三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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ニュルニュル系7

2013-05-03 00:37:00 | モンスター映画
 ■スカイライン―征服―■ ビルの窓外から攻撃を受け続けるってこのパターン、結構新しいんじゃないか。ビルの中や外を逃げてくシーンも俗っぽい間一髪型っちゃそれまでだが、外に出た瞬間ドーンと踏みつぶされるなんて嬉しい瞬間も挟まっていたり、なにより肝心の触手ユラユラ~~のリアル感がほんと、ニュルニュル系の模範的ポジションを占める。確か低予算低予算とそれが宣伝文句になってた記憶があるけど、低予算を感じさせないな。低予算丸出しで面白い、というテもアリかと思うが、CGを効率的に使えばこんだけできるんだよ、という模範演技か。うむ。ストーリーに独創性はないが、ありきたりな流れを突き詰めるとこんだけ面白くなるという、青白い光とニュルニュルを組み合わせるとこんだけ気持ちいいという、ビルの内外逃げまどうだけでもこんだけモンスターパニックになるよという、フィクションとしてよりリアルな興味を刺激する映画かな。制作的現実へのね。このテクで『宇宙大怪獣ドゴラ』リメイクしてほしいよ。
 ■モンスターズ 地球外生命体■ なんやストイックだなあ。前半は全くモンスターの影なし。冒頭のチンケなカメラ映像を除いて。こいつもたしか低予算を売りにしてたんじゃなかったっけ。こっちは少~し低予算が浮いて出ていたかな。ロードムービー的流れは隙がないというか無難というか、破壊の跡の風景主体でこのまま地味に終わっちまうのかと諦め気味にまっいっかと適度な満足感でっち上げとこうとした矢先、ラストでぶっ飛んだね! いや、これも地味っちゃ地味なんだが、いやあ、タコ型巨大エイリアンのラブシーンが見れるとはな! 空を背景にした巨大怪獣を斜め下から見上げるというのは怪獣ファンの原風景じゃないか。いやあ、やってくれました。ラストでモンスターファンの夢を実現してくれました。和みました。慄えました。泣けました。寒イボ出ました。
 ■ダーケストアワー 消滅■ ニュルニュルっちゃニュルニュルなんだけど、生物っぽさがないと、つまりヌルヌルっぽさとかトゲトゲっぽさがないとどうも物足らんな。ただの光って感じだものな。人間を消し去る描写はもろSF然として大した特殊効果ぶりだが、ちょっと衛生的すぎるのな。やっぱモンスターものは湿ってないと。血や肉が飛び散る系じゃないと。光でゴリ押しってのはどうも。ただ身体消えちゃうのばっかし連発じゃ画面のまぶしさに反比例して虚しくなってくるよ。あと普通の銃で撃っても無駄ってことは早々にわかってたのに銃撃にけっこうこだわってたのが解せんな。まあ映像的観点からは銃撃って間を持たせるのに手頃ではあるけどさ。
 ■グラバーズ■ どうもなあ。アイルランドは飲んだくれ文化、ってな地元ネタでウケを狙った半コメディなんだろうけど、最低限真面目にやってくんなきゃ困るんだよ、何せはっきりモンスターパニック仕立てなんだから。アルコール入ってりゃ襲われない、って根拠薄弱な前提を無理矢理でっち上げて、島民全員あえてがぶ飲みして酔っぱらいながら戦うっての、いくらなんでも共感できんよ。真剣に戦えよ。グレムリン的描写と大ヒトデ型怪獣的描写の併用はせっかくキマッてたし、ぐちょぐちょぬるぬるもこれ系統の標準をしっかり超えてるのに、人物どもがあの体たらくじゃあなあ。派遣されてきた女捜査官も、個人的なサブ目的は男漁りって感じの扱いは好感持てないす。困ったもんだね。終盤の追っかけっこバトルも雑すぎるし、CGエイリアンの出来に見合った真面目さでやってちょうだいよ、もう。
 ■マンドレイク 人喰い植物のえじき■ 原住民との戦いの方がメインだったような。植物怪獣としては造形が平凡だったような気も。やっぱ蔓蔦系なんだよね。ま、しょうがないけど。植物モンスター自体が珍しいからビジュアル的には不満ありませんでしたけどね。人間を蔓でくるんで全身ブッちぎっちゃう描写はあれ怖いんだけど、瞬間ワザなんだよね。もっとじわじわやってくれた方がもっと怖いのに。まあ原住民が最後まで邪魔だったな。『パラサイト・バイティング 食人草』じゃ現地民はもっと控えめに効果的役割果たしてくれいたのに。って植物モンスターものは原住民が必ず絡んでくるもんなのかな?
