蔵書目録

明治・大正・昭和:音楽、演劇、舞踊、軍事、医学、教習、中共、文化大革命、目録:蓄音器、風琴、煙火、音譜、絵葉書

「(音楽解釈演奏講演 アンリ・ジル=マルシェックス)」 (大阪) (1931.12)

2024年08月26日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

   
  
 ジルマルセックス氏の此度の有意義な企ー音樂解釋演奏講演ーに就て一言仕度い。
 其舞臺は十六世紀より當代に至る各國の大作曲家にわたり微に入り細を穿つたものである。此方法こそ彼のコルトーが巴里、エコール、ノルマールに於て現に使ひつゝあるもので、コルトーを最もよく知れるジルマルセックス氏に依て、同方法に依る講演が我々の爲に爲される事は、何と云つても我樂壇近來の快事と云はなければならない。
 東京に於て此の企は總ゆる好樂家の非常な賞讃と感謝の内に終始したのであつた。
 今同じプログラムを以て關西の諸子に見える、少くとも音樂に愛好を持つ方ならば何人たるを問はず、智的に又情的に胸の奥深く得らる々何物かを期待する。
        -ダブリユー・エフ・シユルツー 

      
  
     第一回
    宗教的感銘により作品の解釋
  
 1. 前奏曲とフーゲ‥‥バッハ
 2. 奏鳴曲作品 百十一番ベートーヴェン
 3. 前奏曲 コーラルとフーゲ‥‥フランク
 4. 聖フランソア ド ポールの物語‥‥リスト
 5. 波にのまれたる御堂‥‥ドビュッシー
 6. 春の墓地にて‥‥セヴェラック
   
     第二回
    描寫的作品の解釋

  
  
 1. 愛らしきもの‥‥クープラン
 2. 飜へるリボン‥‥クープラン
 3. 郭公鳥‥‥ダカン
 4. 舞踏會への招待‥‥ヴェーバー
 5. 謝肉祭 作品九番‥‥シューマン
 6. グラナダの夕‥‥ドビュッシー
 7. 西の風の過行く所‥‥ドビュッシー
 8. ミンストレル‥‥ドビュッシー
 9. めぐりあひ‥‥イベール
 10. 町外れ‥‥モンプー
 11. ピアノのラグ ミュジック‥‥ストラヴィレスキー

  
 
     第三回
  
 1. 幻想曲 ハ短調‥‥モツアルト
 2. 奏鳴曲 アパシオナタ‥‥ベートーヴェン
 3. 幻想曲 ハ長調‥‥シューマン
 4. 奏鳴曲 ロ短調‥‥ショパン
 5. 第六夜曲‥‥フオレー
 6. 六つの ピアノ曲‥‥シェーンベング

  
 
     第四回
    童心の感銘に依る作品の解釋
  
 1. 幼き者の姿‥‥シューマン
 2. 百色眼鏡‥‥グッスタン
 3. ショパンの子守唄
 4. 子守唄 パームグリーン
 5. 子守唄 バックス
 6. 子守唄‥‥クラドシェタイン
 7. 子守唄‥‥トウスマン
 8. 雨の庭‥‥ドビュッシー
 9. ケークウオーク‥‥ドビュッシー
 10. 三つの永久運動‥‥プーランク

    幻想的性質の作品に就ての解釋
 
 11. メフィスト ワルツ‥‥リスト
 12. 三つの遁走調的變奏曲‥‥プロコフィエフ
 13. 夜の魅力‥‥ヴェル

  

     第五回
    民衆的感銘に依る作品の解釋
  
 1. ミセゼットとタンブリン‥‥ラモー
 2. 美しきウインの婦人への讃歌‥‥シューベルト
 3. マヅルカとポロレーズ‥‥ショパン
 4. 第二匈牙利狂奏曲‥リスト
 5. ファンタジア ベアチカ‥‥ド・ファルラ
 6. トリアナ‥‥アルベニス
 7. トナダス‥‥アルレンデ
 8. 
 9. 
 10. 羅馬尼亞舞曲‥‥バストック
 11. 露西亞舞曲‥‥ウエプリック

 
  
    コルトーの手紙
  
 コルトーの手翰(譯文)
    一九三一年五月二十八日
    巴里・アヴェニユ・アンリ・マルタン七九番地
  
  親しいヂルマルシェックス
 貴兄が一九三一年の秋、日本を巡遊して、恰度私が巴里のエコール・ノルマールで貴兄に御依賴したのと同樣な一聯の講義をする豫定だといふことを知つて私は非常に喜ばしく思ひます。佛蘭西政府も貴兄を後援するといふことは、貴兄が果しに行く仕事の意義と藝術上の重要性とを正しく立證してゐるものです
 貴兄の日本訪問、エコール・ノルマールで私が創始した敎授法を、潑剌として理解力ある日本の若い人達の前に示すことは、貴兄の實力に十分な信賴を持つてゐる私は、現在其處へ行かれない迄も、貴兄が行かれることによつて慰められます。
 年毎に私は、解釋 アンテルプレタシオン に對する私達の理想と、技術 テクニック の問題に就ての關心とが同じやうな動機のもとに如何に鼓舞され、如何に近似の精神となつて互に結びついて來たかといふことを知るやうになりました。同時に貴兄が自身、私に示してくれた多くの實證に、また敎育に對する驚くべき天禀に、滿腔の信賴を持つてゐる私は、貴兄が佛蘭西の音樂的文化を日本の紹介するために選ばれたことを慶賀せずにをられません。
 この佛蘭西の音樂的文化こそは貴兄が私に話してくれたやうに、あの偉大にして高貴なる國に於ける西洋音樂研究の近年の驚く可き發達に對して、まさに有効に寄與することが出來、また寄與しなければならないものでありませう。
        君の親愛なる  アルフレッド・コルトー

   
  
〔蔵書目録注〕
 
 上のプログラム、フランス語の部分等は省略したので、写真を参照されたい。 


「ニコライ堂復興基金募集演奏会」 日本青年館講堂 (1927.3.6)

2024年02月25日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

  

  ニコライ堂復興基金募集演奏會
  
    三月六日(日)午後二時 入場料 五圓 三圓
    日本靑年館講堂         二圓 一圓
  
   賛助出演
  
  ピアノ    カテリーナ・トドローヴィッチ夫人
  獨唱     佐藤美子
  セロ     ヨセフ・ベリエー氏 
  ヴァイオリン ヨセフ・ケーニヒ
         井上園子嬢(ピアノ)
  トリオ    前田璣氏 (ヴァイオリン)
         大村卯七氏(セロ)       
  
     曲目
  
1.三重奏 ハ短調 作品第一番ノ三  ベートーベン
  アレグロ コンブリオ
   アンダンテ カンタビレ コン ヴァリアチョーネ
    メヌエット クワッジ アレグロ  
     フイナアレ プレスティシモ
       ピアノ    井上園子嬢
       ヴィオリン  前田璣氏
       セロ     大村卯七氏 
2.獨唱
 イ.如何で君を忘れめや       クレチヤン
 ロ.スゾンよ今日は!        デリーブ
              佐藤美子孃
3.セロ獨奏
   巡禮ノ唄            グラズノーフ 
              ヨセフ・ベリエー氏
4.ピアノ獨奏
   トッカッタとフーガ       バッハータウジィッヒ
              トドローヴィッチ夫人
      休憩
5.ヴァイオリン獨奏
 イ.  セレナーデメランコリーク    チャイコフスキー
 ロ.  マズルカ            ウイニヤフスキー
              ヨセフ・ケーニヒ氏
6.  獨唱
 イ.歌劇ミニヨンより『君よ知るや南の君』 トーマ
 ロ.    同   『我は彼女の化粧室に在り』 トーマ 
              佐藤美子孃
7.  セロ獨奏
   ロシヤの唄              ラロー
              ヨセフ・ベリエー氏
8.  ソナタ ハ短調 作品第三番       グリーク
   アレグロ モルト エ アッパショナート
    アレグレット エスプレッシーヴォ アラ ローマンツア
     アレグ アニマート 
       ピアノ     トドローヴィッチ夫人
       ヴァイオリン  ヨセフ・ケーニヒ氏
  
〔蔵書目録注〕
   
  この演奏会が開かれた年は、日付と曜日等から、一九二七年(昭和二年)と推測される。
  なお、下の写真は、「御大典奉祝大音楽会」 日比谷新音楽堂 〔一九二八年〕十一月三日 新交響楽団 東京日日新聞社 にあるもの。
  
      
  佐藤美子嬢(メツオ ソプラノ)


「ザレスカ夫人 ピアノ独奏会 ショパンの夕べ」 神田青年会館 (1918.3.7)

2022年01月29日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 JADVIGA  ZALESKA
     PIANO  RECITAL
    CHOPINーEVE
     Y.M.C.A.HALL
           Kanda  Tokyo
   Thursday  March  7th  1918
            8. P. M.
  Management  “ GEKKAN - GAKUFUOFFICE
  
  PROGRAMME

    PARTⅠ

CHOPIN

  Ⅰ Ballade    GーMoll  Op. 23.
  Ⅱ Preludes  Op. 28
        (a)DesーDur  No. 15.
   (b)GーDur     No. 3.
   (c)AーDur     No. 7.
   (d)FーDur     No. 23.
   (e)BーMoll.   No.6
  Ⅲ Nocturne    FisーMoll   Op.48.   No.2.
  Ⅳ Valse           GesーDur   Op.70   No.1
  Ⅴ Etude          CーMoll   Op.10.   No.12.
  Ⅵ Scherzo       bーMoll   Op.20.

    PARTⅡ

  Ⅰ Fantasia      FーMoll   Op.49. Chopin.
  Ⅱ Dream of Love.  ‥‥‥     Liszt.
  Ⅲ Polish Song     ‥‥‥    Chopin-Liszt.
  Ⅳ Mazurka               ‥‥‥    Chopin.
  Ⅴ Bacchanal.            ‥‥‥ Chopin-Liszt.
  Ⅵ Polonaise    FisーMoll   Op.44.    Chopin.

