三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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ガーリームービー系3

2009-10-22 14:38:00 | モンスター映画
 ■小さな悪の華■ あらら男がてんで機械仕掛けじゃねーかよぅもぅ~。誘惑されたらまるっきりバネ仕掛けかよ。ま、事実に即したデフォルメときちゃしゃあないわな。あああいう描き方ほんとはすげー気に入っちゃいまして。『ひなぎく』の〈普通の映画バージョン〉て感じだけど。共産主義独裁がここではキリスト教だな。やっぱ一神教って、神だけじゃなくて悪魔も信じる宗教だからな、怖いよ。宗教教育の管理体制に反発する内面が濃厚に描かれたぶんほんと普通映画になっちゃってるけど、決して凡庸にはなってない。黒髪と金髪の小悪魔2人が笑いさざめきながら自転車並んでこいでる風景、すげー名シーンですよ。あと金髪のほうが必死に抵抗コイてるシーン、女の子殴りでポカポカポカってあーた、漫画みたいで二度までもほんと笑える。ケツ舐め体勢に何度か持ち込まれた1度目が無教養な野良男、2度目が微妙にお金持ちっぽい紳士然、うまい配置でした。しかし2度目のオッサンよぉ。あそこまで寄り添われたら、ああもガッツく必要なかったでしょうが。そこがまた男の生物学的悲しさ映画的に強調するにはああいう問答無用展開が効果的なんだからしゃあないっつの。ね。で最後の焼身心中シーンはあれ、『火星の女』が受け継いだつもりだったのかな。ラストシーンだけは『火星の女』、微妙に勝ったかな。全体の美的価値じゃ比較にならないけど。ほんとこれ傑作でした。刑事さんも子どもにタバコ勧めて唾液だか指紋だかとるあたりのさりげなさうっまかったしねえ。
 ■パラノイドパーク■ これ、ガーリームービーじゃないと思うよね普通。だけど俺ん中じゃガーリーなんだわ。なぜかっつと脇役の軽薄少女の描写がいちばん効いてたから。ちょうど『小さな悪の華』の男の描き方に対応するね。典型的なバカ女。ってバカッてっちゃ可哀想なんだけど。セックスしてすぐ別れようはないよねえ、そりゃ確かに。しかしセックス直後に友だちに電話して「よかったわぁ」じゃないでしょう、あの時点で要猛省。別れよう言われたら怒るんじゃなくてほんとちょっとは反省しようよ、いやそんな高尚な反省じゃなくていいの、自分のクチが臭かったんじゃないかしらくらいでもいいの。ほんとほれぼれするバカッぷり。あのバカ女が脇役じゃなくて主人公級だったらもっとよかったにな。それとあのお友だちの女の子がまた効いてるのね、手紙の宛先買って出たあのチョイブス子ちゃん。しかしあんさん、ほんとに燃やすかなあ。ほんとに燃しちゃうところがこの映画の「おまえ呑気にしてる場合か」的モチーフにぴったりで面白いわけだけど。しかし少年の無気力表現するのにイラク戦争は必要なかったな。あっちゃこっちゃでボロ出してることで少年の焦りと投げやり感の対比は十分伝わってましたです。政治社会的要素入れなきゃって義務感が邪魔だったね。映画ってジャンルはそんなこと気にせんでいいから。あそうそう、不運な警備員の胴体真っ二つ上半身断末魔のCGと、土管の中のスケボー風景の躍動感が素晴らしかったのは特筆しとかなくちゃ。しかし刑事さんも胴体切断写真見せて反応探るあたりうっまいねえ。
 ■水の中のつぼみ■ 女の子三つ巴か。単純ながら意外といい設定だな。男をゲットできるかどうかが死活問題のドタバタガーリー文化描写が素晴らしいね。うまくいかんからレズ文化が同時進行してゆくわけやね。パーティーでモテない女が焦ってるあたりの描写延々とやってくれるくらいでもよかったかも。アメリカンな脳天気さとは全然違うヨーロピアンな陰鬱ぶりが効いてるああいうムードならね。友だちのブスさ加減、ヒロインの微妙にいじけたチョイブス加減、新しい友だちの一見美人よくみりゃ……系加減、みんな絶妙な微妙さでした。カタルシスのない展開に徹してたからラストのプール飛び込みでは何か起こる……?とつい間違った期待しちゃったけど何もなくて正解。だけどバージンってそんなに恥かしいのかよ? アメリカ映画だったらただの決まり文句的なああいうもやもやも、ヨーロピアンだと結構説得的なのが不思議だな。
