三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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哺乳類系7

2011-08-08 15:38:00 | モンスター映画
■ロスト・ウィークエンド■ おおお、こりゃあ拾いモノだったぞ。こんな面白ぇ映画があったんだなぁ、オーストラリア映画には。でもこれ、退屈って人多いかもしれないな。モンスターホラーを期待して観たらそりゃあ裏切られるよな。ジャケットはバリバリモンスターなのにさ、蛇も大した出方してないしちっこいし、結局モンスターっぽい気配はあの波打ち際の黒い影だけか。しかしあの影、ブキミだったよね。襲ってきたっぽかっただけで被害なしだったんだけど、ほどよいパニック、ガンガン撃ったら水面真っ赤になっちゃってたからあれ、死んだのかな? あの赤は恐かったよ。波で赤が輝きを増したりして描写も細かい。姿見せずに血だけ見せて退場したモンスターって、この映画だけじゃないかな。うすら恐かったよ。しかし無神経な夫婦が自然汚して大自然の報復を受けた、ぽい解説がパッケージに書いてあるけど、ゴミ捨てたり動物轢き殺したり蟻の巣に殺虫剤まいたりビール瓶海に投げ込んで撃ったり、ってまあ大したことしてないんだけどね、天罰が下るほどには。で、なんでこれが哺乳類系なのだと? カンガルーだのジュゴンだのの轢死場面や死骸が活躍してましたのでね、うん。しかしジュゴンの死骸がすり寄ってきてたのにはありゃ笑ったよね。あれ、たった二段階で一挙に近寄って来ちゃったけど、もっと小刻みにやってくれたら効果的だったろうとも思うがどうだったろう。ショッキング度の点からいうとあれでよかったのか。あまりの急接近だからこそ笑えたし。笑いとるシーンじゃなかったんだろうけど。まあ謎といえばのっけから口論ばかりのあの二人の不愉快度といったら一級品でしたね。楽しまなきゃ、楽しむべし、楽しもうみたいなこと一方的に旦那がまくしたてるんだが妻がハナからあんなんじゃ意味ないって気づけよモウ。だいたい妻もなんでビーチまでのこのこついてきただかな。怪物が出てこなかった分結局、どーしょーもないふたりの関係がモンスターだな、ほんと。イライラ系ホラーとしてはとにかく上出来でした。細かい「?」はいくつかあって、水中銃の暴発、角度がてんでおかしかったのが気になりますが、あれもホラーのうちかな? 遠くに見えたもう一つのグループが水没してたのは計算どおり「うわっ」だったな。一度でも接触してたらありきたりな展開だけど、見知らぬキャンパーがいつのまにか……。始めから動きが目撃されてなかったところが遡って「そういえば」的に怖かったり。あれやこれやで他の映画じゃ見られないシーンが豊富だったのがこの映画の勝因です。ラストの鳥もグッドタイミングの活躍で、どうも隙のない上質陰鬱ホラーだったな。
■グリズリー・パーク■ きっちり笑わせてもらった。これぞ娯楽映画だわ。主任のオッサンが大手柄でした。この映画を笑い印にするMVPでした。って別にギャグかましてるわけじゃないのにね。てんで無表情、落ち着きまくってるあの態度が可笑しいわけでね。冷静沈着すぎますっての。靴に小便ひっかけられても無言、電話ぶっ壊されてても平然と修理、狼を至近距離に見てもへっちゃら、色仕掛けっぽい女の振る舞いにも眉ひとつ動じず、責任問題になること必定の不祥事(だろ?)にあって「おまえらがどうなろうと俺ゃ知らん」的態度貫くあっぱれさ。とはいえやるべきこたちゃんとこなしてるわけで。黒人男と日系娘(なの? 名前変ちくりんだけど)がはぐれても誰も何も気にしない浮遊感がなかなか効いてたし。日系娘の顔面が剥げ落ちてるの拾った主任さんの無関心ぶりがまた。誰一人ふざけてる奴ぁいないのにこの可笑しさ。いや、一人だけいたか。クマの着ぐるみね。あれはもうちょい活用してほしかったな。あとこれは予算上しょうがないのかもしんないけど襲撃場面でクマと人間がほとんど別撮りってのがどうもこの……。ま、襲撃場面のスペクタクルで勝負してる映画じゃないから別にいいんですけどね。それとフクロウが人肉喰ってたようだけど、ああいう小動物も総動員して一行を襲わせたらよかったんだがなあ。どうせクマの恐怖を突出して描きたかった映画じゃないんだし。あと、脱獄囚はことさらに粗暴すぎないかな。いくら凶悪殺人犯だからって、手当たり次第に殺したり壊したり。ああいうやり方じゃあ却って足が付いて逃げにくくなるでしょうがよ。どうせ端役だっていい加減な扱いが残念だったよ。んで問題のラストだが、あの簡潔な反則的ラストだが、笑うしかないよな。でも感心したべよ。全編、逆説的な違和効果を醸し出してた主任の超冷静ぶり、あれ意図的に(制作意図としてね。キャラクターとしてはナチュラルに)やってたんかー、ってわかる仕掛けね。そりゃ長年(かな?)山でお務めしてりゃ、熊とも狼とも仲良くなるわな。
■プレデター・エヴォリューション■ なんだョ、ケチだなあ。暗くて場面チョコマカで、モンスターを全然、というか部位しか映さなかったり遠くでガサガサ草をユラさせてるだけだったりと、妙に勿体ぶりまくるから本体そのものは巨大もしくはビザールなのを期待するじゃんか。それに序盤でいっぺん狂ったイノシシがオヤジに飛びかかったから、これが前哨で、同じく狂った未知生物が登場か、と期待するじゃんか。そしたらなんだいなんだい、最後までイノシシ尽くしでやんのよ。トホホですな。超凶暴化したってんならイノシシならイノシシでべつにいいから、せめて全身をみせてくれや。人間襲うとこもバッチリ見せてくれや。なのにそこもボカシばっかでしょ。モンスターも直写シーンもどっちもナシかい。あ~あ。その埋め合わせか家族のいがみ合いみたいなので話そらそうとしてたみたいだから、だったらそれもっとエグく描けよって感じ。弟が弾みで兄を蹴落としたら死んじゃった、ってだけだもんね。モンスター映画にも別ジャンルにもなり損ねた広義の駄作でした。ラストもあの女、恋人が父親を殺したんだ、って気づいた設定かい、まさかあれって。あんだけイノシシに襲われといて母親も目の前で攫われて、なんでそう思うかな。実際にストーリーがそうだからって、観客本位の作りも限度があるよ。しかも携帯捨てたそのシーンでオシマイときた。呆気なさすぎ。まだそこらにイノシシいそうじゃん。ちゃんと緊張してろって。男の死に方も腹に枝だか何だかが刺さったままガクッ、かよ。ことごとく盛り上がらんこと夥しいね。でもほら、ワンシーンだけ、イノシシの糞尿だか突然変異的ヨダレだかを男が顔いっぱいに浴びるシーン、あれだけはよろしかったですわ。ああいうのもう2、3カット工夫してくれてたらなぁ。