 なお、昭和二十七年四月二十日発行の 音楽文庫38 『音樂の花ひらく頃 ーわが思い出の樂壇ー』 小松耕輔著 音樂之友社 の 大正七年 に次の記述がある。
 
 これと前後してポーランドの女流ピアニスト、ザレスカ夫人の演奏會が催されたが、夫人は仲々優秀な技倆を有し立派な音樂會であった。當日の曲目はショパンの變イ長調ポロネーズ、同じくロ短調のソナタ、スクリヤビンの前奏曲二つ、ラフマニノフのロマンス其の他、最後にはトドロヴィッチ夫人と共にアレンスキーの二臺のピアノ合奏「影繪」を演奏して多大の感銘を與えた。同夫人のショパンの夕が更に三月七日、神田靑年會舘に於て催され、これ又好評を博した。

 また、昭和十八年三月三十日發行の 『薈庭樂話』 徳川賴貞著 春陽堂書店 には次の記述がある。
 
    マダム・ザレスカ
 
 露西亞の革命騒動から逃れて、日本に亡命した多くの人の中に交って、マダム・ザレスカ( Mme, Zaleska )といふピアノを彈く婦人があった。ザレスカといふ名はポーランドの古い家柄の名であるといふことを、私は後になって東京駐在のポーランド公使パテク氏( M. Patek )から聞いた。
 私がザレスカ夫人を知ったのは、その頃屡々音樂會塲となった神田美土代町の基督敎靑年會舘で、ザレスカ夫人の演奏會が開かれた時であった。その時夫人は、ショパンの「ロ短調」のスケルツォと練習曲を數曲彈き、最後にリストの「カンパネラ」を彈いた。その演奏は非常に巧みであった。
 ザレスカ夫人は露西亞によくある婦人のやうに、音樂愛好者 デイレタント で、專門家ではなかった。敎養ある婦人が、屡々專門家程の技倆を持ってゐることは露西亞では珍しくない。ザレスカ夫人もその一人で、音樂を職業とする考へは少しもなかったであらうが、亡命の身を救はんために藝を賣って糊口を凌がなければならなかったのである。
 この演奏會ではザレスカ夫人の他にキリロフといふ聲樂家が獨唱した。どの程度の敎育を受けた人か知らなかったが、その頃日本にはあまり知られていない露西亞作曲家のグリンカとかムッソルグスキイとかグレチャニノフなどの歌を唱った。この二人の他に伊太利亞人のビヤンキといふセロを彈く靑年が演奏した。中々熱のある演奏で、大變受けてゐたやうであった。
 この演奏會の後暫くしてから、或る時上野の音樂學校のセロの敎師であったウェルクマイスター氏が、安藤幸子女史とザレスカ夫人と組んで、ピアノ・トリオを私の家で演奏したことがある。曲はチャイコフスキイの「ホ短調絃樂三重奏曲」であった。これは恐らくこの曲の日本に於ける初演であったと思ふ。
 音樂家達は、其晩は初めての手合せだと云ってゐたが、立派な出來榮えであった。演奏者も客人も大變喜んで、ザレスカ夫人などは非常にはしゃいで、傍にゐたキリロフ氏を誘って二人でニ重唱を歌ひ、歌劇「ザザ」の中の歌やオッフェンバッハのホフマン物語りの「バルカロール」などを歌った。ザレスカ夫人が歌も唱へることは其の時始めて知ったが、この二人の二重唱は上出來で、二人共これが初顔合せだと云ってゐたが、結果のよい所からその後公開の音樂會でも歌ったやうで、鎌倉で催した音樂會にはプログラムの中に入れてゐたやうである。偶然私の家で歌った合唱がよかったといふので、素人の二人が、早速入場料をとる音樂會のプログラムにその曲を仕組んだ所などは、如何にも亡命音樂家らしかった。
 ザレスカ夫人もキリロフ氏もその後の消息はとんと絶えて仕舞った。ポーランド公使から聞いた處によると、夫人はワルソーで安樂に暮してゐるといふことであるが、今度勃發した歐洲戰亂で、それも如何なったか判らない。

なお、下は、大正七年四月八日(火)の名古屋公演の宣伝ビラと思われるもの。

 露國大音樂舞踊會
  時日 四月九日(火)
   午后七時開塲
  會塲 南桑名町 千歳座
   入塲券 壹圓五拾錢、壹圓、五拾錢、參拾錢

   
  
 聲樂家   キリロフ氏
 ピアニスト ザレスカ夫人
 舞踊家   パミス夫人
 
 ▢キリロフ氏は露國前皇帝在位時代には度々帝室劇塲に聘せられたる有名なる聲樂家
 ▢ザレスカ夫人は歐洲音樂界に於て夙にピアノの天才として其名高し
 ▢パミス夫人はスパニッシュダンスを以て博く其名を知らる
 
 會員申込所 〔電話番号は省略〕
  松山町    鈴木バイオリン工塲
  南大津町   カフェー             
  榮町     丸善
  富澤町    中京堂
  鍋屋町    永昌堂
  榮町     名古屋通信社
  玉屋町    永東書店
  中央バザー内 樂器店
  東片端町   家庭倶樂部
  
 主催 家庭倶樂部


「レオポールド・ゴドウスキー氏 ピアノ大演奏會曲目」 帝国劇場 (1922.11)

2021年03月13日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 

              大正十一年十一月一日ー五日迄 毎夕七時半開演  
                   十一月三日  

  レオポールド・ゴドウスキー氏
  ピアノ大演奏會曲目 
                        丸の内 帝國劇場

   ゴドウスキー氏洋琴演奏會▼

   十一月三日
     第三日目  プログラム

 Ⅰ、交響樂的習作曲(十二曲)  シューマン作曲

     休憩  十五分

 Ⅱ、(イ)ミウゼッテとロンド  ラモー ゴドウスキイ作曲
   (ロ)タンボリン      同
   (ハ)牧歌         コレリー ゴドウスキー作曲
   (ニ)ギク         ロシリー ゴドウスキイ作曲
   (ホ)夜曲風タンヂェル   ゴドウスキイ作曲
   (ヘ)追憶           同
   (ト)田舎風のテイロール  同
   (チ音樂おもちや箱    同
   (リ)ドンキホーテの俠気  同

     休憩  十五分

 Ⅲ、(イ)即興曲 作品廿九番(變イ調)    ショパン作曲
   (ロ)即興幻想曲                同
   (ハ)夜曲 作品五十五番の一(ヘ短調)  同
   (ニ)ワルツ 作品六十四番の一(変二調) 同
   (ホ)諧譃曲 作品卅九番(嬰ハ短調)    同
   (ヘ)秋に                 モスコウスキイ作曲
   (ト)軍隊行進曲             シューベルト タウジヒ作曲
                     (終)

    天才的音樂家ゴドウイスキーを聽いて
            音樂學校敎授 弘田龍太郎

 ゴドウイスキーが、ピアニストとして、世界一流の人であることは、彼の演奏を聴いた人の話と、蓄音器とによって知ってゐたに過ぎなかった。然も蓄音器は特にピアノの演奏には、いつも不滿を感じて、何となくものたりない憾 うらみ があったのに拘はらず、それを通じて聴いただけでも、ゴドウイスキーが大藝術家であることは、認めない譯にはゆかなかった。
 私は市村座の仕事などの爲めに非常に多忙を極めてゐたので、演奏の第一日目には、出掛けられるかどうかと心配してゐたが、どんなことがあっても聽かずにはゐられない衝動を感じたので、無理に時間を拵 こしら へて聽きにいったのだった。丁度正面の左側にいい席が空いてゐた爲めに、演奏は勿論、ゴドウスキーの態度や、指の用ゐ方やペダンの使用方まで、細大漏さず注意を傾けることが出來た。
 幕が開いて現はれたゴドウスキーは、餘り身丈の高い方ではないやうに見えた。氏は先づ聽衆に向って挨拶したが、如何にも謙遜な、眞面目な、嚴格な風が見えて、その人格が奥ゆかしく思はれた。
 最初、ベートーベンのアパショナタが奏せられた。その第一の音を聽いた時、氏の持てる樂器の立派なこと、氏のタッチの極めて藝術的なのに驚嘆せずにはゐられなかった。そして甞て蓄音器を通じて聽いた氏の音樂といかに異ってゐるかを感じさせられた。
 曲の進むにつれて表はれ出る技工の完全さ、それは如何に早い音でも、個々の音が立派に藝術的價値を備へてゐた。そして氏の手は決して大きいとは見えないのに、演奏に少しも骨の折れるやうな樣子もなく、如何にも自然に、如何にも優雅に、強く弱く、その彈きこなし方には全く嘆賞の外なかった。殊にその際、氏のペダルの使ひ方の巧妙さは何人も及ばないと思った。
 由來ソナタは日本に於ては、長たらしいもので、人を倦 う ませるものとなってゐるが、氏の演奏を聽いては、倦むどころか、常に血が湧き立って來るのである。これだけでも實に偉大なものと思ふ。
 ショパンのデリケートな、尊い境地と、燃ゆるやうな藝術の薫りとは、ゴドウスキーの天才的な腕と相俟って、或は美しく咲き亂れた花のやうに、或は太洋の波のやうに、或は星の如く晃 ひら めき、或は高山の嵐の如く、吾等の胸に迫って來て恍惚境に導かれるのであった。

 上の文は、初日の感想ではあるが、大正十一年十二月一日発行の雑誌 『婦人画報』 第二百六號 東京社 に掲載されたものである。


藝術的演奏会 1~4 レオ・シロタ (1932.6~33.8)

2014年10月15日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

     

 第一回藝術的演奏会

    曲目と釈義

  昭和7年6月18日 … 於 華頂会館

    主催 アーティスティック・コンサート

  後援 大阪毎日新聞社京都支局

  △レオ・シロタ教授のレコード

 曲目

 Ⅰ ソナタ ト長調 作品三十七 … チャイコフスキイ

    モデラート
      アンダンテ マ ノン トロツポ
        スケルツオ(アレグロ)
           フイナーレ(アレグロ ヴイヴァチエ)

              (休憩十分)

 Ⅱ イ、ポロネーズ 変ホ短調    … ルビンシュタイン
   ロ、小川のほとり        … 〃
   ニ、夜曲            … 〃
   ホ、ヴァルス キャプリス    … 〃

              (休憩十分)

 Ⅲ イ、小譚詩曲          … アレンスキイ
   ロ、僧院にて          … ボロディン
   ハ、前奏曲 ト短調       … ラハマニノフ
   ニ、イスラメイ(東洋風幻想曲) … バラキレフ