 ■腑抜けども、悲しみの愛を見せろ■ おいおい、なんか「?」だらけだな。不愉快な人物ばっか相互作用して不愉快な田舎芝居を逆手にとったのはわかるけど、わかんねーシーンが多すぎ。だいたい猫を助けようとしたんだかなんだかしらんけど二人もいっぺんに死ぬかよとか、しかも手首ちぎれて幅広血痕長々二筋? どんだけ飛び込みゃああなるの? あとだいたい兄ちゃんがああまで妹に逆らえんってどーゆーことよとか、末の妹がアホな歌歌わされるのに近所の人が集まってんのはいったい何? とか。全然わかんねーす。演技過剰で始まった兄嫁の不吉な爆発の予感が棚引きながら本格的爆発なしで過ぎたのだけは正解。「腐ってる? 何がですか?」等々の唐突さってば五重マル。けどマンガ少女の爆発の方はなぁ。もっと抑え気味でもよかったじゃん? 抑えないなら抑えないなりにそんじゃ喘息出してよ。ナイフとかバスとか、なんだかラストがたらたら漫然と続いて、もうちっと手前ですぱっと行かなかったもんかなぁ。そもそもお姉ちゃん、一緒に乗っかっちゃうのは呆気なさすぎだよ。家族崩壊と同時に逆説的な和解かよ。わかるけどマ、家族家族ってうるさい映画だったぶん呆気ないのも効果的って理屈なんだか、あんな家族もそりゃあるわなって程度の感慨は呼び起こされました。あ、クソ女の演技は狙いどおり堪能させていただきましたよ。ソートー不愉快に。不愉快だから映画面白くなかった、ていうのはもちろん初心者ね。「面白い」って妹にもはっきり言われてたじゃん。いちばん被害を被った妹がああ言ってんだし、何の害も受けてない観賞者としちゃあ思いっきし面白がらにゃ。ただもっかい言うけどモちっと自然な設定にできなかったかなあ。それにタイトルが内容と全然関係ねーでしょーが。あそーだ、話戻して一つ気になったのは、あのサトエリって、『ザ・クイズショウ』といいこれといいああいう役柄が似合うのかなって。ほんのりと地?
 ■式日■ えれー期待させてくれたんだけどねえ、途中まで。ほんとむやみに演劇的でシュールな感じがなんともよくて。しかし次第にあざとさが裏目に出まくって、ついに10日前(10日目じゃなくてたしか10日前だったよな)の錯乱と、火ぃつけるとこ。あのへんのシーンで音楽がやけにドラマチックに盛り上がるの。あれ白けましたね。やめてほしいです。何度か高いところに座ってたり歩いてたりするシーンは爽快な感じでした。母親との対面の妙に過剰演劇的な不条理感が後半に待ちかまえてるとあってはなおさら、音楽の盛り上がりが惜しまれます。
 ■いちばんきれいな水■ 何となく予想通りの展開、と見せて、微妙にズラしてくれたのがよかったです。夢なんだかホントなんだかわかんない全体の流れも抑制が利いててナイス。映像綺麗で、水の描写ピカ一で、邦画で唯一ウェスタンガーリームービーとタメ張れるクオリティですよ。設定がガリ勉少女じゃなくてオタク少女であってもよかった気がするけど、オーソドックスなノスタルジーはやはりあれでよかったのかな。しかし細部がねぇ。ファミレスでメニューの綱引きせんでくださいよ。露骨なコメディやりたいのか、夢かもしれないって伏線張ろうとしているのか。いずれにしても下手っぴです。とくに「生贄」のハナシは、なんか伏線がほしかったなあ、いきなり出されちゃったんで、あれじゃあ……、ま、指輪をした手の写真が伏線だったってことなんでしょうけど、直接繋がってないし。それと最後、怪我人一人いなかったってなんですか? 死語を使えば目が点ってやつです。