三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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サイコパス系6

2012-10-25 01:49:00 | モンスター映画
■シンドラーのリスト■ さすがだな、スピルバーグって! じっくりこんなもん作ってくれてたりするから油断できんのだなあもぅ! シンドラーのおっつぁんてば、決して人相よくない我利我利亡者っぷりなのに隠しようのないあの善良さ、泣かせてくれますよ。いやほんと、下手に偽悪的というか、「ユダヤ人労働力は安上がりなんだ! もってかれちゃ迷惑千万!」人道主義なんかじゃなくて利益追求を盾に収容所当局とガンガンやり合うわけだけど、ポロリ「一人でも多くのユダヤ人を助けてえ!」って本音がバレかけたりして、いやあ、こういうキャラクター、たまんないですな。はじめっから優しい人柄だったのか、収容所の惨状を見てだんだん目覚めていったのかが曖昧なところがまたいい。人間もともと曖昧だし。名のない端役の女の子の赤がモノクロの中でくっきり目立ってた表現技巧は鳥肌ものですわ。結局しっかり死んでたし。これは文句なく映画史に残る傑作ですよ。芸術です。あそうだ、観てる最中は実はチョイ白けてる部分もあって、オイオイいくらナチス収容所でもあれはないだろう、ってわけだったんだが、後で調べてみたらあそこの収容所長、ほんとに気まぐれに収容者を撃ち殺してたらしいね。事実はフィクションより奇なりってか。事実どおりに描けば疑われちゃう表現者のジレンマなんかもしみじみ感じちゃうよね、ホロコーストなんてトンデモ現象を相手取るとさ。ま、収容所長がああくるんじゃ、これ、サイコパス系ですよ。しかし正直、泣けた。ラストのベタな自責の念全開シーン、いやぁシンドラーの公式キャラクターが決して慈善家でもなんでもないだけに、泣けましたってばよ悔しいけどあのシーンわぁ!
■ファイト・クラブ■ これはぶっ飛んでた。びっくりだ。ファイトそのものは迫力無さげだったとはいえ、終わってみれば一人であんだけとびまわってたなんて。支部がどんどん作られてたなんて。前半と後半がジャンルが違っちゃってるのも凄い。ポカーン、だね。地下組織前史っぽくじわじわ来てた前半とあれよあれよの後半のズレまくりっぷりったら。観客の呆れ度は主人公自身の呆然度に決して劣らないね。いいよ、これ。ファイトのエスカレートぶりをもっとじっくり見たかったけど、ストーリー展開の方が重要だものな、こうなると。
■ミザリー■ 笑えた。いや、くすぐられなくても笑いがこみ上げてきた。あの種の腐女子のツボにはまっちゃった作家さん、もうちょい創造的な対処はできんかったもんかなあ。って無理だよね。ふつーのサイコものと違って虐待や暴行そのものが目的じゃないだけにこのピュアさが逆に恐ろしい。受け狙いのない執着が可笑しくて恐ろしい。脚力を失った作家さんと太め腐女子の肉弾戦がちょうど互角、いい勝負でこれまた笑えた。しっかし足砕きハンマースイングはプロやったなあ。看護婦さんってああいう人体破壊テクも自然と覚えるもんなのかな? いや、観てる最中は笑う気なかったけど、なんかコワ可笑しいんですわ。リアルSMっぽいからかなあ。太めだけどおばちゃんけっこう美形だし、ああいうシチュエーションかなりうらやましいかも。
■ドライヴ■ 寡黙な主人公、って設定はわかんだけど、うん、この肝の据わり方確かにカッチョいいけど、あんだけ人目に付くとこでドンパチドカンドカンやらかして、あと全然見とがめられずにハイ次のステップ、ってのはさすがに違和感積もり積もってゆくわけよ。普通もう市民生活無理でしょ。それと話進むにしたがい普通のアクション映画になっちゃってったのがちょっと。せっかくなんで主人公の特技はドライブ技術だけって限定しといた方がよくはなかったかな。いや逆か。敵方の方がおおざっぱすぎるのか。どうにも後先考えない犯罪者たちというか。ラストなんか、主人公も敵ボスも警戒感なさすぎじゃんか。もろ斬り合い刺し合いかよ。寡黙なヒーローでやるなら、もうチョイ繊細さがほしかったよねえ。って観てる間はすげー興奮できて私ゃ満足でしたけどね。頭蓋骨バンバン踏み潰しがあるかと思いきやチマチマした腕切り失血殺なんてのがあったり、アンバランスさが却って爽快にエンタメ的でね。
■ヒストリー・オブ・バイオレンス■ こりゃまた強えーわ主人公。『ドライヴ』のにーさんも到底かなわないなこりゃ。しかし話作りのためだけに登場ご苦労さんの初っ端の二人組、いくらなんでもアバウトすぎるでしょ。コーヒー注文すんのに最初っから喧嘩腰つうか、いい年こいたあんなチンケ強盗相手にしたばかりに正体バレちゃったんじゃ、あんさんのせっかくの第二の人生も泣くに泣けないね。しかし『ドライヴ』といいこれといい、どうしてまたバトルのどれもこれもが大味かな。庭先で息子を解放させたあとの殺し合いなんか、おまえら本当に生き残る気あってやってんのかと。兄さんとの再会から対決のあっけなさが却ってあっぱれだったというか。旦那の本性見せられた後の奥さんの反応もちょっとな。基本正当防衛なんだし、昔のことどうのこうのより今を協力しての乗り切らにゃいかんのに。でも奥さんの反応がああじゃなきゃ、旦那のカックい~孤独な戦いも台無しだし、ほら、幼い娘のけなげな……みたいなあのラストの効果が出んってか。まあわかるけど……。
■エスター■ こういう怖さってちょっとこれ、他にないっすよね。設定の無理をはねのけてるもんね。そ、実質怖きゃすべて許されるんだよね、このジャンルは。誘惑されたときのとっつぁんの反応があまりに類型的だったのがあれだけど、うん、いかんともしがたい病気ってことだし、なんとも不気味な設定でしたじゃ。
■ファニーゲーム■ うひゃあ、なんとも苛々させられる映画やな。これほど不快感を掻き立てる映画も珍しいぞ。なんでこんな不愉快にさせられるために時間使わなきゃならんのか。ってなんで嬉しいんだ? そ、不快不快って、ほめてるんだが。ホラーでもないナンセンスでもない、エログロを一切使わずに人をこれほどいやな気持ちにさせられるとはなあ。キッチンでぐちゃぐちゃやって奥さんを徐々に怒らせるあたり、こっちもまるっきり奥さんに連動しまくってるもんなあ。なんつっても3人が3人とも殺される時のあっけなさがいい。最後の奥さんなんか、水没を見てもらえさえしねーでやんの。ボート操縦するついでに片手でぽいっ。なんともやるせないね。途中でいっぺん子ども逃がしてるし、奥さん連れ戻せたのもあんなのたまたまだし、計画犯罪らしからぬいい加減さがすげえ。メイン二人のモチベーションがルサンチマン丸出しじゃない淡々さでそれがまた。連鎖的にどこまでも続く不条理って、ありがちだけどこれ、なんともつくづくいい加減な行き当たりばったりの悪辣ぶりがすごいよ。
■ファニーゲームU.S.A.■ 前作とほぼ同じ展開を再現。二人の悪役が前回とは全然違うタイプなのに同レベルの不快さをまき散らしてくれるのがすげえ。徹底してるよ、巻き戻しシーンまでが同じって。物語の中で起きてることだけじゃなくて、作品としての作りまで、「どうだ、観客の思い通りにゃいかせないぞ」的意地悪の首尾一貫ぶり。子役も前作同様影が薄くて、うん、いいんじゃないかな、何もかも、周到な計画もナシに二人の思い通り。世の中、こんなもんかもな、って投げやりな気持ちにさせてくれる傑作。二作続けて観たら鬱の人は悪化して逆に晴れ晴れして治っちゃうかもな。
■スマイルコレクター■ なんかこの種のヒロインものってちょっとなあ。とくに謎解き的な展開があるわけでなし、途中からチョイチョイ挿入される幼児体験的シーンがヒロインにあてはまるらしいって、だから何なの?
