Sbagliando si impara. (間違うことで人は学ぶ。)

イタリア語の勉強に、nonna ひとりでフィレンツェへ。自分のための記録。

自粛生活での読書

2021年01月16日 | 読書
辻堂ゆめ著「十(とう)の輪をくぐる」を読み終えました。
自粛生活の中で図書館利用を始めて、15冊目の本です。
   
先ず、題名の「輪をくぐる」の文字から「茅の輪くぐり」を連想してしまいました。
草で編んだ大きな輪をくぐり、災いや厄を払う神社の行事のことです。
「茅の輪」を十個もくぐり、厄払いをしなくてはならないほど辛いことの話かと思った
のでした(^^;)
2019年の現在と、母<万津子>の半生が交互に分けて綴られていて、その章の数かと思い、
数えて見ると13章。
「十」とは何?、「輪」とは何かの答えを探りながら読んでいきました。

この話は2019年の息子<泰介>の日常と、熊本の貧農の家に生まれ、中学を卒業すると
愛知の紡績工場へ集団就職し、19歳で炭鉱職員とお見合い結婚した母<万津子>の半生
の物語です。

中学時代から結婚するまでオリンピックを夢見て、バレーボールの練習に励んだ
青春時代の万津子。
自分には勿体ないほどの相手だと思っていたが、とんでもないDV夫で、悲惨な結婚生活。
手に負えない異常な無茶振りな息子泰介の子育ての苦労。

死んだ父のことも、結婚前の母の仕事も、故郷の家族のことも、何ひとつとして語らない
母だったが、脳血管認知症になったことで、泰介は母の過去を垣間見ることになった。

「どうして自分にバレーボールをやらせたのか? なぜ弟ではなかったのか?」、
母が繰り返し呟いていた「私は東洋の魔女」という意味深な言葉、また「泰介には秘密」。
これらの泰介の疑問も、私の「十の輪」の疑問も最終章で明らかになりました。

思いの他、きれいにこの物語は締めてありました。
COVID-19感染者の増加で、2021年7月に延期されたオリンピックは、後数ヶ月と
なりましたが果たして開催されるのでしょうか?