ろくに確認もせんで南米へ飛んでかないでくだせい、しかも子ども残して2人揃ってそりゃないでしょう。直前に「あたしパスポートない」ってあーた……、あったら愛一人置いてくつもりだったんかい。あんだけ騒いだ以上マリコさんはいちおう死なせといたほうがよかったんじゃあ。生贄の約束(?)にかかわらず愛は別にあのままでかまわないんで。あのへんって細部どころじゃないキズですよね。で、特典映像の「夏美のなつ」の方がずっと面白かったのはなにゆえでしょう。夏美がなぜか別人みたいに可愛く撮れてるってだけのことかもしんないけど。
 ■中国の植物学者の娘たち■ とりあえず急いで結婚しなさんなよと。兵役のシステムに対する風刺も込められていたのかな? とにかくろくに知り合ってもいないのに結婚結婚ってガッツイてもあーた……。超俗的な学究とみえて孫の皮算用に嬉々として耽るとーさんもとーさんですよ。その矛盾を面白がれってのかなあ、微妙に無理。だいたい付き合ってから浮気されたんならともかく、初夜に「なぜ処女じゃない!」はないでしょう。映像の美しさで勝負してくれれば満点だったこの映画、細部とストーリーのツッコミどころ過剰ゆえによくて怪作って落ち着き方しちゃいましたねえ。でもまあ、あのハーフの方の無愛想なムードは微妙なサスペンス孕んでよろしかったし、学者の娘の薬草焚いた中に横たわってる裸体は何十分でも観ていたかった映像美でしたよ。あのスベスベの美肌ほんともっとじっくり見せといてよ。ハーフの方が時間を追うにつれてブスっぽく見えてきて、髪切ってからは男にしか見えなくなってきちゃうのがいくらレズ映画とはいえ疑問だったにせよ、女性美も中国の自然も視覚的には大満足、ストーリー的・ディテール的には一転なんじゃこりゃ映画でした。
 ■マイ・サマー・オブ・ラブ■ うーん、微妙。前科者の兄さんばかりが気になって、2人の女はど~でもよかったよ。しかも兄さんの再度ぶっ壊れに至る経緯も唐突すぎるし。十分予感させときながらあれってのもね。全体『水の中のつぼみ』をちょっとスカスカにしたような感じかな。途中まで遺影を隠し味にした展開がなかなかだったけど、遺影の主があっけらかんと現われてからラストに向かってあれよあれよと何だありゃ。一気に軽く、ほんとクダラねー刹那の関係で終わっちゃったってこったね。あれじゃだめだよ。ラストはほんとに殺すくらいでなきゃ。ただのマヌケ話で終わっちゃッたっぽいよ。
 ■フェアリーテイル■ 何か煮え切らん話だな。結局何なの、妖精は実在するって話なの? 妖精は映像として出てくるべきじゃなかったなあ。妖精の映像は綺麗だったけど、そういう問題じゃないよね。夢の中かなんかの描写で十分だったんだから。二人がどっか姿隠してて写真だけ持ち帰って大人たちが真顔で有り難がるってあたりの胡散臭さがキモだったんだからさ、史実もこの映画も。安易な妖精映像はほんとやっちまってくれた感濃厚だよなあ。
 ■プリティ・ベビー■ 女優に興味なければとくにどってことない映画だな。生意気な餓鬼モチーフってどうも見てて面白うないのよ。
 ■犬猫■ いい加減にしろって言いたいな。受賞歴がいろいろ書いてあるからホントに傑作なのかと勘違いしたじゃねーか、あ~あ。階段の手すりを滑りながら女追ってく男の描写あたりで脱力系名シーンを意図したんだろうが、ダーメ。見え透いてるし。見どころはただ一つ、つっても超プライベートな見どころでトホホだけど、小学生の時自己流で弾いてたピアノのバイエル練習曲のうち私が唯一今でも弾けるやつが流れていたことだけ。サントラとしてじゃなく劇中世界の中でね、どっか近所の家から。てわけで客観的に見どころなし。せめて背景、たとえばぶん殴られる男にもっと個性か存在感みてーなもんあればなあ。しかし勝手におん出といて嫉妬して全力疾走してんじゃねーよ。つかそのへんもっと繊細に描いてよどーせなら。あんな安易軽薄な手すり横滑りじゃなくて。