■トライアングル■ またこれですか。やれやれ、あんだけの不思議現象起こされちゃうと、そりゃあ夢か走馬燈しかないわけでね。でもまあ、途中までそれわからんかったので構成がよかったことは認めにゃいかん。あんな光景目撃したってことは普通、タイムスリップものかな?とか。あの超不気味な嵐が時空の裂け目だったかな?とか。それにしちゃ雰囲気はSFじゃないよなあ?とか。前半のこのジャンル的違和感、えれー成功してます。ひっぱられました。後半はヒロインの無茶苦茶な行動になんだこりゃ感噴出だが、「ははぁん、あれ系のオチか……」で許せるような許せないような。でこれ、サイコパス系にしちゃったけど、チョイ違うよね。レザーフェイスしっかり演じてたし、むしろ幼児虐待なんてサイコパスはやらないんじゃないかなと。むしろ境界性人格障害っぽいかな。まあ律儀なジャンル分けが面倒になってきたこともあり(系別にやってると、ある程度数溜まるまでアップできないんでそうこうしてるうちに印象深い映画でも忘れちゃってたりするんよ)、ま、こういう奇怪な映画は早いとこアップしときましょってことで。しかし観終わってみるとむなしい映画だよな。事故の瞬間まで経験してもさらに同じ流れをぐるぐる続けるって死後体験っぽい構造が新しいっちゃ新しいのかもしれないけど。しっかしかあちゃんさぁ、死に臨んで観た走馬燈がこれですかい! あんたやっぱサイコーのサイコーだわ!
■ムカデ人間■ マヂキチですな、あのお医者。いや、普通の意味のマヂキチじゃなくて。つまりマッドサイエンティスにもなってやしないマヂキチぶり。だって科学的に全然意味ないじゃん、粘膜ひっつけただけじゃ。あんなんで嬉々としていかにも画期的っぽい医学的解説ぶちあげてるマヂキチぶり。先頭の被験者の脳に従って後続の全員の脳が働くように神経つなげ直すとか、そんなだったらほんとの画期的ムカデ人間だけど、あれじゃあただ表面つないだだけ、脳も別々、あんなんで何が楽しいんだか。ハイテクなんて一つも使ってない、あの大まじめのショボさはほんとのマヂキチですよ。やれやれ……。ところで冒頭、「あれ?」てくらいの妙な映像美、野グソ中の男を麻酔銃で撃って拉致する、って変態ぶりが端正な映像と融和して、まあ内容のショボサが最後まで気になりませんでした。で、なんなのラストは。関西弁男、喉かきむしっただけで出血して死んじゃったけど。先頭だから処置されたの尻だけじゃなかったっけか? 喉に何されてたんかな? あと真ん中のおねーちゃんが便秘というのが笑えた。自分は食わされても後ろのお友達には絶対食わせまいとがんばったのね。で、あのラストだと死体に前後挟まれて腐敗臭の中で死んでいく、って過酷な運命が真ん中のおねーちゃんを待ってるっぽいわけだけど、残念ながらそういう余韻は希薄だな。だって声聞いてたご近所がいるらしいじゃん。それに警官が二人戻ってこないんだからすぐ警察が来るじゃん。もっと人里離れてのあのラストだったら、いい余韻だったんだけどなあ。
■血を吸うカメラ■ 「私を撮って」「いけない! 君は撮らない!」って、大げさな演技が連発される。1960年か、あのころ映画俳優ってこんな感じだったんだな。なにはともあれ死体の恐怖の形相がすごいらしいから、一瞬でいいから見せてほしかったんだが。二回ばかしアップになる犠牲者の断末魔はそんなにひどい形相じゃなかったんで。撮影所で同僚の女優殺すとこがクライマックスだろうな。後半、盲目のおかんとの対決がそれ以上のクライマックスになるかと期待したけど、案外あっさりで過ぎちゃったな。暗室だから目あきが不利になってどうのこうの、ってなるんかと思った。
■ヒッチャー■ 何か、ウワサほど面白うなかったんよ。何かハチャメチャでさ。もっとシリアスな『激突』みたいのん期待してたんで。なんか犯人が強すぎ。大怪我してるはずの状況でピンピンしてやがるし。どうせ最後にゃ同じパターンで死ぬに決まってるのにねえ。途中まで不死身じゃなきゃ映画になんないよ、ってこうもあからさまにやられちゃあさ……。
■ザ・セルラー■ サイコパス系でいいのかな? わかんなかったんですよ、お話の趣旨が。というか種類が。最初はオッ、怖いかな、さすがスウェーデン映画、ディテールが見慣れない感触でいーぞいーぞ……、と思ってたのだが、だんだんダラケてきて、というか焦点ぼけてきて。いや、最初っから気になる疵はあったんだよ、たとえばBGMがなんや断続的な電子音みたいな感じなんで、いや、アンビエントとしては高評価つけるよ、だけど劇中の音と紛らわしいのよ。とくに「誰かいるっぽい……」って微妙な恐怖で引っ張ってこうとしてる前半は、ああいう不連続音のBGMは不適当なんよ。BGMは抜きで演出するか、せめて連続的な音楽にして劇中の音特別せいや。ほんと考えて作ってくれよもぅ。あと後半だよな。芸術青年が集まって絵やら小説やら彫刻やらやってるって設定なんだから、作品が関わってくるのかと思ったら、絵がちょびっと絡むだけ。しかも捜査官目線に変わってからは焦点が無きに等しくなっちゃって、だいたい写真をああいう見方で、つまり十年も前の写真と背景合わせるって見方で場所突き止めるなんざ、はじめっからオカルト疑ってるよね。どうもスタンスわからんのだわあの捜査官。偶然転がってた現地調達の探照灯を信じきってあんな奥まで行くってのが信じがたい無防備さだし、ま、いずれにしても捜査官パートがあんな中途半端な長さでぶら下がってるんじゃ、せっかくの閉鎖空間ホラー(まあもともと閉鎖空間じゃなかったけど、地下室に限ればちょっとはね)ムードが崩壊じゃないか。「決定的な何かが起きたわけじゃないけどブキミ、逃げよう……」って中盤がなかなかのモノだっただけに、ことさらに意味わからなくした終盤が惜しかったな。意味わからなくするのは時として歓迎だけど、焦点がぼやかされたのは痛かったよな。スウェーデン語だから字幕出して観たのだがそれが裏目に出たな。字幕なしで観てたらシュールな芸術映画っぽく映ったかも。なまじ会話がわかったせいでピンぼけになって、いいムードで始まりながらただの駄作に終わっちゃった。あ、だけど地下室で扉の上に大量の血痕(というか流血跡)、てシーン。あそこだけはホラーとして絶品。あそこ褒めとくのを忘れちゃいかんよな、うん。
■×ゲーム■ なんとも異様なほど平凡な展開やな……。このテーマならこれとこれ、ってルールブック通りやないけ。ってゲームだからそれでいいと。しかしそれだったらせめてディテールちゃんと作ってよ。あんだけ刺されて焼かれていっこうにダメージが蓄積されてないっぽいの、マンガチックにやるならまだしも、リアル路線では勘弁しろよ。でかい音やショックにビビッたりの反応のいちいちがワンテンポずれてるのがいかにも単なる演出ミスだし、オーバーリアクションがまことにコントというか空回りだし、なんか後半は次々と「こいつが黒幕でした~」みたいな種明かしを4つくらいやってたけど、あんなんバタバタ重ねなきゃ不安だったのかなあ制作サイドとして。それだけ一個一個のネタに自信ないってことね。そりゃそうだ、「実はこいつでした」って刑事だの教授だのが次々顔出しされても「だから?」って以外どう反応しろと? ただひとつ、あいつが後任指名された恨みで動いてたんでした、ってオチは、「ふぅぅん、だからヒデアキがいま標的にされてんのか、潔白なんだからどうして?って思ったよ、なるほどなあ……」って感嘆を誘おうって魂胆が見え見えの初歩的な仕掛けだが、でもその通り「なるほどなあ」って思わされたので一応マル。しかもヒデアキがそのことさっぱり忘れてたらしいってのがまた効いてた。前半の先生の通夜のとき「誰?」って思い出せなかったってシーンが伏線としてこれまた効いてた。そう。けっこう工夫が凝らされてはいるんですよ。けど全体を覆うリアリティのなさが、なけなしのポイントをもトホホ化しちゃったかな。もはや使い古された設定なんで、リアリティで勝負せにゃ埋もれるばかりよ。
■処刑教室 ハイスクール・パニック■ 「処刑教室」ってタイトルの映画いくつかあるみたいだけど、これってどのくらいの位置につけてるのかな? 俺的にゃどーしょーもない系だったけど。いろんな殺し方をするってので期待したのが悪かったかな。ハングライダーのやつはただ感電してるシーンが映るだけで何をどうやったんだかわかりゃしないし、テントに岩落とされても人間が潰れるシーンはおろか死体すら見せてくれないんじゃ意味ないしさ。ラストのほぼ自殺に近い爆破中止措置も、あのチャチな爆発じゃ地下からパーティ会場吹き飛ばすのは無理だったなあと苦笑を誘われるってなもん。校内のロッカーなんかちょうどよく爆発させてたのにねえ。あの娘に恋しちゃってその命を救うため、てあたりにしみじみしてもらおうって作意じゃちょっと弱すぎ。そのモチーフなら『血を吸うカメラ』の方がまだしも。無理ありすぎの爆弾だのなんだのより、リアルに肉弾戦でやってほしかったよな。あんだけ人が殺されてんのに普通に続く高校生活、なんてのより、人一人も死ななくていいからリアルな暴力でやってほしかったってことさ。レイプ未遂現場でのあの程度の殴り合いじゃ転校生のパワーがわかりまへんて。

