三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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ガーリームービー系2

2009-06-10 18:56:00 | モンスター映画
 ■明日、君がいない■ これガーリームービーでいいよね、いちおう。こういうの新しいなあ。ネタ元の『エレファント』凌いじゃったね。エレファントのマルチアングル手法+ドキュメンタリーインタビュー仕立て。あんな簡単なことで異様な効果が出ましたね。結局どーでもいいと忘れかけてた脇役が俄然メインだった的ラストへ突入する寸前の淡々たる下校風景、いいですなあ。なりふりかまわぬ兄妹の絶叫トラブルが生々しくてコントラスト効果絶大。各シーンがいちいち光ってるんだなあ。お漏らしくんがぶん殴られる瞬間の映像なんか絶景でしたわ。鼻血とともに壁にどすんと同時に泣きべそってタイミングったらあれ、何十回撮り直してもなかなかああはいかんぞ普通。しかしこれ、女子はみんな美人なのにどうして男どもは全員ゲソなの? あの隠れホモのマッチョがイケメンって設定なのかなあ、あのモテ方からして。納得いかんぞ、ただのゴリラじゃんか。男女アンバランスのそれはそれで効果あげてるんだけどね、ガリ勉のブ男にレイプされる可愛い妹の痛ましさこそ伏線として欠かせないところなど。インタビューもしくはカウンセリング受けてる人数がたしか4対2だったっけ、ラストに肝心の一人が加わるわけだけど、あれはじめっから男女比同じにしとくべきだったんじゃないかな。まあホモカップルのぶん男が多くて当然ってことなんだろうけど。それと男偏重モードから一気にガーリー系へ、って転調がまた快かったりしたのかな。その可能性はあるよな。あそうだ、素晴らしく完成度高い映画だったとはいえ一つ。冒頭近くのゴリラのハアハアのモニターがムキムキマンでした、ってオチをわざわざ見せるのはどうだったかな。もうわかってたことなんで、念を押さなくてもって感じ。ま、そんな部分もありましたが、基本、傑作ですこれ。
 ■エレファント■ これ、ガーリームービーとは言えんだろうけど『明日、君がいない』との行き掛かり上およびダイエット3人娘と犠牲者第1号ダサ子が光っていたのとでここに。カメラワークが素晴らしいったらありませんな。『ヴェルクマイスター・ハーモニー』ばりの長~い並走ショットからして本家よりナチュラルで魅入っちゃった。酔っぱらい運転の父ちゃんが世話焼ける健気な坊やと写真部の坊やがすれ違って一瞬立ち話するエピソードを3方向から3回みせてくれた芸も細かいですって。(あと犯人2人とすれ違う瞬間もマルチアングルでリピートね)。あえて言えば上映時間が短すぎるよ。衝撃的な実在の乱射事件を淡々と抑制的に描きたかったって狙いはわかるけど、「どちらにしようかな」でオープニングと同じ空に切り替わってエンドロールじゃいくらなんでも、尻切れトンボ感が否めませんて。もっとみせてよぅ。それ以外は完璧です。ダイエット3人娘のアタマ空っぽぶりも自然に描写されてましたし、とことん何気ない日常感に徹したところがむしろ非日常的凄さです。やけに悠々と歩いてた大柄な黒人の坊や(かな? 職員?)が「え? なになに? 別に普段どおりだよな、みんな何パニクってるん?」的信じられん感を表現する役回りだったのだろうね、あれは。それにしては窓から女の子逃がしたりはしてたんで、事情読めてたと思うんだけど。あのへんちょっとわからんかったな。適度なわかんない感がむしろ快感だったけど。で、私ゃ最初に撃たれるのは写真部の坊やじゃないかな? それが一番痛ましそうでドラマだよな? ってなんとなく予想してたんで、ドラマにゃしたくない意図は途中でわかってまぁそんじゃ誰かな、て思ってたけど、あのダサ子ちゃんがトップに選ばれたとは意外でした。イジメられキャラとしての近親憎悪ゆえの抜擢ですかな? もはや復讐とかの世界じゃないんだよな。ラスト、相棒をいきなり射殺したあれはどうだったかな。あれはやんなかったほうがよかったような。それでええと、写真部の坊やはどうなったんでしょう。途中見失ったですが、どっかで撃たれてた? それともただひっそり退場?
