……トラウマ系? 限りなく拡大解釈可能なこのジャンルの設定により、ワタシの中で「映画=モンスター映画」なる等式が成り立っていることがばれてしまいました。つうか「映像=モンスター映画」かもしれません。映画とは言えないモノもどんどん入ってきそうなので。つうかもう入ってきてるので。ドキュメンタリーとかいろいろ。
■博士の異常な愛情■ これ、ガキの頃テレビで観て私トラウマになってます。といっても新設「トラウマ系」とは〈わがトラウマ〉という意味ではなく、作品中にトラウマがモンスター的役割を演じている映画を指していますので念のため。ではこの映画の中のトラウマとは? →ここ←にある私の書評をご覧くだされば。そう、大祖国戦争ですでに核戦争並みの犠牲を出しているソ連はたしかに、可能ならドゥームズデイ・マシーンなんてのをほんとに設置したでしょうからね。そしたらキューバ危機にも負けずにすんだよね。ところで私にとってのトラウマ場面とはどこだったでしょうか。そう、兵士がまたがったまま水爆が落下していくあの場面ね。なんかえらく怖かった記憶あり。改めて今観ると、もちろん看板通りブラック・コメディなわけで、いや、でもマジ怖い場面あったよな。狂った司令官が「私は拷問に弱そうだ……」と呟いて決意の表情を固めるところとか。予感が怖い。キチガイにはキチガイなりの誠実かつ真剣な決意が灯るというわけで。高度なホラーテクニックだな。あとあれも怖いね、損傷を受けて目的地へ着けやしないのに、だから諦めりゃいいものを、せめて別の基地へ一撃をという、攻撃命令受けたが最後ロボットのように超忠実に驀進する爆撃機兵士。人間は怖いね。職務忠実ってほんと怖いよ。簡単にカミカゼや人間魚雷にだってなりうるんだから。それをあの人間搭載水爆はアピールしていたわけね、今考えると。トラウマといえばあの大佐は日本軍に拷問受けた経験有りって設定だけど、やはり戦後18年目の日本のイメージったらそれかい(今もそうだよな)。帰化科学者ストレンジラブ博士のナチス・ドイツ式敬礼の象徴表現的役回りとはえらい違いだ。しょうがないけどね。なお、主役にはほど遠いストレンジラブ博士がなぜにタイトルに抜擢されているのか、一切不明なところがこの映画のポイントアップに貢献しています。
■時計じかけのオレンジ■ 『博士の異常な愛情』に劣らず笑えるキューブリック三大傑作の第三。大好きなベートーベンに対して強引に催嘔吐アレルギーを植えつけられちゃったんじゃこれ、たまったもんじゃないよな。前半の無意味な暴力と後半の意味過剰な矯正療法のコントラストが素晴らしすぎるし。アレックスのその後をもうチョイしつこく描いてくれるとよかったんだが。あと、あのけっこうイケテるおばーちゃんはただ殺されちゃったけど、あそこまでの流れからしてもっと姦っちゃったりとか、なんかぶち挙げると思ってたんでちょっと拍子抜け。あとわざとアレックスを怒らせようとする実験とか、もっとビザールなやりかた期待してたんで(何かやりそうな女も出てきたし! そ。ビザールってったら私の期待してたことはただ一つ! まあいくらキューブリックでも商業映画では無理だけど)。とまあ、いろいろ注文は付けうるわけだけど、それだけの期待を持たせるぶっ飛びぶりだったということでして。傑作ですね。
■カプリコン・1■ これを観てアポロ捏造説を信じるようになったというウブな人も知識層にいるようだけど、やはり飛行機の追っかけっこにこの映画の神髄が宿っているような。陰謀部分はリアリティなさすぎで却って捏造説から覚ます効果があるんじゃないかと思うが……。うん、ひたすらサスペンス映画として楽しめましたよ。ところで、大槻教授が人類月面着陸を否定する発言テレビでしてたってホントかなあ。
■ファイナル・デスティネーション■ これは真正のモンスター映画と言えなくもない。ふわっとモノが変色したりふっと影がよぎったり、「運命」という見えないモンスターが生前の犠牲者をなでまくっているような映像効果が端々に。かなりよくできた世界だけど、今から振り返った印象は、ひたすら『デッドコースター』のイントロダクションとしての意義だけを持つというか。この映画には気の毒だけど。
■デッドコースター■ 『ファイナル・デスティネーション』の続編なんてこたどーでもいい、とにかく連続カークラッシュの徹底ぶりには脱帽すべきでしょう。ありゃすげーや。その後の死に方もオーソドックスにエスカレートして、台所の爆発やら歯医者やら、いったん間一髪生き延びたやつが安堵の吐息とともに直後全然別の死に方へ突っ込む、この時間差攻撃というかフェイントというか、露骨にして予想のつかないヤラレタ感。爽快感。人間の生理がよくわかってる人が作ってるな、と。
