つわかったことがある
     7に続く

無痛 7 完

2015-12-17 19:59:23 | 日記
。お前の犯因症はお前自身にも向けられている。憎しみが、自分自身にも向いてしまったんだ。それを抱えて、それでも刑事として生きてゆくのか?! 決めるのはお前自身だ」去ろうとする為頼。「先生! 俺は、刑事を続けます」為頼は早瀬の肩を強く叩き、去った。それから、田舎の二両編成電車に為頼は乗っていた。赤子連れの母親が、泣き止まない子供に困っていた。キーホルダーの結婚指輪は鞄に付けられている。為頼はずっと、赤子の泣き声を聞いていた。
・・・未処理の筋が多かった分、元々多かった台詞による解説を一気にぶっ込まれていた。結局全部は処理仕切れなかった。改編や39条の処理なんかもね。探偵役になりきれない為頼はちょっともったいない印象だったかな? イバラのビジュアルと、大暴れした菜見子の元患者の女やサトミは印象的だった。