コンタクト系15

2012-08-12 17:03:00 | モンスター映画
 ■屋根裏のエイリアン■ ありがとう、笑わせてもらいました! こういう普通に上質のコメディって、なかなかないんだよねえ。姉貴の恋人がテンション高すぎだけど、リモコンされちゃってるんじゃ仕方ないか。しかしなんだな、子どもらが大人の力を借りようとしないばかりかエイリアン騒動を秘密にするべく必死こいてるのって、モチベーションがちょい不明瞭じゃなかったかな。もちろんそのおかげで話は面白くなったけどね。全般メリハリ効いててテンポよくて大満足だけど、とくにおばーちゃんとにーちゃんのバトル、キテるよあれ。コメディだからって決して半端じゃないぞ。終了寸前ににーちゃんが「なんで~~!」って覚醒するタイミングも絶妙だったし。エイリアンが巨大化するとは思ってなかったけど、バトルもしつこくなる前に終わってひと安心。大人は最後まで誰も気づきませんでした、の巻ですか。
 ■かいじゅうたちのいるところ■ おおっと……この映画……、意外とダークなんだな……。もっとほんわか系かと思った。ずいぶんシリアスでやんの。絵本の方は見てないんだけど、やっぱこんなんなのかなあ。しかしこの男の子、泣くのうまいね。かあちゃんに突っ放されてベソかくとことか。それが連動してるんだな、かいじゅうたちの微妙にというかあからさまにサイコな感じとね。島に着くやいなや目撃する家ぶっ壊しシーンのシュールさがまたすごかったよねなんとも。メルヘンチックな外見と異様に暗めの内容が摩擦音を立てているというか、砂漠の荒涼ぶり森の鬱蒼ぶりの対比がまた暗さ要素を深めているというか、こりゃあちょっと類例のないオカシナ映画だったぞ。
 ■トロール・ハンター■ POV系はずいぶん増えてきたんで、内容的分類優先してコンタクト系ってことで。って内容といってもトロールは知能を持ってないらしいのでコンタクトとも言えなそうだが、一応自然保護というか、トロールなる動物種の保護というか、そんなんがテーマっぽいのでここに。しかしトロールって何種類いるんだろ。早々にあいつが肩を噛まれたってことは、人間大のやつもいるわけだよな、最後まで姿見せなかったけど。巨大トロールの出番が4回あったうち、一回目の石化する瞬間がもうすばらしいったらありゃしないね。顔が三つってあの姿が怖すぎなのが効いてるんだな。二回目の爆発シーンはカメラがしっかり捉えていてほしかったよ。POVでやってる以上、あの状態じゃ橋の影になっちゃうのがリアリティあるって理屈もわかりますけど。あと最後の超巨大トロール、シーンによって大きさがまちまちじゃなかったかい。光線当ててたときは、車で逃げてたときやバズーカみたいので殺しちゃうときに比べてチョイ小ぶりだったような。まああんだけデカいとちょっとぐらい変わっても同じか。しかしなんとも、一回目の登場シーンに話戻すと、赤外線撮影での巨大怪獣って迫力あるんだなあと。目撃側の視界の制限が恐怖を倍増させるんだな。新しいビジュアルに巡りあえた感というか、久々に本格モンスター映画を楽しめた充実感がありますよ。あとほら、ラストの字幕メッセージが、冒頭のメッセージと矛盾していて傑作でしたね。簡単なトリックだが、ノンフィクション性の主張とフィクション性の主張との衝突ってか。うまくやりましたな。まあしかし、ラストもその線で押しまくったとはいえ、あんだけ巨大な生物、しかも群居性の哺乳動物、しかもあの声で吼えまくる動物を民間人から隠し通すなんて超不可能だと思うよ。現に送電所の職員はあれで知っちゃったでしょ? あそうだ、終盤に車に乗り込んできた地震学者とやらは? あれでおしまい?
 ■パラノーマル・アクティビティ3■ これももちろんPOV系だが、再び内容的分類優先してコンタクト系ってことで。今回は首振りカメラアングルが加わったが、それ特有の効果をちゃんと生かした現象をフィーチャー。その工夫ぶりには好感が持てた。ほら、あのシーツのバサっ、てやつのことですけど。あの現象、意外とホラーの急所突いてるですよ。至近距離真後ろだもん、怖いよあれ。どうやって近づいてきたか、映さずに想像させるのがPOVゆえごく自然に出来てる。おまえはイタズラ妖精かってノリだが、ああいうチンケな現象が一番怖い気がしてきたよ。この系統つまり室内POVスタイル、そろそろ飽和して続編は無理でしょう的ムードも漂いまくるが、あのなんだっけ、ブラッディなんとかの、鏡の前で電気消してじっとしてるああいう遊びとか、POVの可能性はまだまだこれからかも、って気合いがみなぎってますね。俺的にこの映画、シリーズ中でもけっこう点数高いです。三つのカメラの多様な映像が勝因かな。なんか力ずくっぽいけど、シーツの工夫もあったことだし。だたまあ、なんだな、すべての原因はおばーちゃんに!ってああいうオチにいっちゃうんなら、おばーちゃんの顔、もうちょい映してもよかったかな。前半出番多くしとくとか。で、トビーって結局?
 ■デイブは宇宙船■ 笑えた。文句なく笑えた。さすが専門のお笑い芸人だ。でも話の方はすげー地球本位の話だよな。エイリアンが地球人の生活に触れて初めて愛を知りましたってご都合パターン、俺好きじゃないんだけど、宇宙船デイブと船長デイブの未亡人とのコンタクトぶりがなかなかよくて、ダンスのとことかそりゃもう見入っちゃう展開でしたから。未亡人の彼氏(かな?)の影が薄かったせいもあってあの二人、てっきり「いい感じ」になってくのかと思いきや、やっぱナンバー3との目覚めのためのステップでしたか。まあ正解ですよね。
 ■ジム・ヘンソンの不思議の国の物語■ 「ジム・ヘンソンの」って邦題がどうやらインチキらしいが、そんなことはどうでもいいや。かなり面白かったのでね、視覚的に。妖精の造形がまことによろしい。キャラも。声も。なんもわからんで南京錠あけちゃう赤ちゃんも可愛い。赤ちゃんが可愛いからってアップで写したりせず基本無視してもっと大きな子どもらの方に焦点合わせ続けるカメラワークもいい。子どもらが翼はやかして空飛ぶとかいろいろ、表現の部品はだいたいありきたりなファンタジーなんだが、適度に気むずかしい数学者の伯父さんや解剖好きの坊ちゃん周辺のオタクっぽい雰囲気もあってうまく定型をかわした統合ぶり。むろんティラノサウルスにはもっとしっかり動き回ってもらいたかったけど、まあ地下室だったしあれでいいか。で結局お父ちゃんも無事戻ってきて、一家幸せで終わるわけね? まあいいでしょう。
 ■赤ずきん■ オオカミとの会話能力の有無がポイントなのでコンタクト系でお願いします。あの牧師(だったよね)、大口叩いてたわりにはあっさり噛まれちゃったですね。慎重に結界まで張っといてねえ。オオカミは誰なのか、おにーさん二人のうちどっちかってのは動かないと思ってたけど、そうきたか。超意外。謎解き仕立てだったことが謎が解かれてからわかるという……。姉さんが殺されたわけも……。で、あれですか、最後のあれって、けっきょくオオカミとして生きてく決心をしたってことですか、だったらお父ちゃんを殺しちゃったの、無意味だったんじゃないかなあ。いや、結果論だからリアルでいいのか。
 ■宇宙人ポール■ う~ん……、コメディとしちゃ無難な出来なんですかね……。やけに馴れ馴れしいポールの振る舞い、いかにも無理してコメディやってる感ありありで、オタク二人組との掛け合いもなんか強引なのが多いし、だいたい命かけた逃亡劇だってのにポールに緊張感なさすぎなんだよ。道路でも街中でもわざわざ怪しまれる行動とってるしさ。観客サービスはいいから。真剣に逃げてくんないと客も笑えません。変にスレまくってて好感持てませんっつの。せめて『デイブは宇宙船』くらいのひたむきさがほしかったよ。まあ、よく出来てた点を一つだけ挙げておきましょうかね。追跡班の部下二人、とくにオタクの方、もともと上司に反感持ってたわけだし目標がエイリアンだって判明したとたん、上司に逆らって逃亡助けたりすんのかと思いきや全く逆。あそこで「あれ? そういう展開じゃないでしょ」って私ゃ不満だったんだが、そうか、そういう事情でしたか。うまい筋書きです。エンタメの定石逆手にとってくれましたな。宇宙船とヘリコプターがやってきて「そうはさせん」のあたりまですっかり騙されてました。ただそのあとがダメダメだったなア。サイクロプス女の父ちゃんのむちゃくちゃな介入がここでも裏目に出て、なんなのあのチープなプロレスは? やめてほしい。お別れ感動シーンもなんとなくおざなり、サイクロプス女への「いっしょに来るかい」もとってつけた感芬々。コンタクトに深みが感じられない。もっかい言うけど、コメディやるならそれなりに真面目にね。