■ヴィレッジ■ ちょい待たんかや。なんですかゃこのオチは。まんまやな。森へ入っちゃいかん、村から出るなって設定とくりゃふつう、あれ系統だろうとすぐ見当つきますがな。護衛の青年二人は途中で待機せよなんてのからして、目あきに目撃されちゃブチコワシになるよな光景が待ってるっての見え見えっしょ。だからこそもっとトンデモなオチ、外界はエイリアンに統治された奴隷社会とかなんとか、ブッとんだの期待してたんだよぉ。そしたらオイッ。愚直すぎる直球かい。もっとひねれよ、あんな見え透いたネタのためにチマチマ引っ張ったんかい。こっちは「……だとしたらここがチョイ無理過ぎでしょう」とあらかじめツッコミを入れつつ観てたわけだから、そのへんの裏かく程度のオチにはしてくんないと。そもそもクスリ一つ不自由しながら何世代も過ごす計画に大金はたくなんてアホいねっつの。外界も協力しねっつの。そんな未来永劫にわたって。見かけ倒しとはこのことだ的映画の典型。皆さん演技はうまいし前半の映像美はかなりのもんだっただけにさ。いや、予測通りってこと自体はかまわんのだが、付加価値ありさえすれば。モンスターがせめて1パーセントでも本物なら俺も機嫌直したんだけど。百%お芝居ってんじゃなあ。オチがすべてじゃないとはいえ、全体地味~に進めてきたんだからアッと言わせてほしかったってば。ま、犯罪はびこる現代都市社会と迷信に頼る素朴社会とどっちがいいの?てえ問題提起だけはそこそこ無価値でもないわけで。〈年長者〉らにとってはハッピーエンドってことですか、ただし当面だけの。これ実ははじめ、フリークス系に入れようかと思ったんだよね。生まれつきメクラなのに色が見えるなんてあの女やっぱフリークスでしょってことで。でもマ、年長者たちのもろトラウマの方がメインだよねってことでここに。
■2LDK■ キャットファイトが単調すぎるんですよ。もうちょっと二人の心理戦が長い方が。すぐ物理的バトルになっちゃっちゃあ、味も含みもないって。どっちかつーといつも明らかに小池栄子の方が好戦的・策略的なのも(最後も先に刺してるし)バランスを欠いてて不徹底。あと野波麻帆のトラウマに相当する何かが小池にも欲しかった。皮肉なオチもかなり平凡。競作の相手である『荒神』(妖怪系3参照)にかなり水をあけられちゃったね。
■博士の異常な愛情■ これ、ガキの頃テレビで観て私トラウマになってます。といっても新設「トラウマ系」とは〈わがトラウマ〉という意味ではなく、作品中にトラウマがモンスター的役割を演じている映画を指していますので念のため。ではこの映画の中のトラウマとは? →ここ←にある私の書評をご覧くだされば。そう、大祖国戦争ですでに核戦争並みの犠牲を出しているソ連はたしかに、可能ならドゥームズデイ・マシーンなんてのをほんとに設置したでしょうからね。そしたらキューバ危機にも負けずにすんだよね。ところで私にとってのトラウマ場面とはどこだったでしょうか。そう、兵士がまたがったまま水爆が落下していくあの場面ね。なんかえらく怖かった記憶あり。改めて今観ると、もちろん看板通りブラック・コメディなわけで、いや、でもマジ怖い場面あったよな。狂った司令官が「私は拷問に弱そうだ……」と呟いて決意の表情を固めるところとか。予感が怖い。キチガイにはキチガイなりの誠実かつ真剣な決意が灯るというわけで。高度なホラーテクニックだな。あとあれも怖いね、損傷を受けて目的地へ着けやしないのに、だから諦めりゃいいものを、せめて別の基地へ一撃をという、攻撃命令受けたが最後ロボットのように超忠実に驀進する爆撃機兵士。人間は怖いね。職務忠実ってほんと怖いよ。簡単にカミカゼや人間魚雷にだってなりうるんだから。それをあの人間搭載水爆はアピールしていたわけね、今考えると。トラウマといえばあの大佐は日本軍に拷問受けた経験有りって設定だけど、やはり戦後18年目の日本のイメージったらそれかい(今もそうだよな)。帰化科学者ストレンジラブ博士のナチス・ドイツ式敬礼の象徴表現的役回りとはえらい違いだ。しょうがないけどね。なお、主役にはほど遠いストレンジラブ博士がなぜにタイトルに抜擢されているのか、一切不明なところがこの映画のポイントアップに貢献しています。