 ■モンスター■ これは迫力あるわ。主演女優はホントは美人なんだってね。この映画のためにブスメイクしただけでなくわざわざ体重増やしたとか? パンツ一枚のだぶだぶ尻の後ろ姿なんか美人女優なんて誰も信じませんやね。アイリーン本人が出てる『シリアル・キラー アイリーン モンスターと呼ばれた女』も観てみたけど、似てるわ。恋人のほうはかなり印象違ったけど。そっちでフィクション力を試したんだろうけどね。あの恋人のほうは『キャスパー』の女の子? ふーむだいぶ雰囲気違うね。そりゃ役者やからね。一番印象深いのはあの親切な爺さんを殺さざるをえなくなったシーンだけど、お節介は身の破滅、って教訓ですな。取調や法廷の部分をもっとやってくれたらこれすげー大作になったと思うのだけど、続編誰か作ってくれないかなあ。
 ■めぐりあう時間たち■ 3人ともオバサンだけど、ま、内面は思春期そこのけモードだしここでいいべ。でこれ、俺感動しちゃいましたよ。どうしてくれんですか! こんなんで感動しちゃっていいのかよと自分の感性に不甲斐なさを覚えるじゃないですか。自信なくすじゃないすか。って感動しちまったもんはしょうがなかんべゃな。って俺が感じたあれ、ほんと感動か? まあ「感動」って言葉から連想される感覚なことは確かでした。しかしだ、たかがあいつとあいつが同一人物だったってことにラスト近くの母親訪問シーンで突然気づかされたってだけのことだよね? そんなんで感動? 普通そりゃないわなあ。ま、感動だったのかどうかなんて言葉論争はこれくらいでいいや。ともあれ奇妙な効果を生み出した映画であることは事実だ。オムニバス風並行描写って単純な手法なんだけどねえ、全部バッチリ絡んだね、事実と虚構、過去と現在がきっかりと。
 ■地下鉄のザジ■ ガーリームービーというにはザジがちょっと幼すぎるけど、ま、ここでよしと。しかしこりゃ期待外れでしたよ。笑えたのはあそこだけ。エッフェル塔から落ちてきたメガネがスポっと収まったとたん新聞を逆さまにし直すオバチャンのシーンだけ。笑かすのが目的じゃない、ナンセンスなんだって前衛ぶりたいのはやまやまでしょうが、あんだけこれ見よがしのギャグ調で飛ばしたらそんな言い訳通用せんでしょ。あんなドリフみたいんじゃなくてもっと難解にしとけよ。だいたいザジが可愛げなさすぎるね。食べ散らかすわ盗むわ毒づくわ嘘つくわ、身の上話が本当だとしても、つうかそれなら尚更しおらしくしててよ。塔を螺旋階段で下りながらの童貞氏相手のシモネタ話も、ずっとロングショットだから表情見えなくてつまんなかったよ。後半なんかはますますザジそっちのけで、オトナ中心のドタバタになりきっちゃって、ザジはテーブルに突っ伏したまんま。メインキャラ定位も放棄して、お笑いでもないナンセンスでもないガーリームービーでもない何でもない。お母ちゃんの出番が意外と少なかったのも痛かったかな。ジャーマン娘どものウロチョロも悪い意味で意味不明。映像処理に見るべきものは結構あったものの、だからなに?って。ワープすりゃいいってもんじゃなし、クルマいっぱい走らせりゃ楽しいってもんでもなし。映画撮るための交通規制も大変だったろうなと、つかこんなバカ映画撮るためにパリの街も無駄な協力せんでください。
 ■ブラック・ムーン■ 『不思議の国のアリス』を意識してることはわかるけど、シュワンクマイエルの比べるとかなり迫力落ちるなあ。時代的にこっちが先ってことだけが評価できるかな。おんなじ家の中をグルグル走り回ったり庭へ出入りしてるだけなので飽きてくるよ。小娘が走りすぎ。もっとじっと佇んでクリーチャーどもと対決してくれよ。クリーチャーつっても一角獣以外はみんな実在の哺乳類や鳥類にすぎないところが切ないが。一角獣にしてもただ逃げ回ってるだけなので、いくら喋ってくれたってもうちょい身体的に関わってくれなきゃさ。あ、ただ一箇所なぜか私興奮させられたのは、パンツがずり落ちるシーンです。念入りに2回も。久しぶりに視覚だけで勃起しました。パンツ落ちるシーンってよりかずり上げるシーンね。あんなシーンでどうしてかなあ。
