るるの日記

なんでも書きます

古事記 一尋和邇、 佐比持神となる

2020-12-11 13:35:00 | 日記
其の一尋和邇に「しからば汝(なれ)送り奉れ。もし海中(わたなか)をわたる時、な惶(おそ)れ畏(かしこ)ませまつりそ」と告(の)りて、其の和邇の頚に載せて送り出しまつりき

故、期(ちぎ)りしが如一日の内に送り奉りき。其の和邇を返さむとしたまふ時、はかせる紐小刀を解きて、其の頚につけて返したまひき。故、其の一尋和邇を、今に【佐比持神】といふ

★佐比持神(さひもちのかみ)
さひ→刀剣
和邇の鋭い歯を刀に見たてた

■海の神は、その一尋和邇に
「ならば、おまえが送れ。万が一にも海の中を渡る時に恐ろしい思いをさせてはならぬぞ」と命じて、火遠理命をその和邇の頚に乗せて送り出した

一尋和邇は約束どうり一日の内に送った。火遠理命はその和邇を海宮に返す時、腰につけていた紐のついている小刀を外して和邇の頚にかけて返した

それゆえその一尋和邇を今にいたるまで佐比持神(さひもののかみ)という

古事記 一尋和邇

2020-12-11 13:05:03 | 日記
和邇魚を召し集へて問ひていはく
「今、天津日高(あまつひこ)の御子、虚空津日高(そらつひこ)、上つ国に出幸(い)でまさむと為たまふ。誰か幾日(いくか)に送り奉りて覆奏(かへりごとまを)さむ」といひき
故、【各己(おのもおのも)が身の尋長(たけ)の随(まにま)に、日を限りて】白す中に、【一尋和邇】白さく
「僕は一日(ひとひ)に送る即ち還り来む」とまをしき

★各己が身の尋長(たけ)の随(まにま)に日を限りて
※その身の長短で、日数を定める

★一尋和邇
2メートルの和邇

■和邇を召集して
「ただ今、天津日高(あまつひこ)の御子の虚空津日高(そらつひこ)が上の葦原中国に帰ろうとしている。誰か数日でお送りして復命して下さい」と尋ねた

和邇たちは、それぞれ自分の身長の長短に応じて、日数を定めて申し上げていたが、中で一尋鰐が「私は一日でお送りして、その日のうちに帰って来ます」と申しでた

古事記 火遠理命、水を支配する呪力を持つ珠を入手する

2020-12-11 12:27:54 | 日記
諸の魚どもまをさく
「頃者(このごろ)【赤海鮒魚】、喉に【のぎ】ありて、物得食はずと愁へ言へり。故、必ずこれ取りつらむ」とまをしき
これに赤海鮒魚の喉を探れば、鉤有り。取り出でて清め洗ひて、火遠理命に奉りし時、其の綿津見大神おしへていはく

「この鉤をもちて其の兄(いろせ)に給はむ時、言りたまはむ状(さま)は【『この鉤は、おぼ鉤(ち)・すす鉤(ち)・貧(まぢ)鉤(ち)、うる鉤(ち)』】と云ひて、【後手(しりへで)】に賜へ

其の兄【高田】を作らば、汝命は【下田】を営りたまへ。其の兄下田を作らば、汝命は高田を営りたまへ。

しか為たまはば、吾(あれ)水を【しれる】故に、三年の間に必ず其の兄貧窮(まず)しくなりなむ。若し其れしか為たまふ事を恨怨(うら)みて攻め戦はば、【塩みつ珠】を出して溺(おぼ)らし、若し其れ【愁へ請はば】、【塩乾珠(しおふるたま)】を出して活かし、かく惚(なや)まし苦しめたまへ」
と云ひて、塩みつ珠、塩乾珠あわせて両箇(ふたつ)を授けた