 ■タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら■ 殺人鬼と被害者サイドがテーブルはさんで「話し合い」するってわけでこれ、広義のコンタクト系に。しかし期待とはだいぶ違ってたな。あのパターンって、「気のいい二人」が自分らへの誤解に気づかないまま進展してくのが正解じゃないかなあ。早々に自分らの立場わきまえちゃってる設定なもんで滑稽さ半減って感じ。せっかくのすばらしいアイディアが十分生きなかったか。学生らが次々自滅していくテンポが快感だっただけにまことに惜しい。学生の一人がなんとも、殺人鬼との対決にやたらハイになってた理由ってそれでしたか~~的謎解きなんぞ全部省いていいから、勘違い殺人事件の本筋に集中してほしかった。終盤に入るだいぶ手前の段階で殺人鬼の役柄がはっきり交代しちゃったのもマイナス点。ありきたりなドタバタにならないためにも、タッカーとデイルが最後までじっくり殺人鬼モードでいてほしかったよ。
 ■ゾンビアス■ なんや寄生生物と契約結んだらしいからコンタクト系ってことで。そりゃあ私としては支持派ですがね、この系統。しかし、一般映画であんまりジャンル特有のシーン乱用してほしくなかったってのが正直なところ。腹痛描写、半ケツ放屁描写はまあいいとして、しゃがみ真後ろアングル@ボットン便所は専門ジャンルのためにとっといてくださいよ、ああいう絶好シーンは。表現の自由が優先ってわかってますけどね、そう熱烈に見たいと思ってもいない視聴者の目に安易にさらすのはいかがなものかと。(出演女優というかアイドルというか、彼女らの素肌シーン目当ての視聴者は多そうだけど)。あ、終盤のスカート吹き上げオナラ描写だけはマジ嬉しかったですから。リアルのオナラビデオじゃなかなか、というか決してああいうの観れないんで。(冷凍室でオナラしてもらえば、水蒸気の形でオナラが可視化できるから画期的な放屁ビデオが出来るはずですよ、とジェイドの社長さんにリクエスト兼提案しといたんですが……http://www.premiumcyzo.com/modules/member/2011/12/post_2941/ ……)。ま、言いたいことまだまだあるけど、一斉尻向け歩きは無理っぽかったよとかいろいろ、ともあれラスボス的クリーチャーのアホ造形がかなりよかったんでとりあえず満足です。
 ■邪神バスターズ■ なんだよ。これほどチープだったとは。ラブクラフトなんだし少しは暗黒感仄めかすとか、クリーチャーだけでももうチョイ気合い入れて作ってくんなかったかな……。オタク野郎のキャラも意外と生きてなかったし、ただのよくあるドタバタかい。ドタバタならドタバタであの水棲人が一騒動起こしてくれるのかと思いきやそれもないままただぐったり状態のまま終わったし、ちぇ、なんでぃ。どっちかにしろい。ラブクラフトが泣くよね。

トラウマ系26

2012-08-11 16:27:00 | モンスター映画
 ■茶の味■ 面白い! 脱力しちまった。なごんじまった。これはいい。このムードを出せたのは奇跡に近いな。しかしどこがいいんだろう。わっかんねーとこがまたいいんだってば。大した事件が起こるわけじゃないのに魅入られちゃう。これぞ俗な意味で芸術だな。端的に「人間」にはまってしまうわけだな。事件じゃなく。って具体性に欠けてゴメン。とにかく良かったってことで。家族全員みんな独自の濃厚臭を漂わせてる。三浦友和を除いてだが。家族以外の人間たちもだ。転校生女子の投げやりな自己紹介最高。「部活入った?」「囲碁部」「うそ!」「囲碁好きだもん」的教室内外の会話ことごとくがナチュラルでナチュラルで。ところどころ羽目を外したようにみえるシーンもなくはなかったけど。電車ン中でのコスプレコンビのカラミとかね。あとクドい場面もなくはなかったけど。浅野忠信が元カノの店の前でいろいろ言うとことかね。でもそんなあんなも結果的にゃ全体の中に融け込んでいて成功。か~ちゃんのアニメ試写をみんなで見てる背後の即興効果音なんか満点のノリですよ。あのくらいに各シーンを抑えてたらホントとてつもない純粋芸術にまでブッとんじゃってただろうな。だから面白おかしく楽しく観せるにゃ時々ズッコケかけてるくらいのあの現状で良かったのかも。我修院の爺さんがとくにナイスだったと言うべきだろうけど、なんて名前だっけか逆上がりの女児がサイコーでしたねっ。演技なのか地なのか。巨大ドッペルゲンガーがスーッと蒸発してゆくカタルシスも清々しい。あの子があっこれ自分、と珍しく自己主張(つかなんつか)口にしたりしてみんなで見るパラパラアニメんとこ(あそこのシーンだけは三浦友和の感慨深いセリフのナチュラル度が映えてました)なんか泣けましたよ、まったく。『鮫肌男と桃尻女』『PARTY7』がともに最低ランクの愚作だっただけに、『茶の味』の達成度は評価できますな。
 ■ライアーゲーム■ スリリングでした。秋山のキャラクターが光ってる。同じ詐欺師ものでも『クロサギ』よりこっちのほうが遙かに手に汗握るモード。ただなんというか、第1シーズンをたっぷり見終わったとき、その時点でワタクシ戸田恵梨香って知らなかったんですが、ヒロインがさっぱり印象に残ってなかったんですわ。なぜだろう。顔も声も覚えてない。戸田恵梨香あんなに可愛いのに。つまりあの時点じゃそういう見方してなかったってこった。完全にパズルモードだったわけで。第2シーズンからは戸田恵梨香意識して観たけどね。しかしほとほとよくできてるよ。あらゆるゲームの中で少数決ゲームが頭脳度高くて最高だったかな。さても驚いたことに、あとから読んでみた原作ときたら、この映画版よりまたワンランク上のクオリティなのでした。ほんと脱帽ですよ。現代マンガのレベルって高いんだなぁ。なお余談ですが、今や私はいくぶん戸田恵梨香フェチです。このドラマ見てた時点じゃなぜか全然気づかなかったあるパーツゆえにね。彼女のイメージビデオとか『恋極星』とかいろいろ、買っちゃいました。
 ■変態村■ てっきりスプラッターかと思ってたんですよ。レザーフェイス系かと。そしたらこれでしょ。参りました。いや、たしかに変態ですよ。意味ちょっと、いやかなりずれるとは思うけどね。変則変態、変態的な変態って感じだな。女装させられた男が逃げる途中で罠か何かに引っかかって泣くとこ。あそこにゃ笑ったね。そりゃ泣くわ。泣くしかないでしょ、意味わかんないあんなトラップかけられたら。村人らもふざけてるわけじゃなさそうだしね。殺すわけでもなさそうで。ほんと何させたいんだか、アイデンティティが取り違えられてる時点で対処の仕様もなく。来る者来る者みんな元村人扱いってわけかな。一種ナンセンス系にも踏み込んだ異様系でした。あんな小説書きたくなってきたな。
 ■アウェイク■ おお、ひさびさにストーリー物を見たわい! いやぁ、ああいう展開になるとはな! いや、観てる最中はちょっと先が読めていくんですよ。はっきり読めちゃうんだけど、意外と意外感旺盛で、うん、お母ちゃんが自ら犠牲になるってところ、しかもクスリを使うんだろうなってところ、あまりに予想通りなのに同時にあまりにツボなので、いやああ、爽快でした。しかし序盤、ああいう具合に友情と世間的権威とを対立させられると、誰だって友情の方がイイモンだと思うよね。そりゃあ権威がワルモンですよ。キャスト的にも友人はいかにも胡散臭い黒人だったしさ、意外感狙いであの友だちイイモンに決まってるよ。医師免許停止だったか訴えられたの何回とかだったか、そういういかがわしい経歴こそ伏線になって「でもこっちが正解ですよ。地位や実績じゃなくて人間性ですよ」って流れに決まってる。エンタメだもの絶対そうなる。って思ってたのよ。主人公を説き伏せるかあちゃんとおっさんの傲慢な態度からして絶対そうでしょ、ふつー。「今度なんとかかんとかの会長になる」だの医学界での地位鼻にかけてるしょーもない俗物ジジイいだもの、キャラクター造形のロジックとしてあいつ絶対悪者。あいつのせいでアウェイク。そしたら見事に逆でやんのよ。見事に友人の方がヤブ×ワルの二重苦でやんのよ。方やおっさんすげー腕前じゃん。根性じゃん。使命感じゃん。ほんとエンタメの定石打ち破ってるよね。粉砕だね、お手柄だよほんま。計画実行のため途中で休憩させられたチーム外の医師のポケットに覗く酒、それを見ていやぁな予感に焦る妻、どれもこれも芸が細かいよ、ほとほと。もう一回観たらさらにいろんな伏線に気がつきそうだな。でも展開があまりに巧みだからほら、肝心の「覚醒」の話が影薄くなっちゃったよね。すげーエグイ閉鎖空間モノ期待してたんだけど、痛み描写も最初の方だけだったし、なんか別のジャンルだったね。いや、いいんです、流麗なエンタテイメント観せてもらったんで。