 ■へんげ■ これ、ちっともニュルニュルじゃないんだけど、気持ちはニュルニュルってことで。あの寄生生物っぽさはいかにもニュルニュルを連想させるでしょ。でこれ、ラストで超超々々巨大モンスター出現、ってモンスターファンが喜ぶとでも思ったかい。ふざけんなよ。ってちょっとは嬉しかったけど。限度があるでしょ。まあ、子どもの頃これ見てたら大喜びだったろうな、俺。いま見せられてもなあ、って悔しさも込めて、星2つ。で、旦那の苦悶表現ってあれ、笑えたんだけど、作意はコメディだよね? あのへんの確信犯ぶりがもっとあからさまに出てくれてたら、星3つかな。

コンタクト系16

2013-02-15 00:28:00 | モンスター映画
 ■遊星からの物体X ファーストコンタクト■ 期待を裏切らぬ出来映えでホッとした。ホッとしちゃって前作のようなスリルを感じてる暇がなかったゆうか。CGが達者すぎて前作の物質感がチョイ後退したかな、ヘリの中でのぶわーって変身シーンとか。それでも堂々たるモンスターぶりでした。女が女を襲い始めるとこ、乗っ取られてることに本人は気づいてないらしいって仕組みが仄見えてよかったです。しかしまぁ、無理にアメリカ人出さずにノルウェー人だけでやりゃよかったのにな。べつに英語喋ってても不自然だなんてイチャモンつける気ないからさ。あと肝心なことだけど犬追っかけるシーンにスムーズに続いてくのかと思ったら、女が生き残った(んだよね、あれは)シーンからってつけたような犬追跡シーンへ。つながってないじゃないか。あとほら、氷破って外に出るシーン、あれじゃあダメですよ。あんな急速突破じゃマンガでしょ。じわじわ抜け出す感じでやってくれないと。いろんな意味で前作のホラー風味を味消ししてくれた続編でしたわ。いや、基本楽しめたけどね。虫歯治療で弁別しようってアイディアはよかったね。あそこはほんと前作の血液検査シーンにしっかり肉薄してましたわ。
 ■メン・イン・ブラック3■ こりゃあまあ、面白いの当たり前って感じで観てたんで。そりゃあまあこのシリーズ的な期待の通りでしたし。でも終わってみりゃ冒頭で鎖外してくれたムシ型ロボット(?)がモンスター度ナンバーワンという、そうね、あのデカ魚よりもだね、とにかくモンスター度じゃそういういまいちの流れでしたが。敵があいつってんじゃねえ、ただのパンク兄さんじゃないかって。しかしまぁ、なんせ達者だよね。ビルから落ちるシーンとか。観賞サイドとしてはもう安心モードだよね。あんまりサクサク滞りなくエンタメが進むんで、なんか却って寂しかったり。ああそういえば、ビル屋上でチョイ邪魔しに来た巨大イカみたいなの、あの浮遊生物。あれ出番がもっとあればよかったなあ。
 ■クライモリ デッド・パーティ■ 普通の殺人鬼と「あいつら」がチームを作るというナンダソリャコンタクト系だな。「あいつら」って、ふつーの人間に服従しちゃうのかよ。なんかがっかり。パケに「セルフ内臓喰わせ」ってあるから楽しみにしてたんだけど、なんだつまんねえ。もっとスマートにやってや。
 ■プロメテウス■ クリーチャーの出番少ないってば。残念。ラストのプチバトルんとこくらいか、タコっぽいクリーチャー全開で華々しかったのは。それまではヘビっぽいのが宇宙服内に侵入とか、手術マシーンで開腹取り出しとか、あれっ、そんなもんかよ。モンスター度低っ。凶暴化した人間なんてのは要らんから。そういえばロボットがわざとパラサイトの卵か何かを乗組員に飲ませてたっぽいけど、あれどうしてなの? わかんなかったんだけど。ラスト首だけになってなお恩着せがましい弁明によって生き延びたあのロボット、謎だったんだけど。続編に続けるつもりかな?
 ■9 ナイン 9番目の奇妙な人形■ どうしてズダ袋人形かなあ。もっと見応えあるクリーチャーにしてほしかったのに。あ、これほんとはサバイバル系ね。コンタクトっぽい場面あったから、といっても生きてる人間とじゃないわけだけど、まあコンタクト系にしとくけど、そもそも人間が作った生物らしいからなあ。骸骨恐竜的なビーストの動きには満足。だけどなんちゅうか、わびしい風景だったなあ。人形のそれぞれが見分けつきにくいのも一因だな。重ね重ねもっと多彩な生物にしてくれりゃよかったのに、変にストイックな、意地悪なような。
 ■狼男アメリカン■ 決してコンタクト系じゃないけど、ここにぶちこんどけいうか、ま、死んだ友人に執拗に自殺勧められるって設定、やっぱコンタクト系列でしょうね。それにしてもパブの異様なシーンとか、『インブレッド』あたりはこれの影響受けてんのかな。しかしパブと荒野で舞台統一してほしかったよなあ。病院で悪夢見るシーンくらいまではすっげえ不条理でわくわくさせられたんだけど、看護婦の振る舞いのエロサが不条理方向じゃなくて俗っぽい方に滑ってっちゃったし、みるみる普通の映画になっちゃった。ていうか舞台変化しすぎでしょ。評判の変身シーンは確かにノンCGの時代にしちゃこれ、驚異的でした。多重衝突シーンも気合い入っててマル。けどモひとつ文句言っとくとラストシーンは「あれっ、それで終わりかよ」って呆気にとられましたわ。そんな平凡な映画として始まっちゃいなかったはずだがなあ、重ね重ね。