 曲目釈義 中井駿二

 第二回藝術的演奏会

    曲目と釈義 (ショパン作品)

  昭和7年9月18日 … 於 華頂会館

    主催 アーティスティック・コンサート

  後援 大阪毎日新聞社京都支局

  △ レオ・シロタ教授のレコード ▽

 プログラム

 Ⅰ 前奏曲 作品二十八

   1.ハ長調  アジタート     9.ホ長調  ラルゴ        17.変イ長調 アレグレット
   2.イ短調  レント       10.嬰ハ短調 モルト. アレグロ   18.ヘ短調  モルト.アレグロ
   3.ト長調  ヴイヴアーチヱ   11.ロ長調  ヴイヴアチヱ     19.変ホ長調 ヴイヴアチヱ
   4・ホ短調  ラルゴ       12.嬰ト短調 プレスト       20.ハ短調  ラルゴ
   5.ニ長調  モルト.アレグロ  13. 嬰ヘ長調 レント        21.変ロ長調 カンタビイレ
   6・ロ短調  アツサイ.レント  14. 変ホ短調 アレグロ       22.ト短調  モルト.アジタート
   7.イ長調  アンダンテイーノ  15. 変ニ長調 ソステヌート     23.ヘ長調  モデラート
   8.嬰ヘ短調 モルト.アジタート 16.変ロ短調 プレスト.コン.フオコ 24.ニ短調  アレグロ.アパッショナート

                    (休憩十分)
 Ⅱ 譚詩曲
    
    イ. 作品二十三 ト短調  ラルゴ
    ロ. 作品四十七 変イ長調 アレグレット

 Ⅲ 1.夜曲

     イ. 作品五十五ノ第一 ヘ短調  アンダンテ
     ロ. 作品十五ノ第二  嬰ヘ短調 ラルゲット
   
   2.ヴアルス
     イ. 作品七十ノ第二  短ヘ調 テンポ.デュスト
     ロ. 作品三十四ノ第三 ヘ長調 ヴイヴァチヱ

                    (休憩十分)

   スケルツオ
     イ. 作品二十  ロ短調  ブレスト.コン.フオコ
     ロ. 作品三十一 変ロ短調 プレスト

 曲目釈義 中井駿二

 第三回藝術的演奏会

    曲目と釈義

  昭和7年11月26日 … 於 基督教青年会館

    主催 アーティスティック・コンサート

  後援 大阪毎日新聞社京都支局

 曲目

               

 1. a)プレリュートとフーガ … ニ長調 … バッハ
   b)ガボット       … ト短調 …  〃

 2.ギグー ボレロの変奏曲        … モツアルト - ブゾニ

 3.ソナタ          … ロ短調 … グラズノッフ
    アルグレロ モデラート
      アンダンテ
        アルレグロ スケルツァンド

                     (休憩)
               

 4.スケルッオ  … 変ホ短調 … ブラームス
 
 5.a)ゴンドリラ        … ルビンシュタイン
   b)マツルカ  … ニ長調  …    〃

 6.軍隊行進曲         … シューベルト - タウジッヒ

 曲目釈義

 第四回藝術的演奏会

    曲目と釈義

  昭和8年2月25日 … 於 華頂会館

    主催 アーティスティック・コンサート

  後援 大阪毎日新聞社京都支局

 曲目

 1.ソナタ … 第一 … グラズノフ
    アレグロ モデラート
      アンダンテ
         フィナーレ アレログ スケルツァンド

 2.変奏曲      … パガニニー - ブラームス

                     (休憩)

 3.クラフィーエシュテュック  … OP.11 No.2 … シエーンベルグ(本邦初演)

 4.A)ワルツ                 … ストラヴィンスキー
   B)ポルカ                 …    〃
   C)ガヴオット               … プロコフィエフ
   D)前奏曲                 … ドゥビュッシー

 5.火の踊                   … ファリア

 6.ドンファン ファンタヂ           … リスト


『ヴイルヘルム・ケンプ ピアノ独奏会』 札幌・名古屋 (1936.4)

2014年03月07日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 

 ヴイルヘルム・ケンプ ピアノ独奏会

  曲目と解説 

  昭和11年 〔一九三六年〕 4月20日(月)午後7時 於 〔札幌〕寶榮座
  主催 北海道タイムス社 市教育会 札幌音楽協会
  
  日本ポリドール蓄音機株式会社

 

  曲目

  1.a)カンタータ前奏曲 … バッハ
       ー神に謝す
    b)コーラル前奏曲  … バッハ曲・ケンプ編
       ー醒めよ、と呼ぶ聲あり

  2.ピアノ奏鳴曲 嬰ハ短調 作品27ノ2 … ベートーヴェン曲
      (月光奏鳴曲)
         アダジオ ソステヌート
           アレグレット
             プレスト アジタート

  3.a)アラベスク 作品18 … シューマン曲
    b)翺翔 作品12 … シューマン曲

  4.ピアノ奏鳴曲 ヘ短調 作品57 … ベートーヴェン曲
      (熱情奏鳴曲)
         アレグロ アツサイ
           アンダンテ コン モト
             アレグロ マ ノン トロツポープレスト

 

 ヴイルヘルム・ケンプ 
   ピアノ独奏会
 
  管絃楽 東京 新交響楽団 指揮 アウグスト・ユンケル 〔Augusut Junker〕 
  曲目と解説 

  昭和11年 〔一九三六年〕 4月26日(日)午後7時 
  於 〔名古屋〕市公会堂 

  主催 中部日本児童愛護聯盟 
  後援 名古屋新聞社 

  日本ポリドール蓄音機株式会社 22.2センチ、16頁。

  
  
  曲目 

1.a) ピアノ奏鳴曲 嬰ハ短調 作品27ノ2 ‥‥ ベートーヴェン
     (月光奏鳴曲)
      アダジオ ソステヌート
        アレグレツト
            プレスト アジタート
  
  b) トルコ行進曲 K.331 ‥‥ モーツアルト曲
     (イ長調奏鳴曲より)

2.交響曲 第八番 ヘ長調 作品93 ‥‥ ベートーヴェン曲
     アレグロ ヴイヴアーチェ エ コン ブリオ
       アレグレツト スケルツアンド
         テムポ デイ メヌエツト
           アレグロ ヴイヴアーチェ

3.ピアノ協奏曲 第五番 「皇帝」 変ホ長調 作品73 ‥‥ ベートーヴェン曲
     アレグロ
       アダジオ ウン ポコ モツソ
         ロンド アレグロ

    (日本楽器会社提供ピアノ使用)

 新交響楽団メンバー表

 

 「ヴィルヘルム・ケンプ〔Wilhelm Kempff〕」推薦の辞           伯林国立「宗教音楽」音楽院長
                 哲学博士 カール・ティール教授に依る

 ヴィルヘルム・ケンプは、現代に於ける最も特質あるピアニスト中の一人である。彼は一個の音詩人であり、その演奏によつて我々の生活にもたらすものには真に感銘深いものがあり、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスの解釈に於いて特にその著しいものがある。最も強力な独創的才能をもつ者のみが真に即興の再現芸術を生かし得るのであり、さうした者のみが真に原作家の芸術的意図を伝へ得るのである。此の意味に於いてケンプは、現代少壮ピアニスト中の最も優なる者である。と言ひ得よう。
 ケンプ自身の発展は特に彼が尊敬された名指揮者の子弟として、且つまた技術的要素以外、特にその基礎教育を施してくれた名教師の子弟として受けた音楽教育そのものからの感化、それは勿論であつたであらう、だが彼自身のもつ即興演奏的才斡の開発に基く音楽的智力の産物であつたこともまた歪めない。それはまさに驚くべき一つの事実であつた。といふのは、彼ケンプ九歳にして、音楽学校への入学試験に際し演奏したといふのがバッハの名曲『平均率ピアノ』用曲の『前奏曲と遁走曲』であつたことであり、而も彼はそれを技術的にも音楽的にも完全に弾きこなしたといふ。更にその曲を幾たびか移調して弾くことを即席に命ぜられたのであつたが、それをしも尚よく易々としてやつてのけたといふ。まだその上、與へられた主題による即興の演奏を命ぜられたが、それもまた堂々大人並みに演奏し終つたといふ。かくて彼は校内最高のクラス編入を許されたのであつた。そして着々その行程を「速歩行進曲」風に築いていつた。
 彼の公開演奏家としての経歴は、提琴家アドルフ・ブッシュとの共演に始まり、以後急速に内外到る処の大都市に於ける演奏会に出場することになつた。年を逐ふて此の少壮芸術家は特に各方面の音楽学校からの演奏会出演を懇望されるようになつた。勿論それは彼の卓抜な奏法とさうして完璧に近い理想的な演技とが汎く認められたかれでありそしてそれによつて独逸古典音楽の真価を充分に発揚することを得たからであつた。彼は演奏会への出場度数が余りに多いため、重要問題の協議に関して、独逸の演奏会管理者が直接彼を捕へる位のの他、殆ど家庭に在つての活動が意の如くならぬといふのは気の毒である。
 併しながら真に我々が理想的な方法として望む処のものつまり此の親愛なる芸術家に対して望む処の心からなる独逸人としての気持、それは彼以外の人間を以てしては置換へることの出来ないといふ音楽の教訓に関して、どんな抱負を彼が来たるべき時代のために用意してゐるであらうかといふことに就て、如何なる期待を我々がもつてよいのであるか、既に幾たびか彼にむかつて呼び求めた独逸アカデミーの一人からの声に対して必ずや彼がよき応答を與へてくれるであらう、といふことである。
 若しも真にケンプの演奏に就ての完全な印象を望むならば、常に彼が聴衆といふものに対して無関心であり、恰も自分自身のためにのみ演奏を続けてゐるかの如くに見え、そしてそれによって示される芸術そのものに対しての心からなる没頭、さうしてそれらのものを通じて示し出されるそれゞの曲目に対しての極めて独創的で自由な解釈法、並に原作者のもつ理想への喚起など、それらすべてのものが彼のもつ異常なる能力の現はれえあるといふことを無視されることがあってはならない。かくて此の古典物の演奏者が而も尚最も現代風な解釈者であるといふことになり、二つの時代に関する文化過程の最よき媒介者であるといふことになる譯なのである。  

 曲目解説 
       モーツアルトの作品   牛山充 
       ベートーヴエンの作品  鹽入亀輔

 


