かな課題を書き始める方が増えてきました。
まずは、小筆の取り扱いから。
筆は販売する時、見栄えを良くする為に、毛を糊で固めてあります。
和翠塾では写経を書く『写巻』と『一号筆』は
※中国製筆なので細い方から一号
※日本製筆は太い方から一号
その、筆先だけおろして使っています。
この方法であれば、写巻では繊細な写経を書くのに最適です。
そして小筆なら、潤渇の差を出しやすくなり、よりかなの表現をしやすくなるからです。
つまり、書く目的に合わせて、文房四宝を選び、筆先のおろし方や執筆法や腕法も臨機応変に変える事が求められるわけです。
漢字課題では、執筆法、つまり筆の持ち方は、人差し指と中指を表に出し、裏から親指で挟む『双鉤法』
腕法は脇を空けて肘をはって書く『懸腕法』でしたが、
かな課題での執筆法は、表に人差し指だけを出す『単鉤法』※双鉤法でもOK
腕法は、筆を持つ手首の付け根部分を紙につけて書く『堤腕法』です。
執筆法は変わりますが、共に筆は力を抜いて軽く持つようにしましょう。
筆を強く握って書くのは、書道パフォーマンスぐらいかな?
筆強く持つ事で肩に力が入り、身体の動きが筆先に伝わってしまいます。
10メートルぐらい長い鉄筋の先に筆をつけて、上から吊り下げていたら、鉄筋にゴルフボールが当たったら筆先は動いてしまいますよね。
でも同じ長さの鞭だったらどうでしょう?
筆先には意図的に与えた運動以外は伝わらないはずですよね。
あれ?分かりにくいですか?(^○^)
それは、追い追いお教場で、、、。
さて、小筆を買ったら筆先のおろし方に注意しましょう。
私のおすすめ方法は、濡らしたティッシュペーパーで筆先をつまみながら、ゆっくり回転させておろす方法です。
これは、二度目以降も安全に筆先を柔らかくする方法としておススメです。
昔は歯で噛んで柔らかくしたものですが、現代的ではありませんものね(^○^)
さて、墨をすりましょう。
硯の平らな『丘』の部分に、水が『海部分』に流れ落ちない程度垂らします。
墨を軽く持ち、腕の重さを利用して、前後にゆっくり動かします。
墨の中には香料が入っていて、その香りに包まれながら創造力をじっくりと駆り立てていくのが理想的です。
真っ白い紙に書く場合は、あまり濃くすらないようにしましょう。
かといって、薄墨のような薄さでは、流石に白い紙にも負けてひまいます。
模様の入った料紙は、その模様に負けないように、模様や色合いに応じて墨を選び、すり方も変えて濃さを変えていきます。
通常かなで使う墨は、松の煤を集めて作った松煙墨ですが、漢字などで使う胡麻や菜種などを燃やした煤で作った油煙墨を使う事もあります。
何事にも基本はありますが、目的に合わせて自由自在に使いこなす事が肝要ですね。
もっとも、型ができていればの『型破り』
型ができていないと『型無し』『デタラメ』になってしまうので、基本を身に付けるのが大切であることは間違いないところでしょう。
墨は数分ですれると思います。
筆先も適量おろし、墨も適量すれました。
ようやく準備が整いましたね〰
くたびれました?(^○^)
私は、写し用のお手本コピーをお渡ししています。
そのコピーを下に敷いてかな用の紙を載せ、文鎮で上部を押さえます。
小学生の頃、なぞる事と二度書きはご法度でしたよね(^○^)
もちろん、今でも清書としてはご法度です。
でも、私は稽古として常道だと考えています。
明治期に活躍なさった有名な書家先生の講話の中でも、『臨摹(りんぼ)』と言う言葉を用いて、推奨しています。
上達の成果が早く現れた方がモチベーションにつながりますから、合理的で現代的ですよね!
臨摹といっても、写すだけじゃいけません。
隣にお手本もおきましょう。
紙の下にうっすらと見える文字を筆先で追いながら、左側に置いたお手本を見て、細かいところを理解しながら書き進めていきましょう。
つまり、敷いたコピーはザックリと見て、左側のお手本で細かいところを捕捉しながら書いて行くのです。
これが、私のオススメする『臨摹』です。
さて、、、
まだあるの?
長いなぁ〰(笑)
かなを書いていくと、自然に右下に流れていきます。
これは文字の左上から始まり右下で終わる構造と、それを繋ぐ連綿線の『ウザさ』(^○^)を避け様とする感覚からくるものです。
日頃から漢字課題をお稽古している方々にとっては、中心をずらす行為は難しいものです。
かなは中心をずらす事も、表現のひとつに取り入れています。
流石、日本女性が創り出した書法ですね。
繊細な心模様を表現するのに、最適です。
世界一と言うか、世界唯一だと私は思っています。
誠に誇らしい文化ですね。
しかし、『臨摹』の次の段階である『臨書』初期段階で、自然な流れにするのは中々難しいものです。
そこで、コピーの上に紙を置き、ザックリとした文章の位置を濃く写るサインペンで枠を書き、それを下に敷いてお稽古する作戦に移行します。
お手本コピーの代わりに、お手本の位置枠をサインペンで書いた物を紙の下に敷いて書くのです。
この方法で書いた作品は清書として提出してかまいません。
さて、次回は今回のかな課題に即した、墨つけの分量や、墨継ぎの場所など、具体的なところに入っていきます。
お楽しみに〰