 ■花とアリス■ あのー、音楽がやたらうるせいんですけど。台詞聴き取れませんて。せめてもっとヒップホップ系だったらまだしも、ああいういかにもメルヘンですってのはちょっと……。あとハナシがリアリティなさすぎで。記憶喪失だと勘違いさせるってあーた……、子ども向けドラマじゃないんだから。いや、子ども向けでよかったのかな、これ? 阿部寛が出るっていうから楽しみにしてたのにさあ。ワンシーンだけじゃねーか。母ちゃんがせっかく家に呼んだんだからそこんとこもワンシーンほしかったなあ(広末とかはど~でもい~から)。それにしてもメインの2人、まああのくらいの容貌が平凡な少女チックで適切ってことかもしれなかったけど、どうせああいうリアリティゼロのお話で勝負してるわけなんで、はっきり美少女使ったほうがよかったんでない? 『明日、君がいない』や『17歳のカルテ』と比べて映像美で格段に落ちるのよ、『Yellows』愛読者としちゃ悔しいでしょうが。いや、俳優で映像美が決まるわけじゃないですよもちろん、しかし風景やらカメラアングルやら他の点で映像美出せてないんだからせめて女優の造形美で、って次第ですよ。オープニングの2人歩きの風景くらいもう少し綺麗に撮ってほしかったよなあ。紙コップ装着バレエもどうってことなかったしなあ。文句ばかりでごめんね。オヤジの万年筆のグダグダは笑えましたし、落語部の部長は熱演でしたし、ディテールではいいとこいっぱいあるわけで。でも本筋が……。花の泣き顔アップったら「ウソついてました……」なんて、ハナっからリアリティない幼稚園児レベルの嘘であってみりゃ、ああリアルに泣かれても白けるだけよなあ。って何から何までセンスズレまくりの残念作でした。結局、私の目にいちばんキュートだったのは写真部のお節介の「ケンカしちゃダメだよー」がやたらうるせぃ鼻広子ちゃんだったかも。あの子なんて女優? 他に出てます?
 ■下妻物語■ 深田恭子は可愛かったが、そんだけ。小学生向けのギャグマンガだな。熱血友情物語のパロディ。オープニングの激突事故も、巻き戻してここまで辿り着いてどうせ何事もなくストーリーは先へパターンだろ、って思ってたらやっぱそれね。ヒネリはナシと。もういいよ、そういうの。期待外れの巻でした。暴走娘が形だけワルぶって終始性格よすぎたのもこの映画の敗因かな。ふだん性格も徹底的に悪くてここぞというポイントで……、ってふうでなきゃ。原作はどうゆんだったか知らんけどね。で結論、笑えたのは水野晴郎んとこだけでした。
 ■17歳のカルテ■ たるかったっす。エレー長く感じました。早く終われよと。映像美だけじゃ観続けられないッす。相方の脱走娘からしてなーんか……、『下妻物語』のヤンキーよりゃ自然だったけど、行ったり来たりのとりとめのなさがどーも……、もっと病院内の面々を克明に描いてほしかったっけ。言葉で簡単に傷つくキャラたちのああいうのもこう、「ホレ、これから傷つくよ、観てて観てて」みたいな間合いのとり方がヘタッピ。男性職員が誘惑に乗りすぎ。一見『ソウ』みたいなオープニングみたときゃ「あゃ、こりゃあどげな世界ば展開されると?」興味津々だったもんですがあれじゃあ……、精神病院とくればもっと独特のムード出せてよかったんじゃない? 部分的な細部には、たとえばほら退院前日にも睡眠薬を強要する看護婦なんぞはいい味出しとりましたけどねえ。あと、「おいおい、猫殺してんのかよ……」とハラハラさせてくれたあのあたりもいいシーンだったかな。ところで、邦題はなぜに17歳? だれか17歳のキャラクターいた? 発病が17歳って言いたいのかな。そんならもっと遡ってもいいわけでさ。17って安易なイメージ戦略かい。