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久しぶりに「本」のカテゴリ。
本日、随分と暗澹となる気分になり、余韻の残り具合が半端じゃない小説を読破したので。
かの有名な恋愛小説。
『彼女がその名前を知らない鳥たち』
映画化もされ(R15指定だが当たり前だな)キャストが結構魅力的でそっちもちょっと見てみたい。
蒼井優が十和子をどこまで演じきれるか見てみたい。
恋愛小説だ。これは。
読み終わって深い、深いため息が出る。そんな終わり方。そして読後感。
読み終わってから藤田香織の解説に載っていたこの一言、「これを恋と呼ぶのなら、私はまだ恋を知らない」
この一言上手すぎる。
クズばかり出てくる。
人に魅かれるということは人間の本能であろう。
じゃあ恋愛って本能なのか。本能の赴くままに相手を求めるのが純粋な人間の恋愛なのだろうか。
ちょっと『おやすみプンプン』を思い出した。
プンプンと愛子ちゃんの関係に通じる部分がある。
あまりに純粋で愚かで自堕落的な。
それが人の恋愛の純粋な正体だとするならば、俺は恋愛をまだ知らない。
この世でよくあるラブストーリーに共感し、感動する人たちも、恋を知らない。
確かに人を好きになるって人それぞれで、色んな形があるって思った。
俺は読んでいて陣治には共感できるところが多すぎた。
この人の気持ちはすごくわかる気がする。
純粋だよ。
本当に人を好きになるってこういうことなのかもって思った。
正しいかどうかなんて、全く別次元の話。
「楽しかったなぁ、十和子。ほんまに楽しかった。
この生活いつ壊れてしまうんか思うさかい、いろんなことあってもあんだけ楽しかったんや」
このセリフ好き。
「せやけど俺、××~、おまえとほんまに離れんようになってしもた。
おまえのこと、それまでも大事だったけど、もっともっと大事になったんよ。」
やっぱり似てるよ。プンプンに。
あまりに純粋な故の歪んで見えるあまりにも優しいところって言うか。
よく耳にする何があっても君を守るだとか、死ぬほど君が好きだとか、そういう台詞はきっと、この小説のような恋愛をした人ではない人が言うんだろうな。
やっぱりこれは恋愛小説であると感じた。
十和子の恋愛小説では決してない。
これは陣治の恋愛小説だ。
人を魅かれて自分を犠牲にしてでも守ってあげたいと思う気持ちって、こういう純粋な部分だと思った。
十和子の視点で語れているが、これは陣治の恋愛小説だ。
だから冒頭の表記に戻る。
恋愛小説だ。これは。