 ■アポロ18■ 異色のPOVと言うべきだろうな。いや、ただの石がむくむく立ち上がってくれたのは得した気分でした。モンスターものとは思わなかったので。いや、コンタクトなんてしちゃいないけど、あの立ち現われぶりって知能あるっぽいもんな。
 ■ひきこさんvs口裂け女■ あの子実は口裂け女の娘でしったってそれ、ぽかーんって感じ。対決ものはどっちかを人間寄りに作らんといかんのかねえ。余計な設定だと思うが。それにしても看護婦の演技がムゴかったね。ろくにセリフ言えてないじゃん。撮影途中でわかりそうなもんだが。ま、ずっと見てりゃ対決シーンのショボサも覚悟しちゃいたけど、あの2体じゃ強さが違いすぎておもろなかったな。もうチョイ拮抗しててくれないとさ。

サイコパス系7

2012-11-06 15:50:00 | モンスター映画
 ■シャーク・ナイト■ 爽快です。私これ、大満足です。ちょこっと揉めただけで地元青年、この執拗かつ大掛かりな報復はやりすぎでねえの、と引きながら白けてたら、なんだスナッフビデオだったか、目的は。常習犯ね、それなら一応わかる。むしろ非現実的なのは被害者サイドか。優等生がフィジカル面でもスーパーマン過ぎるのがどうも御都合主義過剰(たとえば海底に腕発見あっぱれシーンはさすがに不必要だったでしょ、しかも間一髪のおまけ付きとは。どうせ本体はまもなく自決しちゃって腕は二度と出番なかったんだからさ)。でもとにかく鮫の種類と出現様式の多彩さで私ゃ基本大満足と。細かいとこ全部許しちゃう。全力逃走中に真ん前から巨大鮫ジャーンプ、バクーッ、なんて「こうなればいいな」的欲求をそのつど満たしてくれるサービス精神が嬉しかったのなんの。ただし片腕男の恋人とか、ただ悲鳴と水没のみだったでしょ、食われるシーンはひとりひとり全部映せと文句言っときたい。で、真っ先に食われるかと予想されたイヌだけど、いやはや受難を生き延びて、ラスト、芸が生きましたね。ヒロインの手をしっかりくわえて協力したのは緊迫の中だけにほのぼの度倍増。でもラストのラストがねえ。ああいうお決まり象徴表現で締めくくるなら、あゆふに雑にやるんじゃなくて、ほんとに食われた的リアリズムで締めてほしかったっけな。ま、なんだかんだでいろんな鮫が観れてよかった。ダルマ鮫なんてミニモンスターがほんとにいるんだなあ!
 ■スペイン一家監禁事件■ おなじみ『ファニー・ゲーム』と同じパターン、一家全滅モノだが、こっちは犯人側も相当のダメージを受けちまったところがなんというか、犯人サイドの人間くささを際だたせて、不条理風リアルドラマになっていると。しかし『ファニー・ゲーム』と違って家族を殺すつもりなんぞなかったと思うのだがな、あいつらには。なんであんな大騒ぎになっちまっただかや? 家族を人質に取っての連れ回しって、もともと強引すぎなのでは? 時間軸ぴったり一致のマルチビジョンは、最後にぴたっと名人芸的に融合する瞬間以外どうにも集中力が削がれたが、まあありかな。犯人サイドの分裂というか何というか、粗暴一点張り役とおまえ何やってんだむちゃすんな役とのコントラストが絡んで全体ぐぐっと引き込んでくれた装置の一部かな。ラストのバトルは明らかに被害者側圧勝パターンがなんで系。ともかくみんな言ってるように『ファニー・ゲーム』ととことん比較するとこの種の映画の手法から効果から全部解明できそうな。というか解明すべきものなどない、何やってもこのテのなら映画になる、ってバラしてしまいそうなこの映画。『ファニー・ゲーム』ではそんなこと感じなかったのにこれのとき感じたってことは、こっちの方を後から観たからか、それともあっちに比べて騒々しいこっちの犯人らの言動が<何事も見え透いてる感>をもたらしたからか。
 ■マザーズデイ■ 『スペイン一家監禁事件』の犯人らにもまして手際悪すぎのスットコ犯人らでしたねえ。そりゃあ無理ないか。自分の家だと思ってたんだもんね。監禁する予定なんてなかったんだもんね。ってよけい間抜けでしょうが。直前の強盗も失敗したらしいし、何ヶ月も前に家を手放した情報がママから伝わってないまんま強盗やるってどうゆう家族? だいたい死んでるの確かめてから捨てるのは基本でしょ。いや観てる方もあの女が顔に穴ぼこあけられたまま生きてたのは意外だったけど。犯人サイド、あんなんでよく三人も生き残れたもんだよ。被害者サイドで無傷だったのは一人だけですかね。生き残り人数多すぎなのはどうだったかな。あの騒々しさからして被害者ら全員まとめて死亡フラグが立ったものと思ってたんだが。連れ回しシーンの金引き出しのところ、『スペイン一家監禁事件』のコピーみたいだったしな。つかどっちが先なのかな? 終わってみりゃなんとまあ、始めっから重傷状態で登場して死亡確実と見られた童貞君がちゃっかり復帰、次の赤ん坊さらいで大活躍するわけね。まあ途中からどう転んでもいいようなシリアスドタバタ劇だったけど、なんというかな、いくら不倫されてたからってあれっぽっちの不確実な理由で他人の金を隠し通すかよ。てめえらの命がかかってるってのに。ありゃあ無理だよ……。無理に子どもに掛けようかつ賭けようとしてたけど、ちょっと的を外してたかな。あんだけ密につながってたっぽいサイコ親子が実はみんな血のつながりないんですよってのがミソらしいけど。
