斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

赤十字水上安全法講習会4日目

2014年05月18日 20時55分50秒 | 長岡技術科学大学の広報
本学の室内プールで実施されている赤十字水上安全法救助員養成講習会は最終日を迎えました。
今日は検定があり、さらに救助員養成の現状について地元テレビ局の取材がありました。

検定で入水救助の一連を水着の状態でやってもらい、検定が全部終了した後、着衣状態での入水救助にチャレンジしてもらいました。
まず、検定の様子です。
溺者発見


アプローチ


確保・チンプル


クロスチェストキャリー


水着の状態では安定した泳ぎでしっかりと救助ができました。ただ、これだけ訓練しても岸に戻ってくるとかなり息が荒くなっています。この受講生は本学の水泳部員で、すでに救助員の資格を持っていますが、上位の資格取得のために頑張ってもらっています。要するに十分訓練された人でこれくらいになります。

続いて、着衣状態での救助です。こういう講習会で受講すると、一生の間に本物の入水救助を経験するかもしれません。そのときに着衣の状態で入ってしまって命を失うと困るので、体験してもらうことにしています。

3人でやってみました。なお、足の届くプールで、水上安全法指導員3名の救助体制で訓練を実施しています。(これを足の届かないところ、あるいは自然水域で絶対にマネしないでください)
順下です。


本当は顔上げ平泳ぎでいくのですが、わざと教えませんでした。着衣の顔上げクロールは普通の人で5mと持ちません。


もっとも泳力のある受講生です。毎日泳いでいます。一番で到着しました。残りの2人はまだ後ろです。


チンプルを取りました。


もっとも速い受講生(真ん中のコース)がクロスチェストキャリーに入った瞬間に水没しました。


手前の受講生は立ちました。この時点で深い水であれば沈水で溺れます。


水泳部の彼すらも水没寸前です。


一番速かった受講生でもこの段階でプールの底に足をつけました。ここで水没です。無事に岸まで戻れなかったということです。


どうでしょうか、どんなに訓練しても着衣での救助は命を落とす確率がきわめて高いのです。救助訓練を受けていなければ生きて戻ってこれない。厳しい現実が待ち構えています。

以上の様子は、5月21日18時15分からの放送枠でTENYで放映される予定です。




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