バイオハザード系8

2011-08-08 15:05:00 | モンスター映画
 (「バイオハザード系9」がすでに上がってますが、8が飛ばされてましたので数字逆転します)
 ■スプライス■ これはヨカッタ! もうちょい非人間形だともっとよかったが。幼少時が一番クリーチャーチック、それがだんだん人間型になッてっちゃってがっかりさせられたんで。だから屋根の上で突如翼がぶわっと生えたときには、非人間性が俄然回復してこのまま幼少時以上の非人間形クリーチャーに、と期待膨らんだですよ。しかしあれ以上には異形性が進化せずときた。まことに残念でした。クリーチャーの女性期の表情なんかはたしかにうまくできてて、首の傾げ方とか、でもなんか通俗なんだよね。バイオハザードとコンタクトを混ぜたとこまではいいけど基本、視聴者にモンスター映画期待させてるんだってことは忘れないでほしいよね。ラストのアクション、女がためらってる隙に男ブッ刺されて昇天、てシーンなんざコンタクト系の定石が悪い意味で強調されちゃってたっけ。ひさびさのA級感覚モンスターホラーだったのに……。前半満点、成長してからはしょせんこれですか点。
 ■パンドラム■ モンスター誕生の経緯がよぉわからんのでバイオハザードって分類でよいものやらですが……、いやぁこれ、素晴らしい出来だとは思うんですよ。久々の本格SF、宇宙船内閉鎖空間ものの本格モンスターホラーか!って大期待して観たんですよ。そしたら、展開や映像、雰囲気なんやかやは言うことナシなんだけど、問題のクリーチャーがほぼ人間型なのねぇ。『ディセント』レベルかな。あの映画もほんと、クリーチャーの異形レベルがあれななもんでいまいち評価上がらずだったが、この映画もそう。てより舞台設定の非日常度が上であるぶん、こっちの方が幻滅感大でしたわ。超巨大宇宙線の中でコールドスリープから一人ずつ次々目覚めて、何か記憶が甦らないままなんやかんや任務らしきことを果たさねばならない、って展開がまずサスペンスだし、殺され方もけっこうスプラッターの域に迫っていて、さぞ異形のモンスターを期待させてくれたんだけどねぇ。がっかり。子どもモンスターのフェイント首切り攻撃は爽快でしたけどね。ラストの脱出カプセルがぽこぽこ海面に浮上するとこ、異星の水平線もよく出来てまして、最後までバッチリA級感保持した好印象がますますモンスター度不足の無念を増幅させるのでした。
 ■ダイナクロコvsスーパーゲイター■ こりゃあ楽しみだ。と、観始めるやいなやワクワクしちゃいました。なにせバカ映画感丸出しなので。みんなわざわざ狙われやすい屋外に走り出てくもんだから巨大ワニに一人一人ばくばく端正に食われていくというオバカ光景。御都合展開と微妙な出来のCGがこの映画の作意を伝えて嬉しい予感を高めてくれる。予感は裏切られません。「あ、こいつら喰われるためだけに出てきたな」って一目でわかる端役感ぷんぷんの男女が順番に登場してはおざなりな乳繰りあいやら口説きやらをひととおり演じたあと超予想通りに喰われていく超楽しさ。本筋と喰われシーンご披露とが律儀に交互に、まるで「モンスターホラーちゃんとやってますんで」って点数稼ぎしてくみたいな編集だよな。しかもビキニ娘胴体真っ二つを除くとほとんど人体破壊シーンってないのね。バクッと喰われて消えてオシマイ、の連続みたいな。あとほら、出番がダイナクロコに偏って、スーパーゲイターの方は犠牲者数がちょい抑えられ気味だったのがどうだったかな。バスツアー客どももほとんどが逃げのびたみたいだったしな。でも水辺でガバーッは二度もドキッとさせてくれたし、いや、正確には三度だけど、最初のあの一発はいくらなんでもナシだな。だってほとんど膝までのあの浅瀬でどーやったら垂直にワニ首突き出して人間呑み込むですか? 地底怪獣ですか? 『トレマーズ』ですか? って別に文句言ってンじゃなくて、むしろ「まさかここで……」って思った通りにあの無茶なCGでしょ。笑っちゃいまして、そいでドキッが中和されて「あの一発はナシ」って次第。いやぁほんと変にコメディにはせずにバカ映画を真面目にやってくれてるとこが好感度高しです。対決場面は、スーパーゲイターは目をやられてたし(しかしとっつぁんが目ぇ仕留めるときの娘との逃げろ逃げないのやりとり、二人とも至近距離の敵からしっかり目ぇそらして言い合いに没入、やれやれC級モンスター映画特有の人間都合の演出でしたわい)長距離全力疾走の直後だったから不利だったけどダイナクロコの方がそれまで銃弾爆弾浴びてた量がずっと多かったもんでまあフェアな条件での戦いと言っていいかな。呆気ない終わり方はもちろん不満。爆発でのダイナクロコの死に方もヘボなんで大不満。ラスト、赤ん坊ダイナクロコの予兆は、鳴き声しか聞こえんかったけど、いや、画面でも何か蠢いてた的なものがありげだったけど、あそこはちゃんと視覚効果で締めてほしかったな。ともかく、こういう真面目系バカ映画ならこれからも大歓迎ですんでよろしく。
 ■エイリアン・パンデミック■ 内臓的クリーチャーの作りも動きもいいんだが……、小さいのね。ちょっとでかいやつも出てきたけど、出番ちょびっとずつなのよ。助走部分のディテールも凝ってるんだけどねえ。触診のとき胎児に獣医が手ぇ噛まれるってシーンにはびっくらこいたし。あと、胎児がすでに妊娠していて中から胎児ゾロゾロってのもびっくらこいたしね。まあ対決シーンは狭い牛舎の中ながらなかなか本格的だったから、よしとするかな。全編、狭い空間に牛の糞や血の臭いが立ちこめたような感じでずーっと続くので、そこに通りすがりのカップルが巻き込まれたりする理不尽感も加わって、「パンデミック感」はたっぷりでした。クリーチャーの造形以外はエイリアンつまり地球外生命とはまったく関係なかったみたいだけどね。