 ■ノーカントリー■ おっかないねこのサイコパスは。人間的感情ゼロだね。すべての映画のサイコパスん中でいちばんおっかないかもなこの男。風景のせいかな。店に入って意味もなく店主に生死の選択を穏やかに迫る低音のナチュラルさ。けっこうコワモテ系の店主が無表情でおびえる様子がちょっとあれ、微妙におっかなすぎて、他の場面みんな飛んじゃったよ。映画にとっては生きても死んでもどうでもいい端役だからこそ、おっさん結局生きられることになってホッとしましたねえ全く。あんな末端のワンカットのおかげであとのシーン全然覚えてねえや。
 ■冷酷処刑人■ もうちょっと頭冷やしたら。と言いたくなる。直接殺されたわけじゃないらしいし、もともとはあんたのイケイケ娘が自らまいたタネいうか、ああいう事故は予想の範囲内なわけでは? てな正論は置いといて、最初のあれ、問屋でビデオ全部買い取ろうとしたときのあれね、次第次第に壊れっぷりというか怒りが顕わになっていくスペクトル表現はみものでした。しかし真っ正面からベタにブッ刺すとはな。とにかく戦いまくって捕らえられては逃げて戦って、満身創痍の勝利。冷静さ失いっぱなしの復讐劇ならではの痛快さ。やっぱ頭冷やさなくてよかったよ。しかしあれだけの苦労に値する人間だったのかよ、あんたの娘って。
 ■ドリーム・ホーム■ チョイ珍しい女性サイコパス。たかだかあの目的のためにあんなことまでしてました、てのが一応オチってことになるんかいな。強引だけど、よしとするか。そこがサイコたるゆえんってことで。トンデモサイコ系ね。室内バトルが漫画チックいうかいちいちスラップスティックで笑えたなあ、たしか床上に転がった目玉に滑って転倒、みたいなシーンあるんじゃなかったっけか、よく覚えてないけど。子どもの頃のしみじみシーンとか余計なの省いて、スプラッターだけで通してもらいたかったような。いや、あれ省くとトンデモ動機の説得力がなくなってただのキチガイナンセンス映画になっちゃうか。ともあれレアな単独犯連続殺人鬼女登場させてくれたお手柄映画です。
 ■アニマル・キングダム■ よくわかんなかったんだけど、おばあちゃんが警察に対して影響力持ってるらしいあれって、一体何なの? 事情どっかで説明されてる? それにしてもぽんぽんと簡単に殺しまくってるねえ、どっちサイドも負けず劣らず。いくらなんでもリアリティ無さ過ぎでは。高校生主人公の抑え気味演技が多少バランスとってたとはいえ。だいたい殺して埋めるなら携帯の電源くらい切って埋めときなよ、馬鹿なの? 姿くらましてたポープってどんだけ大物かと思いきやあれじゃただの低脳ヤクザじゃないか。評価高い映画みたいだけど、俺はダメだなこれ。主人公の表情(というか無表情がときおり崩れる様子)のうまさだけが見所かな、これは。いちいち息子たちにキス(ホッペじゃなくてクチにね)を求めちゃ顔に指で唾なすりつけてるおばあちゃんも終始一貫気持ち悪かったの何の。悪い意味で。
 ■正体不明 ゼム■ うう~む。裏切られたわい……、いやまあ、たまにはこういうのあっていいか的な、しかしほんと、てっきりモンスター映画だと思い込んでたもんで。まあモンスターだけどな、たしかにあいつら。だってほれ、冒頭の車が襲撃される場面とかさ、ガタガタガガタって揺らされたりすっでしょ。ありゃもう完全に怪力モンスターフラグが立ってるっつの。いくら悪質なチーマーだって、あんなとこで意味もなく車襲いゃしないっつの。執拗な下水道追跡はしかし見応えあったな。道路越しの撮影、見事でした。しかしこれ、実話ってほんとかよ? どこまで実話? 半分も信じがたいけどなあ。
 ■バイオレンス・レイク■ 『正体不明 ゼム』と同種の犯人たち。こっちは対照的に成り行き系か。あっちがシュールならこっちはカジュアル。犬殺されたのがすべての始まりってのが何ともね。『正体不明 ゼム』がほんと正体不明モンスターからアラアラアラ、とある意味デクレシェンド陰鬱系だったのに対して、こっちはひたすらエスカレート状況の怖さだね。相手が始めからわかっていて所詮あいつら、だけど……って通俗の怖さ。しかしほらあのシーン、味方になってくれそうな少年を早まってぶっ殺しちゃったのは悲しかったね。ああいうときだけサバイバル姉ちゃんのワザが一瞬で決まるのね。少年もあんた、相手はパニクってるんだから少しは警戒しながら近づきなよ。で、逃げ込んだ先で救助の手が一転……ってなんとも散文的な終わり方。重ね重ねリアル。
