Sbagliando si impara. (間違うことで人は学ぶ。)

イタリア語の勉強に、nonna ひとりでフィレンツェへ。自分のための記録。

「秘密の晩餐」

2021年01月10日 | 読書
図書館に予約本を受け取りに行くと、「予約本コーナー」が新しく設けられデジタル化されていました。
先ず、自分の図書カードのバーコードをリーダーに読み取らせ、出て来た予約本の数字の棚から本を取り出し、
別のリーダーで再度図書カードを読み取らせる。
そうすると今までと同じ返却日等が書かれた用紙が出て来て終了となります。
「受付で受け取る」よりは手順が増えましたが、人との接触はありませんでした。
コロナ禍での変革の一例でしょうね。

また、本の消毒が出来る機器が2台設置されてました。
新しいものに興味津々の私は早速試してみました~!
1台は本の中央辺りを開いて留め金に立てて挟み、スタートすると風でページがパラパラと高速で開き1枚ずつ消毒されました・・・。
一度に数冊消毒できるボックスでした。
もう1台は小さく、出入り口に置かれており、試してはいませんが、見た感じでは表紙だけの紫外線消毒ではないかと・・・。
今度、試して見ようと思ってます。
ネット調べでは、紙は24時間、プラスチックは72時間放置しておけば、ウイルスはなくなると書かれていました。

以前、「最後の晩餐」の絵の中に描かれた”秘密”が巷で話題になった時がありました。
ハビエル・シェラ作 原題「秘密の晩餐(LA CENA  SECRETA)」を図書館の本棚で見つけ、遅まきながら読みました。
      

作者が美術、文学、歴史学の専門家の協力を受け、3年の歳月をかけ調査研究をし、上梓された作品だそうです。
多くの歴史上の人物や絵画も出てきて興味も増しました。

キリスト教世界が混乱期にあった時代。ドミニコ修道会総長の指示で<サンタ・マリア デェッレ グラッツェ修道院>に
派遣された異端審問官アゴスティーノ神父が、「予言者」と名乗る匿名の手紙を持って
「最後の晩餐」に隠されている秘密を解いていく話です。
大ヒットのダン・ブラウン著「ダ・ヴィンチ・コード」を思い出します。
予言者の手紙には謎の七行詩が記されていました。
「目を数えろ だが顔を見るな わが名の数は側面に見つかるだろう」
この手紙から「予言者は誰か」そして「暗号の解明」も追求しなくてはならないのです。

絵の中に、聖書に記される内容と相違する個所、つまり教会や信仰を破壊する暗号を見つけなくてはならないのです。
解くまでに、結び目、異端の書「新黙示録」、暗号解読法、タロットカード、十二使徒の特徴、キリスト教世界の異端カタリ派、
図像学等さまざまなものが出てきて、私は混乱。

イタリアでは「最後の晩餐」は「チェナーコロ(cenacolo)」と呼ばれているようです。
レオナルドは、「最後の晩餐」の製作をミラノ大公に依頼されて製作しているのですが、
未だに未完成の状態で、完成するかどうかもあやふやな状態でした。

修道士の性格や雰囲気からそれぞれのモデルを選び「十二使」を描いているのですが、
その使徒の中にレオナルド自身を描いているようで、
修道士の中でいろいろと憶測されていました。
どうやら「タダイ」の髪の色、髭の生え方等がレオナルドにそっくりのようです。

「ヨハネ」は女性がモデルだったので、「マグラダのマリアでは?」と勘ぐられたのも仕方ありません。 
真相は分かりませんが・・・
その女性はストーリーの中で、モデルとなった後にレオナルドと共に生活し、
その後「モナリザ」のモデルにもなったとも・・??

ストーリーの中からレオナルドの目の色は青であることや性格も想像でき、
途中から彼とお友達のような気分になってしまいました。

なぜレオナルドは絵画にせずに壁画にしたか、しかもフレスコ画でなく劣化しやすいテンペラ画で描いたのか? 
壁画にしたのは、新しいものに作り変えろと強制され、簡単に取り替えられる心配がなく、
異端者たちの慰安の場を密かに確保できると彼は考えたようです。 
テンペラ画にした理由は読み取れませんでした。

要するにローマ教会は神の祝福を感じるのに「目に見える秘跡を必要とし、聖体を口にし、
聖油を塗ってもらい、聖水に身を浸す」けれど、
カタリ派の主張は、「秘跡は目に見えない抽象的な力で、自らの内にそれを感じるに
至った時に歓喜が満ち救われる」と。
そして、聖職や教皇の存在を認めていません。

レオナルドは、聖職者が神を幕屋に閉じ込めて、思いどおりに利用する宗教のあり方の事実を伝える秘密の司祭となり、
真実をチェナーコロに託したとかーー。
暗号が解明されそうになった時、レオナルドは完成を急ぎ、
完成の日まで異端審問官アゴスティーノ神父は何処にいたのかはこの本を
読んだ人のみが知るでしょう。(^_-)**

完成後、異端審問を司どり、正統信仰の守護者たるドミニコ修道院の、
正に中枢でカタリ派の秘跡(サクラメント)が人々の眼差しと崇拝に
さらされているのは面白いですね~。

いろいろとストーリーが展開され、解き明かされていく過程は絵画鑑賞の上でも
勉強になりました。
SANTA MARIA  DELLE GRAZIE教会の「最後の晩餐」を実際に目にして、
本に書かれていた食堂の様子やレオナルド・ダ・ヴィンチ、
異端審問官アゴスティーノ神父、修道士たちを想像したい。
コロナ収束を切に願います。