 ■シャークトパス■ しょうもねぇ邦題、と思ったら、原題がこれでやんの。しかもテレビ報道で正式に命名してるし。視聴サイドも「くだらん」て言ってるし。で、そんな命名されるくらいモンスターが知れ渡ってるというのになぜか最後まで警察は登場せず(軍が抑えてるってことかね)、追っかけるのが元カップル一行だけってのがどうなのかね、リアリティ以前に。でもまあ、シャークトパスに巻き付かれる人間各人が毎度襲撃直前にCGのボロを出さない場所に、適切な姿勢で立ち位置いちいち決めてくれてるのが好感持てました。ってバレてるんじゃダメぢゃんね。肝心の博士の巻かれ方ヘタッピだったしね。立ち回転って老体には難しいから。ってまぁ、ひたすら殺すためにのみ律儀に浅瀬をえっちらおっちら歩いてくシャークトパスの姿、けっこう笑えたです。生物兵器として真面目に努めてますって感じがほんと可愛かったです。前半であっさり食われたチョイ役バンジージャンプ娘のガミースマイルの方が可愛かったですけどね。追跡側の事情が一段落するたびにシャークトパス出没予定の海岸が脳天気なラテン音楽とともに映し出される交互フェイズ進行、アンチホラー色鮮明でそっち系としちゃまあまあでした。
 ■蛇女■ 映像よし。だから惜しいよね、ほんと。……って、何かが惜しかった記憶はあるんだが内容をほとんど忘れちゃってましてね。何が惜しかったのかなあ? DVDの表紙が佐伯日菜子のアップなので佐伯が蛇女だとばっかり決めつけて観てたんで、違ったんで「え?」って思ったのだけは覚えてます。みんな同じこと感じるらしくて似たこと書いてる人ウェブのここかしこで見かけたことありますけどね。あとそうだな、佐伯日菜子がどっかの家に泊まったときに何かが起きて、それがなかなかホラーな雰囲気たっぷりだったことも覚えてるんだが……、ま、そのうちもっかい観てみよっかな。ってほどの映画じゃなかった記憶もあるけど。いかにも片手間のレビューっぽくてすいません。ってその程度の印象だったってことですんで。
 ■パラサイト・クイーン■ えーとごめん。これもほとんど憶えてないんですよね。にゅるにゅるがなかなかよくて、皮膚の下をムズムズ動く描写もなかなかで……、って記憶はあるんだけど。でもこういうの観てるとCGに飽きそうだな、ってありきたり感芬々だった記憶も。
 ■プレデターD4■ モンスターがただの人間ってのがどうにも悲しすぎますよ。もうちょい異形にしてくんないと盛り上がりません。撃っても撃ってもさっぱり効かずにひたすら走って向かってくる憤怒形相筋肉マン、ってたしかに怖いんだけどさ。あそこまで銃弾が効かないと緊張感かえってほどけるね。で結局、行方不明の子どももあのモンスターになっちゃったってわけね。じっちゃんが手なずけようとするあたりはハラハラさせられるんだけど、ラストの車ン中でミキサー状態ってのはあれ、最後の最後にコメディに転換したつもりかな? ってほどのノレた出来。いや、大したことないシーンかもしんないけど、ああいうのラストじゃなくてちょいちょい中盤に混ぜてほしかった。退屈すぎた中盤にね。

レザーフェイス系5

2011-08-08 04:57:00 | モンスター映画
■クライモリ デッド・エンド■ 爽快です。オープニングの唇噛みちぎり(!)+全身縦割り(!)→左右半身別々お持ち帰りの流れってば絶妙ッすそりゃあもう。あの女ったらあとでバーベキューにされて食われちまうのね、仲間に。バカっぽくさくさく進んでくのが良いやね。まあ、フェラチオ女の殺され方なんぞは滅多切りのわりに水面下カメラじゃ全然見えなくて惜しかったし、モニター画面の中の首斬りも瞬間が画面外ってんじゃダメダメだったけど、あと立ち小便中の斬殺もどーも見づらかったし、でもあとの人たちの死に方はどれも満足かな。宙吊りの二人の目を一矢で射抜く芸当ったら「おおっ」だったし、あの場面の魅力は、そう、生き残り確実と見られたイラク帰りのマッチョ女兵士が仕留められちゃった意外感とやたら鬱陶しい軽薄男がやっと死んでくれたって解放感とがブレンドされた拮抗作用というかね。脱出に成功して大暴れしてくれたボスのラストは半端ない血糊でしたし、いやそういえばあのボス、ダイナマイトにこだわりすぎでないかい。とっつぁん退治したときのあれなんかマイトで吹っ飛ばしたいがためにわざわざ銃口に身をさらす危険を冒してるし、駐車場(?)でのあれなんかも、二人別個に矢で狙えばすむところをあんなでしょ。まあ内臓爆裂シーンを見れたのは嬉しかったけど、キャラクターまでがビジュアル本位で行動しなさんなって。もうちょい予算があったらあの断裂歯車に夫婦して引き込まれる図を正面から克明に見せてくれたでしょうに、残念だったな。でもまあ、バケツの中で肉片がぴくりと動いてくれましたしね、なにげに。ああいう細かいとこに、怪物一族の人間味つうのか執念つうのか愛いうのか、なにせ出産シーンも嫉妬シーンもキスシーンも描かれましたのでねえ、怪物一族の。二人も生き残ったのが不満ッちゃ不満ですけど、ラストで赤ちゃんが指食べそうだったし、こりゃあ理想的なB級スプラッター魅してもらいました。
■クライモリ デッド・リターン■ こいつもツボ押さえてくれました! 酷評が多いようだけど俺は十分満足。冒頭の若者連続惨殺シーンだけでもあと全部引っ張ってくれたじゃんよ。あれの余韻が冷める暇なく最後まで間髪容れず畳み掛けてくれてたって感じ。この路線でいいと思う。囚人どもと看守の対立にちょいちょい化け物親子がちょっかい出すだけってなフラストレーション含みの展開は展開だが、まあとにかくスプラッター描写だけが命と割り切ればすげー楽しめる作品じゃないかな。金に執着する囚人どもの悪辣さが前面に出すぎてモンスター度が押さえられてるのは事実だが、そのくらいの方が邪悪対邪悪のコンセプトが生きてスッキリ見られる。ラストは「まだ金かよ」って感じだが、まあ無難に話をまとめたって感じで、オチをつけてないけど落ち着いた感じで、いいと思うけどね。しかしこれ以上の続編はチョイ心配ってのはみんなと同感だな。
■ワナオトコ■ これは笑えた。いいねえ、こういう理屈あってなきがごとしのカラッポスプラッター。あいつの仕事が害虫駆除だってのは最後まで知らなかったけど(内装業者かと思ってたわ)、あのレザーフェイスは結局同僚だったんか? クギにトラバサミにピアノ線に劇薬に剃刀に、トラップの数々はほんと見てて飽きない凝りようだけど、しかしあんだけ凝った仕掛けをするってことは(しかも短時間――この設定じゃ半日の間にだよな――に)、誰かが家の中を自由に歩きまわることを想定してるわけだ。それにしては家の人間はみな束縛されてすでに瀕死の状態だし、主人公の泥棒が侵入してくるってことを予期していたわけでもあるまいし。主人夫婦を自由に歩きまわらせて、泥棒氏といっしょにとラップ巡りをさせた方が良くはなかったかな。あと疑問なのは、夜中に戻ってきたバカップルが、室内でトラップにかからずレザーフェイスとの肉弾戦になっちゃうところね。やはり自然にトラップにかかってほしかったよなあ。あれじゃあ強引にトラップに突っ込まれてるんで、わざわざトラップの意味ないでしょ。