 ■クライムダウン■ 中途半端だなあ。山から町へと舞台が移動しちゃうんだな。せっかくシュールな監禁少女発見シーンで始まったんだから山の中だけで終わらせるべきでは? 誘拐犯もあそこまで追っかけちゃうと目的が達せられんでしょうに。どうせ顔見られてるからいくとこまでいっちまえのノリってか? 警官を疑うシーンは緊迫感あったけど、狙撃はうまくいきすぎだよな。どこへ逃げても追ってくる、ほぼモンスターホラーでしたな。後半の派手さが全体のちぐはぐさで帳消しになっちゃったっけ。前半と後半、別の映画でやりなよって感じ。

トラウマ系27

2012-11-05 19:06:00 | モンスター映画
 ■ダーウィン・アワード■ POVじゃないけどそれっぽい何というかな、フェイクフェイクドキュメンタリー? いや違うな、とにかくこの「形式」でオムニバスコメディやられちまっちゃ、むせび笑うしかないでしょうよ、ただでさえ自然淘汰には学問的にも入れあげてるこの俺ときちゃ。撮影者の学生が最後もろ全身露出して形式意識がチョイくどかったけど、よしとするか、あの形式を否応なく思い出させる意味で。いずれにせよメインは事故当事者らの馬鹿さ加減なわけで。とくにダイナマイト犬にゃ参りました。自販機男もアッ俺ラモヤリソウ的なだけに笑い事じゃない笑いによじれた。ぶっとびロケットカーがかすんじゃったくらいだわ。惜しかったのはフェラチオドライブだね。ああいう通俗のクソエロ描写は外しといてよ。あれ無い方がよかったよ。あんなん無しでも素で面白過ぎなんだからさ、家族で観られる仕様にしといた方がよくはなかったかい。あとあれもね、調査員コンビの男の方が風呂場で宙吊りになる一種ドタバタシーンとかね。ああいう安いコントはさもしい感じだよ、白けるよ、重ね重ね本体のネタが面白いだけに。制作サイド、本体に自信がないのかなと思っちゃう。まあはっきり言ってあの二人要らんかったのですわ。血を見ると卒倒なんて漫画チックなキャラクター設定も邪魔くさい。あ、撮影者の学生はいた方がいいんであの二人は超控えめ没個性でやってくれたらよかったってことだな。とにかく間抜け人間たちの死にっぷりに専念でやってちょうだいと。まあ死にっぷりっつっても、けっこう当事者に生き残ってもらってたようだな。そりゃ仕方無しか。車盗まれ男の憮然とした証言も、保険詐欺的な意図よりも羞恥心、おのれの間抜けぶりを隠すためのウソって思うだけでそりゃまあ笑えるですからね。死んで報いを受けたとなると逆に嘲笑の向けようがなくなるってもん。いや、だけど自販機男の死に様なんぞしっかり笑えたか。
 ■LIAR GAME ―再生―■ ほとほと感心するんですよ、ライアーゲームの頭脳度には。この椅子取りゲームも、原作にないトリックを適度に織り交ぜて、原作ファンも(こそ)楽しめる仕上がりになってる。よくぞ考えたもんだ。ただしこの、原作で感じられた不満点、たとえば何でもかんでもアキヤマがイニシャチブとっちゃってて、せっかくのガヤの独立性というかな、多元的な思惑のせめぎ合いが乏しかったところを映像では変更する余地があったのになと。ガヤのボスが目立ってもよかったと思うんだよ、ああいう泥仕合的シチュエーションでは。まあ贅沢な要求かな。つまり全般、不満なし。ヒロインの設定も、ナオちゃんみたいな純善人じゃなくていろいろ猜疑心に苛まれる的人格に設定してくれたのがドラマに深みが出て二重丸。あ、結末はそりゃもっとダークにしてくんないとね。まあ毎度のことだけど。
 ■スリーデイズ■ わははははは。こりゃいい。面白え。映画はこうでなくちゃ。ビルドゥングスロマンだ。最初はドジとスカタンの連続だったトホホ熟年教授が、殴られようが騙されようがめげずに裏社会ルールに上達してゆく、その一徹さがすげえ。最後はゴミ出しでまんまと警察を出し抜いた知能犯ぶりじゃないか。チンピラを撃ち殺したり焼き殺したりの粗暴犯ぶりとの結果的共存がすげえ。細部突つけば無理だらけでショーモナイ映画なんだが、うむ、たとえばカルテ入れ替えて入院先でことを起こそうなんて御都合主義がやれやれって感じだが、とにかくスピード感がいい。苦心惨憺こそが主題で脱獄成功まで行かないところがリアルだと思っていたら、この映画案外長くてほんとに脱獄させて高飛び成功しちまいやんの。やりすぎだけど、まあこの映画に限ってはよしとしよう。ラスト、「脱獄犯は実は真犯人ではなかった」的裏付けを求める負け惜しみ刑事の表情がなんともいえん。二転三転の展開が映画の醍醐味開けっぴろげてくれました。
 ■ブラック・スワン■ うーむ。普通にすさまじい。ある意味無難なサイコ映画だねえ。爪だねえ、爪がこわいやね。どこからどこまでが幻覚なんだか、友だちブッ刺したとこが実は自分を刺してたってことでしょ、あれ。あそこまで彼女を壊した元凶は俗物きわまる監督だろうな、普通に考えると。噛まれても仕方ないねえ。引っ掻かれなかっただけ幸運だったね、あの爪の怖さ考えると。あとプレッシャーかけまくりの母親も無罪ではないが。まあ普通に考えない方が面白い世界だろうけどなこういうのは。だいたいブラックになりきる適任ギャルが他にいたっぽいのになぜに一人に集中?てとこが不条理きわまってちゃ、やっぱ普通にしか考えられんよ、監督だよ。もう白黒一人にやらせる時点でナチュラルイジメになってるんじゃしょうがないよ。ほんと思考が普通化せざるをえない知性麻痺映画でしたよ。こういう女子壊れまくり系っていろいろあるようだから、漁ってみようかなと突き動かされたり。これ、ガーリームービー系にほんとは分類しなきゃなのになぜかあえてサイコに分類したくなりますね系か。