 ■12グラム■ 心臓移植モノでも『アウェイク』とは正反対の文芸モードね。スタイリッシュというかエピソード寸断ぶりもいいところ、しかしこんなんでも不思議とストーリー理解できちゃいやんのよ。人間の理解力って面白いもんだなぁ。『メメント』ほど律儀に逆流させてるわけじゃなくて、行ったり来たりのランダム系だものな。あれよあれよとだんだんわかってくるとこが奇妙な快感。前科者がやたら善人なとこが光ってる。かと思えば子どもひっぱたいたりね。あの種の犯罪者って、更正しきったと思いきやふと凶暴さが垣間見えるとこが怖いんだよね。俺途中まで、あの数学教授(?)が妻と出会うまでが一つのエピソードになってるのかと勘違いしてたよ。あの女、そうじゃなかったよね、心臓提供者の妻だよね。場所がプールだもの、気づけよって感じ。寸断モードに気をとられすぎたよ。でまあ、ラストに拳銃ぶっ放しが続いたのにはチョイぶちこわし感あり。ああいう映画じゃなかったと思うんでねえ。
 ■ある戦慄■ おおおっ! ついに! ついにつきとめた! つきとめました。これ、『真夜中の戦慄』じゃないですか! いっや~、DVD化されたんだなあ。俺にとって幻の名画よ。小学生ん時にテレビで観るともなくぼんやり観ていた映画ですわ。男が女を執拗に追っかけて、「もういいよ」と諦めると女が「待って」と逆にすがりつくシーンとか、電車内でキスしまくっているこの男女を向かい側の席の中年夫婦がちらちら見てるシーンとか、また別の男女二人組シーンで女が男の前景をコツコツハイヒール音立てながら行ったり来たりして何か文句言いまくっている地面すれすれアングルとか、いろいろ記憶に残ってて、しかしその後の展開がさっぱり記憶に無し。たしかテレビの前に一緒にいた母親が、キスしまくりシーンのところで「こんな映画」と消してしまったような記憶もあるようなないようななので、そもそも途中までしか観てなかったのかもしれん。ともあれ、異様に鮮明に残っている記憶内の名画でしてね。放映タイトルが「真夜中の戦慄」だったことも鮮明に覚えてるくらいだから。それがこんなところで再会できるとはなあ。パッケージ見てて、「もしや???」とは思ってたのよ。いやあ懐かしい。ワル二人組の異様なテンション、メチャクチャぶりには笑えるが、あの二人は記憶の中には無し。序盤に登場してたから見てはいたはずなんだが、小学生基準ではキスシーンの印象に掻き消されちゃったかな。ともあれ怪我してない方の軍人とストーカー男のヘタレぶりが愉快。二番目くらいに立ち向かった頑固ジジイが「こら、そこの若いの、何とかしろ」ってストーカー男に怒鳴るわけだが、女への態度とはうってかわってビビリ丸出しの色男。いやあこのシチュエーション、おんもしれーじゃんよ! 大して強くもないチンピラ二人をなぜに人数に任せて取り押さえることができないのか。一人が立ち上がると他の全員ダンマリに沈潜、さっきまで戦ってたやつも選手交代で沈黙、って繰り返しがリアルなんだかリアルじゃないんだか実際問題として笑えちゃう。登場の瞬間から不機嫌に怒鳴りまくってる黒人男なら何とかしてくれるかと思いきや、傍観者決め込むスタンスが中途半端ゆえ泣かされる羽目に。ああいう形で決着するならもっと早くなんとかせいよって感じだが、まあ臨界値を越えて初めて弾みで解決、ってリアルだよね。ラスト、警官が乱入するや黒人男を押さえつける描写、すげかったね。ああいう描写が解禁になったんだなあとしみじみ。これ、六十年代半ばの映画だよね。う~ん。余韻たっぷり。余韻いえばしっかしあのあと各ペアの関係は難化しただろうなぁ。
 ■ファーゴ■ これも笑えるしょーもない悪人二人組。こっちは動と静というか、対照的なワルふたりの行き当たりばったりのやっつけ仕事ぶりがメチャ笑える。だいたいどこ探したらあんだけデタラメな人材調達できるんだよ。依頼主、頭悪すぎですよ。しかしヤナギダの登場意義がわからんかったな。リアリティのための細部? 女警官が「手を挙げろ」って何度も叫び直さなきゃなんないあたりの表現はリアルだったんで、とくに枝葉のエピソードのほのめかしは必要なかったような気も。
 ■イン・ハー・スキン■ こいつはサイコパス系じゃないよな。逆だな。感情の嵐系というか、境界性人格障害系。「なんだ、普通に殺すのかよ」って感じだけど、デブスの力をもってしてもなかなかとどめを刺せないマウントポジション首締めシーン、唾だらだら粘液シーンが鬼気迫ってました。あそこ名シーンですよ。しかしこういうリアル描写系って、たいしたストーリー無くても観れちゃうもんですねえ。話の展開はてんで予想通りなのに、人物の表情にいちいち戸惑っちゃうですよ。失踪直後の(つかまだ失踪とも決まったわけじゃない時点での)大騒ぎぶりからして遺体発見を知らされた暁にゃさぞや……と思いきやあれでしょ。で夜になってから号泣なのね。なにげにリアル。ラストってあれ、デブスがムショ内でいつしか可愛くなってる演出って理解でいいのかな? しかしたびたび出てきたあの独白、てっきり殺された娘の魂が語ってんのかと思ったもん、『ラブリーボーン』みたいにね。そしたらデブスの方でしたか。微妙すぎるどんでん返しがさわやか。
 ■セルビアン・フィルム■ こいつはどうだろう、レザーフェイス系っぽいトラウマ系。出だしに感じさせる異様な期待がある程度続くんだけど、孤児院のムードもおぞましすぎてグッドだったけど、早い段階で飽和しちゃったかグダグダとは言わんがいまいち緊張感が伸びなかったな。あ、いっときますけど、出産シーン直後に生まれたばかりの赤ちゃんをレイプする、鎖でつながれた女を背後からファックしつつ刀で首チョンパ、顔を袋で覆った幼稚園児を犯してたら実の息子だった、等々とりとめのないグロシーンが出てくるのでこれから観賞する人はそのつもりでね。ってとりとめなさすぎてショック薄かったですよ。一体何をやりたかったんだか。これでもかって気合いは買うけど、ポリシーが感じられないなあ。「新生児ポルノ」が売りだったのか、スナッフに徹したかったのか。ラスト、心中するこたぁないんじゃない、って感じだが、あれしか終わらせ方がなかったよね。
 ■LOVE GAME■ あまりのツマラナサに途中何度も観賞放棄しようかと思ったが一応最後まで見ちゃったのは結果としてよかったかな。ベタなストーリー展開のオンパレード、勉強になったよ。いや、ライアーゲームの二番煎じ臭芬々なのはまあいいんですよ。だけどねえ……、そもそもクリアしたやつ何人かいたじゃない。なぜにゲームオーバー? たとえば第4話とかさ。とっくに誘惑できてるし。第6話、何度もプロポーズされてるし。第7話、ちゃんと略奪できてるし。第10話、明らかに抱けてるし(やっぱ勃起しなきゃダメ?)。第13話、一応挙式やったっぽいし。なにはともあれ、一日でよくもまあというほど事件連続。オチが二転三転するのが心地よいっちゃ心地よい回もいくつかあって、そうだな、第5話と、あとかろうじて第8話かな。しかしまあ全般、第6話の背後霊みたいなストーカーにしろ第12話の超々急展開にしろ、荒唐無稽すぎるっつの。第13話なんぞ、あんなとこでナイフで刺し殺してそのあとどうするつもりだったの? 血とか後始末も大変だしさ。やっぱテレビドラマって芸術にゃなりにくいわ。基本、俳優目当てで見るのが正解かね。第8話の木下あゆ美、よかったなあ。
 ■ゴールデンボーイ■ ふむ、設定の歪みが面白い。老人と高校生のコンタクト系だな。総統への忠誠に目覚めてロボットモードになっちゃうじいさんを焦って止めようとするとこなんぞ映画ならではの表現だよね。
 ■コントロール■ そうか、コントロールって、そっちのコントロールだったか。予期してなかったなあ。どんでん返しで感動させてくれましたな。しかし世の犯罪者ども、ああいう手でほんとにかなり改善できるんじゃないか。って抑止力にはならんか。そうか、犯罪者予備軍にやればいいんだな。でも、謝りに行くだけのために拳銃が必要だったのはなんで? 邪魔する奴は殺す気だったのかよ?