「甲斐美和ピアノ独奏会」 日本青年館 (1938.6)

2012年10月26日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

  

甲斐美和ピアノ独奏会 PIANO RECITAL MIWA-KAI
 〔昭和十三年〕 六月二十一日(火) 午後七時半・日本青年館 
  会員券 一円・二円・三円

 昨年ワルソーに於けるシヨパン コンクールに出演後、帰朝第一回の演奏会を開催以来、専ら研究中でありました。
 今春は満鮮各地の独奏会に出演し本月初旬帰京、帝都に於ては下記の興味ある曲目を選定致しました。

また、甲斐美和子は、『音楽世界』 第九巻 第七号 〔昭和十二年七月号〕 に「ショパン・コンクール 甲斐美和子」(東京・昭和十二年六月十七日)という一文を寄せている。その掲載写真は、次の3枚である。

 ・ワルソーのシヨパン図書室にて‥‥右端は筆者
 ・演奏順序を決めるカードを引く筆者(左端)
 ・ワルソー郊外シヨパンの生家を背景にー後方は筆者 

 

  日比谷公会堂にて演奏中の 甲斐美和子嬢

 上の写真と説明は、『ピアノグラフ』に掲載のものである。

 

   新交響楽團公演(百二十二回)
  洋琴獨奏
   甲斐美和子
          指揮 シフエルブラツト
〔昭和8年〕3月17日午後七時
          日比谷公會堂

The New Symphony 0rchestra
Subscription Concert

Conductor :
Nicolai Schiferblatt
Piano Soloist :
Miss. MIWA KAI  

なお、この公演の広告〔上の写真〕が、『モイセヴィッチ氏自伝と独奏会曲目解説』にある。


「ピアノの上手 :原智恵子、甲斐美和子、井上園子」 (1928.4)

2012年10月26日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

     

 ・原智惠子さん 〔上左〕

 Miss Chieko Hara, a young pianist recently left for Paris and her teacher Mr. Pedora P. Villaverde.
 
 先日有島氏に連れられ、パリの楽壇を慕つて渡航された原智惠子さん(一五)とその先生ペトロ、ビラベルデさん

 ・甲斐美和子さん 〔上中〕

 貿易商甲斐織衞翁のお孫美和子さん、お父さんと米国においでゞしたが昨年桑港で開かれたピアノの競技会では二百人と争つて入賞された程の技前であります。

 Miss Miwako, granddaughter of Mr. Orie Kai, a pioneer of Japanese trade with America.

 ・井上園子さん 〔上右〕

 井上園子さんは、トドロウヰツチ氏についてピアノを研究してゐられますが少女ながら大人を凌ぐほどの技量をもつてゐられます。

〔蔵書目録注〕

 上の写真と説明文は、昭和三年 〔一九二八年〕 四月一日発行の『婦人画報』 四月号 第二百七十二号 の口絵で、「ピアノの上手 (一)(二)」として紹介された六人中の三人のものである。

 なお、同号には「趣味と実際 洋楽近道 特輯」として、以下の記事もある。

 ・洋楽の味ひ方    小松耕輔
 ・家庭と音楽と楽器  伊庭孝
 ・レコードに依る洋楽 あらゑびす
 ・ジヤズの片影    堀内敬三
 ・音楽家の作品と逸話 野村光一
 ・洋楽家となる手引  長江楽人
 
 ◇楽器の買ひ方◇

 ・ピアノを買ふ注意    近衛秀麿
 ・ヴァヰオリンを買ふ条件 山井基清

 ◇辿つて来た道◇

 ・自然の道であつた    荻野綾子

 ◇どうして洋楽が好きになつたか◇

 ・諧謔曲 ユモレスク から 上司小剣
 ・三十年来の趣味      長田秀雄

  

    小さき踊り子

  甲斐美和子さんのバタフライダンス

 白木屋呉服店丸ビル支店に御勤務の甲斐榮一郎氏の令嬢美和子さんは今東洋英和の小学部四年生ですが、ニ三年前まで、サンフランシスコにゐらしゃった当時は小さいピアノの天才として、又日本娘のダンサーとして何かの会のある時など引っぱりだこの花形でした。日本へかへられてからはその可愛いゝダンス振りを、拝見出来ませんでしたが、最近、報知講堂でクリスマスの催しのあった際、久し振りでお兄様の伴奏に、本場仕込みのお得意のバタフライダンスを踊って、日本生れのお嬢さん方をあっと言はせました。でも美和子さんの天才は、ダンスよりピアノの方により多くあるとは、恵まれた小さき多幸な天才よ!と羨まずには居られません。
 桑港 サンフランシスコ の先生もぜひ惜しいからこっちによこして仕込みます様にと仰しゃって下さいますが、何分まだ小さいものですから、日本でも好い先生があるのでせうが、電車も不便ですし郊外にゐますので通はすのに困って居ます。」とはお子様の御教育に熱心なお母様のおはなし。
 写真は、バタフライの衣裳をつけた美和子さんと、在米当時オールドファッション・ダンスを踊った時の記念撮影

 上の写真と説明文は、大正十四年 〔一九二五年〕 二月一日発行の『婦人グラフ』 二月号 第二巻 第二号 に掲載されたものである。


『田中希代子ピアノ独奏会』 日比谷公会堂 (1955.8)

2011年12月07日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 

 表紙には「29 REGULAR CONCERT TOMINGEKIJO MUSIC CIRCLE」とあり、内表紙には「PIANO RECITAL by KIYOKO TANAKA 音楽サークル第29回 8月定期鑑賞会  田中希代子ピアノ独奏会  1955年 〔昭和三十年〕 8月30・31日・9月1日 6時半 日比谷公会堂 主催 東京都教育庁・財団法人都民劇場 協賛 毎日新聞社 表紙 山名文夫」とある。25.2センチ、10頁。

 上の写真は、見返しにある「Miss KIYOKO TANAKA 田中希代子嬢」である。

 曲目

 1.  変奏曲       ヘ短調  作品83     … ハイドン
 2.  奏鳴曲   第18番 変ホ長調 作品31の3   … ベートーヴェン
 3.a. 夜想曲   第7番 嬰ハ短調 作品27の1   … ショパン
   b. マズルカ  第13番 イ短調  作品17の4   …   〃
       〃   第32番 嬰ハ短調 作品50の3   …   〃
   c. スケルツォ 第4番 ホ長調  作品54     …   〃
 休憩
 4.  子供の領分                  … ドビュッシー
 5.a. レジェレッツァ(「三つの演奏会練習曲」より) … リスト
   b. メフィスト・ワルツ 第1番          …  〃

 曲目解説 野村光一
 リストとドビュッシー (沼田俊一) 
 田中希代子さん〔訪問〕

  

  戦後の混乱時代、無気力であった日本人たちに大きな力を与えた出来事が三つあるとすれば、それは湯川博士のノーベル賞受賞であり、古橋君の水泳記録であり、そして田中希代子嬢のパリ・コンセルヴァトワール、プルミエ・プリ獲得とその後の活躍だ、という人がある。
  〔以下省略〕

 略歴

  田中希代子さんは、ヴアイオリンの詠人氏を父に、アルトの重鎮・伸枝さんを母に、昭和7年東京で生れた。両親が音楽家なので、幼時から理想的な音楽的環境におかれていた訳だ。
  小学校の1年から小山郁之進氏についてピアノの手ほどきを受けた。女学校にはいってから一時井口基成氏に師事したが半年あまりで中止した。その後、故クロイツアー氏に師事したが、あまり長く続かなかった。
  この頃は丁度敗戦前後で、ピアノなどを落着いて練習する所ではなかったろう。
  当時希代子さんは12.3才で、漸く独力で物事の価値判断の出来ようとする年頃だけにひとしお、時代の悩みには敏感であったろうから「精神的な拠り所を履えされてしまった」のであろう。
  しかし、若い精神は順応力も大きい。戦後の虚脱状態を脱することも早く、やがて安川加寿子さんを師として必死の勉強が始った。その努力が報いられ、昭和24年(17才)の音楽コンクールでは第二位特賞を受賞され、又フランス政府給費留学生の試験に合格し、25年8月に渡仏、パリ・コンセルヴァトワールに入学、翌26年7月卒業。コンセルヴァトワールでは、我々にも馴染の深いラザール・レヴィ氏に師事した。
  27年秋の第8回ジュネーヴ国際音楽コンクールで第2位、28年2月ジュネーヴで開かれたロン・ティボー国際コンクールで第4位(女子の部の第1位)に入賞した。更に本年3月ポーランドのワルソーに於けるショパン・コンクールで第10位に入賞し、我国のために万丈の気を吐いてくれたことは、未だ記憶に新しい。
                        ○
  今回の帰国は、シーズン・オフと夏休みを兼ねたもので、10月末には再び渡仏する。

 

 表紙には、「帰国演奏会 田中希代子」とあり、内表紙では「田中希代子帰国特別演奏会プログラム」とある。24.6センチ。

  田中希代子さんを迎えて 牧定忠
  田中希代子経歴
  オキヨちやんのこと 矢代秋雄
  ヨーロッパの田中希代子さん〔写真4葉〕 日本のみなさまへ 田中希代子
  演奏日程

   6月6日(木) 曲目E 東京 産経ホール
    〔中略〕
   7月24日(水) 曲目C 札幌 北星学園

     招聘 日本楽器

 プログラムA

  ・即興曲 作品90より 2,3,4番                 シューベルト
  ・鏡 
    蛾ー悲しめる小鳥たちー洋上の小舟ー道化師の朝の歌ー鏡の谷 ラヴェル
  ・ソナタ                            平尾貴四男
  ・トッカータ 作品11                      プロコフィエフ
  ・ノクターン ホ長調 作品62の2                ショパン
  ・ソナタ 変ロ短調 作品35“葬送行進曲”附           ショパン

 プログラムB

  ・ソナタ(2曲)ニ短調                     スカルラッテ
  ・ソナタ 第3番 作品46                    カバレフスキー
  ・舞踊組曲                           宍戸睦郎
    アレグローアダージョ・モデラートーアレグロ・アッサイ    
  ・影像 第1集                         ドビュッシイ
    水の反影ーラモー讃歌ー運動
  ・バラード 第1番 ト短調 作品23                ショパン
  ・スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 作品39              ショパン