★赤海鮒魚
赤海鮒→海のふな→黒ダイ

★のぎ
喉に刺さった魚の骨、とげ

★この鉤は~うる鉤
呪詞
釣針に呪いをかけた

★おぼ鉤
※おぼ→心がハッキリせず晴れない
これを持つと心がぼんやりしてしまう釣針

★すす鉤
すす→すすむ
あわてて物事がうまく運ばない釣針

★貧鉤
貧しくなる釣針

★うる鉤
愚か

★後手(しりへで)
呪術の所作

★高田
高い所にある田
『あげた』ともよめる
★下田
低い所にある田
『くぼた』ともよめる

★しれる
治める、支配する

★塩みつ珠
潮(水)を満たす呪力を持った珠

♦️火遠理命が水を支配する呪力を持った玉を入手できたのは、異族との結婚の結果である。異族との結婚によって、その霊能を吸収していく

★愁へ請はば
嘆き訴えて許しを乞う

★塩乾珠(しおふるたま
干上がる、潮か引く

♦️塩みつ珠、塩乾珠は、仏典の如意宝珠に由来する


■魚たち一同は「この頃鯛が、喉にとげが刺さっていて、ものも食べられない、と悲しんで言っています。きっとこれが取ったのでしょう」と言った

海神が鯛の喉を探ってみると釣針があった

すぐ取り出して、洗い清めて、火遠理命に差し上げた際に、その綿津見大神は言った

「この釣針をその兄君に返す時に、
『この釣針は、心がぼんやりする釣針、この釣針は心が焦り事がうまくいかなるなる釣針、この釣針は貧しくなる釣針、この釣針は愚かになる釣針』と唱えて後ろ向きになって渡しなさい

そして兄君が高田を作るならば、あなたは下田を作りなさい。
兄君が下田を作るならば、あなたは高田を作りなさい
私は水を支配しているから、兄君の田に水を送らず、三年の間にその兄君は貧しくなるだろう

それで兄君があなたを恨んで攻め立ち向かって来るならば、塩みつ珠を取り出してその呪力で溺れさせ
兄君が嘆いて許しを乞うならば、塩乾珠(しおふるたま)を取り出して活かす
このように悩ませ苦しめなさい」

と教えて、塩みつ珠と塩乾(ふる)珠、合わせて二個を授け、、つづく







古事記 火遠理命、海の神に全てを打ち明ける

2020-12-11 09:53:44 | 日記
(豊玉毘売の)其の父の大神、其の婿に問ひていはく、「今日(けさ)我が女(むすめ)の語るを聞けば『三年坐(いま)せども、恒は嘆かすことも無かりしに、今夜大きな嘆為たまひつ』と云ひき。若し由有りや。亦ここに到りし由はいかに」といひき

ここに其の大神に、つぶさに其の兄(いろせ)の失せにし鉤(つりばり)を罰(はた)りし状(さま)の如く語りたまひき

これをもちて海(わた)の神、ことごとに海之大小魚(はたのひろものさもの)を召し集へて問ひていはく、「若しこの鉤を取れる魚有りや」といひき

■豊玉毘売の父の大神は、婿の火遠理命に尋ねた
「今朝娘の話しを聞くと『三年も居られるが、いつもはため息をつかないのに、昨夜は大きなため息をつかれました。』ということだった。何か事情があるのか?それにここに来たそもそもの理由はいったい何なのか?」と言った

火遠理命は大神に、事細かに、兄が、私が無くしてしまった釣針を返せと責め立てた事情をありのままに話した

話を聞いた海神は、海の大小のさまざまな魚をすべて召集して「おまえたちの中に、釣針を取っている魚はいないか」と尋ねた

古事記 火遠理命、兄の釣針を探していたことを思い出し、ため息

2020-12-11 09:24:13 | 日記
火遠理命(ほおりのみこと)其の【初めの事】を思ほして【大きなる一嘆(なげき)】したまひき
豊玉毘売命その嘆を聞かして、その父にまをしていはく「三年(みとせ)住みたまへども、恒は嘆かすことも無かりしに、今夜(こよひ)大きなる一嘆(なげき)したまひつ。もし何の由(ゆえ)か有る」とまをしき

★初めの事
兄の釣針を失って困ったこと

★大きなる一嘆(なげき)
ため息をつく

■火遠理命(ほおりのみこと)はその最初のことを思いだし、大きなため息をついた。豊玉毘売命は、そのため息を聞いて、父の海の神に
「三年も私と一緒に住んでいますが、いつもはため息をつかないのに、昨夜は大きなため息をつかれました。もしや何か事情があるのではないでしょうか」と申し上げた