といろいろ不満はあるが、設定があまりにもいいんで全体的に傑作認定ですよ私は。しかし階段のクギはもろ踏んでほしかったですけどねえ、あのバカップルには、なんとしても。クギ踏んだときのアクションがどう連鎖するのか、切実に見たかったじゃないか。あとレザーフェイスが害虫駆除の仲間なら(あの様子だとたぶんそうなんでしょ)、あのゴキブリの使い方は中途半端だったな。ていうか、これは虫を使う状況じゃないよな、金属に徹するのが正解でしょう。あとそうだ、主人公の泥棒は、ああいった具合な家族思いのエピソードなしにしてほしかったな。もっといえば、コソ泥じゃなくてもちっと凶悪な犯罪者であってほしかった。そしたら『クライモリ デッド・リターン』なみの悪VS悪の図式が成立してたんでね。とはいえこの映画、『クライモリ デッド・リターン』より上だと思うけど。ともかくあの泥棒ったらちょっと感情移入を要求しすぎてるのが惜しかったよ。家の人たちを助けようとほんとに努力しちゃってるし。あとそうだなあ、レザーフェイスがどうして最後まで無傷かなあ。腕の一本も切り落とせればよかったんだが。試合中は一進一退、いい勝負のように見えて、終わってみれば一方的な大差がついたって感じだね。もうちょっと拮抗した戦いを期待しちゃいました。そのためであれば定番の小さい女の子も要らなかったな。ま、あの子が窓際に見えなけりゃ泥棒もわざわざ家に戻ったりせず逃げのびてオシマイ、だったわけだけどね。
■ブラッディ・バレンタイン■ 意外と個々のシーンの記憶がないな。後ろからブッ刺されて目玉飛び出すシーンがあったような。ツルハシだったら当然あるべきシーンだけどね。義務的ってくらいなもんで、だからインパクト薄れちゃったかな。あとは殺人鬼が人目を気にせず悠々と歩いて去っていったラストが気分よかったってくらいかな。なんか、スーッと気分よくするする観れすぎたスプラッターだったんだよね。
■ホステル■ これ、レザーフェイス系ってことでいいのやらですが……、ま、顧客どもは平凡な市民なんだろうがそいつらが一々レザーフェイスってとこがけっこうコワイ。素人だから滑って転んだりうまくいかんで組織にクレームつけたりね。素人レザーフェイスの天然醍醐味。日本人娘二人組の一方が目玉ぶら下げたままちんたらちんたら逃げてどーすんだろって思ってたらあれかい。ラストはきっちり憂さ晴らしだったけど、ど~せ殺すにしてもまずは指切り(というか手斜め切りだったかな?)にこだわったとこがよかったっけね。
■ホステル2■ なんか淡泊なラストだな。豹変大逆転のわりにはさ。あの女が急に凶暴になるのはちょっと……、男の不意をついたとはいえ強すぎだし。
■ヒルズ・ハブ・アイズ■ ん? 意外と普通だったな。というより家族に赤んぼがいる時点で、あ~こりゃ期待できないなと諦めたんだよね。どうせ赤んぼは生き残るでしょ、ほいで赤んぼつれて砂漠から抜け出すにはあと最低1人生き残らにゃならんでしょ。しかし赤んぼ+3人+一匹生き残るなんてちょっと生き残りすぎだよな。生存率はギリギリで案まとめてほしいもんだよ。
■ヒルズ・ハブ・アイズ2■ 出産がからむとたしかにグロ度は増すね。単に俺が出産シーンに弱いだけかも。
■ウルフクリーク■ オーストラリアの風景が美しい前半とぐちゃぐちゃの本番とのコントラスト。後半、かくれんぼ的鬼ごっこみたいになっちゃってダレたけど、お姉ちゃんの要領の悪さには苛々させられて、そのイライラが不思議と相乗作用発して恐怖が増すというような。殺人鬼を撃ったあと、当然復活してくんだろーなーと思ったら案の定よ。廃墟化した修理工場みたいな現場だけは超一級でした。
■デッドクリフ■ 前半の「自然界の怖さ」だけで通してくれた方がよかったのでは。ああいう無謀な連中は全員死ぬべきだし、変なトラウマ殺人鬼の助け借りなくてもどうせあいつらダメだったでしょ。いったん逃げたあんちゃんが彼女の間一髪に戻ってきて石ぶつけて逃げて……、ってあたりはリアルでしたね。映画的ヒロイズム抜きの現実って、だいたいあんなもんでしょ。
■フロンティア■ 悪vs悪って構図は私大好物なんで、のっけから期待が膨らむ膨らむ。ただなんてゆうのかな、レザーフェイス家族がかなりいい加減で、油断だらけで強盗どもに逆襲されっぱなしなのがどうも。前半の一方的な形勢がもうちょい続いてもよかったんじゃないかと。ボイラー室みたいなとこで茹で殺しされるあのシーン、ドロドロになって出てきてあのデブに抱きついて執念で密着して火傷の巻き添え殺し、共倒れ……って凄惨な展開を期待したんだけど普通に死んじゃったな、残念。制作陣、そこまでセンス良くありませんでしたか。でラストがキャットファイトになったのはまあそんなもんだろうけど、極まり技が噛みつきってとこは嬉しかった。実際は首筋をああやって噛むのなんて不可能だろうけどね。
■マーターズ■ レザーフェイス系というか何というか……、まあ『ホステル』のイデオロギー版ってことで。しかしもっとスッゲー結末なのかと思ったよ、アマゾンなんかのレビュー見たときにゃ。しかしあんなもんか。あれじゃマドモワゼルが初登場のときいろいろいってたことから予想した通りじゃないか。ラストの30分余計ってなもんよ。暴力表現がスゲえっつうから期待したら、普通に銃撃だったり普通にタコ殴りだったりじゃんよ。まあ類似作のない暴力表現は評価できるけど、オチに至るアイディアはどうもねえ……、たしか筒井康隆の短編にこのアイディアあったよね。いろはにほへと……って伝言してくたびにショック死するやつ。いや、まあ、かなり違うか。
■シー・ノー・イーヴル 肉鉤のいけにえ■ あり? 義手のオッサン、あんな早く殺されちゃうのかよ。因縁の対決っぽく引き延ばすかと思ってたのに。それと全体、スプラッター度が弱いな。何度もやっていながら目玉くり抜きはついぞ直接描写がなかったし(あれで十分直接? いやいや、いつも手の陰になってるんでねえ)、黒人男の殺され方なんか、壁に家具越しにぎゅいーっ、へたっ、でしょ。あんなんじゃ……ちゃんと血ぃ出る殺し方してよ。もっとひどいのは女を窓から降ろしてる最中に襲われた男みたいに、事後描写だけとかな。あと生き残るのが3人って多すぎでしょ。一番嫌われてたマイケルって男があっさり無傷で生き残るってどうゆうわけよ。あれをもって「意外な展開」を主張してるわけでもなさそうだしな。エレベーターの中じゃもっと何か起きるんかとそりゃ思ったし。ラストでばあさんの足だったかピクって動いたんであのば~さんが復活して一暴れかな? てチョイ期待したんだけど甘かったか。よかったとこはそうね、ケインが頭ブッ叩かれたときどうも半ゾンビ状態ってことがわかって「だからさっきから蠅……」って気づかせ効果があったこと、ケインの死に際のしぶとさ描写(もっとしつこくてもよかったと思うが)と目の鉄パイプガンガンガン、って落下中の描写ね。ま、楽しめる人が多そうな映画だってことはわかるんで贅沢で悪いけど、典型的なこんなもんかな系ってとこですかね。