 プログラムC

  ・ソナタ ニ長調 K.576                     モーツアルト
  ・32の変奏曲 作品90より 2,3,4番 ベートーヴェン
  ・即興曲 作品90より  2,3,4番                 シューベルト
  ・雨の庭                             ドビュッシィ
  ・道化師の朝の歌                         ラヴェル
  ・ソナタ 変ロ短調 作品35“葬送行進曲”附            ショパン
  ・スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 作品39              ショパン
  
 プログラムD

  ・ソナタ (2曲) ニ短調                    スカルラッティ
  ・32の変奏曲                           ベートーヴェン
  ・謝肉祭 作品9                         シューマン
     前口上-ピエロ-アルルカン-高貴なるワルツ-オイセビウス-フロレスタン-コケット-応答-パピヨン-文字の踊り-キヤリーナ-ショパン-エステレラ-再会-パンタロンとコロンビイヌ-ヴァルス・アルマンド-告白-プロムナード-休み-フィナーレ

  ・即興曲 作品90より 2,3,4番                  シューベルト
  ・金色の魚                            ドビュッシィ
  ・道化師の朝の歌                         ラヴェル
  ・練習曲 (3曲)                        ショパン
  ・バラード 第1番 ト短調 作品23                ショパン

 プログラムE

  ・ソナタ ニ長調 K.576                     モーツアルト
  ・ソナタ 嬰ヘ長調 作品78                    ベートーヴェン
  ・ソナタ 変ロ短調 作品35“葬送行進曲”附            ショパン
  ・鏡                               ラヴェル
    蛾-悲しめる小鳥たち-洋上の小舟-道化師の朝の歌-鏡の谷
  ・トッカータ 作品11                       プロコフィエフ

 プログラムF

  ・ソナタ 変ホ長調 作品31-3                   ベートーヴェン
  ・謝肉祭 作品9                         シューマン
     前口上-ピエロ-アルルカン-高貴なるワルツ-オイセビウス-フロレスタン-コケット-応答-パピヨン-文字の踊り-キヤリーナ-ショパン-エステレラ-再会-パンタロンとコロンビイヌ-ヴァルス・アルマンド-告白-プロムナード-休み-フィナーレ
  ・舞踊組曲                            宍戸睦郎
      アレグロ-アダージョ・モデラート-アレグロ・アッサイ
  ・練習曲 嬰ハ短調 作品10の4                  ショパン
       嬰ハ短調 作品25の7                  ショパン
       ハ短調  作品10の12                  ショパン
       変イ短調 作品25の1                  ショパン
       ハ短調  作品25の12                  ショパン
  ・バラード 第1番 ト短調 作品23                ショパン
 
  曲目解説 牛山充、平尾貴四男
  田中希代子海外演奏記録(年代順)
  ヨーロッパにおける批評から


「井上園子 ピアノ独奏会」 軍人会館 (1935.5)

2011年09月30日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 表紙には、「井上園子ピアノ独奏会 〔昭和十年:一九三五年〕 五月二十九日(水) 午後七時 於 軍人会館 入場料・ 三・二・一円 前売プレイガイド Sonoko Inouye Under the Patoronage of T.E.M. Mr. & Mrs. Joseph Clark Grew at GUNJINKAIKAN Wednesday 29th. May. 7.p.m. Admission: Yen 3.00 2.00 1.00 Booking Play-Guide」などとある。18.8センチ、二つ折れ。

 
 
曲目

 1.トッカータとフーガ ニ長調  
                 ‥‥バッハーブゾオニ
 2.奏鳴曲     ハ長調 作品五十三  
                 ‥‥ベートーヴェン
 3.練習曲 二 ツ        ‥‥ショパン
          バラード ヘ長調 ‥‥ 〃
          円舞曲 変ホ長調 ‥‥ 〃
 4.前奏曲            ‥‥プロコフィエフ
          スケルツオと行進曲 ‥‥ 〃
             歌劇「三ツのオレンヂの恋」より
 5.円舞曲「美しき碧きダニューブに沿ひて」
                 ‥‥ヨハン・シユトラウス
                  シユルツーエヴラー編曲

    

 井上園子ピアノ独奏会

    4月14日(金)午後7時半  日比谷公会堂 主催 東京朝日新聞社会事業団

    

 曲目

 1 奏鳴曲 変ホ長調 作品81A
      (告別)       … ベートーヴェン
    告別(アダヂオ - アレグロ)
      不在(アンダンテ エスプレシヴオ)
        帰還(デイヴァチツシメント)
 2 ヘンデルの主題による変奏曲と
       遁走曲 作品24   … ブラームス

          休憩

 3 道化師の朝の歌       … ラヴェル
 4 舞踏への誘ひ        … ウェーバー
 5 練習曲 嬰ハ短調 作品 25ノ7 … ショパン
 6 ラ・カムパネラ       … リスト

   
 
 表紙には、帽子を被った井上園子の写真があり、「井上園子ピアノ独奏会 昭和十六年 〔一九四一年〕 十月二十八日午後七時 日比谷公会堂」とある。二つ折れ、21センチ。
 
 曲目 〔一部省略〕

 1 スメタナ   序曲 「売られた花嫁」

 2 モッアルト  協奏曲 変ホ長調 (ケツヘル 482)
     
     アレグロ
      アンダンテ
       アレグロ

 3 チャイコフスキー  変ロ長調 作品 23

     アンダンテ ノン トロッポ エ モルトマエストオゾ
                   アレグロ コンスピリト

           アンダンテイノ セムプレス
              アレグロ コン フォコ     

           伴奏 新交響楽団
           指揮 ヨセフ・ローゼンシュトック

   

 表紙には、「第三回 近藤音楽定期演奏会 ピアノ独奏 井上園子 昭和18年 〔一九四三年〕12月14日 日比谷公会堂 午後6時半」とある。裏の広告は、東宝映画「あの旗を撃て」である。二つ折れ、21センチ。
 内容は、曲目・予告であり、曲の解説1枚が挿まれていた。    
 
 曲目

 Ⅰ 小組曲 有馬大五郎作曲
     前奏曲 
      トツカッター 
         フーガ

 Ⅱ 奏鳴曲 ヘ短調 作品5 ブラームス作曲
     遠く威厳を以て 
      遅めに表情を以て 
       諧謔曲・速く力強く
        間奏曲・遅めに 
         終曲・中庸の速さで然し自由に

   -(休憩)-

 Ⅲ 舟歌  作品60 ショパン作曲
   子守歌 作品57 ショパン作曲

 Ⅳ 美しき青きドナウ シュトラウス作曲 シュルツーエルウァ編
     演奏会用アラベスク

 「碧きドナウ」演奏会用アラベスク
                   (ヨハン・シュトラウス作シュルツ……エルヴァ編)

  十八世紀後年に維納 〔ウインナ〕 ワルツの王者として知られたヨハン・シュトラウスの圓舞曲中最も有名な「美しき青きドナウ」を演奏会用ピアノ曲として、絢爛華麗な技巧を凝 〔こら〕 し、ピアノ演奏の技能を十分に活して編曲された楽しく美しい曲である。


『アンリー ヂルマルシエックス洋琴演奏会』  (1925.10)

2011年09月06日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 表紙には、「HENRI GIL-MARCHEX LE PIANISTE FRANCAIS」とあり、絵の下には「アンリー ヂルマルシェックス DESSIN PARMATISS マチス素描」とある。奥付には、「大正十四年 〔一九二五年〕 十月五日発行 實価壹冊 金壹圓 発行兼編輯人 ジルマルシェックス」などとある。30.3センチ、51頁。

 下は、内容の一部である〔詳細なプログラムなど省略〕。

 ・HENRI GIL-MARCHEX 〔横顔写真〕
 ・JIROHATCHI SATUMA DESSIN PAR FOUJITA 〔横顔素描〕

 佛國洋琴家 アンリー ヂルマルシェックス 薩摩治郎八   HENRI GIL-MARCHEX (LE PIANISTE FRANCAISP)AR JIROHATCHI SATUMA

  〔上文中に、「Motowo Otagouro 太田黒元雄氏」の写真あり〕

            アンリー ヂルマルシェックス マチス素描

         佛蘭西外務省及文部省設立  佛蘭西藝術普及交換協会主催
                       佛蘭西大使館後援
         主催者側代表        薩摩治郎八

   演奏作曲者名

     古代音楽 … フランシスク、ラモー、リユリー、ダツクアン、クツプラン、スカラツチ、ロシニ、パーセル、
     中代音楽 … モザート、バツハ、ベートーヴエン、ブラームス、シヨパン、シユーマン、リスト、フランク、グリーグ、サンサーン、
     近代音楽 … デビユツシー、ラベル、フオーレ、ルツセル、イベール、プーランク、クラ、ミルホー、アルベニ、ド フアラ、バーナー、グーセン、ストラビンスキー、シマノウスキー、バルトツク、シユミツト

  アンリー ヂルマルシエックス洋琴演奏会  (六回) 帝国ホテル演芸場

            佛蘭西外務省及文部省設立  佛蘭西藝術普及交換協会主催
            主催者側代表        薩摩治郎八
                          佛蘭西大使館後援

       ※ 日本に於ける初演奏

       ○ 世界に於ける初演奏

    主観的音楽二演奏会

    追想的音楽二演奏会

    舞踏音楽二演奏会

    ○五時 フアイブオクロツク フツオクス トロツト
      世界に於ける初演奏  モーリス ラベル

    ◆会員券 (六回の演奏会費)
           三百圓(ボツクス五人詰)
           四十圓、十九圓、十圓
    ◆申込所 銀座 十字屋楽器店 共益商社
            山野楽器店  プレーガイド
         三田 竹内楽器店
         帝国ホテル演芸場 切符発売掛
    ◆一回分会費 七十二圓(ボツクス五人詰)
           八圓、四圓、二圓 

 掲載の作曲家の写真には、以下のものがある。

 ・M.MAURICE RAVEL
 ・JEAN CRAS
 ・Anbre〔´あり〕 Caplet et Claude Debussy
 ・Igor Strawinsky
 ・Darius Milhaud Et Jean Cocteau
 ・MANUEL DE FALLA
 ・Henri Gil-Marchex

 なお、裏表紙の見返しには、訂正一箇所の付箋が貼られていた。

 