 ■ダウト■ なんだかちっともわかんねーや。人間関係とか。固有名詞だけボンボン出てきて本人不在だし。ただ、わかんなくてもいいってことが途中で察しがつくんで、見てられないほどじゃなかったな。
 ■エイリアン・ライジング■ どこに分類すればいいのかなあ。あのモンスターときたらあの本家エイリアンそっくりで個性ゼロなんで、女保安官のトラウマらしき原体験をやたらフラッシュバックでぽんぽん見せられるあたりでトラウマ系にしとけっと。で、途中までよし、よしと思って観てたんだけどね。とくにクレジット出てるオープニングの背景がチープながらムードたっぷり出してる山岳風景で、こりゃあいいビジュアル見せてもらえそうだぞ、と期待したわけで。実際そのあとすぐでっかいタンクローリーが走り出して、え、え、こんな大物がのっけからひっくり返ってくれんの、と期待度急騰。しかし転覆の瞬間は撮されず翌日の結果シーンのみ。ありゃーやっぱ低予算か、と萎みかけたところを、連続虐殺場面の迫力で盛り返してくれました。いやぁいいじゃないですか、肉体の扱いがいい。逆さ吊り窓引き込みに窓破り室内放り込みに。しかしスピード感あるわりに全体暗くてディテール見えないのと、ショッキングシーンのはずなのにパッと切り替わっちゃうんで(音楽もブツ切りだったり)そのつど醒めちゃうのとで大幅減点、あ~あ。ラストに行くほどこのブツ切り感がひどくなるんで、せっかくスピーディな展開と例のネチャネチャパーツアップの迫力が生かしきれなかった。ま、迫力言うてもアップのときだけで全身映像は安CGのチープ感全開でバッタかカエルが跳ねてるようにしか見えんのだけどね。全然ダメダメ映画ってわけじゃない、系程度の作品でした。微妙に投げやりなアル中っぽいヒロインの雰囲気とか、期待津々だったんですけどねぇ。
 ■生贄夫人■ とりあえず雲古は重要なんだからちゃんと見せてよ。せっかくの艶々した山吹色が一瞬しか見えんのよ。
 ■シャッターアイランド■ 悪いけど、こういう映画っていくつ作っても同じじゃないかな? 妄想と現実の境目がわからなくなるタイプの話、うんざりだよ。この設定なら何でもありだよ。いくらでも謎を作れる。平凡。どうせやるならせめて「このネタ」だってわかんないように作ってや。血や泥にまみれた回想シーンがやたら出てくるから最初の方でア、こいつってほんとは患者だな、ってわかっちゃったし、妄想なのか陰謀なのか、いや、もういいです。
 ■ヴェルクマイスター・ハーモニー■ これもまた~……よくあるつうか、こういうのって、高く評価しなきゃダメですか? ウヨウヨいそうだなあ、「素晴らしい芸術だ」とか言いたげなやつら。カット数減らしてゾロゾロ人が歩く場面や大勢突っ立ってる場面映し続けりゃ「アートですねえ」って言ってもらえると思ったら大間違い。とにかく、ちっとも面白くなかったよ。そりゃハリウッドとは全然違う手法だけど、非ハリウッド的=アートってことにはならんのでね。クジラなんてどうでもいいから、ヘリコプターの旋回のとこだけかな、「おっ?」て思ったの。あと65分チョイ過ぎたあたりの、二人黙々と歩くところを接写してゆくシーンだけは「ふーん」て思ったけど、せっかくのあれをもっとしつこくやってくれないことにはな。あとあれだな、暴動みたいなシーンだな、ぬるいな、もっと思い切って派手にやんなきゃダメでしょうが、怪我人続出覚悟でさ。
 ■箪笥■ 進度遅っ! ゆっくりすぎっ。あの3人の女のうち2人は非実在なんだろうなと思って観てたけど、非実在は2人だったのかな、1人だったのかな? ちょっと暗示的すぎてホラーとしちゃどうなのかなあ。いちばん怖い映画といったらこれ、と学生に薦められたんで観てみたんだけどさ。
 ■板尾創路の脱獄王■ これ、衝撃のラストなんですか? まさか、違うでしょう。
 ■マッドマックス■ なんだ、妻子殺されて復讐、って展開は終盤になってから始まるんじゃないか。それがメインだとばかり思ってたよ。全編執念のカーチェイス、とか期待してたんで。まあ一番の不満は、肝心の妻子惨殺シーンが遠望すぎて見えんかった、てこと。ジャンル間違えて期待してた俺が悪いんだろうけどね。

コンタクト系14

2012-07-13 20:49:00 | モンスター映画
 ■スーパー8■ さすが雰囲気いいんですけど。クラッシュシーンほんと絶妙なんすけど。いや、ほんといいの。いいのよ。ノスタルジックなムードも。子どもらの絡み合いも。ありがちだけど金属の振る舞いも。えーと。何か不満言おうと思ってたんだよな。何だっけ。基本出来がいいもんで忘れちゃったな。兵士の武器とか車とか金属がどんどん吸い上げられてくあたりなんぞこれ級映画の醍醐味だしな。エイリアンの一応凶悪ぶりとか造形も悠々合格点だし。いや、エイリアンよりアメリカ軍が凶悪なんだよな、もしかして意味なく拷問してなかった? してたよね。してたじゃんか。つまり凶悪どうしの星間コンタクトが見モノなわけだわ。いや、コンタクト系に入れた趣旨はエイリアンと子どもとの意思疎通なわけだけどね。陰謀説にノスタルジーに、いろんな要素がうまく融合しましたわ。あそうだ、正直、ゾンビ映画をもっと見たかったんだけどな。いや、ラストで一応紹介してくれてはいたけど、だから物語全体と関わるような仕掛けになってりゃよかったなと。子どもらのゾンビ映画がさ。
 ■パラサイトX■ おおっと面白かったぞぉこりゃあ。デンマーク映画ってこともあって風景とか異国情緒どっぷりでアングルとかもなんか定型を素で外してる感じで。エイリアン教師は『女王の教室』よりも怖かったぜ。人間じゃないから当たり前か。子どもらが反発しまくっても親がすっかり宥められちゃうパターンも『女王の教室』だが、肝心のメインの親とくっついて……、ってあたりがいい展開やな。隣人の女警官が微妙に嫉妬してるのも芸が細かかったし、そう、だからこれ、パラサイトものなんやけどコンタクト系の方に分類ね。だってラストとかもほら、球体破壊んときの教師と生徒の会話なんかもバッチリコンタクトだし。なにしろ「愛」だもの。ってわけでエイリアンが姿現わすシーンはほんの一瞬だったけどメリハリあってグッド。文部大臣合成シーンもナチュラルで。子どもらも一癖二癖で教師と張り合ってたし、そうだな、おませでいい味出してた妹がもうちょい活躍してくれんのかなと、そこがガッカリだったけど、無駄のないいい映画でしたよ。えーと、だけど後で考えてみると、結局、エイリアンに取り憑かれたオバハンひとりと、オバハンが食ったニワトリと、死んだのそんだけだよね? あと誰も死んでないし怪我すらしてない。ほんとなら苦情言うところだけど、うまくできてた映画だからいいや、それで。