■スライサー■ え? て感じだな。だって『マングラー』みたいなモンスター映画だとばかり思ってたんだもの。マシーンの出番ほとんどないじゃん、ただガッシンガッシンいってるとこに人力で人間突っ込むシーン以外は。でもシチュエーションすこぶる面白いやな。ドロボーが忍び込んだ家がたまたまサイコパスの家で誘拐された女と意思疎通するわけね。見捨てて逃げようとするも閉じこめられちゃうってか。まあ、設定がよかっただけに期待外れが大きかったな。
■屋敷女■ なんか、洗面所かどっかに隠れた女の手を外からブッ刺すシーンなかったっけ? そこだけ印象に残ってるかな。
■2001人の狂宴■ 真っ昼間の屋外での追っかけっこまがいの虐殺が主なんで、恐怖感はいまいちだな。最初の(このシーンはたしか夜だったよね)手足順々にブッちぎりは、三本目まで普通の悲鳴あげてんのが違和感ありあり。最後の一本で(いや、ラストは2本まとめてだっけ。記憶定かならず)ようやく「ごほっ」ってリアルな咆哮っぽい呻きになったけど、ああいう身体切断シーンでよくあることだけどああいう健全な悲鳴は出ないもんだと思うんだよね。あと、よく覚えてないけど表彰式の演出まがいの舞台で女をぺしゃんこにするのあったよね、あそこはアップでお願いしたかった。ケツから串刺しにするやつもね。ともあれあっけらかんとサクサク殺してくテンポの良さは買うけど、序盤の過剰歓迎ムードから期待される不条理感は結局ナシで終わっちゃったな。あ。ええと待てよ。これ、ほんとはレザーフェイス系じゃなくて別んとこに分類しとかなきゃいけなかったのか。だってオチがあれだからね、しゅわわ~~って。でもまあいっか、メインの目的がレザーフェイス系にあること確実の映画なんで。
■悪魔の追跡■ 沿道の人々がみな微妙に怪しいところが面白い。カーチェイス+スプラッターというのも貴重。ああいう目撃の仕方って、実際明日にでも出くわしそうで怖いよね。しかしあんな見られそうなとこで秘密の儀式やる方もやる方だよね。って地元の人間にだったら見られてもいいってか。よそ者はまずいないだろうってか。狭い日本じゃありえないセッティングかな。でもまあ、さすが七十年代の映画だなあ。女どもが何の役にも立ってないや。戦うのも庇うのも気遣うのも全部男の職務かい。忙しいこって。
■ツールボックス・マーダー■ 釘打ち機で頭部ばすんばすんばすん、がとにかく印象に残ってます。大工道具ひととおり使うってコンセプト大いに褒めたいけど、どうせやるなら徹底的にマニアックに、メインの道具全部わかりやすく使ってくれるとよかったんだがな。カンナでじっくり削るってのもあってよかったんじゃない?
■悪魔のいけにえ■ あれっ、これで終わり? て感じの唐突な締めくくりですな。ていうか締めくくりのなさですな。これ、いちおう名作なんだよね? やっぱ時代順に観てかないと白けるもんだね。ホラーも進化してるんで。最前線の分析哲学さんざ読んどいておもむろにデカルトひもといたような感じかな。
■ヒルズ・ラン・レッド■ レザーフェイスもといベビーフェイスがピストルで撃ってくんのかよ。いやはや。スプラッター系で飛び道具もあっていいけどピストルってありかよ……、なんか究極のトホホ映画『海底大戦争』思い出しちまったよ。ま、ある意味メタホラー。ホラー映画そのものをテーマにしたホラー映画って意外とないんで、この路線後続作があればいいと思ったな。今度はちゃんとした殺し方工夫してね。
■ビハインド・ザ・マスク■ これ、いいアイディアだとでも思っただか? とんだ勘違いでしょうよ。いや、しかしこのコンセプト、映像の作り次第では傑作になったはず。『ヒルズ・ラン・レッド』よりさらに凝ったメタホラーというか、懲りすぎて失敗したというか、取材対象の青年、はっきり殺人鬼ってことになっちゃってるけど、そうじゃなくてただの無害なホラー映画マニアかほんとの殺人鬼かわかんないって設定を保った方が面白かったと思うんだな。「盗まれた手紙」っぽい構造が「お、お、お」と思わせるようなね。かなりむずかしいと思うけどね。コンセプト活かせなくて自滅しちゃった可哀想な例かな。しかしフェイクドキュメンタリーの資料としては使える素材だな。できれば内容そのものを楽しみたかった。誰かこれ、同じストーリーでいいから作り直してくれないかな。いや、もっぺん観れば「お、やっぱ傑作じゃん」って見直す可能性がなきにしもあらず。って無理かな。初見のダメダメ感を思い出すに、もっぺん観る暇があったら呪いのビデオの新作でも観た方がいいよなあ。いや、でもいずれ「フェイクドキュメンタリー論」執筆するときにはこれイヤでも再観賞せねばなるまいかな。ああ面倒っち。
■ハチェット■ なんだか必要以上にコミカルにしてるなあ。かといって全編コメディに分類できるかつったら、レザーフェイスがみため毒毒モンスターなわりにはそれほどトホホぶりも出てなかったしねぇ。雰囲気尊重してこっちは笑わせてもらう準備してるっつのに無駄なシーンが多すぎてさ。火ぃつけたとき、雨が降ってきたからって逃げずに全員でグチャグチャにしちまえよ。相手は倒れてるんだからさ。金属類の力じゃどうせ殺せないと思ったのかな? だったら変でしょ、そんな不死身なやつを最後のあれっぽっちで殺せたなんてどうして思っただか? ブッ刺された足を犠牲にしたグッドアイディア(かよ?)を生かしたい希望的観測かや? なんか行き当たりばったりの安ドラマでした。評価できるのは全員殺されたって点だけかな。あとそうだな、ワニが中途半端だったな。レザーフェイスがワニと一戦交えるくらいの展開に持ってけなかったものかなあ。
■コールドプレイ■ ノルウェー映画ってことでほんのり根拠なき期待してたんですが。普通かな。普通よりおとなしめ寄りかな。スプラッターという予断を持っていなければ、雰囲気のぶんポイント高くつけたかも。で、どうでもいいけどただのオッサンがなんであんなに強かったのかな? 謎。ジェイソン張りの外見してるわけでもないし。しかしあんだけ死体が密接してると本来「ぞぞーっ」てなもんだが、雪原だもんで臭気が感じられずに恐怖感大幅減殺だね。しかも谷底っていうか穴底だったしね。