 表紙には、「ヂルマルシエツクス氏 ピアノ大演奏会 西暦一九二五年十二月十四日(月)午後六時半 於 横浜高等工業学校講堂 主催 横浜高等工業学校音楽部 後援 帝国音楽家協会 横浜貿易新報社」とある。18.1センチ、二つ折れ。
 内容は、「演奏曲目及其の解説」で、裏表紙には「三大世界的批評家の 仏国洋琴家アンリヂルマルシエックス氏に対する評論」がある。前者の演奏曲目の解説は、氏自身の執筆であるという。

  演奏曲目及其の解説〔その一部、解説など省略〕

  1.月光の曲  ‥‥  ベートーヴエン 〔15分〕

   ベートーヴエンピアノソナタ三十八曲中で最も有名なものは即ちこの月光とよばれるものである。

  2.A.子守歌 作品五十七番

    B.ワルツ、ウイツトデイエズミヌール
     
     これはヴイクトル、ユーゴー(VictorR Hugo)詩を表現した様に見える「彼女は舞踊会を愛し過ぎた。それが彼女を殺した・」
    
    C.グランドポロネーズ ラ ベモル マジュール  ‥‥  ショパン

     ポロネーズは舞踊会或は大招待会の序幕の高貴な静かな行進曲。光輝燦然たる大広間を進む魅惑的な行列夜装の美しさを誇衒する宝石の流れの整列行進する一本の長い組々、我々は宛がらヴエロネーズの描いた豪華の群が過ぎるのを見る様、リストは「シヨパンのホロネーズの活動的リズムは我々の無情の総ての無感覚に電流を通じた」と書いた。

        休憩

  3.謝肉祭 作品九番  ‥‥  シューマン 〔40分〕

        休憩

  4.ミューセットとタムブラン  ‥‥  ラモー
   
   ラモーは今から約二百年前の古代音楽家である。ミューセツトは小風笛の事でタムブランは即ち小鼓の事である

  5.郭鳥  ‥‥  ダツカン
   
   ラモーと同期の作家、クロードダツカンはこの郭鳥によつて不朽にされた。この小さい器用な傑は風にそよぎ森を飛び廻る可愛いゝ鳥の遊戯を描く。
 
  6.A.沈める寺
    B.雨の庭   ‥‥  デビユツシー

  7.夭折した王姫のための孔雀舞  ‥‥  ラベル

  8.第二ハンガリー狂想曲  ‥‥  リスト

   リストの作品の中で、ハンガリーラプソデーは彼の熱烈的素質の最も力強い表現である。それ等はハンガリーの内に多数の人口を有する放浪的独立の不思議なボヘミア人種のジガーンの踊りを想はせる。
      ラツサン それはゆるやかな放逸な乱暴な英雄的な踊り
      フリスカ それは激しいリズムの非常に抑揚な確固な急速な騒々しい舞踊。

  曲目解説はヂルマルシエツクス氏自身執筆されたものである。   

  なお、鉛筆での書き込みは、月光の曲の上に「15分」、謝肉祭の上に「40分」、謝肉祭の解説の途中に「歌の如き所又欠伸」、また氏の横顔の小さなスケッチ2つなどである。

 

  表紙には、「アンリー ヂルマルシエツクス氏 洋琴演奏会 提琴 林龍作氏助演 〔昭和六年:一九三一年〕 三月二十三日(月曜)午後七時 於 華族会館 主催 桜友会」とある。20.1センチ、二つ折れ。

     曲目〔その一部は省略〕

 1.謝肉祭     ‥‥  シューマン
 2.二つの序曲  ‥‥  デビユツシー 
     雪上の足跡。 吟遊詩人。
 3.二つの版画  ‥‥  デビユツシー
     グルナードの夕。 雨の庭。 
 4・ピアノ ラツグ ミユージツク  ‥‥  ストラビンスキー 
 5.夭折した王妃の為の孔雀舞    ‥‥  ラヴエル 
 6.メフイスト ワルツ       ‥‥  リスト

 7.シヤコンヌ           ‥‥ ヴイタリ
 8.ムニユエ       ‥‥ モザート
 9.ドリー        ‥‥ フオーレ
    (以上三曲 林龍作氏演奏)

 10.ワルツへの招待    ‥‥ ウヱーベル
 11.グランド ポロネーズ ル ベモル マジユール  ‥‥  ショパン

    (仏蘭西エラール会社ピアノ使用)


「ラザール・レヴイ来る」 毎日新聞社 (1950.10-11)

2011年07月27日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 表紙には、「フランス・ピアノ界の最高峰 仏国政府派遣芸術使節 ラザール・レヴイ来る 毎日新聞社」とある。21センチ。

    毎日新聞社の招聘により
 ・フランスピアノ界の 巨匠ラザール・レヴィ来朝  毎日新聞社
 ・経歴
 ・演奏評
 ・親しく私淑した邦人ピアニストのラザール・レヴイ観 
                   原智惠子、安川加壽子、野辺地瓜丸
 ・来朝演奏日程

 十月 〔昭和二十五年:一九五〇年〕
   三日 火 (夜) 東京独奏会 日比谷公会堂
   四日 水 (夜) 東京独奏会 日比谷公会堂
   五日 木 (夜) 東京独奏会 日比谷公会堂
   八日 日 (夜) 福岡独奏会
  一〇日 火 (夜) 宇部独奏会
  十四日 土
  十五日 日 
  十六日 月 十四日より十八日日迄の間大阪にて二回、京都にて一回独奏会(原、安川賛助出演)
  十七日 火
  十八日 水
  十九日 木 (夜) 名古屋独奏会 名古屋市公会堂
  二十日 金 (夜) 名古屋独奏会 名古屋市公会堂
  二三日 月
  二四日 火 公開講座(後援、東京芸術大学 会場、上野公園芸術大学奏楽堂)
  二五日 水
  二六日 木 (夜) 日響定期へ客演(協奏曲)日比谷公会堂
  二七日 金 (夜) 日響定期へ客演(協奏曲)日比谷公会堂
 十一月
   四日 土 (夜) 告別演奏会 日比谷公会堂 (二台ピアノ)
   五日 日 (夜) 告別演奏会 日比谷公会堂 (協奏曲)

 ・ラザール・レヴイ演奏曲目

     東京

  第一日
   一、バッハの半音階的主題(カンタータ「泣き、悲しみ、悩み、慄き」より)に依る変奏曲  リスト
   二、奏鳴曲 ニ短調 作品三一ノ二      ベートーヴエン
   三、クライスレリアーナ作品一六       シューマン
   四、A スケルツォ 第一番 ロ短調作品二〇 ショパン
     B 夜想曲   ハ短調 作品四八ノ一    〃
     C 「英雄」ポロネーズ 変イ長調 作品五三  〃
  第二日
   一、A 幻想曲 ハ短調 K三九六  モーツアルト
     B 奏鳴曲 ハ長調 K三三〇    〃
   二、A 間奏曲 変ロ長調 作品七六ノ四 ブラームス
     B 狂詩曲 ハ短調           〃
     C ヘンデルの主題に拠る変奏曲作品二四
   三、二つの伝説
     A 小鳥に説教をするアッシジの聖者聖フランシス
     B 波上を歩むパウロの聖フランシス
  第三日
   一、オルガンの為の前奏曲、遁走曲及び変奏曲(ハロルド・バウアー編)  セザール・フランク
   二、奏鳴曲 イ長調 K三三一(トルコ行進曲附奏鳴曲) モーツァルト
   三、A 譚詩曲第二番 ヘ長調 作品三八  ショパン
     B 夜想曲 ヘ長調           〃
     C 六つのマズルカ           〃
     D 円舞曲 変イ長調 作品四二     〃
   四、子供の領分(「チルドレンス・コーナー」)  ドビュッシー
   五、A 小奏鳴曲 第二番  ラザール・ラヴイ
     B 円舞曲          〃
   六、クープランの墓  ラヴェル
  第四日
   告別演奏会 - 独奏の外原、安川、野辺地三氏賛助出演 二台ピアノ用楽曲演奏
  第五日
   告別演奏会 - 近衛秀麿指揮、東宝交響楽団、原・安川両女史賛助出演 協奏曲演奏

     大阪、名古屋、京都 〔省略〕

     福岡、宇部
   
   一、前奏曲と遁走曲ー「平均率洋琴曲」より 
         変ホ長調(第一巻より) ニ長調(第一巻より)
   二、奏鳴曲 イ長調 K三三一(トルコ行進曲附奏鳴曲)  モーツァルト
   三、A 幻想曲 ヘ短調 作品四九  ショパン
     B 夜想曲 ハ短調 作品四八ノ一
     C 「英雄」ポロネーズ 変イ長調 作品五三  〃
   四、「子供の領分」 (「チルドレンス・コーナー」) ドビュッシー
   五、二台ピアノ演奏   演奏 ラザール・レヴイ 原智恵子
     A アンダンテと変奏曲  シューマン
     B ヴァルス・ロマンティック  シャブリエ

 

  「ラザール・レヴィ ピアノ演奏会 歓迎出演 原智恵子、安川加壽子 主催 毎日新聞社, 1950年〔昭和二十五年〕10月14,15日 北野劇場 (大阪) 17日 松竹座 (京都)」とある。表紙には、ラザール・レヴィ  〔Lazare Lévy〕 のサインがある。26センチ。
 内容は、「英語のプログラム、日本語のプログラム(第一日)(大阪・京都)、プログラム(第二日)(大阪)、曲目解説、経歴、親しく私淑した邦人ピアニストのラザール・レヴィ観 原智恵子 安川加壽子」である。
 
   プログラム (第一日) (大阪・京都)

 Ⅰ.前奏曲と遁走曲「平均率洋琴曲」                   バッハ 
      変ホ短調(第一巻、第八番)
      ニ長調 (第一巻、第五番)
 Ⅱ.奏鳴曲 イ長調K331                          モーツアルト
      1.アンダンテと変奏
      2.メヌエット
      3.ロンドー「トルコ行進曲」
 Ⅲ.A.幻想曲へ短調 作品49                      ショパン
   B.夜想曲ハ短調 作品48ノ1                     ショパン
   C.「英雄」ポロネーズ変イ長調                   ショパン
 Ⅳ.「子供の領分」(チルドレンス・コーナー)              ドビュッシー
      1.グラドウス・アド・パルナッスム博士 
      2.象の子守歌  
      3.人形へのセレナーデ
      4.雲は踊る
      5.小さな羊飼
      6.ゴリウォークのケーク・ウォーク
 Ⅴ.二台ピアノ演奏
      A.アンダンテと変奏曲 変ロ短調 作品46           シューマン 
                       演奏 ラザール・レヴイ 
                           原智恵子 
      B.ベートーヴェンの主題による変奏曲             サンサーンス
                       演奏 ラザール・レヴイ 
                           安川加壽子