 ■カウボーイ&エイリアン■ 正確に何が起きてんだか、過去のいきさつが途中までさっぱりわからんのが好感持てたちゅうか。てか、最後まで結局わからんのよ、何がどうなってんだか。ただあいつら金掘ってただけなのか。人間に催眠術かけてたっぽいのは何のためだったんか。ま、詮索してもしゃあないが、低空飛行から一人ずつ投げ縄っぽいので空に連れ去られるシーン、くどかったけど迫力あったよね。とにかくさらいたかったんだよね、ビジュアル的に。ってことでこの件詮索終わり。で肝心のエイリアンなんだが、腹からにゅーっと手みたいなのが伸びてきたりする内臓的ぬめぬめ描写がすげー気に入ったんだけど、あのエイリアン集団と、カウボーイ&インディアン軍団がけっこう互角に渡り合ってるバトルシーンはいくら何でも無理ありゃせんかな。人数だってむこうのが上でしょ? であのスピードだよ? 個体ごとに不死身度が全然違うってのもどうなのかねえ。銃弾何発浴びても平気なのもいれば、一発で倒れるのもいるし。棍棒だったか何かで殴られただけで倒れてんのもいたし。ちょっとあのへんは統一してくれないと。
 ■サイクロプス■ 妙なコンタクトだわな。サイクロプスってイメージ的にもっとでかいんだけどなあ。そ、大魔神くらい? あれじゃあアンドレザジャイアントよか頭一つ高いかってくらいだよな、ちょっとあれでは。最期もあれかよ。落下で終わりかよ。ヘタレ腰巾着の放ったヘボ矢一本でねえ。いや、槍だっけか。ともあれ、ヒーローとコンタクトしてたんだかしてないんだか、微妙な線が味わいっちゃ味わいで、ときどきぱちくりしてた眼がそのあたりデリケートに表現してるっぽくて、ショボイ身長といい皇帝と腰巾着のヘボイ四流悪役演技といい、ま、けっこう惨殺シーンはグロかったりサイクロプスの出番はやたら多かったりと押さえてるとこはしっかりあったりして頑張りを見せてる映画ではありました。
 ■ダーク・フェアリー■ えーと何だや、ラストのあのダイアローグの感じだと結局誰一人死んでないだかや? あいつらの仲間になるだけだかや? まあそれはいいんだけど。浴室で女の子が襲われるシーンとか、おっさん受難シーンと比べてあんだけ刃物振り回されて擦り傷一つなしってどうなのって言いたいし、図書室での大騒ぎも全く同じ無傷パターンだし、ダークに徹してもっと容赦なく子どもに怪我させるべきだったと思うねえ。歯が目当てなら前歯の一本も引っこ抜かせるとかさ。あとそうね、ゴブリンどもの造形にいまいちバリエーション足りなかったかな。あそうだ、肝心なこと。メインの女の子、『クロノス』みたいな異様感で通してくれるのかと思いきや、気むずかしいのは序盤だけ、ゴブリンらと接するうちに次第にキャーキャー騒ぐ凡庸な幼女になってっちゃって、パパの愛人ともすぐ仲良くなっちゃうし、なんか期待はずれだったな。『クロノス』や『オテサーネク』見習ってほしいよ。
 ■スターシップ・トゥルーパーズ3■ どうも微妙に安っぽい……、舞台は壮大なんだがなぁ。って正直言ってもう大半忘れてるんで感想これだけでご免。
 ■宇宙生物X■ えっ、unseen evil2って……。いきなり続編かゃ。タイトル見てもそんなんわかりゃしないのに、登場クリーチャーの模型がアップで映し出されるオープニングクレジットンとこで原題が出るもんだからズッコケたよ。たしかに前作の生き残りらしきヒロインが当局に説得されて件の洞窟に出向くわけだが、んな展開わかるかっつの。前作観てねえんだから。前作のハイライトがトラウマ的フラッシュバックで映し出されるプチサービスがあるものの、研究所(?)で解剖されかかってる捕獲サンプルなんか見せられた日にゃ干渉のモチベーション微妙に揺れるでしょうが。加えて討伐隊がとにかくチンタラチンタラというか、不真面目というか、喧嘩ばっかだし、野グソしてる黒人隊員をイケイケ女隊員がさしたる理由もなく刺し殺してクリーチャーに罪なすりつけてるし。おまえら何しにものものしく出向いてんだと。ただひとり事態の深刻さを理解しているヒロインはヒロインでとにかくまァガキみたいなうっぜー悲鳴あげっぱなしだし、CGも着ぐるみも距離感滅茶苦茶というか、人間とクリーチャーの行動合ってないし、ビル爆破やヘリコプター墜落のシーンは五十年前の特撮映画レベル以下の模型丸出しだし、見るべきポイントはひとっつも無い……、と言いたいところだが、なんのなんの、この映画、思いっきり楽しめました~っ。何が良かったって……、業界用語で言う「切り株」の見事さですよ、切り株の! その一点に尽きます。切り株描写の分不相応的ハイクオリティにゃ唖然とさせられましたがな。満腹。 
 ■スターシップ・ソルジャーズ■ バグズはよかったなあ。これで人間側の反応がちゃんと作られていればモンスターものとして最高だったんだが、ホント惜しい。ラスボス的巨大バグも大した造形で私ゃ大満足。人間どもの振り付けのどこが悪いって、人間オンリーのシーンで至近距離に敵の気配感じないのよ。投入資金の問題じゃなく演技の問題なんで、ほんとこれ、もう2ランクほどアップできた作品なんだがねぇ。ほんと惜しいったら。で、これがどうしてコンタクト系? あの荷物の女が結局何者だったんだか、ミュータントだったんだかエイリアンだったんだか。そこが謎なのでいちおうコンタクト系。あと、演技だけじゃなくてほレ、太陽フレアが短時間で収まったり再発したりのテンポが御都合主義的でチョイまずかったっけな。
 ■エイリアン・プラネット■ 空振りコンタクト系ね。コンタクト求めて生還と引き換えにせっせと森を越えていった女が見たものは。って、お~い予想通りなんだもん。だってあっちこっちに散らばってたじゃないか、ビルの残骸が。あそこをほんとに意外なオチに仕立てることができてたら、まあまあ傑作になったんじゃないかな。モンスターは出来よかったのになぁ。クモみたいな何列もある眼ぱちくりの描写とか、CGけっこううまいとこ突いてるよ。でも距離感がダメなんだなぁ、人間側との。卵でおびき寄せて穴に落とすとこも、ありゃいくらなんでも間一髪すぎるよ。しかしパラレルワールドに行き来させるマシーン、間一髪系の逆いうか何でもありいうかずいぶんアバウトで微笑ましかったよな。密室パニック的要素あり、野外サバイバル要素あり、裏切られオチ(はじめっからあれしかないでしょ、ってオチだけど)あり、いちおう盛りだくさんではあったよね。努力賞。
 ■ワイルドグリズリー■ これほんとは哺乳類系にしとくべきかもしんないけど、ラスト、グリズリーが手ぇ振ってたからね。コンタクト系ね。ってありがちな動物愛護映画だなぁ。バカ息子にバカ母が何度も行ったり来たりでまわりに迷惑かけっぱなし、あの二人はほんと死んでほしかったけど。で、ウロチョロしてラストダイナマイト仕掛けた連中、結局何がしたかったんでしょうか。クマ殺すと何かいいことあんの?