 ■ステイ■ またこれだ……、『トライアングル』といい『-less[レス]』といいサスペンス映画も大変だな。このネタ使えばかなり無理ある非現実シーンやり放題だもんなあ。レパートリー広がるもんなあ。しかもこいつは『トライアングル』とは違って最初っから走馬燈系が見え見え。というか道路から立ち去るあの演出、最初っからおまえら承知してろと。しかしどうかな、いくらなんでもネタバレが最初に来るって構成は。いや、だけど立ち去る人物が確か違ってたので(違ってたよな?俺の記憶違いかな?)、走馬燈の主体を勘違いさせとけばうまくいく、って計算ぽいかな。いやその計算、正しかったかも。たしかに俺はその点騙されてたよ。というか人物の同一性は始まったばっかの時はよく把握してないんだよ、観客って。だから楽しめたよ。こういう、たまたま現場に顔並べた通りすがりさんたちを物語に組み込んじゃう系走馬燈、ははあ、あれだな、あれが真似したな、ってぴんときちゃった。そう、あれです。けっこう俺感動しちゃったJホラー『エロ怖い怪談 第弐之怪 ポルターガイスト』ですよ! あれはホラーだし、霊が見えて困るって話だし、異常現象に違和感なくて、このオチにもうすっかりおなじみの俺も最後まで気づかなかった。だから俺的判定では、後から作った者の強みっちゃそれまでだけど『エロ怖い怪談 第弐之怪 ポルターガイスト』の勝ち。僅差だけどね。走馬燈をもっとリアルに引き延ばしてたしね。こっちも雰囲気はなかなかだったとはいえ、たとえば泣ける度に限るとエロ怖の圧勝ね。ラスト、健康的な周期の生理ってとこが泣けたんですわ、あっちは。こっちも家族恋人全滅ときちゃ半端なく悲しいんだけど、それ普通の悲惨さすぎたし、主人公の身元が観客的に定まらなかった分、感情移入度減少ね。
 ■パッセンジャーズ■ ああぁ、おいおいまたかよ……、『トライアングル』といい『-less[レス]』といい『ステイ』といいサスペンス映画も大変だな。もうこの系統はたくさんだよ……と言いたいところだがこの映画ばかりはチョイ工夫が見られるぞ。侮れんぞ。この手の走馬燈系では異色だぞ。ある意味ファンタジー系とも言えるしな、全員が同じ走馬燈の中で競演していたとしたら。誰の走馬燈だろう、『ステイ』のときみたいに騙されんぞ、この女かな、この男かな、それにしても押しつけがましいウザったいセラピーだな、過剰投与じゃねえの、こんなん実際にありかよ、と疑いつつ観ていったらあらら……セラピストが実はセラピーを受けていたに等しいという、超々広義でのツンデレ走馬燈。リアリティの無さこそ実はリアルだったという例のあの展開。未練度はある意味『ステイ』を上回るというか、姉さんとのケンカもそうだが仕事一筋の処女が走馬燈の中で初体験してすべてお見通しの背後霊に職業倫理がらみの告白してる物悲しさが何とも言えんいうか、うむ、思い返したときのシミジミ度はこれが一番上。『ステイ』みたいな意味不明系の煙幕張ったり、『トライアングル』的なジャンル誤認に頼ったりせずに直球系だよね、これは。ラストの部屋はきわめて俗っぽいメロドラマ風だが、それがぴったりはまりまくる展開になっているのでOK。やはりこれ、走馬燈系ではたぶん最高の出来。
 ■テープ■ ふむ? こういうのはどう評価したものか……? いや、俺は面白かったですよ、そらもちろん。でも俺さえ面白きゃいいってもんでもないわけで。たぶん。前半のあの冗長きわまるグダグダ会話って、やっぱなんとかすべきですよね? わざとやってることはわかるけど、あそこ、もっと意義深いそれ自体で面白げな会話にしといてくれてても、別に全体の趣旨損なうことはないんだからさ。そりゃ久しぶりに会った高校同級生の会話なんて実際あんなもんだろうよ、ああなりがちだろうよ、しかし映画なんだから。あれだけの時間使って「無意味なリアル」やられてもさすがにしんどいよ。いや、女が訪れてからは面白いよ、恋バナだからね、当然のことながら。だからそこまでの部分もああまで抑制する必然性なかったのよ。後半とは直接関係ない猥談とかでもよかったわけだし。むろん前半の希薄度のぶん後半「あれあれっ?」て感じに高密度に感じられたわけだろうが。大した密度でもないのにね。でもほら、「同意のうえだった」って巷のレイプ男の定番的言い訳のまるっきり逆がなぜか展開してくるシュールさ。女としちゃたまったもんじゃないだろうな、愛あるセックスだと信じてたのを男が「レイプしてしまった、本当にすまん」て頑なに謝り始めたりしたら。あの逆修羅場っていうか、それを全体で延々やってくれてもよかったな。男が正しい可能性もほのめかしてさ。あれだと真実は女の側に偏ってる印象なんで。とにかく前半の無意味パートは確かに独特ではあるがクドすぎたし明らかにマイナス。しかしそのマイナスこそが後半を引き立てている可能性も小さくはない。てことも合わせていちおうこの映画、俺の趣味。だけどモ一度言うけどやっぱ前半突っ張らずにサービス精神惜しまんでほしかったね。前半でこそ目立ってたやたらハイな疑似マッチョ動作だけはかろうじて笑えてまァ他にない表現なんで儲けものだったけど。