■殺人動画サイト Death Tube■ こりゃあコメントする意義もないな。お遊戯だな。どうせこういうお芝居になっちゃうんだったら、もとハチャメチャやってくれてもよかったのに。閲覧者との相互作用が乏しかったのもがっかりだな。「殺人犯」なんて紛れ込んでなくていいから。その場でエピソード作ってってほしかったよ。

ゾンビ・バンパイア・ミュータント系(人間型系)12

2011-04-28 14:15:00 | モンスター映画
 ■スパイダーマン3■ 分類はスパイダーマンに焦点合わせて人間型だけど、ネバネバや砂状が登場してくれて、私は大満足。とはいうもののほとんど記憶に残ってない。どういう話だったかも覚えてない。そういう性質の映画だったんだろう。個々のシーンは記憶にあるはずだが、『1』や『2』のシーンと確信持って識別できてるかというと自信ないので言及控えとこ。ただまあ、観てる最中はいたく大満足だった記憶はあるので、CGもえらく感激した記憶あるので、とにかく高く評価しますってことで。
 ■ハウス・オブ・ブラッド■ 緊張が持続したよねえ。「人体破壊」をひたすらやりたいんだって欲求を正直に表に出した制作姿勢がすがすがしい。囚人らと化け物らの壊しっこって設定、どっちもどっち感がイケてる。ゾンビが襲ってくるたびに真ん中で大奮闘するハゲの囚人、全然強そうじゃないし不細工なおっさんだし動きも緩慢にみえるのに、他の囚人より貫禄で勝って見えてくるのは不思議だゃね。人の印象なんて役割でどうにでもなるってか。ともあれ狭い小屋でゴチャゴチャやり続けるこだわりったら良し。どういう展開でもこれなら絶対飽きることはないしね。こういうのだったらゾンビものでも楽しめるかな。ま、しょせんゾンビものの限界内でだけど。
 ■ディセント2■ ほほう、モンスターの脱糞か。意外と珍しいシーンだよな。姿がほとんど人間なだけになおさらね。せっかく肥溜めに落ちたんだから、排便真ッ最中に下から串刺しにしてやるって手はなかったものかな。たまにはあっていいんじゃないか、そういうの。でもどうしても人間関係にスライドしちゃうんだな、映画の決まりとして。生き残りの女が対面ですかい……、二人の関係がねえ……もう記憶ないのよ……前作からあんまり時間おかずに観なきゃってか。あと何だな、ラストがどうもコンタクト系っぽくなったかな。『ミッドナイト・ミート・トレイン』先取りしてる感じだね。主従関係的なコンタクトをただ仄めかしてるだけのこっちの方が味があるかな。映画としちゃあっちの方がチョイ上かもしんないけどね。
 ■30デイズ・ナイト■ あの展開に30日かかりましたってのは……どうもこれ、緊張感削いでないか。根気強いかくれんぼになっちゃちゃ退屈だよ。間延びだよ。一夜で凝縮してやってくれよ。でもまあ、わかりますよ、最果ての北国のピンチを描くには隣の都市とも連絡つかない1ヶ月使いたいっての。目一杯やりたかったわけね。でも結果的にゆるんじゃっちゃあ意味ないと思うんだけど。しかしあのバンパイアども、なんとまあとてつもない身体能力。動き速すぎ。腕力も車ひっくり返しちゃったり。それにしちゃあ、肝心のとこで主人公らを逃したり、見ててバランス感覚崩されるんだなあ。基本的に建物から建物へ伝ってゆく一行に対し表通りをバンパイアが練り歩きながら捜索、ってな感じですか。地味なんですよねえ、バンパイアのパワーに比べて不釣り合いなほど地味。とくに前半が派手で後半がずーっと地味、ってかなり損な作りじゃないかな。後半の地味さをカバーしようというのかクライマックスで主人公が自らバンパイア化して戦うっての、とってつけたように無駄に英雄的ッツか、無意味に自己犠牲的じゃないかい。だって相手は大勢だよ? ひとりで乗り込んでどうすんの。結局サシで勝てたからいいようなものの、勝つ確証もなければそもそもサシで勝負してくれる保証もなかったんだからさ。口中パンチはマンガチックでおもろかったけど、脚本の御都合主義に頼ったような主人公の自己犠牲はいただけない。どうも雪に閉ざされるまでがスリリングで閉ざされてからはただのかくれんぼって竜頭蛇尾構造がセンス悪いので、☆3つってとこかな。決していいかげんな映画じゃなくA級の域に十分収まっているだけに惜しかった。ほいで結局、最初に逮捕されてあとでズタズタにされた酔っぱらい風警告者って、役割何だったの? つかバンパイア連中、ああいうスパイみたいなの使った小技もありなの? あの身体能力からしてそういうの不要だと思うんだが。だいたいハンティング楽しみたいんでしょ、もっと豪快にいこうよ。あと言い遅れたけど、バンパイアの造形なんとかしてくんないかなぁ。全員ただの人間でしょうが、表情気持ち悪いだけで。この映画に対する私の厳しすぎる評価は、間延びだのバランス感覚だの御都合主義だの言ってきたけど、本当の理由はバンパイアがモンスターっぽい格好してないことっ! 一体くらい怪物怪物したの出してほしかったなあ。せめて『フロム・ダスク・ティル・ドーン』のバンパイア程度の異形をさ。俺はてっきり、赤外線だか紫外線だか照射したあのシーンね、女吸血鬼がズダボロ断末魔の異形モンスターに変身しながら死ぬのをリアルタイムで切に期待したんだが。あるいは主人公が日光に当たって死ぬプロセスにモンスター化が起こるとか。ラストはセンチメンタルに行かないとダメだと制作陣は思ったんだろうけど、だからって伝統的な黒炭化ですませるのはあんまりだよ。全員人間型のままで終わっちゃったのがこの映画の敗因だな。
 ■ゾンビランド■ 俺やっぱゾンビはダメだな。萌えない。この映画はゾンビものん中じゃ評価高いみたいなんだよ。しかしねえ……う~ん……、ゾンビってモンスター度低いぶん初期設定からしてハンディしょってるのね俺的に。なるほどちゃんと作ってあることはわかるよ。ギャル姉妹に振り回される主人公一行、つかず離れずの平行線ってのも見方によっちゃアイディア賞というか。でもねえ、二対二で別れちゃぁ追いつき別れちゃあ追いつきの構造がど~にも緊張感なくて。途中で雑貨屋を4人で思いついたようにブチコワシ始めるのも、そんなスローモーションにしてまで見せるくらいのシーンかい? それと何、あれ『ゴーストバスターズ』に出てた俳優なのかい? 本人ってことだよね。んなこたど~でもよくて、あいつが悪ふざけの結果客人に殺されちまうなんてこたこっちは当然予想してる、いや予想させられてるんだから、もっと意外なスカシ方ってなかったのかよ。ただ殺されてんじゃん。そこ全然スプラッターでもなかったし。あと絶叫マシーンどうせ使うんだったら、一人一人にああやってちまちま対応するんじゃなくてゾンビども十人もまとめて振り飛ばすくらいのビジュアルがほしかったよなっ。こだわりの「ルール」ももっと笑かしてくれんのかと思いきやほとんど紹介されずじまいだったし、相当のコメディ感漂わせて始まってくれたわりにほとほと尻すぼみ版でしたよ。遊園地に雪崩れ込んでおきながら意外と楽しくならなかったのはなんか切ないねえ……、