■時計じかけのオレンジ■ 『博士の異常な愛情』に劣らず笑えるキューブリック三大傑作の第三。大好きなベートーベンに対して強引に催嘔吐アレルギーを植えつけられちゃったんじゃこれ、たまったもんじゃないよな。前半の無意味な暴力と後半の意味過剰な矯正療法のコントラストが素晴らしすぎるし。アレックスのその後をもうチョイしつこく描いてくれるとよかったんだが。あと、あのけっこうイケテるおばーちゃんはただ殺されちゃったけど、あそこまでの流れからしてもっと姦っちゃったりとか、なんかぶち挙げると思ってたんでちょっと拍子抜け。あとわざとアレックスを怒らせようとする実験とか、もっとビザールなやりかた期待してたんで(何かやりそうな女も出てきたし! そ。ビザールってったら私の期待してたことはただ一つ! まあいくらキューブリックでも商業映画では無理だけど)。とまあ、いろいろ注文は付けうるわけだけど、それだけの期待を持たせるぶっ飛びぶりだったということでして。傑作ですね。
■カプリコン・1■ これを観てアポロ捏造説を信じるようになったというウブな人も知識層にいるようだけど、やはり飛行機の追っかけっこにこの映画の神髄が宿っているような。陰謀部分はリアリティなさすぎで却って捏造説から覚ます効果があるんじゃないかと思うが……。うん、ひたすらサスペンス映画として楽しめましたよ。ところで、大槻教授が人類月面着陸を否定する発言テレビでしてたってホントかなあ。
■ファイナル・デスティネーション■ これは真正のモンスター映画と言えなくもない。ふわっとモノが変色したりふっと影がよぎったり、「運命」という見えないモンスターが生前の犠牲者をなでまくっているような映像効果が端々に。かなりよくできた世界だけど、今から振り返った印象は、ひたすら『デッドコースター』のイントロダクションとしての意義だけを持つというか。この映画には気の毒だけど。
■デッドコースター■ 『ファイナル・デスティネーション』の続編なんてこたどーでもいい、とにかく連続カークラッシュの徹底ぶりには脱帽すべきでしょう。ありゃすげーや。その後の死に方もオーソドックスにエスカレートして、台所の爆発やら歯医者やら、いったん間一髪生き延びたやつが安堵の吐息とともに直後全然別の死に方へ突っ込む、この時間差攻撃というかフェイントというか、露骨にして予想のつかないヤラレタ感。爽快感。人間の生理がよくわかってる人が作ってるな、と。
■ヴィレッジ■ ちょい待たんかや。なんですかゃこのオチは。まんまやな。森へ入っちゃいかん、村から出るなって設定とくりゃふつう、あれ系統だろうとすぐ見当つきますがな。護衛の青年二人は途中で待機せよなんてのからして、目あきに目撃されちゃブチコワシになるよな光景が待ってるっての見え見えっしょ。だからこそもっとトンデモなオチ、外界はエイリアンに統治された奴隷社会とかなんとか、ブッとんだの期待してたんだよぉ。そしたらオイッ。愚直すぎる直球かい。もっとひねれよ、あんな見え透いたネタのためにチマチマ引っ張ったんかい。こっちは「……だとしたらここがチョイ無理過ぎでしょう」とあらかじめツッコミを入れつつ観てたわけだから、そのへんの裏かく程度のオチにはしてくんないと。そもそもクスリ一つ不自由しながら何世代も過ごす計画に大金はたくなんてアホいねっつの。外界も協力しねっつの。そんな未来永劫にわたって。見かけ倒しとはこのことだ的映画の典型。皆さん演技はうまいし前半の映像美はかなりのもんだっただけにさ。いや、予測通りってこと自体はかまわんのだが、付加価値ありさえすれば。モンスターがせめて1パーセントでも本物なら俺も機嫌直したんだけど。百%お芝居ってんじゃなあ。オチがすべてじゃないとはいえ、全体地味~に進めてきたんだからアッと言わせてほしかったってば。ま、犯罪はびこる現代都市社会と迷信に頼る素朴社会とどっちがいいの?てえ問題提起だけはそこそこ無価値でもないわけで。〈年長者〉らにとってはハッピーエンドってことですか、ただし当面だけの。これ実ははじめ、フリークス系に入れようかと思ったんだよね。生まれつきメクラなのに色が見えるなんてあの女やっぱフリークスでしょってことで。でもマ、年長者たちのもろトラウマの方がメインだよねってことでここに。
■2LDK■ キャットファイトが単調すぎるんですよ。もうちょっと二人の心理戦が長い方が。すぐ物理的バトルになっちゃっちゃあ、味も含みもないって。どっちかつーといつも明らかに小池栄子の方が好戦的・策略的なのも(最後も先に刺してるし)バランスを欠いてて不徹底。あと野波麻帆のトラウマに相当する何かが小池にも欲しかった。皮肉なオチもかなり平凡。競作の相手である『荒神』(妖怪系3参照)にかなり水をあけられちゃったね。