 ■ワイルドサヴェージ■ これもほんとは哺乳類系にしとくべきかもしんないけど、全編ずっと、夢遊病の子どもがトラ探してたからね。トラもなついてたっぽいし、コンタクト系ってことで。でもラストは襲うんだな。ってありゃ保安官が合流したから襲ったのか。どうでもいいけど直後爆発オチんとき、トラが見えねえのよ。ちゃんと火だるまにしといてくんないとさ。あとフケたかあちゃんだったな。最初ばあちゃんかと思っちゃった。いちおう町で働いてるらしいからトラの件知らなかったってことはないでしょ。それと一回でもいいからトラが人を引き裂く瞬間観たかったよね。かあちゃん惨殺んときがいちばんそれに近かったけど、ドアップすぎて手以外はなんにも見えやしねぇ。
 ■51[フィフティ・ワン]■ これ、出来はいいのかなあ。どうも微妙。3種類のエイリアンが出てきて(どれも同種らしいんだけど、外見違うのね。そのうち一つは親子二体かい……)、まあなんつーか、変身系(なりすまし系)が混ざったりどうもこれ、ゴタゴタ感ありなんだな。あの友好エイリアンつうかサイコキネシス使いのあいつ、結局何だったの。よく見てなかった俺が悪いのかもしんないけど、スタンスはっきりしなかったよ。ノッペボー系のエイリアンだけで十分怖くできたと思うんだけど、一見豪勢なバリエーションゆえ焦点が拡散して却って間抜けな映画になっちゃったかな。
 ■バトルオブロサンゼルス■ どーにもバランス悪いね。チョイ役のキャプテンでしかないのに、死にぎわにやたら時間かけて音楽盛り上げちゃって隊員の悲痛な表情やけに映して。あのヘタレパイロットもそう。カミカゼって聞いたとたんにぶるっちゃったニイチャン、空中戦でもやたらマッチョ女に名前しつこく連呼されてたしそのあとさぞかし出番あんだろな、と思ったらそれっきり。ラスボスも形はいいのにアクションがあれじゃあ、・・・・やたらウザいマッチョ女の肉弾戦も「もういいよ」って感じ。低空飛行は雰囲気出てるとこあったんだけどねぇ、遠路わざわざ攻めてくる奴らなら、もっと緻密な攻め方すると思うよ、まったく。

オムニバス系6

2011-08-08 21:10:00 | モンスター映画
 ■トワイライトゾーン 超次元の体験■ 元祖トワイライトゾーンの該当エピソードも観たけど、やっぱスピルバーグのこっちの方が優れてるね。飛行機のは元祖は着ぐるみ丸出しのまるで雪だるま人間だったし、超能力少年のは元祖はただのびっくり箱的首ビニョーんが影で映されてるだけだった。昔はあんなもんで視聴者も満足せざるをえなかったんだなぁと。こっちの方が(こっちもいい加減「昔」の映画になっちゃったが)派手かつリアルでヨカッタです。マジックも、モンスターも。
 ■トリック・オア・トリート■ 「初体験」てあれだったの~とオチつけられちゃった。やられた。ってわりにはずーっと無難な作りなんで普通に楽しめたって印象。茫洋とした庭がムードたっぷりでした。
 ■Room13■ 13号室内5~6分で1話完結×13話ってシンプルな作りが嬉しいね。でも玉石混淆すぎ。男女どっちが死ぬのかな?て予想しながらの観方って一長一短であることもわかった。第1話、ありがちな魔女物語。つまらん。第2話、シュールを気取ったのだろうが一方的に女が勝ってる一本調子がバツ。第3話、男が刑事だってことはすぐわかったが、観客はそう見ないって前提での作りに無理あり。第4話、ありがちな罠の張り合い。オチもあのアングルじゃ3秒前に予想ついちゃうじゃん、監督ヘタッピ。第5話、普通わかるでしょ、花嫁。でも動転しちゃうと意外とあんなもんか。ありがち。第6話、ありがちのコントに終始した全編の中で、これだけは感心した。まさかこうなるとは。最初の自決で夢だってわかったならすべて解決、と思いきや、女の死体がまだあって基本夢じゃない、てことだろうね。夢うつつの悪夢。これ、面白い。第7話、だたの約束守らない死神ってかよ。くだらん。第8話、最高傑作の第6話と同モチーフだが、負けてるね。夢見る主体が入れ替わったのはグッドアイディアだが、ラストのもう一転が凝りすぎて逆効果。第9話、凶悪爆弾魔がただのいたずらだったってオチ? 刑事の空回りぶりに爆弾魔が目一杯アクションで付き合っちゃったがゆえに凡作に堕した。第10話、これちょっとオチが予想つきすぎだったよ。旦那の声によるタネ明かしはクドいよ。第11話、連鎖ものだったか。だから何?て感じ。設定の作りすぎ。第12話、これもオチが見えすいちゃって。テレビ画面は余計だったくらいだな。女が殺人犯になったのも旦那の浮気が原因だとかなんとか、考えさせるあたりはポイント高い。第13話、途中までわけわかんないまま進んでくれるのがヨカッタ。男もああ見えて寝取られマゾって感じで、でも女は付き合わずに本気で逆襲しちゃうんだな。このズレが面白い。えーと通算、男女比は生死6対7でバランス考えられてるね。考えなくていいってのに。てわけで全体、傑作もあるにはあるがほぼ駄作揃い。この形式だったら日本の監督に競作させた方がうまくやるんじゃないかな。
 ■及川奈央 リアルホラーシリーズ 葬儀屋月子 ある葬儀屋の告白■
 ■及川奈央 リアルホラーシリーズ 看護師月子 ある看護師の告白■
 ■及川奈央 リアルホラーシリーズ ビデオに映った呪いの影 ~葬儀屋月子編/看護師月子編/及川奈央の心霊スポット巡り~■
 この3つまとめちゃって悪いけど、ま、葬儀屋・看護師は基本おんなじ感じだから。月子がすげークラーい感じなんだけど、そこで第3弾・心霊スポット巡りを観にいくのがポイントです。月子とは対照的に明るくはしゃぎ気味の及川奈央にガイドされると、なんかフィクションもドキュメンタリーもどうでもよくなってしまう和み感覚。とにかく和みたい人は三本まとめて続けて観るのがコツですから。
 ■VISUAL ムー PRESENTS ホントにあった怖すぎる話■ 百物語の簡略版だが、女子高生が一人話し終えるたびに管理者の子が「でもこんな話もあるのよ」と紹介する話が、何やいつも、全然類似点のない別の話やんか! 「でもこんな……」とくれば同モチーフで違う結末になった話とか、そういうの期待するでしょうが。ラストもひねったつもりでしょうが……、いや事実面白いんだけど、ああいうオチ結構好きなんですけど、「引っかかったな……」はないでしょう。霊というか死者というか、ともかくあっち側の存在なんですから、そんな詐欺師みたいなことせんでも……、まあ携帯使ってくる時点で人間側の都合に目一杯合わせてくれてるある意味マメな霊なんですけどね。ま、このジャンルの限界ってことでしゃーないですかね。あ、一人だけ目立ってたツッパリっぽい子の一家心中未遂の話っての、も少し詳しく聞きたかったな。
 ■コワイ女■ う~ん……、3話とも雰囲気は作れているのにねえ……。第1話、病院で奇跡的に助かったところでエンドでいいよ。そこまでのプロセスをもっと丁寧に作ってや。赤い女の表情も動きもだんだんマンネリ化してきてたぞ。病院の後は全くの蛇足、というかブチコワシ。そんなに自信なかったのかねえ……何でもかんでも付け加えればいいってもんじゃないよ。第2話はねえ……、ずだ袋かぶってる女って設定は満点なんだけど、それで自転車だったか何かにつまずいてスッコロブあたりの本気ぶりが笑えたんだけど、リキ入り過ぎだな。不条理でやるならやるで最後まで不条理色続けてくんないと。どうしてああ普通の展開にしたかね。ただの餌探しの連鎖でした、がオチかい。で第3話ね。これがいちばん退屈でしたね。子どもがせっかく熱演してるのに気の毒だよ。いや、死んだことじゃなくてこんなつまんねー映画にって意味でね。肝心のコワイ女もこの第3話だけは見掛け怖くねえし。サイコの血筋って言いたいんだろうけど、なんか唐突でダメだわ、長編でやり直してください。
 ■ダニッチ・ホラー■ こうゆうのもありだとは思うが……、ちょっと地味すぎというか、自制しすぎというか、アート気取りすぎ。アニメ人形が動かないで突っ立ってるだけのシーンがほとんどとあっちゃ、そりゃ表情やらなんやらで想像力働かせろったって、そんな複雑なストーリーや背景があるわけでもなし、でもそれが「画ニメ」なんだよね。だったらしょうがないや。
 ■悪夢の銀河鉄道■ 期待したんだがな、ストップモーションアニメの怪物が出てくるとかで。ま、確かに出てはきましたよ、虫と、なんかヒト型モンスターとね。カニっぽいのも砂浜の地割れから出てきたっけな、一応。
 ■リアル肝試し■ のっけからみんな棒読みやな~。トイレの個室と外で延々喋ってて結局エピソード一個喋りつくしちゃったけど、あの時間だと、ソートーの便秘?
 ■2ちゃんねるの呪い VOL.1■ どうでもいいけど音楽がウザ過ぎる。ほんとうるせぃってば。音楽がああも大袈裟だと、素直な視聴者は過大に期待するだろうから却って損なんじゃないか、制作側としても。とにかくやたらドラマチックに盛り上げようとするがごときBGMに閉口して観賞を何度中断しようと思ったことか。これ、今んとこVOL.4まで出てるようだが、どうすべえ、買い続けるべきか否か。オムニバスって中には傑作が混じってたりすっからできれば逃したくないが、この低俗音につきまとわれた日にゃあなあ……。で、内容の方ですが、とくに傑作と呼べるものはナシ。ま、5話のうち唯一「ウェブカメラ通話」が例の走馬燈系もとい『エロ怖い怪談 第弐之怪』設定とくりゃ工夫次第じゃもっとゾクッと盛り上げられたものを。あと「よどみのチェーンメール」の女よ、「鮫島事件」の男よ。おめーら取り乱しすぎ。客観的にみりゃガキレベルの幼稚な迷信なんだし。とくに鮫島の男の半狂乱。サークルの部外者に掴みかかって「3人の共通点教えろよ」はないだろう、テメーが考えなきゃ埒あかないでしょう。あ~あ、2ちゃんねるの特性生かしてたかどうかも微妙なところだし、そこそこつまんねーもん観ちゃったなって投げやりな感想言っときたい感じ。音楽さえなければもちっと真面目な感想残す気にもなれたろうがねぇ……。ちなみに、この作品のBGMが超うざったく感じられたのは、ホラー系といえば最近フェイクドキュメンタリーばかり観ていた、という私の特殊事情が働いたのかもしれませんわ、謙虚に言えば(あれ系統は基本BGMないので)。ドラマ系を主に観続けてる人にとっちゃどってことないのかどうか、試してみてほしいやね。