 ■ON AIR オンエア 脳・内・感・染■ ジャケに書いてあるコンセプトからして異色作だもんで期待したんだが、駄作だったわい。いや、前半の雰囲気作りが大変よいので駄作は撤回するにしても凡作以下であることは間違いなしだな。とにかくあの〈言語遊戯のつもり的〉掛け合いは空振り。あまりにレベル低すぎ。ただ関係薄そうな単語を交互に言い合ってるだけで、尻取りの域にすら達してない。「言葉によってゾンビウイルスが伝染する」っての、いいアイディアだと思ったのかもしれんけど、医師の説明も深刻な表情に反してとってつけた以前のいいかげんさだし、だいたい英語じゃなきゃ大丈夫なんてどうしてそんな結論に達したのかさっぱり不明だし、途中から男女がフランス語で喋り始めるのもうざったいし、勝手に始めといて途中から「ええい、面倒だ」的に英語に戻しちゃうのも投げやりすぎるし。そういう中途半端展開のせいで前半のチョイ味のあったDJとプロデューサーの駆け引きもグダグダ化した印象で記憶されることになっちゃった。ほんと損な作りだよ。あれだったらゾンビそのものは画面内に見せずにリポートと放送局内の反応だけで全編通してくれた方がずっとよかったな。ビジュアルでは誰も死ななくていいよ、言葉だけで。でも登場しちゃうんだよな、ゾンビども。いつもながらゾンビってモンスターフリークにとっちゃほんと有難迷惑なんだけど。よさげなシーンといったら美形娘の噴水吐血の瞬間だけだったかな。ちなみにあの子、序盤で銀歯のチラリズムがあります。ハッキリは見えないけどたぶんあれは銀歯。左上の五番。あれくらいでしょ見どころは。聞きどころもナシ。勝負球めかしたナンセンス言語ネタがあれほど徹底して空振りじゃこの映画の存在意義は潰えたね。もいちど言わせてもらうと単語のキャッチボールじゃダメなんですよ、せめて文単位で見せなきゃ。指示だけじゃなく論理のセンスとナンセンスを絡めなきゃ。意味とか理解とか尤もらしく論じてたけど、ッタクこんな極低レベルで「意味」「理解」云々しようなんて情けないやら恥ずかしいやら。こういう駄凡作公開してる暇あったら俺様の『蜜林レース』映画化する根性みせてみろや。
 ■ボトム・プレデター■ あら。単に人間が薬打たれてネズミ喰って変身しただけかい……。背中がトゲっぽく盛り上がるだけかい。もうちょい異形を期待したんだがなあ、残念。それにしてもゴミ回収業者ら、わざわざ現場にとどまって戦う必要あったの? 逃げようと思えば逃げられたシチュエーションでしょ。素人なんだから逃げようよ。ま、素人だからこそよってたかって銃だの電ノコだの棒だのいっぺんにぶち込んでモンスターを倒すとこは見てて面白かったけどね。モンスターは造形があの程度ってのは変身ものじゃ仕方なかったかもだけど、動きをもう少し。たとえば鉄のドアぶち破るとこ、体当たりっぽいあれじゃなくて、もっと怪物らしい破り方はなかったものかなあ。あれじゃ人間丸出し、着ぐるみ感全開だもんね。ところであのやたら威張ってたねえさんが殺されるとこ。ハイライトのはずなんだけど、わかりにくかったなあ。下顎をバキッと引っこ抜かれたようにも見えたけど、ちゃんと見してくんないかな。あそこで思いっきり悲惨な死に方披露するのがあの女の役目だと思ったんだけど。モンスター造形的には『ネズラ』に似た、内容的にはあれをかなりレベルアップしたような、それでも標準作には届きませんでした系ってとこかな。
 ■ザ・リグ 深海からの覚醒■ 少しずつ殺し方が派手になってくのかな、と期待させてくれたんだが。あの黒人の料理人ぶっ殺すとこで力尽きちゃったか。あいつんとこがピークでそれ以上はついに出来ませんでしたと。やれやれ……。
 ■鬼殻村■ そもそも村じゃないじゃん。村の跡って設定だろうけど。人体破壊シーン、というより人体破壊跡だな、ひとつひとつ気合いが入ってて、これをやりたかったって熱意は伝わってきます。しかしいかんせん全体の大根演技と音質の悪さで大駄作の域から這い上がれず。ただ、ラストの(というかエンディング後の特典映像っぽい部分だね)教授の語りも含めて評価すると、これ、なにげな傑作かもしんない。傑作は大袈裟だけど、ああ、こういう作りもありなのか、って。全滅した一行の健在な段階へ話が戻って、なんら劇的でもなければ種明かしでもないシーンで締める、ってのが意外と効果発揮してるじゃないか。しかもあんだけダメな演技してたやつらがここでは(たぶんこの語り場面は収録予定されてなかったんじゃないか)教授の語りに自然な反応をみせてて、本編とこの語りパートと合わせると、全体が夢物語のような、奇妙な浮遊感を味わえました。
 ■腐女子■ しっかし音質悪いねえ。『鬼殻村』もそうだったけど、どうしてこの俳優(最初と最後で語り手になってる上司のオッサンね)が出てくる作品って音が悪いの? 俳優のせいじゃなかろうけどさ。で、占い師が若すぎるでしょ。ああいう役回りなら老婆にしてほしかったところ。そう、自分が何人も子ども生んだ経験あって、曾孫までいそうなね。あの占い師、顔隠してるけど下手すると十代じゃないか。いろいろグチャグチャ展開してたけど、妻(『心霊音 The Movie』で銀歯披露してくれたぶんむくれアイドルね)の発狂ぶりは予想内でもまあこの展開じゃ当然だろうけど、上司の語りのラスとの展開がああも予想通りじゃダメなんじゃないか。だってああいうオチのためにわざわざ若い社員が聞き手に配置されてたんだって人為的な空気がぷんぷんだもの。まあいいや、工夫の跡の見える努力賞。あとはもいちど言うけど音質なんとかしてくれだね。ホワイトノイズに音割れに、まったくもう。