 ■ザ・フェイク■ ドッキリカメラにキレて大暴れする俳優。ってので後半もう1ラウンドあってもよかった的展開だが、ま、あそこで止めといて正解かな。キレたふりの逆ドッキリってのが顕わになってればもっと面白かったな。赤の他人の事故になぜか過剰に動転して自分の大切なオーディション放り出しちゃう俳優のお節介ぶりがまず非現実的だが、あれもオーディションの第一関門と考えれば納得がゆく。あと、いくら濡れ衣とはいえ逮捕されることにあんなにおびえて抵抗しなくたっていいじゃないか的な疑問にはそれも演技でした式回答が可能ではあるが、いくらなんでもチョイ無理。あのオチをもってしても、主人公のあの過剰な逃亡ぶりは説明できない。そこが惜しい。オーディション即作品、てこのコンセプトでガチのフェイクドキュメンタリー作れそうだね。
 ■大誘拐■ 評判いい映画らしいから、韓国版と観比べよっかなと思ってたのよ。そしたらあのツマラナサ。観比べ中止だよ。ちっ。期待させやがって。まあ、おばあちゃんの抑制の効いた演技はまあまあかもだよ。これがありがちなトンデモイケイケババアだったりするとリアリティゼロだったんだが、あのばあさんならかろうじてリアル。とはいえ、どうせ半分以上コメディになってるんだよねこれ。もともとリアリティないし。退屈してる大富豪のばあちゃんが誘拐されてハイになっちゃった、てのは意外とリアルだと言いたいんだろうが。だったら逆にリアリティ加減気にせずにイケイケババアでやってほしかったかな。聞くところでは韓国版はそれっぽいんだけど。いずれにせよあんな全国レベルで、いや国際レベルで話題になっちゃうって設定じゃ、緊張感も集中力もゆるみきっちゃう。それと誘拐犯三人組の個性の乏しさがネックだね。あれなんとかならなかったのかよ。隠れ家に通ってきてたあれ誰だっけ、とにかくあの娘と仲良くなってくあたりの描写で一つ笑わしてくれてたらなあ。ま、しょうがないかな。盛りだくさんの原作を無理矢理映画化した気配ありありだったから。あれでけっこう健闘賞なんだろうな。
 ■マリリンとアインシュタイン■ けっ。クソつまんねー駄作でした。腹立つね、期待しただけに。なんせマリリンモンローがお忍びでアインシュタインを訪ねるってんで、面白くなるぞと思うでしょ全く。現実にもモンローは一番寝たい男はアインシュタイン、と言ってたそうだからね。しっかし女優のネトネトしたしゃべり方がうざったくて生理的にダメだった。野球選手と政治家の絡みもまた要領を得ず。政治家の下腹部パンチはあれいったいどゆ意味? 女優があれで流産でもしたってならそれなりのお話だが、あの血ってどうもそれっぽくないし。ラストの爆発幻想と女優の未練のないグッバイの対照がなかなかスタイリッシュだったが見所はそこだけかな。あ、それと良かったのは女優による特殊相対性理論の「解説」が大変わかりやすかったです。なるほどああいう説明の仕方があるのかと。しかしあれでほんとに正しいんかいな? ま、正しいように感じさせられたんで、ともあれ勉強になりました。

レザーフェイス系6

2012-11-05 03:01:00 | モンスター映画
 ■ストライク・バック■ 模範的な迷い込み系ですね。いろんな殺し方やってくれたなあ。って案外人数は死んでないんだね。えっと、結局死んだのキチガイ家族三人だけ? そんなもんか、印象との落差がチョイ意外。あの兄弟が怖すぎると思ってたら、あとから帰ってきたとっつぁんがもっと怖くていちいち息子をぶん殴るキチガイどうしの暴力がこれ、何とも生々しかったですな。さぁいよいよ逆襲の瞬間、弟の顔面釣り針ちゅうか顔はりつけちゅうかどうゆう仕組みの罠だったかあれが痛覚表現ナンバーワン。いちばん怖いとっつぁんの被る痛みも負けてはいない。オチンチンに二度受難、しかもトドメは愛犬の牙だもんなあ。ご主人様の個体認識もできんバカ犬かよ、狂犬だったんだね、あの家族にゃお似合いだ。でラストの兄貴は顔面プロペラですか。被害者カップルが二人とも生き残るという大甘の展開のわりには満足度高し。足から股間から顔からあんだけ体のあちこち痛みを表現してくれればそりゃあね。序盤で脚つぶされてから彼氏の活躍がなかったなあ。もうチョイ何かしてくれてもよかったのではないかと。淑女の逆襲劇だからあれでいいのか。