   プログラム (第二日) (大阪)

 Ⅰ.オルガンのための前奏曲、遁走曲 及び変奏曲(ハロルド・バウァー編) セザール・フランク

 Ⅱ.奏鳴曲 ニ短調 作品31ノ2
      1.ラールゴーアレグローアダーヂョ              ベートーヴェン
      2・アダーヂョ
      3.アレグレット
 Ⅲ.「幻想曲集」作品12
      1.夕べ                              シューマン
      2.飛翔
      3.何故
      4.移り気
      5.夜に
      6.寓話
      7.夢のもつれ
      8.話の終り
 Ⅳ.二台ピアノ演奏
      A.二台ピアノのための奏鳴曲 ニ長調K・448         モーツアルト
       1.アレグロ・コン・スピリト
       2.アンダンテ
       3.アレグロ・モルト
                        演奏 ラザール・レヴイ
                            安川加壽子
      B.三つのヴアルス・ロマテイック                 シャブリエ
       1.ニ短調
       2.ホ長調
       3.ヘ長調
                        演奏 ラザール・レヴイ
                            原智惠子

 ラザール・レ ヴイ ピアノ演奏会
  歓迎出演 原 智惠子、安川加壽子   主催 毎日新聞社、
  
 1950年10月14、15日 北野劇場(大阪) 松竹座(京都)

 〔なお、十月十六日の午後六時から京都の日仏会館で開かれた会員のための非公開演奏会には、谷崎潤一郎夫妻・令嬢も来聴した(毎日新聞 大阪:十七日)。〕

 経歴

 ラザール・レヴイは一八八二年にフランス人を両親としてブラッセルに生まれ、既に五歳にして驚く可き楽才を発揮した。
 十二歳にしてパリ―国立音楽学校に入学、著名なピアノ教授ルーイ・デイエメールに師事し、同教授の愛弟子の一人となった。一八九八年、満場一致一等賞(プルミエール・プリ・ア・リュナニミテ)及び第一位(プルミエール・ノンメ)を獲得して同校を卒業した。
 一八九九年コンセル・コロンヌ管絃団演奏会にデビュー、続いて有名な管絃団、コンセルウアトアール、ラムルウ、バドウルウに出演、指揮としてはコロンヌ、ビエルネ、メッサーヂエ、ゴオベエル、ミユンク、アンゲルブレックの如き一流人達の指揮下に演奏を行った。
 パリーでのデビュー直後フランスの諸都市でも演奏会を催している。海外にも亦頻繁の演奏旅行を行い、ベルギー、オランダ、スイス、ポルトガル、スペイン、ブルガリア、ギリシヤ、チェッコスロヴアキア、ポーランド、ユーゴスラヴイア、トルコ、エジプト、アルジェリア、モロッコ、チュニス等を巡演。一九一二年ベルリンで華々しくデビューした。一九三〇年にはウィーンで初演したが、同地の「ノイス・フライエ・ブレッス」紙はその際「彼は本年来訪した演奏家中最高である」と評した。またサン・サーンスは「完全なメカニズをもって彼は音楽の内面的感性を披歴した。斯くの如きことは稀に見るところである」と述べている。一九二〇年アルフレッド・コルトーの後を受けてパリー国立音楽学校ピアノ科教授に就任。同校で彼の薫陶を受けた優秀な門弟には、ユニンスキー、ジネット・ドワイエンその他フランス楽壇で名を成している者無数、邦人では原智恵子、安川加寿子がある。一九三七年ワルソウのショパン・コンクール、一九四六年ジュネーブの国際コンクール、一九四八年ブタペストのベラ・バルトーク・コンクールの何れも審査員就任。ラザール・レヴイは第二次世界大戦後、パリーで数回の独奏会を催し、その外ギリシア、ハンガリア、北アフリカでも演奏した。特にトルコでは三年続いて演奏会を開いている。作品はエジック、サラベール、シューデンス各社から出版されている。

 なお、演奏会の使用ピアノのについて、次のチラシが挟まれていた。

      


「田中希代子ピアノ独奏会」 名古屋市公会堂 (1955.9)

2011年07月23日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 

 「帰朝記念 田中希代子 ピアノ独奏会  〔昭和三十年:一九五五年〕 9月9日 (金)6時半 名古屋市公会堂 主催 名古屋中央放送局、ラジオサービスセンター 後援 毎日新聞中部本社」とある。18.5センチ、二つ折れ。

 

 国際コンクールの檜舞台で華々しい活躍をみせた田中希代子嬢は去る6月、5年ぶりに故国へ帰つた。そして今秋再びフランスにのぼる彼女の滞在は、まことに短い期間ではあるが、日本の楽壇に与えた影響は計り知れないものがある。今やヴァイオリンの江藤俊哉氏と並んで彼女の活躍は我々日本人の最も大きな期待であり、誇りでもあろう。
 
 ターゲ・ブラット紙アルベルト・マース記

  希代子はベートーヴエンを魅力的な輝きを以つて弾き、そのピアニシモのパッセージは、まるで真珠のつながりのようであつた。印象派ドビュッシーの曲に至つては素晴らしいものであつたが、ショパンのものに於ては、この、もの静かな年若い日本のピアニストは絶頂に達した。このような演奏は近来に稀なもので全く魅力的であつた。


 田中希代子略歴

  昭和19年   井口基成氏に師事
    20年   クロイツアー氏に師事
    23年   安川加寿子さんに師事
    24年   第18回音楽コンクール入賞、特賞を受く
    25年8月  フランス政府給費留学生として渡仏
    同年9月  国立パリ音楽院に入学、ラザール・レヴィ教授に師事
    26年7月  プリミエル・ノンメ(特賞)を得て卒業
    27年秋  第八回ジュネーブ国際音楽コンクール女子部第二位(第一位空席)に入賞
    28年2月  パリ・ザール・カボウに於て、第一回独奏会を開催絶大なる好評を受く    
    28年5月  ジュネーブに於ける世界的なロン・テイボー国際コンクールに於て第四位(女子第一位)に入賞
    30年3月  ポーランド、ワルソーに於けるショパン・コンクールに於て第十位入賞、日本人は初めての入賞であつた。

 プログラム

 Ⅰ a) ロンド ハ長調 作品51 ‥‥ ベートーヴェン
   b) 奏鳴曲「ワルドシュタイン」 ‥‥ ベートーヴェン
 Ⅱ a) ノクターン ヘ長調 ‥‥ シヨパン
   b) 三つの練習曲 作品25の6.2.8番 ‥‥ 〃
   c) バラード第4番 ‥‥ 〃
 Ⅲ a) 西風のみたもの ‥‥ ドビュツシー
   b) 雲の上の足跡 ‥‥ 〃
   c) パツクの踊り ‥‥ 〃
   d) 霧 ‥‥ 〃
   e) 花火 ‥‥ 〃
 Ⅳ a) 演奏会用練習曲 第2番 「軽快」 ‥‥ リスト
   b) メフィスト・ワルツ ‥‥ 〃


「アルトール ルビンシタイン ピアノ独奏会」 東京 (1935.4)

2011年07月18日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 表紙には、「アルトール ルビンシタイン ピアノ独奏会 A .STROK Presents ARTHUR RUBINSTEIN PIANO RECITAL 5.9.10.11th April 、7.30. p.m. HIBIYA-HALL 4月5.9.10.11日毎夕7時半 日比谷公会堂」〔昭和十年:一九三五年〕とある。
 内容は、第五夜のプログラムである。

 

 第五夜曲目 (四月十一日)

 1.奏鳴曲 作品 三十一の三     ベートーヴェン       
     アレグロ コンモド 
       スケルツォ 
         ミヌエット 
           プレスト
 2.奏鳴曲 作品五十三(ワルドシタイン)   ベートーヴェン
     アレグロ コン ブリオ  
       ラルゴーフフィナーレ(プレスト)

 |休憩|

 3.六つの前奏曲        ショパン
   四つの練習曲         〃
   葬送曲            リスト
   メフイスト  ワルツ       〃 

 なお、小野ピアノ店のホルゲールピアノの広告、「エフレム・ヂムバリスト提琴演奏会」の予告やヂンバリストのコロムビア・レコードの広告、銀座の鈴木バイオリンや映画別れの曲の広告、ルビンシュタインの新交響楽団公演の予告などがある。裏表紙には、「ビクター専属芸術家 ルービンシュタイン演奏の名盤 ビクターレコード」の広告がある。 

 

 桜咲く春、世界洋楽楽壇の巨匠ルービンシュタイン氏を迎へて、その神技に接し得るのは無上の歓びです。その卓絶したる演奏の萃はビクターレコードの絢爛たる名盤として収められてをります。

      ビクター専属芸術家
  ルービンシュタイン演奏の名盤

 ショパン
  協奏曲ー第二番ーヘ短調 伴奏 ロンドン交響管絃楽団
  ワルツー嬰ハ短調 (M - 一一〇)

 ※スケルツオ曲集  (JAS - 五一二) 
 ※揺籃歌
  マヅルカ-ロ長調-ニ長調 (JD - 四二六)
 チャイコフスキー
 ※協奏曲-第一番-変ロ短調 伴奏 ロンドン交響管絃楽団 (JAS - 五〇四)

 モーツァルト
  協奏曲イ-長調 伴奏 ロンドン交響管絃楽団 (DB - 一四九一 -三)

 デ・ファリア
 ※恋は魔術師
   -恐怖の舞踊
   -火の舞踏  (DA - 一一五一)
 ブラームス
  協奏曲-変ロ長調 伴奏 ロンドン交響管絃楽団 (M - 八〇)

     (※ 今回のリサイタルで演奏される曲目)

 四月廿日発売  
  四重奏曲-ト短調    ルービンシュタイン及プロ・アルト四重奏団員 (JAS - 五五三)  
   (ブラームス)