 ■スカイ・クロラ■ あのですねえ。こういうの観ると、俺がアニメ嫌いである理由がよーくわかるな。その意味では教訓的な作品でした。そう。アニメってのは演劇なんだな。様式的。ことさら無気力な台詞に気取った台詞、徹頭徹尾カッコつけすぎなんですわ。しかもです。そもそもなぜにアニメの質そのものがこうも悪い? キャラの歩行シーンではやたら地上をすべってるし。ミツヤの長台詞のとき全然身体が動いてないし。泣いたら人間の身体ってものは全体に泣きが伝わって、こう、肩が震えるとかするでしょ。動きと声が全然マッチしとらん。あとタバコ吸うシーンがやたら多いのはなんか狙いあったの? 子どもだけど子どもじゃないよって布石のつもり? 要りませんて。物欲しげな布石は自信のない証拠よ。戦闘シーンの迫力だけはまぁまぁ認めるにしても、総じて大駄作だと断固認定させていただきます。押井守は俺好きなんだけど、ダメなものはダメだなあ。

ドラゴン系3

2011-04-14 22:48:00 | モンスター映画
 ■ダンジョン&ドラゴン2■ 前作からちょい落ちたね。なんかこう、CGはいいのに場面があっちゃこっちゃ同時進行的にすぐ切り替わっちゃって、せっかくのクリーチャー群もゆっくり見れなかったやんけ。しかもおおかたリキ入れてSFXかっきりやってくれてると思いきや妙なところで手抜きというか手抜かりというかさ。とくに「X」押して地下に入ってくとこのチャンバラシーンはひどいな。ぐるっと包囲して襲撃すりゃいいものを一方だけから攻めてくから「どんぞ、危機一髪潜ってくらはい」と言わんばかり。そもそも森や盆地の風景がちょっとこぢんまりしすぎてるんだなあ。雄大にやれとは言わんが、工夫こらしたCGと釣り合いがとれてないよ、あれっぱかしの景色では。湖もちっちゃいしさ。よくもラストでドラゴンが沈んでくスペースがあったと思って。しかしあの、骸骨化寸前の巨大ドラゴン(ドラゴンゾンビ?)のドアップったら迫力ありましたって。あれはいい。ああいうの大満足なんです私ぁ。あと氷のドラゴンとか天井からボトボト落っこってくる花だかヒトデみたいの(あれ何?)とかコウモリ人間とか『クリムゾン・アイランド』風ピニャータっぽいのとか騎馬兵のゴースト(かな?)とかクリーチャーが一々素敵なんだ。なんだけど、見せ場をもっと持続させてよね。一瞬しか出てこなかった傅き役のヒト型モンスターぽいのもいたような。あと勇者だね。一人一人能力が違うみたいなんで、ゆっくり活躍させてほしかったというか。トラップももっと種類あってよかったでしょ。このテじゃ俺らトラップにアンテナ向いてんだから。
 ■U.M.A.ライジング■ ドラゴン系ってウソついてゴメンだけど、まあ形からしてドラゴンの亜種だわな。ガーゴイルって言うべきか。いちおう檻に入ってたわけで猛獣程度のパワーなのかなって先入観だったけど、檻の破り方とか微妙な迫力あったよね。むしろ見せ物小屋のフリークスたちをもっと見たかったんだけどな、俺は。とくに顔が二つくっついてるあの人とか、巨人っぽいデブとかに期待してたんだけど。2人とも呆気なく殺されちゃったみたいだけどね。もったいなかったな。どうせ殺されるんなら、なんせモンスター対フリークスでしょ、もっとアップでこう、エグくできなかったものかなあ。あっさり殺しちゃってたのがまたもったいない。モッタイナイの2乗でややフラストレーションの溜まった作品。
 ■ドラゴン・スレイヤー■ エイでしょ、エイ。空飛ぶエイ。ドラゴンにゃ見えんよ、あの2匹。ま、『U.M.A.ライジング』のガーゴイルをドラゴン認定した行き掛かり上、タイトルもドラゴンってことで堂々ドラゴン系やね、一応これは。しかし肝心の戦いの結末、どうなってんだありゃ。ありゃないぜ。炎のドラゴンがいつのまにかオッ死んでやんのよぅ。氷のドラゴンにどうやってやられたのか不明なまま、たしかに爆発みたいなシーンがチラッと映ったけどね、あれで決着ってのはあんまりでないかい。爆撃機の撃墜じゃないんだから。それに後半暴れるのが氷のドラゴンってんじゃつまんないよ。クライマックスに適任なのはやっぱ炎なんだよねえ。弱くて負けちゃったからしょうがないんだけど、視覚的には炎ドラゴンが氷ドラゴンに圧勝してたよなあ。身体中のひび割れからマグマみたいな炎が垣間見えてて、内側から身体破裂させんばかりな感じで、だから火炎を吐くときがなんつうかこう、容量オーバーの炎を嘔吐するみたいな感じなんだな。あの火吹きの物質感はなかなかですよ。火の嘔吐だよ。それにしても狭い王国ですねえ。馬でちょっと走れば氷原も草原もひとっ飛びなんだね。ドラゴン襲撃もいっつもおんなじ場所。城下町、というか城の麓の村ひとつが王国を構成してるのかな? あとどっちの王様も間抜けな殺され方しやがってさ。そのぶんドラゴンとのスペクタクルが目楽しませてくれるかと思いきやロッククライミングがもたもたの極致で、ドラゴンとヒーローが別々の絵すぎるし、大団円でああも弛んじゃ台無しでしょ。結局、CGは良かったけど展開が最低ってとこに落ち着いたね。だってああなるんだったら氷のドラゴンなんか解き放たないで、あの卵みたいので(あれ、なに?)おびき寄せる同じ戦法で炎のドラゴンだけやっつければよかったんじゃない? 結局一番の見どころは、騎士くんが生還したのを遠望する姫の笑顔の唇両端に覗いた歯茎だったりします。でもあの姫、無理に突っ張って終始うざったかったんでせっかくの歯茎も魅力半減だな。
 ■ジュラシック・プレデター■ このサイズのドラゴンになるとCGが心配でハラハラしながら観ていたのだが、途中までは微妙にレベルをクリアという感じ、ただあれだけ羽ばたいても森の木々が全然揺れないあたりやっぱキツイかなと。地上の人間を空からぶっつぶすあたりの描写もいまいち。一発目は血しぶきでボロ出さずうまく処理してくれてたけどね。あとほら、店の入り口からニューッとドラゴンが首突っ込んでくるシーンなんか目新しかったけどやっぱCGがな。
 ■破壊神■ ひっでーぇぇぇCG。ずいぶん大勢、一人ずつ殺されてったけど、あの人たちモンスターが見えてないのバレバレだし。身体の向きぐらいそれらしく合わせてよ。捕まれたりひっぱたかれたり尻尾に巻かれたりすんのも動き合ってねっつんです。浮きまくりですってば。それと刑事コンビ、せっかくありきたりな男女ペアパターンほどよくはずして一方をチョイブスオバチャンに設定したんだから、新味は買うから、ってもいかんせんあのCGじゃねぇ。しっかしあのドラゴンも顔が微妙にマヌケで個性ある反面何でああもたつくかね。あんな強いんだったらサッサカ殺してってよ。無意味や威嚇だの羽ばたきだのいらねえす。どーせ不死身なんでしょ、最後まで擦り傷一つナシで健在ってんですから。弾丸が当たってんだか当たってないんだかわかんねまんまな進行もヘボCGお決まりの画面構成ってことで、まあB級予算じゃクリーチャーの造形ちょっと複雑にすると小回りもままならずってこってしょーかねぇ。