 ■ストレンジャーズ 戦慄の訪問者■ 巡回殺人鬼グループのお仕事、ワンフェイズがこれです、って設定は『ファニー・ゲーム』とまるっきり同じなんで、なんかこう、サイコパス系とレザーフェイス系って分ける意味あんまりなくなってきたなどうも。それでも顔見せてるかどうかがそりゃ全体のジャンル的印象に浸透するんで、分けときましょうか。あ、でも『ストライク・バック』は顔露出でやってたよなあ。ま、これからはあんま律儀にやるのよしましょっと。でこれって、意外と傑作じゃね? 一種の肩すかし系だけど。肩すかしって、てっきりジェームズだっけ、あのフラレ男がなんか仕掛けてんのかと思ったんですよ、一発逆転、惚れ直し効果を期待してのドッキリかと。傷ついたとか言って何もない外へ車で出てっちゃったり、闖入者と入れ替わりにシレッと現われたり、怪しかったもん。親友を誤射しちゃった瞬間の反応なんぞもわざとらしいというか、それにしてもやりすぎだな、凝りすぎだろ、とかしばらく突っ込んでたんよ。そしたら純粋な被害者でやんのよ。結局ストーリーは何のヒネリもない単純殺人話ときた。あれれって。ただ女を怖がらせるためにだけ作ったようなあのビックリ系に凝りまくった演出は何だったのと。あ、そうだ、俺一つ発見したんだけど、本題に入る前にヒロインが煙草吸ってると、この女酷い目に遭って当然だろ、とっとと切り裂かれろよって思うんだよ。どうしてだろうね。いやあそれにしても、怖がらせんのうまい映画だったね。ジェームズはフラレるわ殺されるわでダブル哀れでしたね。てっきり仕掛け屋かと思わされただけに哀れ度がほんと倍増でした。こういう肩透かしもけっこう気分イイものだな。しかし制作サイドはこれほんとに意図的?
 ■ビッグハンマー・マサカー■ 馬鹿でかいハンマーがあの輪郭だけで笑える。ただどうも、どいつもこいつもとっとと殺してくれって雰囲気の浮かれバカガキばっかなんで、殺されてもインパクト無いいうかな。ってメンタルな価値皆無なぶん、ひたすらフィジカルなショックで勝負してくれましたねえ。しかも前半、一人一人こっそり殺されていくところが好感持てたね。殺し方も下半身潰しに顔面金網に、まれに見る粗暴系の血しぶき、アバウトさが満足でした。もうチョイ明るめにして見せてほしかったけど。個別のブッ叩きだの気まぐれ拷問だのがご機嫌だったせいで終盤本番のパーティ会場乱入手当たり次第シーンがむしろかすんじゃったかな。そうそう、「死に際の告白」が笑えたっけ。ああいうブラックユーモアって意外と珍しいんで。で何?ラストは放置プレイってこと? うむ、たまにはああいう反カタルシス系もありですかね。かなり雑な映画だったけど、人間的事情なんて省略してただただ血を見せたい本音丸出しの作りがナイスでした。正体不明のお姉ちゃん2人は要らなかったかな。ハンマー男だけで十分。いや、とことん正体不明のレザーフェイスサイドにもいろいろ内部構造があるよ、って厚みを感じさせてはくれたかな、あのバンパイヤっぽい女二人。もしかして被害者の復活した姿?
 ■NAKED ハンター・キラー■ なんだ、心霊モノになっちゃったか、途中から。でもほんとの霊って確証はないのかな。ラストは何がどうなったんだかさっぱりわかんなかったね。NAKEDシリーズ特有の売りなのかな、ああいうわっかんねー終わらせ方。
 ■36パスオーエス■ 超不条理ローカルルール系。絶えず補給されてる系。「楽しく過ごせ」ってあなた、それほど理不尽な命令もないでしょうよ。適度な意味わからなさが和めたり。ハンマー持って突如現われるデブおやじのぶよぶよぶりにも笑えたり。新手のコントですな。「無理矢理の楽しさ」がもうちょいギャルたちの表情で見えてたらもっと新奇だったけど。あと後半でわりと平凡なスプラッター映画っぽい追っかけっこになってたけど、せっかくの基本線になってるあの〈明るさ〉で通してほしかったっけな、独特の違和感を保つために。ポロッと見え隠れする真相との対比がスタイリッシュでしょ、って趣旨なんだろうけど。いずれにせよ舞台演劇を脚本最小限変更してただ撮影してみました的な変わり種でしたね。
 ■キラー・モーテル■ ゾンビゾンビ言ってたからまああの兄ちゃん一応ゾンビだとして、ま、実質、地獄のモーテル系ってか。殺すの主にトッツァンと女将の役だったし。特定かつ明確なる制作意図をもって作った映画だちうから期待したんだが、どこが?て感じ。富士山を背にしたオープニングはなかなか凝り性系の傑作を予感させて楽しみだったんだが、旅館にちらほら案内されてくる客の俯瞰アングルなんかも期待ふくらんだんだが、結局なんだ、進むにつれてただの学芸会に収束たい。で、ラストのあれってまさかオチなの? ゾンビと寝た女、ってのが? なんもオチになってねーじゃん。わざと下品に徹しようとしたらしいところどころのジョーク(かよ?)も、物欲しげな反復がみっともなかった。「チョキできるんだー」「チョキはできませんでしたねー」っていくつのシーンで繰り返してるの。いい思いつきだと思ったんだろうが、くどくど念押さなくていいから。隠語覚えたてのガキですかまったく。