 新交響楽団との公演予告は次の通りである。

 |ピアノ独奏|   アルトール ルビンシタイン 
             新交響楽団公演 指揮 近衛秀麿   四月二十二日 夕七時半(月) 日比谷公会堂
             会員 A.二、00 B.一、00 追加会費はA・B共一円宛戴きます。 臨時入場料 A.四、00 B.二、五〇  前売プレイガイド
  
 ●曲目●

  1 . 前奏曲  コーラルとフーガ                  ‥‥バッハ作
  2 .洋琴協奏曲   第二ト短調 作品二十二        ‥‥サンサーンス作
  3 . 洋琴協奏曲   イ短調 作品五十四           ‥‥シューマン作  
  4 .匈牙利幻想曲  第二 (ミューラー - ベルグハウス)  ‥‥リスト作

 この二十二日の演奏について、聶耳(中華人民共和国国歌の作曲者、ヴァイオリニスト)は、次のように日記に記している(『聶耳日記』 大衆出版社 より:邦訳は『聶耳物語』にある)。

 「四月二十二日(星期一) (略) 下午七時半在日比谷公会堂聴新交響楽団的演奏、有 pianist ,Arthur Rubinstein 的独奏。  指揮 Hidemaro Konoe 還好。楽師共六十余人、除 1st solo violin 是西人外、其余全是日本人。佩服!佩服! cello 独奏時太糟、oboe 独奏也有毛病、由此証明一般個人演奏技巧之不行。」

 
  
 表紙には、「4月16.17日 午後7時 於 大阪 朝日会館 新交響楽団公演 交響曲とピアノ協奏曲の夕 主催 朝日新聞社会事業団」とある。
 見返しには、下の写真と大阪朝日会館の写真があり、「昭和十年 〔一九三五年〕 四月十三日竣工 四月十五日より華々しく京洛芸術の殿堂としてデビユウ!」とある。

   

 プログラム (大阪 第一夜 十六日)

1.バツハ (1685-1750)
   プレリユド、コオラル、フウゲ

2.チャイコフスキイ (1840-1893)
   ピアノ協奏曲 1番 ロ短調 作品 23
       あまり速くない併歩調と極めて荘厳な調子
                    -元気な快速調
          単純なる併歩調
             燃ゆるが如き輝かしき快速調

3.ドヴォルザアク (1841-1904)
    交響曲 第五 ホ短調 作品 95
      (新世界より)
        緩徐調、甚だしく快速調で
           最も緩徐調で
              諧謔調、甚だしく活発に
                火の如く輝しき快速調

 
 プログラム (大阪 第二夜 十七日)

1.ワグナア (1813-1893)
   序曲「トリスタンとイソルデ」
   序曲「名歌手」

2.ブラアムス (1833-1897)
   ピアノ協奏曲 第2 変ロ長調 作品 83
       早すぎない快速調
         熱情的快速調
            併歩調、優美な快速調

3.ベエトオヴエン (1770-1826)
    交響曲 第七 イ長調 作品 92
      元気で少し音を長く
        やゝ快速に
           最も早く
              輝かしく快速調

 

 表紙には、「世界ピアノ楽壇の最高峯 アルトール ルビンシタイン 告別ピアノ 独奏会 (ヴィクター専属) 四月二十四日(水)夕七時半 於 軍人会館 入場料 四・三・二円 前売 プレイガイド」〔昭和十年:一九三五年〕とある。
22.2センチ、片面刷り1枚。
 内容は、ルービンシュタイン(Arthur RUBINSTEIN)の告別ピアノ独奏会(A. Strok presnts FAREWELL PIANO-RECITAL)のプログラム・チラシである。

 1.トツカータ ヘ短調 ‥‥バッハ
 2. 奏鳴曲 作品三十五変ロ短調 ‥‥ショパン
 3. コルプス クリスチェン セルビラ ‥‥アルベニツツ
   エヴオカチオン(組曲イベリアより ‥‥ 〃
   トウリオーナ ‥‥ 〃
   アルボラーダ デル グラヂオーソ ‥‥ラヴエル
  ラ マーヂヤ イ エル ルイセノール ‥‥グラナドス
 4. ペトルシカ(アルトール ルビンシタインの為に作曲し贈る) ‥‥ストラヴインスキー

  

 表紙には、「アルトウル ルビンスタイン ピアノ独奏会 京都 4月27日 午後7時 於 京都朝日会館 主催 朝日新聞社会事業団」とある。二つ折れ、23センチ。

 

 シヨパンの夕 (京都 廿七日)

      Ⅰ

 1.ソナタ  ロ短調 作品58
     アレグレロ マエストオソ
       スケルツォ
          アンダンテフイナアレ
 2.揺籃曲
 3.練習曲 二つ
 4.スケルツオ 變ロ調

       Ⅱ

 5.譚詩曲
 6.幻想即興曲
 7.ヴアルス
 8.夜想曲
 9.前奏曲 二つ
 10.ポロネエズ 變イ調 作品53

 裏表紙は、「ビクター赤盤専属ピアニスト アルトール・ルービンシュタイン氏 吹込 ビクター レコード」の広告である。

 なお、この冊子には、宣伝チラシが挟まれており、下のような彼の紹介・大阪、京都、神戸のプログラム、批評などがある。


 驚異的ピアノの巨匠

  世界楽壇の第一線に活躍せるウルチユルオウソ

   ルビンシユタイン ピアノ独奏会  
                    【入場料】 A \ 4.00(指定) B \ 3.00 C \ 2.00 D \ 1.00

 春の楽壇を飾る大きな収穫ー波瀾が誇る世界的大洋琴家アルテュル・ルビンシュタインが来朝した。今日まで本邦には同じく世界的なピアニストが幾たりか訪れたが、そのなかでもルビンシュタインは第一流の第一流であり。各方面の大きな関心と待望に値する巨匠である。
 彼は一八八六年波瀾のロツジに呱々の声を挙げた。幼時伯林にありヨアヒムについて音楽を学んだが、大ヨアヒムのごときはその頃既に「将来必ず世を驚かす鬼才たるであらう」と予言した。十二才のとき伯林にデビュウし天つ晴れ少年ピアニストとして名声を得たが、後一九〇四年、ヨアヒムの推薦によつて巨匠パデレフスキイの門に入り、その薫陶を享けて漸次向上を重ね、遂に第一級に数へられるに到つた。その後全欧州は勿論のこと南北アメリカその他に成功をつづけ堂々巨匠たるの地位を確保したのである。-現在、齢五十を重ねて、その芸術はまさに円熟の絶頂にあり、「鍵盤上の不可能事莫し」とまで讃えられてゐる。

    PROGRAMME

      26日(大阪)

 1.Toccata        … Bach-Busoni
 2.Sonate Appassionnato … Beethoven
 3.Barcarolle      … Chopin
   Two Mazurkas     …  〃
   Scherzo        …  〃
   Noeturne       … Scriabine
   March         … Prokofieff
   Love Dream      … List
   Rhapsody ⅩⅠⅠ    …  〃

      27日(京都)28日(大阪)
         シヨパンの夕

 1.Sonate B minor    … Chopin
 2.Berceuse       …  〃
   Two etudes      …  〃
   Scherzo …  〃
 3.Ballade        …  〃
   Impromptu-Fantaisie  …  〃
   Valse         …  〃
   Nocturne       …  〃
   Two Preludes     …  〃
   Polonais A flat    …  〃

      29日(神戸)

 1.Chaconne         … bach-Busoni
 2.Carnaval Op. 9     … Schumann
 3.Three Dolls      … Villa-Lobos
   La Cathedrale Englontie … Debussy
   Poissons d’or     …  〃
   Prelude …  〃
   Navarra         … Albeniz
   Danse de la peur     … de Falla
    〃 du feu       …  〃

     大阪 26日 午後七時 朝日会館
        28日
     京都 27日      朝日会館
     神戸 29日      Y.M.C.A

        主催 朝日新聞社会事業団

 ・驚異のピアニスト ルビンシュタインを聞く 牛山充
 ・ルビンシュタインを聴く          野村光一


「レオ・シロタ告別演奏会」 日本青年館 (1929.12)

2011年07月14日 | ピアニスト 3 ルービンシュタイン、ケンプ他

 表紙には、「レオ・シロタ 〔LEO. SIROTA〕 告別演奏会 時 〔一九二九年:昭和四年〕 十二月十四日(土曜) 所 日本青年館 主催 日本交響楽協会」とある。19.5センチ、二つ折れ。
 
 プログラム

  シューベルト 
    ハ長調 幻想曲(漂泊人)作品十五
  シューマン  
    交響的練習曲 作品十三

       休憩

  ショパン   
    譚詩 ト短調 作品二十三
  アレンスキー 
    小譚詩
  チャイコフスキー = パブスト編 
    子守唄
  ラハマニノフ 
    前奏曲 嬰ト単調
  リムスキーコルサコフ = ストリマー編 
    土蜂の飛翔 (「サルタン王の物語」より)
  リスト
    維納の夕べ 第八 ニ長調

    山葉 コンサートグランドピアノ 使用

  

 表紙には、「「リストの夕」 レオ・シロタ ・ピアノ独奏会 楽聖リスト生誕百二十五年記念 〔昭和十一年:一九三六年〕 十二月七日(月) 午後七時半 日本青年館 入場券 四・三・二・一円 前売 プレイ・ガイド」とあり、「後援 日本洪牙利協会・日本リストフレンッツ協会」ともある。
 内容は、仏日両文のプログラムで、下は日文のもの。

 プログラム

 Ⅰ コラールの主題による 
       幻想曲とフーガ 
    (ブゾニ編曲ーオルガン原曲より)
 Ⅱ イ)ゾネッタ 第四十七番
      (ペトラルカの巡礼紀行十四行詩より)
    ロ)ゾネッタ 第百四番
      (      〃         )
    ハ)ゾネッタ 第百二十三番
      (      〃         )
    ニ)ダンテソナタ

          ー休憩ー

 Ⅲ イ)慰安  変ニ長調
    ロ)練習曲“マゼッパ”
    ハ)ワルツ“メフィスト”
      (ブゾニ新編曲)
 Ⅳ イ)ヴィーンの夕
    ロ)ドン・ファンの幻想曲

 なお、裏表紙は、小野ピアノ店のホルゲールピアノの広告である。



 このブロマイドには、「Leo Sirota」とサイン〔印刷?〕がある。