■女呪霊■ あ、ダメぢゃん俺。こんなん結構イイとか思ってんのかよ。ったく。俺も焼きが回ったね。これのコンセプトだのスタイルだのがほんと良かったって感じてやんの、アホ? つか、裏DVD制作の実態調査のドキュメンタリー番組を作るはずが、裏DVDにたまたま映ってた心霊映像(笑)に引きずられてそっちの調査に変わってっちゃう……て民放下請スタッフの経緯ってのが俺的に勝手にウケてたわけ。だけどそりゃねえ……、いくらヤバイ映像ですからって釘刺されてたにせよ、モザイクだらけ音声処理だらけピーだらけのシーン延々見せられても困るわけですよ。全面モザイクってシーンがいったい何十分続いたことか。処理のおかげでセリフは全然聴き取れねえし。それでリアル感出そうってのはわかるけど、限度あるでしょ。普通怒るよ。でも画像と音声の処理だけに頼らずに語り手みんながナチュラルな喋りをちゃんとやってて、うん、このテのドキュメンタリー仕立ての中じゃ一番うまかったんじゃないかな、みんな。無意味に口ごもったり要領得ないセリフが続いたりの無駄演出過剰は他と同じだけど、そこそこセーブされてて。もしかして場数踏んでるセミプロ使ってんのかもね、この種のは一応素人って設定だから何度も出演できないのがネックで、うまい「ナチュラル演出」もむずかしくて、そこんとここの作品では顔モザかけまくり音声変えまくりで切り抜けたと。それに音声処理するとセリフが自然に聞こえるもんだしね、下手なリアリティ演出が一石二鳥に転じたってわけか。うまいよ。盗撮カメラ発見した裏ビデオ屋が凄むとこなんかは音声処理無しじゃ「事務所来い、事務所」のアホベタセリフになってたでしょうね。現に音声処理のない制作サイドスタッフの声はやや間抜けだったぜ、「教えてください、これだけ教えてください」意味不明の執念燃やしてるとこなんざ。普通あの程度の心霊映像で騒ぐか? 取材先で逆に気違い扱いされるとこなんか、もっと展開してほしかったよ。そのネタだけで引っ張ってもよかったくらいだよ。あとこのテのに欠かせない肝心の(?)霊能者がさほど出しゃばらなかったのも結果的に成功かな。それより感心したのは、援交女子高生(裏DVDだから女子「校」生というお約束の婉曲表現はやめときます)のどーしょーもないバカぶりがビンビン伝わってきたってこと。これもしょーもない霊の映像見せるためにしつこいリプレイされるうちに大小張り型弄んでへらへら無内容的受け答えしてやがるあの女子高生のパープリン極まる笑いが耳にこびりついちまったい。ああいうバカ女子が渋谷にはウヨウヨうろついてんだと思うとほんと気が滅入ってくるね。あの女子高生が電車に轢かれてバラバラんなって死んだって裏ビデオ業者が爆笑しながら語るわけだが、ほんとあの種の援交少女らはそんな目に遭って当然って気がしてくるじゃないか。ほんと死ねよあいつら思いっきり。そのへんのリアル感も含めて、霊の唇の動きをなぞったラストのバカでかい「死ね」のドデカ文字もなりふりかまわぬクソ演出だぜ。しかもそれが妙に効きやがって。あ~あ、こんなロクデモZ級ジャンクにこんな多言を費やしてしまうとはな。ほんとアホかよ俺。もしかしてこれ、見掛けは廃品並みでも、案外手間かかってたりして?
■ほんとにあった! 呪いのビデオBEST SELECTION 1~3■ こっちが本家なのかもしんないけど、投稿された心霊映像ってお膳立てができてるぶん、偶然制作スタッフが発見してお蔵入り、それを曲げて入手という『女呪霊』の設定に比べるとかなり落ちるよね。台詞回しも下手だし。いくら素人ってもねえ、喋ってるあいだ目をそらしてて話の継ぎ目でチラッとカメラを見る、という共通の「インタビューされてる素人の喋り」演出はやめにしないかなあ。第何巻の何番目だっけ、冒頭のメインだったか、一家全員殺害のあった空き家の心霊映像取材のときなんか、畑やってるオッサン、初登場時、スタッフにやや遠くから声かけられたとたん「どーもー」だもんな。ゲリラ取材でいきなり声かけられてるはずなんだからふつー「何ですか?」だろ。ああいう細かいとこNG出したほうがいいって。そうそうこれも、ろくでもない心霊映像調査にのめり込んで無断で敷地侵入家屋侵入しまくるアホな制作スタッフ対家屋管理者、のあの路線を追ってくれてたらたぶんまあまあ面白くなったよ。あんだけの口論ですましたのはモッタイナイね、警官まで呼んどいてさ。てわけでマ、全般、何が「呪い」なんだかさっぱり要領得ない擬似因縁話ばっかだし。矢印で指されても丸で囲まれても判別困難なあんな不鮮明被写体を「霊だ」と言われてもなあ。リアル演出は要らんから、せめてもっとビジュアルで楽しませてや~。